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第一章 離島生活
13話 リンゴ狩り
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そう、私の読んだ本来の未来では、ステフお姉ちゃんは十日目の投票で零票。その翌日には本土行きの船に乗ってお別れする未来でした。
そして騎士様たちが到着しました。騎士様の数は五人。中には藍色の髪の騎士。ヴィンセント様もいらっしゃいます。
私達が大体二十人ほどですので、四人に一人くらいで見てもらいましょう。
私はモニカお姉ちゃんとステフお姉ちゃん、それからヴィーちゃんと一緒に集まります。私が籠を抱えようとしたところで、一人の騎士様が近寄ってきました。
「俺が持とう」
「ヴィンセント様」
私とヴィンセント様が見つめ合うようにしている。すぐ近くでステフお姉ちゃんがわざとらしく咳をします。
「あ! すみません! 行きましょう! それではヴィンセント様、お願いします」
「任された」
そう言って空の籠を背負うヴィンセント様。
あの籠、ヴィーちゃんだったらすっぽり入りそう。私はそう思って籠とヴィーちゃんを見ていると、何かに気付いたヴィーちゃんが怒り出しました。
「クリスちゃんもすっぽり入りそうだけどねぇ」
「確かに」
後ろで何かいわれて、私は籠に収まる自分を想像しました。でも、背負ってくれるのがヴィンセント様なら、それも悪くないかもしれない。私は目を閉じて進む先を覗くと、もうすぐリンゴの木が見えることがわかりましたので、このまま何も言わずに一緒に歩きます。
道案内はステフお姉ちゃん。なんでも、この森ならリンゴは多分こっちにあると思うという前職からの感で歩いています。未来視の結果、ステフお姉ちゃんの感は大当たりでした。
私達が歩いた先には大きなリンゴ林。早速リンゴを回収しようと思いましたが、その前にヴィーちゃんが結界を張ります。
「これで獣や魔獣は近寄れないわ。ただし、私は動けないから」
「いえ、十分助かりますよありがとうございますヴィーちゃん」
ヴィーちゃんの聖痕の力は結界を張っている間、身動きができないみたいです。それだけでも十分助かりますし、ヴィンセント様も護衛だけじゃなく収穫の手伝いができて作業は効率よく進みそうです。
ステフお姉ちゃんが私とモニカお姉ちゃんを見比べてから、ヴィンセント様の方に視線を向けます。
「クリスチナが一番小さいな。よし、騎士さんはそいつを肩車してやってくれ」
「わかった」
「肩車!?」
肩車なんて冗談じゃない! この修道服のスカートの内側は何も穿いていないんですよ!!
「肩車はダメです! 絶対!」
「なんだよ。じゃあお前はみんなからリンゴを受け取って籠に入れてくれ」
「それなら大丈夫です!」
なんですか。ステフお姉ちゃんは修道服の下がどうなっているかなんて知っているんですからそんな恐ろしい提案をしないでください。羞恥心を置いてきたのですか?
そう思い彼女を眺めていたら、本当にそのまま木を登り始めました。これにはモニカお姉ちゃんも驚きです。
「ヴィンセント様は上を見ないでください!」
私がダッシュでヴィンセント様の顔に手を当てて目隠しします。ヴィンセント様は多少驚きましたが、すぐに「分かったわかった。俺は少し離れた所に行く!」と言って目隠しし続けている私を引き連れて、結界の端の方で収穫作業を始めました。
なし崩し的に結界の中央にヴィーちゃん。西側にはステフお姉ちゃんとモニカお姉ちゃん。東側は私とヴィンセント様の二人組になりました。
向こうでは木の枝を軽々しく飛び移るステフお姉ちゃんと、長い枝でリンゴをつついて落とすモニカお姉ちゃん。
こちらはヴィンセント様が木に衝撃を与えてリンゴをどんどん落としていき、私がそれを一個一個拾っています。
「あまり近寄るなよ? リンゴが頭に堕ちてくるぞ?」
「その時は護ってくれるのでしょう?」
「多少は自衛してくれ」
「大丈夫ですよ。私の頭上にリンゴは落ちてきません」
「…………そうか」
そう言ってヴィンセント様は先ほどと同様に木に衝撃を加えてリンゴを落とすと、宣言通り私の周囲にボトボトと落ちるリンゴたち。
そして私の頭上にはリンゴが落ちてきませんでした。
「やはり君の聖痕の力なのか?」
「私の力がそんなに気になりますか?」
私はヴィンセント様に笑いかけながら聞くと、ヴィンセント様は少し考えてから「少しな」と答えました。
私個人は利用されたり狙われやすい力だからこそあまり口外しない様にしていますが、もしかしたらヴィンセント様に力を探られているのでしょうか。
ヴィンセント様が私の聖痕の力を探る理由がわかりませんが、彼個人から悪意は感じられません。
あるとすれば、ヴィンセント様の関係者が誰かを聖女にしたいか。あるいは…………何か理由があって奇跡の力を必要としているのでしょうか。
まだ読みたい未来をピンポイントで視れないのが痛いですね。少しでも怪しいと思ってしまうと、私の能力の便利さから、警戒せざるを得ないんですよね。
ヴィンセント様を疑いたくはないですから、できれば誰かを助けるためとかなら良いんですけど。
でも、それでも別の女性を助けるためだったらショックかもしれないなぁ。
リンゴ集めも籠いっぱいになったところでひとまず宿舎に戻ります。他のお手伝いしてくださった皆様も帰ってきたところでリンゴの数を数えました。
「二百個近くあるな」
「目標は五十でしたね」
「まあ、いいんじゃない?」
私達は二百個近くあるリンゴの山をシスター・タチアナに見せると、想像以上の数が運ばれ、本来聖女候補生だけのデザートとして用意されるハズだったリンゴは騎士様やシスター、神父様の分も用意されることになりました。
そして騎士様たちが到着しました。騎士様の数は五人。中には藍色の髪の騎士。ヴィンセント様もいらっしゃいます。
私達が大体二十人ほどですので、四人に一人くらいで見てもらいましょう。
私はモニカお姉ちゃんとステフお姉ちゃん、それからヴィーちゃんと一緒に集まります。私が籠を抱えようとしたところで、一人の騎士様が近寄ってきました。
「俺が持とう」
「ヴィンセント様」
私とヴィンセント様が見つめ合うようにしている。すぐ近くでステフお姉ちゃんがわざとらしく咳をします。
「あ! すみません! 行きましょう! それではヴィンセント様、お願いします」
「任された」
そう言って空の籠を背負うヴィンセント様。
あの籠、ヴィーちゃんだったらすっぽり入りそう。私はそう思って籠とヴィーちゃんを見ていると、何かに気付いたヴィーちゃんが怒り出しました。
「クリスちゃんもすっぽり入りそうだけどねぇ」
「確かに」
後ろで何かいわれて、私は籠に収まる自分を想像しました。でも、背負ってくれるのがヴィンセント様なら、それも悪くないかもしれない。私は目を閉じて進む先を覗くと、もうすぐリンゴの木が見えることがわかりましたので、このまま何も言わずに一緒に歩きます。
道案内はステフお姉ちゃん。なんでも、この森ならリンゴは多分こっちにあると思うという前職からの感で歩いています。未来視の結果、ステフお姉ちゃんの感は大当たりでした。
私達が歩いた先には大きなリンゴ林。早速リンゴを回収しようと思いましたが、その前にヴィーちゃんが結界を張ります。
「これで獣や魔獣は近寄れないわ。ただし、私は動けないから」
「いえ、十分助かりますよありがとうございますヴィーちゃん」
ヴィーちゃんの聖痕の力は結界を張っている間、身動きができないみたいです。それだけでも十分助かりますし、ヴィンセント様も護衛だけじゃなく収穫の手伝いができて作業は効率よく進みそうです。
ステフお姉ちゃんが私とモニカお姉ちゃんを見比べてから、ヴィンセント様の方に視線を向けます。
「クリスチナが一番小さいな。よし、騎士さんはそいつを肩車してやってくれ」
「わかった」
「肩車!?」
肩車なんて冗談じゃない! この修道服のスカートの内側は何も穿いていないんですよ!!
「肩車はダメです! 絶対!」
「なんだよ。じゃあお前はみんなからリンゴを受け取って籠に入れてくれ」
「それなら大丈夫です!」
なんですか。ステフお姉ちゃんは修道服の下がどうなっているかなんて知っているんですからそんな恐ろしい提案をしないでください。羞恥心を置いてきたのですか?
そう思い彼女を眺めていたら、本当にそのまま木を登り始めました。これにはモニカお姉ちゃんも驚きです。
「ヴィンセント様は上を見ないでください!」
私がダッシュでヴィンセント様の顔に手を当てて目隠しします。ヴィンセント様は多少驚きましたが、すぐに「分かったわかった。俺は少し離れた所に行く!」と言って目隠しし続けている私を引き連れて、結界の端の方で収穫作業を始めました。
なし崩し的に結界の中央にヴィーちゃん。西側にはステフお姉ちゃんとモニカお姉ちゃん。東側は私とヴィンセント様の二人組になりました。
向こうでは木の枝を軽々しく飛び移るステフお姉ちゃんと、長い枝でリンゴをつついて落とすモニカお姉ちゃん。
こちらはヴィンセント様が木に衝撃を与えてリンゴをどんどん落としていき、私がそれを一個一個拾っています。
「あまり近寄るなよ? リンゴが頭に堕ちてくるぞ?」
「その時は護ってくれるのでしょう?」
「多少は自衛してくれ」
「大丈夫ですよ。私の頭上にリンゴは落ちてきません」
「…………そうか」
そう言ってヴィンセント様は先ほどと同様に木に衝撃を加えてリンゴを落とすと、宣言通り私の周囲にボトボトと落ちるリンゴたち。
そして私の頭上にはリンゴが落ちてきませんでした。
「やはり君の聖痕の力なのか?」
「私の力がそんなに気になりますか?」
私はヴィンセント様に笑いかけながら聞くと、ヴィンセント様は少し考えてから「少しな」と答えました。
私個人は利用されたり狙われやすい力だからこそあまり口外しない様にしていますが、もしかしたらヴィンセント様に力を探られているのでしょうか。
ヴィンセント様が私の聖痕の力を探る理由がわかりませんが、彼個人から悪意は感じられません。
あるとすれば、ヴィンセント様の関係者が誰かを聖女にしたいか。あるいは…………何か理由があって奇跡の力を必要としているのでしょうか。
まだ読みたい未来をピンポイントで視れないのが痛いですね。少しでも怪しいと思ってしまうと、私の能力の便利さから、警戒せざるを得ないんですよね。
ヴィンセント様を疑いたくはないですから、できれば誰かを助けるためとかなら良いんですけど。
でも、それでも別の女性を助けるためだったらショックかもしれないなぁ。
リンゴ集めも籠いっぱいになったところでひとまず宿舎に戻ります。他のお手伝いしてくださった皆様も帰ってきたところでリンゴの数を数えました。
「二百個近くあるな」
「目標は五十でしたね」
「まあ、いいんじゃない?」
私達は二百個近くあるリンゴの山をシスター・タチアナに見せると、想像以上の数が運ばれ、本来聖女候補生だけのデザートとして用意されるハズだったリンゴは騎士様やシスター、神父様の分も用意されることになりました。
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