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第一章 離島生活
15話 三日目
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部屋に戻ると何やら身体を動かしているヴィーが、入室してきた私に気付きます。
「あらお帰りなさいクリスチナ。アンタ昨日といい今日といい。どこに行っていたの?」
「お散歩ですよ。気ままに自由に歩いてます」
「ちゃんと敷地内にいたんでしょうね?」
「探しちゃいました?」
「ばっか! そんなわけないでしょう?」
ヴィーちゃんは顔を赤らめて声を上げます。照れてる照れてる。
「それはそうとそれは何をしているのですか?」
「これ? 同じ班の人に教えて貰った健康にいい運動よ」
ヴィーちゃんは自慢げにそういいます。身体の関節を伸ばしたり動かしたりしている妙な動きをベッドの上で無限にやっているヴィーちゃん。
「なんだかよくわかりませんが、驚くほど柔らかいですね」
「そう? アンタやってみなさいよ」
私は一度、瞳を閉じます。するとヴィーちゃんと同じ運動をしている私の姿が瞼に映りました。
苦しい表情をしながら中途半端な所で止まって顔を真っ赤にしている私の姿が視えました。
「遠慮します。私には必要なさそうですので」
「そう?」
「今日は日記をつけないのですか?」
「この後つけるわ。もうしばらく灯りをつけておくけどいいかしら?」
「構いませんよ」
しばらくしない内に日記を書き始めるヴィーちゃんを横目に、私は修道服を脱ぎ始めて先にベッドに潜り込み、瞳を閉じて夢に没頭することにしました。
明日も何も変わらない日常。聖女候補生たちの日常は基本的に変わることなどない。
それこそ、外部からの襲撃者がこなけれ、私達は何事もなく十日目の投票を迎えるだけなのです。
そろそろ一日の終わりごろ。一番確認したかったサーシャさんの様子が瞼の裏に書き込まれます。それをしっかり読んだ私は、明日の行動を決めました。
「ヴィーちゃん? ヴィーちゃん? あーさでーすよー?」
「ひぎゃあああ!?」
ヴィーちゃんはベッドから飛び起きてしまいます。白く長い髪はまるで逆立つかのようにブワッと広がったようにも見えます。
彼女がいきなり自らのベッドを飛び出した理由。それは未来の第聖女である私が添い寝していたからです。
きっと恐れ多かったのでしょう。
「何やっているのよアンタ! 悍ましい」
「悍ましい? 言葉、間違えてますよ?」
変ですね。確か今日はヴィーちゃんを起こしたら感謝される未来だったはずなのに。
ただちょっと読んだ未来の起こし方が詰まらなかったから、少しアレンジしただけなのにこの違い。まあ、内心では大感謝していると言うことでしょう。
ヴィーちゃんも私も紺色の修道服に手を伸ばす。肌着の上にそれを着こんでから、私達は朝の礼拝に向かいます。
三日目になると毎日の行動はもはやルーチンワーク。この辺りで真新しい出来事をが起きないかと思う人は少なくはない。少なくとも私は飽きてきている。
そうはいってもパン屋が毎朝パンを焼くように、私達は毎朝礼拝をするのだ。
飽きる飽きないで行動は選べない。私達は決められた毎日から逃れたら、生きていけない。生きるすべを知らないのだ。
聖痕の力があれば聖女になんてならなくても生きている。そう考えるのが普通です。しかし、聖痕がそれを許してくれない。
私達聖女候補生は、聖女を目指す理由は人それぞれ。しかし、この離島にきて礼拝をしないという選択肢は、私達にはなかった。
私達聖女候補生は、聖痕が浮かんだその日から、神の教えに反することを怯えている。
礼拝をしないということが、もしかしたら教えに反することかもしれない。そう考えたら私達は礼拝をするという選択肢しかないのだ。
二人で並んで礼拝堂に向かう最中、反対側からヴィンセント様が歩いてくるのが見えました。互いに視線があい、彼が微笑むから私も微笑み返します。
「あの騎士…………よく合うわね」
「そうですね、運命ですね」
「は? …………まあうん?」
どうやらヴィーちゃんは単純に運命を理解していないようです。色恋に疎い少女なのか、箱入り娘だったのか。育ちのいい彼女は、貴族じゃなくても親に可愛がられて育てられたのでしょう。
「あらお帰りなさいクリスチナ。アンタ昨日といい今日といい。どこに行っていたの?」
「お散歩ですよ。気ままに自由に歩いてます」
「ちゃんと敷地内にいたんでしょうね?」
「探しちゃいました?」
「ばっか! そんなわけないでしょう?」
ヴィーちゃんは顔を赤らめて声を上げます。照れてる照れてる。
「それはそうとそれは何をしているのですか?」
「これ? 同じ班の人に教えて貰った健康にいい運動よ」
ヴィーちゃんは自慢げにそういいます。身体の関節を伸ばしたり動かしたりしている妙な動きをベッドの上で無限にやっているヴィーちゃん。
「なんだかよくわかりませんが、驚くほど柔らかいですね」
「そう? アンタやってみなさいよ」
私は一度、瞳を閉じます。するとヴィーちゃんと同じ運動をしている私の姿が瞼に映りました。
苦しい表情をしながら中途半端な所で止まって顔を真っ赤にしている私の姿が視えました。
「遠慮します。私には必要なさそうですので」
「そう?」
「今日は日記をつけないのですか?」
「この後つけるわ。もうしばらく灯りをつけておくけどいいかしら?」
「構いませんよ」
しばらくしない内に日記を書き始めるヴィーちゃんを横目に、私は修道服を脱ぎ始めて先にベッドに潜り込み、瞳を閉じて夢に没頭することにしました。
明日も何も変わらない日常。聖女候補生たちの日常は基本的に変わることなどない。
それこそ、外部からの襲撃者がこなけれ、私達は何事もなく十日目の投票を迎えるだけなのです。
そろそろ一日の終わりごろ。一番確認したかったサーシャさんの様子が瞼の裏に書き込まれます。それをしっかり読んだ私は、明日の行動を決めました。
「ヴィーちゃん? ヴィーちゃん? あーさでーすよー?」
「ひぎゃあああ!?」
ヴィーちゃんはベッドから飛び起きてしまいます。白く長い髪はまるで逆立つかのようにブワッと広がったようにも見えます。
彼女がいきなり自らのベッドを飛び出した理由。それは未来の第聖女である私が添い寝していたからです。
きっと恐れ多かったのでしょう。
「何やっているのよアンタ! 悍ましい」
「悍ましい? 言葉、間違えてますよ?」
変ですね。確か今日はヴィーちゃんを起こしたら感謝される未来だったはずなのに。
ただちょっと読んだ未来の起こし方が詰まらなかったから、少しアレンジしただけなのにこの違い。まあ、内心では大感謝していると言うことでしょう。
ヴィーちゃんも私も紺色の修道服に手を伸ばす。肌着の上にそれを着こんでから、私達は朝の礼拝に向かいます。
三日目になると毎日の行動はもはやルーチンワーク。この辺りで真新しい出来事をが起きないかと思う人は少なくはない。少なくとも私は飽きてきている。
そうはいってもパン屋が毎朝パンを焼くように、私達は毎朝礼拝をするのだ。
飽きる飽きないで行動は選べない。私達は決められた毎日から逃れたら、生きていけない。生きるすべを知らないのだ。
聖痕の力があれば聖女になんてならなくても生きている。そう考えるのが普通です。しかし、聖痕がそれを許してくれない。
私達聖女候補生は、聖女を目指す理由は人それぞれ。しかし、この離島にきて礼拝をしないという選択肢は、私達にはなかった。
私達聖女候補生は、聖痕が浮かんだその日から、神の教えに反することを怯えている。
礼拝をしないということが、もしかしたら教えに反することかもしれない。そう考えたら私達は礼拝をするという選択肢しかないのだ。
二人で並んで礼拝堂に向かう最中、反対側からヴィンセント様が歩いてくるのが見えました。互いに視線があい、彼が微笑むから私も微笑み返します。
「あの騎士…………よく合うわね」
「そうですね、運命ですね」
「は? …………まあうん?」
どうやらヴィーちゃんは単純に運命を理解していないようです。色恋に疎い少女なのか、箱入り娘だったのか。育ちのいい彼女は、貴族じゃなくても親に可愛がられて育てられたのでしょう。
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