23 / 25
第一章 離島生活
23話 願わくば
しおりを挟む
自室にはなんと水色の髪の女性、サーシャさんが眠る私の隣に座っていました。
「…………サー……シャさん?」
「お? 目が覚めたか。もう昼過ぎだぞ。だが、まあ明け方まで説教だったんだって? 朝の礼拝にいなくても呼ばれないほどだ」
「え、ええ」
「この未来はお前の予定通りだったか?」
「…………ええ、もちろんです。私はスーパーウルトラミラクルラッキーセイントガールのクリスちゃんですよ? 最善の結果くらい予測できちゃいます!!」
「そうか…………お前こそ聖女になるべき人間なのかもな」
そういってサーシャさんがどこかの部屋にいってしまいました。この未来は想定外でしたし、あの時、私が助かる未来も読み切れた未来ではない。
それでも、危険な賭けに飛び込んでいたという事実を彼女に教えるのは、彼女を心配させる原因になるでしょう。だから私は間違ったことを言っていないんだ。でも、きっとサーシャさんは私の真意に気づいているのではないか。そう思ってしまいました。
窓の外の景色を見つめると、太陽が南中していることがわかります。本当にお昼まで寝ていたのですね。
「寝すぎましたね」
部屋から出ると、部屋のすぐ外には藍色の髪の騎士が待っていました。彼は私が出てくるとすぐに声をかけてきました。
「よく眠れたか」
「……それはもう」
どういうつもりなのだろうか。今日は一ミリも未来視を見ていない不安しかない日。
ヴィンセント様にどう思われているか次の瞬間になんて言われるか全くわからないのはやっぱり怖いかも。
ヴィンセント様は無言で私を見つめる。その意図も次の言葉もわからない。心臓の鼓動はいつも以上に高まってしまう。
「あの……」
「なんだ?」
「怒っていないのですか?」
「誰が誰に怒る必要があるんだ?」
「だって…………」
ヴィンセント様が抱きしめながら私の頭をゆっくりと撫でます。まるで触れればすぐに壊れてしまいそうなものを優しく触るように。
「え?」
「あの夜、君はどういうつもりであの場にいたか、結局誰もわからなかった。君は説明したかもしれないが、本当の理由じゃないのだろう?」
「…………どうでしょうね。私としては本心でしたが」
私が説明した理由はふらふら散歩していました。当然、嘘。でも、シスター・タチアナには悟られていなかったはずですし、直接聞いたのは彼女だけ。
ヴィンセント様に悟られるはずがない。だから笑うんだ。いつものどや顔で自信家の天真爛漫で少し抜けている少女クリスチナを演じるんだ。
「一つ勘違いしているが、怒っていないわけじゃないんだ。だが、それ以上に無事な君を見つけてほっとしている」
「あー、そうですね。私が無事じゃないとヴィンセント様の職務怠慢になってしまいますからね?」
彼のほっとしたという言葉に、やはり護衛対象の聖女候補生という現実を突きつけられた気がしました。
本当は怒ってほしかったという自分は本当にめんどくさい女なのだろう。でも彼は仕事として私のそばにいるんだ。勘違いしちゃダメ。私が失踪して彼が気にするのは、彼自身の経歴なんだ。
「職務怠慢です。職務怠慢になってしまいますから…………ちゃんと私を見ていてくださいね?」
私はどういうつもりでこんな言葉を言ったのだろうか。頬が熱い。この熱はなんだろう。こんな顔を見られるわけにはいかない。
そう思った矢先に、抱きしめる彼の腕から解放され、彼と視線が交差する。
彼は私の顔をまじまじと見つめると、ほんの少し頬を染めていました。
ちょっとは可愛いと思っていただけたかな。計算外でしたけど、なんだかちょっぴりうれしいかもしれません。
願わくば、どうかこの人の心に残る私が、笑顔の印象が強い女性でありますように。
「…………サー……シャさん?」
「お? 目が覚めたか。もう昼過ぎだぞ。だが、まあ明け方まで説教だったんだって? 朝の礼拝にいなくても呼ばれないほどだ」
「え、ええ」
「この未来はお前の予定通りだったか?」
「…………ええ、もちろんです。私はスーパーウルトラミラクルラッキーセイントガールのクリスちゃんですよ? 最善の結果くらい予測できちゃいます!!」
「そうか…………お前こそ聖女になるべき人間なのかもな」
そういってサーシャさんがどこかの部屋にいってしまいました。この未来は想定外でしたし、あの時、私が助かる未来も読み切れた未来ではない。
それでも、危険な賭けに飛び込んでいたという事実を彼女に教えるのは、彼女を心配させる原因になるでしょう。だから私は間違ったことを言っていないんだ。でも、きっとサーシャさんは私の真意に気づいているのではないか。そう思ってしまいました。
窓の外の景色を見つめると、太陽が南中していることがわかります。本当にお昼まで寝ていたのですね。
「寝すぎましたね」
部屋から出ると、部屋のすぐ外には藍色の髪の騎士が待っていました。彼は私が出てくるとすぐに声をかけてきました。
「よく眠れたか」
「……それはもう」
どういうつもりなのだろうか。今日は一ミリも未来視を見ていない不安しかない日。
ヴィンセント様にどう思われているか次の瞬間になんて言われるか全くわからないのはやっぱり怖いかも。
ヴィンセント様は無言で私を見つめる。その意図も次の言葉もわからない。心臓の鼓動はいつも以上に高まってしまう。
「あの……」
「なんだ?」
「怒っていないのですか?」
「誰が誰に怒る必要があるんだ?」
「だって…………」
ヴィンセント様が抱きしめながら私の頭をゆっくりと撫でます。まるで触れればすぐに壊れてしまいそうなものを優しく触るように。
「え?」
「あの夜、君はどういうつもりであの場にいたか、結局誰もわからなかった。君は説明したかもしれないが、本当の理由じゃないのだろう?」
「…………どうでしょうね。私としては本心でしたが」
私が説明した理由はふらふら散歩していました。当然、嘘。でも、シスター・タチアナには悟られていなかったはずですし、直接聞いたのは彼女だけ。
ヴィンセント様に悟られるはずがない。だから笑うんだ。いつものどや顔で自信家の天真爛漫で少し抜けている少女クリスチナを演じるんだ。
「一つ勘違いしているが、怒っていないわけじゃないんだ。だが、それ以上に無事な君を見つけてほっとしている」
「あー、そうですね。私が無事じゃないとヴィンセント様の職務怠慢になってしまいますからね?」
彼のほっとしたという言葉に、やはり護衛対象の聖女候補生という現実を突きつけられた気がしました。
本当は怒ってほしかったという自分は本当にめんどくさい女なのだろう。でも彼は仕事として私のそばにいるんだ。勘違いしちゃダメ。私が失踪して彼が気にするのは、彼自身の経歴なんだ。
「職務怠慢です。職務怠慢になってしまいますから…………ちゃんと私を見ていてくださいね?」
私はどういうつもりでこんな言葉を言ったのだろうか。頬が熱い。この熱はなんだろう。こんな顔を見られるわけにはいかない。
そう思った矢先に、抱きしめる彼の腕から解放され、彼と視線が交差する。
彼は私の顔をまじまじと見つめると、ほんの少し頬を染めていました。
ちょっとは可愛いと思っていただけたかな。計算外でしたけど、なんだかちょっぴりうれしいかもしれません。
願わくば、どうかこの人の心に残る私が、笑顔の印象が強い女性でありますように。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる