その未来は読了済みです~聖女候補生たちの離島生活~

大鳳葵生

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第一章 離島生活

23話 願わくば

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 自室にはなんと水色の髪の女性、サーシャさんが眠る私の隣に座っていました。


「…………サー……シャさん?」
「お? 目が覚めたか。もう昼過ぎだぞ。だが、まあ明け方まで説教だったんだって? 朝の礼拝にいなくても呼ばれないほどだ」
「え、ええ」
「この未来はお前の予定通りだったか?」
「…………ええ、もちろんです。私はスーパーウルトラミラクルラッキーセイントガールのクリスちゃんですよ? 最善の結果くらい予測できちゃいます!!」
「そうか…………お前こそ聖女になるべき人間なのかもな」


 そういってサーシャさんがどこかの部屋にいってしまいました。この未来は想定外でしたし、あの時、私が助かる未来も読み切れた未来ではない。
 それでも、危険な賭けに飛び込んでいたという事実を彼女に教えるのは、彼女を心配させる原因になるでしょう。だから私は間違ったことを言っていないんだ。でも、きっとサーシャさんは私の真意に気づいているのではないか。そう思ってしまいました。

 窓の外の景色を見つめると、太陽が南中していることがわかります。本当にお昼まで寝ていたのですね。


「寝すぎましたね」


 部屋から出ると、部屋のすぐ外には藍色の髪の騎士が待っていました。彼は私が出てくるとすぐに声をかけてきました。


「よく眠れたか」
「……それはもう」


 どういうつもりなのだろうか。今日は一ミリも未来視を見ていない不安しかない日。
 ヴィンセント様にどう思われているか次の瞬間になんて言われるか全くわからないのはやっぱり怖いかも。
 ヴィンセント様は無言で私を見つめる。その意図も次の言葉もわからない。心臓の鼓動はいつも以上に高まってしまう。


「あの……」
「なんだ?」
「怒っていないのですか?」
「誰が誰に怒る必要があるんだ?」
「だって…………」


 ヴィンセント様が抱きしめながら私の頭をゆっくりと撫でます。まるで触れればすぐに壊れてしまいそうなものを優しく触るように。


「え?」
「あの夜、君はどういうつもりであの場にいたか、結局誰もわからなかった。君は説明したかもしれないが、本当の理由じゃないのだろう?」
「…………どうでしょうね。私としては本心でしたが」


 私が説明した理由はふらふら散歩していました。当然、嘘。でも、シスター・タチアナには悟られていなかったはずですし、直接聞いたのは彼女だけ。
 ヴィンセント様に悟られるはずがない。だから笑うんだ。いつものどや顔で自信家の天真爛漫で少し抜けている少女クリスチナを演じるんだ。


「一つ勘違いしているが、怒っていないわけじゃないんだ。だが、それ以上に無事な君を見つけてほっとしている」
「あー、そうですね。私が無事じゃないとヴィンセント様の職務怠慢になってしまいますからね?」


 彼のほっとしたという言葉に、やはり護衛対象の聖女候補生という現実を突きつけられた気がしました。
 本当は怒ってほしかったという自分は本当にめんどくさい女なのだろう。でも彼は仕事として私のそばにいるんだ。勘違いしちゃダメ。私が失踪して彼が気にするのは、彼自身の経歴なんだ。


「職務怠慢です。職務怠慢になってしまいますから…………ちゃんと私を見ていてくださいね?」


 私はどういうつもりでこんな言葉を言ったのだろうか。頬が熱い。この熱はなんだろう。こんな顔を見られるわけにはいかない。
 そう思った矢先に、抱きしめる彼の腕から解放され、彼と視線が交差する。
 彼は私の顔をまじまじと見つめると、ほんの少し頬を染めていました。
 ちょっとは可愛いと思っていただけたかな。計算外でしたけど、なんだかちょっぴりうれしいかもしれません。



 願わくば、どうかこの人の心に残る私が、笑顔の印象が強い女性でありますように。
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