24 / 25
第一章 離島生活
24話 こんな未来は読了していません
しおりを挟む
私が夜、襲われた事件から数日。この離島生活が始まって十日目になりました。お昼の自由時間にはみんなで集まって誰に投票するのか気にしあっています。
自分たちの投票先を話題にするのは禁則事項です。みんな自分が残れるかソワソワしている様子。
投票開始は昼食後、投票終了は夕食まで。ここで脱落する聖女候補生は最後の晩餐となります。
そして昼食を食べ終えると、教会前にある広場に投票箱がおかれました。あそこに投票が終わればすべての行程が終わります。
私は投票用紙に名前を綴ります。自薦は不可。投票先はシスター・タチアナが確認するのでそのような行為はできません。
私は未来視で確認している。本来の未来で脱落するはずだった彼女の名前を綴りました。彼女は自己犠牲精神で自らを囮にしようと、私の忠告を無視して一人出かけてしまった女性。
真っ白な投票用紙に、私は『アレッサンドラ・ラファエラ・チマッティ』とはっきりと書き記しました。
彼女が聖女として相応しいと、私だけが知っている。だから、この清らかな心の持ち主の彼女の名前は、私が書かなければいけない名前だ。
真っ先に現れた私を視たシスター・タチアナが驚いていました。どうせ私のことだから遅刻ギリギリだろうと思われていたみたいです。そして彼女が私の投票用紙を確認します。
「確認しました。聖クリスチナの投票を受理します。あとはゆっくりと自由時間をお過ごしください。ただし、貴女はすぐにどこかに行ってしまいますので必ず騎士と行動するように」
「えー? そんなことないですよー?」
「そういうところが信用できないんですよ」
シスター・タチアナは呆れた顔で私を見つめますが、優しい目で見つめられます。まるで心配してくれる姉のような表情。
この島には優しいお姉ちゃんと、世話焼きな妹が多すぎます。
「では行ってきます!」
「こら! 私の話を聞いていましたね? ちゃんと誰かと行動するんですよ?」
「はぁーい!」
走り去っていく私を見て、シスター・タチアナは少々怒り気味。その時、私は投票箱に向かう水色の髪の聖女候補生とすれ違いました。彼女は私にウインクします。私はそれに対してニッと笑顔を浮かべて返しました。
走り去っていく私の後ろでは、彼女の投票が受理されたという声が聞こえたような気がしました。
その夜、夕食を食べていた私達に、残った聖女候補生達の名前がボードに記されていました。
そこに記された名前の中から何人かの親しくなった聖女候補生の生を確認していきます。
『カテリーナ・エレナ・コロカ』
『クラウディア・デル・ノヴェリ』
『フランチェスカ・ディ・アンジェリ』
『モニカ・エレナ・ピッチニーニ』
『サラ・ディ・アルカンジェリ』
『ステファニア・デ・コストナー』
『ヴィルナ・ガエターナ・クナップ』
そして…………最後にもう一度名前を確認します。
『クリスチナ・フォン・アニェージ』
しかし…………なぜかサーシャさんの名前がありませんでした。
誰が誰に入れて、誰に何票入ったかは口外されません。ですが私は、きっと私の名前を綴ってくれたであろう彼女の綺麗な水色の髪を眺めていました。
「ここで辞退者の発表をします。アレッサンドラ・ラファエラ・チマッティがこの離島生活を辞退することになりました」
「!?」
私の知らない未来。それは本来の未来では元々零票だったから公表されなかった事実だったのかもしれません。私は彼女の方に顔を向けましたが、そこに水色の髪の女性はいませんでした。
私は同様しながら彼女を探します。そうだ、彼女ならきっとあの川で水浴びをしているかもしれない。私は飛び出した。
その姿をシスター・タチアナに目撃されます。呼び止めようとする彼女の声。それを無視して私は走ります。
あの川に行っても、彼女の姿かたちはない。もう探し回れる体力は残っていない。
彼女との思い出のある川を眺めて私は修道服を脱ぎました。
「つめた!?」
つま先を水面に触れさせると、綺麗な円が広がります。私は足をひっこめる。この川は本当はこんなにも冷たかったんだ。サーシャさんの聖痕の力でこの冷たさまで濁らせていたんですね。
しかし、私はその川に腰まで浸かりました。もう会えない彼女のことを考える。もしかしたらこの島を出たらばったり会えるかもしれない。その時は、思いっきり怒ってあげよう。
彼女だってそれを望んでいるはずだ。私の知っている彼女は、きっと私に罪悪感を抱いている。だから、彼女のその気持ちを晴らすことができるのは私の行動だけなんだ。
がさがさという茂みの揺れる音に気付いた私は、サーシャさんかと思い腰まで川に浸かった身体をそちらに向けました。
「あ」
「え?」
そこにいたの藍色の髪の騎士。私たちは互いの時間が止まります。思考停止した私は数秒ののちに復活。現状を理解して思いっきり奇声を上げながら肩まで川に浸かりました。
「きゃあああああああああああああああああああ」
「す、すまない!?」
こんな! こんな! こんな未来は読了してませぇん!!!
自分たちの投票先を話題にするのは禁則事項です。みんな自分が残れるかソワソワしている様子。
投票開始は昼食後、投票終了は夕食まで。ここで脱落する聖女候補生は最後の晩餐となります。
そして昼食を食べ終えると、教会前にある広場に投票箱がおかれました。あそこに投票が終わればすべての行程が終わります。
私は投票用紙に名前を綴ります。自薦は不可。投票先はシスター・タチアナが確認するのでそのような行為はできません。
私は未来視で確認している。本来の未来で脱落するはずだった彼女の名前を綴りました。彼女は自己犠牲精神で自らを囮にしようと、私の忠告を無視して一人出かけてしまった女性。
真っ白な投票用紙に、私は『アレッサンドラ・ラファエラ・チマッティ』とはっきりと書き記しました。
彼女が聖女として相応しいと、私だけが知っている。だから、この清らかな心の持ち主の彼女の名前は、私が書かなければいけない名前だ。
真っ先に現れた私を視たシスター・タチアナが驚いていました。どうせ私のことだから遅刻ギリギリだろうと思われていたみたいです。そして彼女が私の投票用紙を確認します。
「確認しました。聖クリスチナの投票を受理します。あとはゆっくりと自由時間をお過ごしください。ただし、貴女はすぐにどこかに行ってしまいますので必ず騎士と行動するように」
「えー? そんなことないですよー?」
「そういうところが信用できないんですよ」
シスター・タチアナは呆れた顔で私を見つめますが、優しい目で見つめられます。まるで心配してくれる姉のような表情。
この島には優しいお姉ちゃんと、世話焼きな妹が多すぎます。
「では行ってきます!」
「こら! 私の話を聞いていましたね? ちゃんと誰かと行動するんですよ?」
「はぁーい!」
走り去っていく私を見て、シスター・タチアナは少々怒り気味。その時、私は投票箱に向かう水色の髪の聖女候補生とすれ違いました。彼女は私にウインクします。私はそれに対してニッと笑顔を浮かべて返しました。
走り去っていく私の後ろでは、彼女の投票が受理されたという声が聞こえたような気がしました。
その夜、夕食を食べていた私達に、残った聖女候補生達の名前がボードに記されていました。
そこに記された名前の中から何人かの親しくなった聖女候補生の生を確認していきます。
『カテリーナ・エレナ・コロカ』
『クラウディア・デル・ノヴェリ』
『フランチェスカ・ディ・アンジェリ』
『モニカ・エレナ・ピッチニーニ』
『サラ・ディ・アルカンジェリ』
『ステファニア・デ・コストナー』
『ヴィルナ・ガエターナ・クナップ』
そして…………最後にもう一度名前を確認します。
『クリスチナ・フォン・アニェージ』
しかし…………なぜかサーシャさんの名前がありませんでした。
誰が誰に入れて、誰に何票入ったかは口外されません。ですが私は、きっと私の名前を綴ってくれたであろう彼女の綺麗な水色の髪を眺めていました。
「ここで辞退者の発表をします。アレッサンドラ・ラファエラ・チマッティがこの離島生活を辞退することになりました」
「!?」
私の知らない未来。それは本来の未来では元々零票だったから公表されなかった事実だったのかもしれません。私は彼女の方に顔を向けましたが、そこに水色の髪の女性はいませんでした。
私は同様しながら彼女を探します。そうだ、彼女ならきっとあの川で水浴びをしているかもしれない。私は飛び出した。
その姿をシスター・タチアナに目撃されます。呼び止めようとする彼女の声。それを無視して私は走ります。
あの川に行っても、彼女の姿かたちはない。もう探し回れる体力は残っていない。
彼女との思い出のある川を眺めて私は修道服を脱ぎました。
「つめた!?」
つま先を水面に触れさせると、綺麗な円が広がります。私は足をひっこめる。この川は本当はこんなにも冷たかったんだ。サーシャさんの聖痕の力でこの冷たさまで濁らせていたんですね。
しかし、私はその川に腰まで浸かりました。もう会えない彼女のことを考える。もしかしたらこの島を出たらばったり会えるかもしれない。その時は、思いっきり怒ってあげよう。
彼女だってそれを望んでいるはずだ。私の知っている彼女は、きっと私に罪悪感を抱いている。だから、彼女のその気持ちを晴らすことができるのは私の行動だけなんだ。
がさがさという茂みの揺れる音に気付いた私は、サーシャさんかと思い腰まで川に浸かった身体をそちらに向けました。
「あ」
「え?」
そこにいたの藍色の髪の騎士。私たちは互いの時間が止まります。思考停止した私は数秒ののちに復活。現状を理解して思いっきり奇声を上げながら肩まで川に浸かりました。
「きゃあああああああああああああああああああ」
「す、すまない!?」
こんな! こんな! こんな未来は読了してませぇん!!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる