溺愛のしとね ~銀狼は伯爵令嬢に恋い焦がれる~

日下部りおん

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プロローグ *

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「ああっ……は、ん……っ」

 大きな手がやさしく素肌の上をすべる。
 薄暗い寝室のベッドの上で、アリシアは羞恥と快感にふるえていた。胸元のリボンがほどかれ夜着を開かれると、鎖骨からつづく真っ白なふたつの膨らみがあらわになる。
 間近で食い入るように見つめてくる熱い視線に耐えかねて顔を背けると、なぐさめるように頬にくちづけられた。男のくちびるが耳を食み、首筋をたどりながらゆっくりと胸の頂きに向かっていく。それを止めたいのに止められない。止めてはいけない。

 これはアリシアのつとめなのだ。
 
 誰も代われない、誰にも譲れないつとめだ。
 愛しい男に求められ嬉しくないはずがない。けれどアリシアには未経験の愛の作法をのは何度しても慣れそうにない。どうしたって戸惑わずにいられない。

「あ……やっ!」

 薄紅色の乳首を熱いくちびるにとらえられた。
 ぬめった舌が輪郭をなぞるようにくすぐりだすと、アリシアの体が大きく何度も跳ねた。

「あああっ、いやっ」

「いや?」

 ささやくように問われてアリシアは恥ずかしさのあまり涙ぐんだ。触れられるのはいやではないが、乱れる姿を見られるのがいやだ。とにかくひたすら恥ずかしい。

「これはいやか、アリシア?」

 意地悪でもなんでもなく男はいたってまじめにきいている。他意はないのだろうが敏感になった突起の上で話をされると困ってしまう。吐息で刺激されてまるで焦らされているかのように身悶えてしまうからだ。
 まばたきで涙がこぼれ落ちた。
 それを口づけで吸いとられ、じっと目をのぞきこまれる。返事を催促しているのだ。

「い」

「い?」

「嫌じゃありません……」

 消え入りそうな声でかろうじて答えると、とろけるような笑みを浮かべてくる。その表情が、しぐさのすべてが、アリシアへの愛で溢れていて、嬉しいやら恥ずかしいやらで見ていられない。
 嬉しそうなかすれた笑い声がセクシーで、アリシアの胸が高鳴った。いつも、いつでもいとも簡単にときめいてしまう。
 真っ赤になった顔を隠すように男の首に腕をからめ、その首筋にすりよった。

( なんでこんなことに……っ )

 ふたたび動き出した手のひらでの愛撫に、アリシアは声を上げ酔いしれていった───


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