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第6章 どうやらフィツロイは八虐の不孝のようです。

動き出す邪悪

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 場所は数市にあるショッピングセンサー。
そこに沢山の人々に紛れて、2人のカップルがいた。

「今日はありがとう。楽しかったよ」
「あっ、私もです。あのまた会えますか?」

夜の噴水をバックに、「彼女は私との今日が楽しかった」と言ってくれた。

「また会おう。次に君と会える日が楽しみ。」

「はい!!」

そう言うと二人はそれぞれの家へと帰宅する。
先程の女性は私の彼女だ。
他の女とは違う……私にとって最も大切な女性だ。
今日は彼女と二人で懐かしの数市に出かけていたのだ。
私のお気に入りの愛車でドライブという訳だ。
すると、突然雨が降り始める。

「デート中に降りださなくてよかった」

道は傘を差す人でいっぱい。
現在、沢山の人が帰宅ラッシュをする時間なのだ。

「フフフ~ン。きょうはストレスも貯まらない良い日だったな。誰かに跡をつけられていなければな」

そう言うと男は一度立ち止まり、路地裏へと進んでいく。



 それを追いかけるように一人、彼の跡を追うものがいた。
路地裏には二人の人間しかいない。男はストーカーに向かって言った。

「君……私にストレスを感じさせてどうするつもりなんだい? 私に何か用かな?」

その問いかけに対し、レインコートを着ている人は、

「へぇ~やっぱりあなただったのね。
あの情報は正解か。
まぁ、あなたの正体を知ったとしても何も思わないけど。
ねぇ、あなたは傘を持ってない?」

その質問に男は血管の浮き出た顔で、

「俺の質問に答えろォォ!!!!
それとも、君は私の幸せな生活を邪魔しに来ただけか?」

「おっと……それはごめんなさい。でも、話すには傘がいるのよ。雨に濡れるのは誰でも嫌でしょ。特に私はね」

男は仕方がなくそいつに折り畳み傘を手渡した。
そいつは折り畳み傘を指し、レインコートのフードから頭を出す。
その顔は男にとっては馴染み深く。会いたいというよりは会いたいとは思えない。むしろ会いたくない存在である知り合い美人のお姉さんであった。

「おや? お前は確か」

「今回の事にはあなたにも協力してもらうわ。そろそろちゃんと働いて貰わないとね」

そう言うと彼女は男を見て怪しい笑みを浮かべる。しかし、男にとってはその彼女のために仕事を使用とは考えていない。

「すまないが私はまだ、あの御方の為に戦うつもりはないよ。
私は今、幸せな日々を過ごしているんだから……。あいつらに頼めばいいだろ」

「幸せ自慢かよ」とストカーは思いながらもその発言を押し殺して男に頼み込んでくる。

「あいつらも働かないのよ。とにかく、話だけでも聞いて……」

仕方なく男は彼女の話を聞くことにした。
『ストカーの回想』

「……という事なの」

「そうか…遂に1人殺られたか。これはみんなが動き出すな。だが、私はまだ魔王のために働きたくない。
まだまだ彼女とデートだってしたりないし、仕事もあるし、趣味もある」

「そこをなんとか……。真面目な人が必要なのよ。私に恩を返すと思って」

レインコートを着ている者は、私に頼み込んでくる。
しかし、私にだってプライベートがあるのだ。
確かに長年の仲ではあるが、苦労ばっかりかけさせられた。

「嫌だ。確かにかわいい人に言われているのを断れる性格ではないが、君は性格がかわいくない」

「ヒッ………!?
ひどいな~お姉ちゃんを泣かせるなんて悪い子だぞ?  反抗期かな?」

レインコートの者は驚いてはいるが、いつも通りのテンションで会話を続ける。

「別に君の破裂音を聞いても構わないんだよ?   それに君は私のお姉ちゃんじゃないし」

だが、私の言っていることは嘘偽りのない真実である。

「分かったよ。君の好きにしなさい。
もうお姉ちゃんは知らないからね」

レインコートの者はそう言うと、怒りを露にしてその場から立ち去っていく。



 しかし、そう簡単にいかないのがレインコートの者とのやり取りである。
そいつは路地裏を出るフリをして側で隠れている。
本人は気づいていないのかもしれないが、バレバレの隠れ方だ。
これで隠れているつもりなのだろうか。
笑わせてくれる。

「まったく、分かったよ。もしも私が魔王様に命令された時は動いてやるよ。
でもそれまでは自由にさせてくれてもいいだろ?
私も平穏な人生を過ごしたいんだ。
幸せになりたいんだ。
それに魂は結構な量を送ってあげてるはずだよ」

「ゲッ、バレてる。そう言うならいいわ。
確かにあなたは魂を回収する数が多いものね。あなたの趣味のお陰だわ。まぁ…じゃあね。またどこかで会いましょう?
私の可愛い弟ちゃん~」

レインコートの者は手を振りながら、路地裏を出ていった。

私は路地裏に1人取り残される。

「……無事を祈ってるよ。私の偽者お姉ちゃん」

私はふと呟いてしまった事を後悔しながら、私も路地裏から出ていった。
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