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魔王
12月1日は魔王の日。老人魔王と擬人化美少女①
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魔王城。
この邪悪な雰囲気の漂う室内に、かつて勇者と世界の命運をかけた戦いを行い敗北した魔王が居座っている。
エメラルとしては始めて来る場所であり、正直不安な気持ちで心がいっぱいであった。
なので、エメラルはブラストンの側から離れないようにして彼女の後ろに着いていく。
永遠と続くかのように思えた長い廊下。
その廊下が終わりし時、彼女達の目の前に広々とした部屋が現れた。
「フハハハハハ!!
よく来たな。勇者よ。ワシが魔王じゃ!!」
その声の主は部屋の端にて、黒き玉座に座っている。
従来の魔王みたいな服装に、従来の魔王みたいな雰囲気に、従来の魔王みたいなご老人。頭に角も2本生えている。
その老人は誰がどう見ても魔王であった。
「あいつが……あのジジイが魔王だと。嘘だろ……」(ブラストン)
ブラストンは指を指しながら驚愕の表情を浮かべている。
ブラストンとしても魔王との対面は初めてだったようだ。
彼女は魔王の存在感を恐れているらしい。
「ブラストンさん……」(エメラル)
エメラルは初めて見たブラストンの様子から差を理解する。
魔王を前にすると恐怖以外の感情が沸き上がってこない。
邪悪の根源。代々魔王の力を受け継ぎし今世の魔王。
そんな怪物を前にして、ブラストンは頭を抱えて震えている。
きっと魔王の力を恐れてい……。
「ヒロイン枠が埋まらねぇ…………」(ブラストン)
「は?」(エメラル)
魔王を前にして何言ってるんだこいつという顔をするエメラル。
ブラストンの言い分はこうである。
「主人公・少年・魔王……ダメだ。私の次にかわいいヒロインがいない……」(ブラストン)
そんなブラストンの意見を聞いて、確かにそういえばとエメラルも心の中で同意する。
今のところ、かわいいかわいいヒロイン枠の1人も出てきていない。
動物・敵(男)・少年・主人公・そして老人魔王。
主人公以外に女性が1人も出てきていない。というかブラストンさんは女性なのか人間なのかさえ怪しい。
こんな別次元の存在みたいな人間がいるわけがないとエメラルも思ってしまう。エメラル達とは次元が違う。
しかし、それは今するべき話なのだろうか。魔王との対面中に考えるべきことなのだろうか。
「…………いや、ブラストンさん。いまは魔王に集中するべきですよ!!」(エメラル)
エメラルはブラストンを説得しようとしたのだが、それも無駄に終わってしまった。
ブラストンの意思は固かったのである。
「いやダメだ。魔王は幼女だろ。幼女かお姉さんだろ。あとたまに王子様系だろ。
なんで今時ガチモンの魔王が出てくるんだよ。本格的じゃねぇか。
なんで、なんで魔王なのに幼女じゃねぇんだよォォォォォォ!!」(ブラストン)
「だってワシは魔王だし……。性別をどうとか言われても、ワシは魔王だし……」
「おいおい、魔王さんよぉ。老人じゃなくて幼女になれよ。できるだろ?
魔王なんだしさ~」(ブラストン)
「できるけど。できるけど!!
ワシはワシなんだ。これがワシ!!
敵は人外か老人か悪人か悪女、それが魔王なの!!
それに敵に言われて『しょうがないなー』とか言いながら変身するわけがないじゃろ!!」
「くっ、仕方がない……。競歩でヒロイン捜しの旅に行ってくるぜ!!」(ブラストン)
ブラストンはそう言って競歩で魔王城を後にする。
決して彼女が逃げたわけではないということは2人とも分かってはいるのだが……。
「「えっーーーー」」
これから魔王との対面というイベントが台無し。
本当に魔王城から脱け出してしまったブラストン。
残された2人。
彼女達が再びこの場所に集まることになったのはその後3月7日のことである。
この邪悪な雰囲気の漂う室内に、かつて勇者と世界の命運をかけた戦いを行い敗北した魔王が居座っている。
エメラルとしては始めて来る場所であり、正直不安な気持ちで心がいっぱいであった。
なので、エメラルはブラストンの側から離れないようにして彼女の後ろに着いていく。
永遠と続くかのように思えた長い廊下。
その廊下が終わりし時、彼女達の目の前に広々とした部屋が現れた。
「フハハハハハ!!
よく来たな。勇者よ。ワシが魔王じゃ!!」
その声の主は部屋の端にて、黒き玉座に座っている。
従来の魔王みたいな服装に、従来の魔王みたいな雰囲気に、従来の魔王みたいなご老人。頭に角も2本生えている。
その老人は誰がどう見ても魔王であった。
「あいつが……あのジジイが魔王だと。嘘だろ……」(ブラストン)
ブラストンは指を指しながら驚愕の表情を浮かべている。
ブラストンとしても魔王との対面は初めてだったようだ。
彼女は魔王の存在感を恐れているらしい。
「ブラストンさん……」(エメラル)
エメラルは初めて見たブラストンの様子から差を理解する。
魔王を前にすると恐怖以外の感情が沸き上がってこない。
邪悪の根源。代々魔王の力を受け継ぎし今世の魔王。
そんな怪物を前にして、ブラストンは頭を抱えて震えている。
きっと魔王の力を恐れてい……。
「ヒロイン枠が埋まらねぇ…………」(ブラストン)
「は?」(エメラル)
魔王を前にして何言ってるんだこいつという顔をするエメラル。
ブラストンの言い分はこうである。
「主人公・少年・魔王……ダメだ。私の次にかわいいヒロインがいない……」(ブラストン)
そんなブラストンの意見を聞いて、確かにそういえばとエメラルも心の中で同意する。
今のところ、かわいいかわいいヒロイン枠の1人も出てきていない。
動物・敵(男)・少年・主人公・そして老人魔王。
主人公以外に女性が1人も出てきていない。というかブラストンさんは女性なのか人間なのかさえ怪しい。
こんな別次元の存在みたいな人間がいるわけがないとエメラルも思ってしまう。エメラル達とは次元が違う。
しかし、それは今するべき話なのだろうか。魔王との対面中に考えるべきことなのだろうか。
「…………いや、ブラストンさん。いまは魔王に集中するべきですよ!!」(エメラル)
エメラルはブラストンを説得しようとしたのだが、それも無駄に終わってしまった。
ブラストンの意思は固かったのである。
「いやダメだ。魔王は幼女だろ。幼女かお姉さんだろ。あとたまに王子様系だろ。
なんで今時ガチモンの魔王が出てくるんだよ。本格的じゃねぇか。
なんで、なんで魔王なのに幼女じゃねぇんだよォォォォォォ!!」(ブラストン)
「だってワシは魔王だし……。性別をどうとか言われても、ワシは魔王だし……」
「おいおい、魔王さんよぉ。老人じゃなくて幼女になれよ。できるだろ?
魔王なんだしさ~」(ブラストン)
「できるけど。できるけど!!
ワシはワシなんだ。これがワシ!!
敵は人外か老人か悪人か悪女、それが魔王なの!!
それに敵に言われて『しょうがないなー』とか言いながら変身するわけがないじゃろ!!」
「くっ、仕方がない……。競歩でヒロイン捜しの旅に行ってくるぜ!!」(ブラストン)
ブラストンはそう言って競歩で魔王城を後にする。
決して彼女が逃げたわけではないということは2人とも分かってはいるのだが……。
「「えっーーーー」」
これから魔王との対面というイベントが台無し。
本当に魔王城から脱け出してしまったブラストン。
残された2人。
彼女達が再びこの場所に集まることになったのはその後3月7日のことである。
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