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第3話 地獄随一のエリート悪魔
しおりを挟む《まず、初めに部下とする悪魔を適当に呼び出してみますか。 山を降りるのは後です》
(なら魔王であるルシファーはどうですか?)
《今の貴方様では魔力が足りませんので無理ですがベリアルなら呼び出せると思います》
(なるほど、ベリアル・・・・・・見つけました)
本の最後のページ近くに書いてあるベリアルという悪魔の簡単な性格と契約方法にざっと目を通して地面に落ちていた木の枝を拾う。
とりあえず、陣を書く事からだ。
まずは大きな円を書いて、その中に小さ目の円を書いて、小さな円の真ん中に城を書く。
ここで注意。 城は逆さまに書く事が大事。
そして次に大きな円と小さな円の間の小さな間にベリアルと英語で名前を書いて行く。
Bを一番上に。
Eを右斜め上に。
Rを右斜め下に。
Iを一番下に。
Aを左斜め下に。
Lを左斜め上に。
陣を描き終わったら陣の真ん中に動物や人の生け贄を捧げるか、契約者の血を捧げる。
《もし血を捧げる場合スプーン3杯分が妥当かと思います。 この小瓶に血を入れて陣の上に少しずつ垂らせば簡易的な陣の完成です》
スッと鋭い木の枝の先で腕を切って目の前に出て来た小瓶に血が入っていくのを眺める。
そして線がぴったりになった所で傷口が癒えていくのが見えて思わず驚いていれば、
《致命的なダメージでなければ傷口は癒えるようになっています、なので心配せず悪魔を呼び出して良いと神が言っておりました》
(へぇ・・・・・・ありがたい能力です)
小瓶を手に持ち陣の上に垂らせば陣をなぞるように血が蔓延していき真っ赤な光を放つ。
《ベリアルは根っからのペテン師、話す時は指輪の鉄の部分を見せておくように心掛けてください。 きっと本音を話す事でしょう》
言われた通り指輪の鉄の部分を見せていれば深い煙の奥から耳障りの良い声が聞こえた。
「マスター、お呼びでしょうか」
煙の先から現れたのは美しい悪魔であった。
180cmを超える高身長、金の髪は腰まで伸びてて、はだけたシャツから見える胸元は見た目に似合わずに筋肉質、そして何よりも、
──天使のような甘いマスク。
身体から発散されるオーラは悪魔と思えないほど美しく清らかで思わず魅入ってしまう。
《ベリアルはその容姿の美しさ故に大天使と間違われる事もありますが、その心は誰より穢れていて敵はもちろんのことで仲間である悪魔を裏切る事にも何の痛痒も感じません》
「どうなさいましたか、マスター? 私に何か願いや願望を叶えて欲しくて呼んだのでは?」
「それなんですが・・・・・・貴方を呼んだのは私と一緒にこの世界を征服をして欲しいからです」
「・・・・・・今なんと?」
「世界征服の手伝いをして欲しいのです」
《アンヘル様、世界征服をするのは──》
(実際は世界征服ではありませんよ、ですけど悪魔達に世界を平和にしたいなんて言ったとして協力してくれますか? 絶対にしません)
《理解しました、世界征服という名にすれば悪魔を協力させる事が出来るんじゃないかとアンヘル様お考えになられたんですね》
(上手く騙されてくれると良いんですけど)
そう思ってれば陣の中に立ってたベリアルがにこやかに微笑みながら言った。
「他の悪魔には通じたとしても私には嘘なんか通じませんよ、ほら本当の事を言って下さい」
「私は貴方達のような悪魔をこの目で、見て、話して、触れて、本当に『悪』なのかどうか見極めてみたいんです。 悪魔、ベリアル」
「悪魔は悪でしょう、普通」
「でも悪魔にも楽しいとか嬉しいとか怖いとか憎いとかの感情はあるでしょうから、なのにそれを悪と一括りにするのは違うと思います」
「ポジティブな人間ですね・・・・・・まぁ、ですが協力しても良いですよ。 どうせ暇でしたし」
差し出された手を握ると同時に眩い光に包まれると同時にカランと地面に指輪が落ちた。
《悪魔と契約した場合は契約の証としてその悪魔のイメージカラーの指輪が出て来ます》
(指に着けていた方が良いのですか?)
《そういう訳ではありませんので良かったらお預かりします、無くしたら大変ですので》
(頼みます)
ヒュンと音を立てて消えていく指輪を見送り視線を前へと向ける前に強く腕を掴まれた。
「マスター、飛びますよ」
「はい?」
「だから空に飛ぶので捕まっていて下さい」
「あ、歩いて行くという選択肢──ッ!!?」
ぶわっと身体が勢い良く重力に逆らって浮き思わず悲鳴にも鳴らない声が口から漏れる。
《重力皆無を使えば多少楽になるかと》
(分かりませんが頼みます・・・・・・!)
《了解、重力皆無》
聞こえると同時に息が楽になりホッと溜息をつけば私を抱えてた悪魔が興味深そうに見つめてきてしばらくすると抱き締めてきた。
私の身長は172cmほどで、ベリアルの身長がざっと見ただけでも10cm以上は高い身長。
ベリアルの肩に顎を置くような体制で黙っていれば何の前触れもなく手を離された。
「ちょっ、ベリアルーー!!!?」
「ああ、すみません、手が滑りました」
にっこりとしたベリアルに手を掴まれ何とか落下する事は防げたが本当に死ぬと思った。
今度はしっかり掴まっていようと新たに心を決めた時また無言でジッと見つめられる。
(なんなんでしょうか、何か話したい事が?)
そう思っていればベリアルは視線を下の方に向けると何かを探すように、辺りを見回してからグンッと凄い勢いで急降下を始めた。
「良い山小屋を見つけましたのでそこで今日は寝る事にしましょうか、野宿は嫌でしょう?」
「それは、有り難いですが・・・あの山小屋には確実に人が住んでますよ? 泊めて貰えると思えませんし野宿の方が手っ取り早いのでは」
「私は野蛮人ではありません、野宿をしたいのなら構いませんが私を巻き込まないで下さい」
《ベリアルの特徴・・・プライドが高い》
(それを先に言ってください、アン。 お陰で怒らせたじゃないですか、どうするんです?)
溜息をついていれば地面に降りたベリアルが礼儀正しい事にコンコンと小屋の扉を叩く。
「誰だ、てめぇら」
中から現れたのは身長2メートル超えの熊のような人間で思わずピシッと身体が固まる。
「小屋を貸してください、私とマスターはこの辺りで遭難をしてしまって。 このままでは近くで野宿をしなければならないんですよ」
「すれば良いだろう、お似合いだ」
「・・・・・・今なんとおっしゃいましたか?」
《アンヘル様、今この瞬間に移動しなければ確実に100%の確率で死んでしまいます》
(分かってますよ、だから逃げてるでしょう)
ギリギリ会話が聞こえるくらいの距離にある大木の後ろに移動してチラッと影から覗く。
「私は気高く美しい悪魔ですよ、薄汚い野蛮人なんかと一緒にしないでくれませんかね?」
「そうだな、お前はハエみたいだ」
(終わりました・・・・・・確実に死にますね)
グハハハッと下品な笑い声が聞こえてきて、胸の前で十字架を切って空に向かって祈る。
それと同時に背後から悲鳴が聞こえて溜息をつきながら小屋の方へと近付けば、そこには男の首を片手に持つベリアルの姿があった。
「取り乱してしまい、すみませんでした」
「い、いえ・・・・・・大丈夫です・・・・・・。」
「さぁ、中に入りましょうか」
怖いくらいの笑みを浮かべているベリアルは持っていた首を小屋の前に建ててあった鋭い鉄の棒に突き刺すと上機嫌に小屋に入った。
《今回の殺戮は相手の男性に責任がありますのでベリアルが行った行為は正当防衛です》
(私・・・・・・いつか殺されそうなんですけど)
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