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第24話 悪意
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エーゲルさんのお母さん……シーナさんとエーゲルさんからの勧めも有り、一晩泊めて頂いた翌朝。
私はシーナさんと共に朝食を調理していた。
貴族の女性が自分で料理をするのは珍しいと思っていたけど、彼女は毎日自分で調理することに拘っていると話してくれた。
「折角自分で作れる環境があるのです。趣味を兼ねて作っているのよ」
「私も食事を作るのが好きなんです。食事は命の源ですから」
そんな会話をしながら料理をするのは楽しかった。やはり母が生きてた頃を思い出すから。
朝食を摂った後、シーナさんとエーゲルさんに見送られて家への帰路に着いた。
「なんだか……たった1日なのに随分と家から離れてた気分だなぁ」
独り言のつもりだったけど、シルバの鬣に掴まったハクが尾を揺らして応える。
「そうであるな。あまりに濃い人間と話すと……心で爪研ぎをされたような感じになるのである」
「うわ~……心で爪研ぎは嫌だね」
「にゃんにゃんにゃんにゃん、とな」
言葉に合わせてお尻を振るハクを見て尾を摘む。
「にゃん!」
よし、私の中で何かが満たされた気がする。
ハクのモフモフは私の癒しなのだ。
「皆、元気かな」
私の大切な日常へと想いを向けた瞬間、ハクが叫んだ。
「アイリス! しっかり捕まるのである!」
「え?」
ハクが前脚で強引にシルバの首を押して、横に向けるのが見えた。
急に方向を変えられ体勢を崩しそうになるがなんとか耐える。
「な、なに? どうしたの?」
私の声にハクが唸りつつ後方を睨む。
「矢を射られたのである! 馬で追って来ている……人数は5人なのである!」
野盗……なのだろうか。
ハクの視線の先には確かに馬に乗った人達が追って来ていた。
(全く気付かなかった……私だけだったら……)
有ったかも知れない可能性に思い至り背筋が寒くなる。
「このまま家まで逃げるか、吾輩が暴れてみるか……アイリス、どうするのであるか?」
幸い家まではもう少しで着ける。
馬で逃げる私達を同じ馬で追う襲撃者の矢が簡単に射る事は出来ない筈だ。
家に人が大勢居るのが解れば逃げていくかも知れない。
聖獣のハクが人を傷付けるのは出来ればさせたく無い事で……。
戦いたく無いせいか、まるで言い訳のように状況を羅列する。
私が迷ったのが良くなかった。
荷台を引く為の馬と人を乗せる為の馬ではそもそも脚の速さが全く違うのだ。
それに気付いた時には襲撃者の顔が見える程に距離を詰められていた。
馬の背で感じる音とは別の風切音が聴こえて、脚に痛みが走る。
「っ……」
矢が掠めたらしく、左脚の側面に血が流れる。
それを見たハクが怒りに任せて咆哮を上げる。
「アイリス! ……人間共め……!」
ハクの毛が逆立つ。
そんな彼を制止しようとした私の目に、悪意が人の形を取って嗤いかけてきたような光景が見える。
(左右からも……もう、なんなのよ!)
さらに襲撃者が増えて、状況が悪化したのだ。
恐らく野盗では無いと思う。
私がここまでして襲う価値があるほど裕福に見えるとは思えないから。
3方から追われる恐怖は凄いもので……私には殺されるかハクに頼るかの選択しか残されていない……
もう躊躇う余裕が無い。
ガァン!
そう思った瞬間、私達の前方で地面が爆発した。
土が舞い上がり、シルバも襲撃者達の馬も脚を止める。
土煙の中から歩いて来る人影が2人。
「姉ちゃん、その人達ってどう見てもお客様じゃ無いよね?」
地面を爆発させたであろう土まみれの少年が指を鳴らして歩いて来る。
「モフモフ、よく吠えてくれた。……後は僕達に任せてくれ」
無表情なのに隠せない怒りを滲ませた少年が魔法で土煙を吹き飛ばす。
「プロイ! ニュクス!」
私達を迎えに来たのは、誰より頼もしい弟達だった。
私はシーナさんと共に朝食を調理していた。
貴族の女性が自分で料理をするのは珍しいと思っていたけど、彼女は毎日自分で調理することに拘っていると話してくれた。
「折角自分で作れる環境があるのです。趣味を兼ねて作っているのよ」
「私も食事を作るのが好きなんです。食事は命の源ですから」
そんな会話をしながら料理をするのは楽しかった。やはり母が生きてた頃を思い出すから。
朝食を摂った後、シーナさんとエーゲルさんに見送られて家への帰路に着いた。
「なんだか……たった1日なのに随分と家から離れてた気分だなぁ」
独り言のつもりだったけど、シルバの鬣に掴まったハクが尾を揺らして応える。
「そうであるな。あまりに濃い人間と話すと……心で爪研ぎをされたような感じになるのである」
「うわ~……心で爪研ぎは嫌だね」
「にゃんにゃんにゃんにゃん、とな」
言葉に合わせてお尻を振るハクを見て尾を摘む。
「にゃん!」
よし、私の中で何かが満たされた気がする。
ハクのモフモフは私の癒しなのだ。
「皆、元気かな」
私の大切な日常へと想いを向けた瞬間、ハクが叫んだ。
「アイリス! しっかり捕まるのである!」
「え?」
ハクが前脚で強引にシルバの首を押して、横に向けるのが見えた。
急に方向を変えられ体勢を崩しそうになるがなんとか耐える。
「な、なに? どうしたの?」
私の声にハクが唸りつつ後方を睨む。
「矢を射られたのである! 馬で追って来ている……人数は5人なのである!」
野盗……なのだろうか。
ハクの視線の先には確かに馬に乗った人達が追って来ていた。
(全く気付かなかった……私だけだったら……)
有ったかも知れない可能性に思い至り背筋が寒くなる。
「このまま家まで逃げるか、吾輩が暴れてみるか……アイリス、どうするのであるか?」
幸い家まではもう少しで着ける。
馬で逃げる私達を同じ馬で追う襲撃者の矢が簡単に射る事は出来ない筈だ。
家に人が大勢居るのが解れば逃げていくかも知れない。
聖獣のハクが人を傷付けるのは出来ればさせたく無い事で……。
戦いたく無いせいか、まるで言い訳のように状況を羅列する。
私が迷ったのが良くなかった。
荷台を引く為の馬と人を乗せる為の馬ではそもそも脚の速さが全く違うのだ。
それに気付いた時には襲撃者の顔が見える程に距離を詰められていた。
馬の背で感じる音とは別の風切音が聴こえて、脚に痛みが走る。
「っ……」
矢が掠めたらしく、左脚の側面に血が流れる。
それを見たハクが怒りに任せて咆哮を上げる。
「アイリス! ……人間共め……!」
ハクの毛が逆立つ。
そんな彼を制止しようとした私の目に、悪意が人の形を取って嗤いかけてきたような光景が見える。
(左右からも……もう、なんなのよ!)
さらに襲撃者が増えて、状況が悪化したのだ。
恐らく野盗では無いと思う。
私がここまでして襲う価値があるほど裕福に見えるとは思えないから。
3方から追われる恐怖は凄いもので……私には殺されるかハクに頼るかの選択しか残されていない……
もう躊躇う余裕が無い。
ガァン!
そう思った瞬間、私達の前方で地面が爆発した。
土が舞い上がり、シルバも襲撃者達の馬も脚を止める。
土煙の中から歩いて来る人影が2人。
「姉ちゃん、その人達ってどう見てもお客様じゃ無いよね?」
地面を爆発させたであろう土まみれの少年が指を鳴らして歩いて来る。
「モフモフ、よく吠えてくれた。……後は僕達に任せてくれ」
無表情なのに隠せない怒りを滲ませた少年が魔法で土煙を吹き飛ばす。
「プロイ! ニュクス!」
私達を迎えに来たのは、誰より頼もしい弟達だった。
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追記2:ひとまず完結しました!
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