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第27話 レオとレオナルド
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膝から降ろされたハクが椅子に飛び乗り丸くなる……って、そんなの見てる場合じゃ無い!
外に出て行ってしまったレオさんを慌てて追いかける。
(どうしよう、私が判断出来なかったから? それとも避けられないことだった? レオさんはどうするつもりで……)
色々な事が頭の中で回って、焦る自分の心臓の音だけが煩いくらいに耳に響く。
「レオさん! 待って! 待って下さい!」
すたすたと歩いているだけに見えるレオさんに全く追いつけない。
(どうして? レオさんは歩いてるだけなのに!)
レオさんの足が止まり剣を振り上げる。
その先には目を見開いた襲撃者の姿が……
ザッ!
振り下ろされた剣が、襲撃者を縛り付けていた縄を断ち切った。
啞然とする襲撃者の前でレオさんが剣を納め、屈み混んで目線を合わせる。
そして、思わず足を止めてしまった私にも聞こえる優しい声でゆっくりと話し出した。
「か弱い女の子を追い回すなんて……嫌な仕事をさせたね。僕の目が届かなかったからだろう、すまない。失態を取り戻す機会をくれるなら僕が君達を守ると誓う。どうか悪辣な首謀者の名前を教えて欲しい」
「え……あの、貴方は?」
「僕はレオナルド。レオナルド・エル・デュシスだ」
「まさ……まさか……え? 本当に?」
視線を彷徨わせる襲撃者と私の目が合う。
レオさんが名乗ったのだから私が嘘をつく理由が無いから……頷いて見せた。
「どうか信じて欲しい」
「……直接はフリューゲル男爵からの依頼で……背後にはガーランド伯爵が付いていると……」
「……解った。話してくれてありがとう。君の信頼に必ず答えると約束する」
レオさんは近くに居た職人さんを呼び、彼等の名前を紙に控えるように頼むと私の元へと歩いてきた。
「すまないアイリスちゃん。お茶の途中だけどレオの時間は終わりみたいだ。レオナルドに戻って彼等の家族を保護したいと思う」
「はい。……ごめんなさい。私、レオさん……陛下があの人達を斬ってしまうのかと……」
少しでもそんな事を思ったのが恥ずかしくなってしまう。
「そうだね……そんな可能性もあったのかも知れない。それに不安にさせた僕の行動の方が問題だよ。冷静でいようと思うんだけどね……ほら」
笑顔で開いて見せた手は、爪が食い込んだようで血が流れていた。
「弱者に不条理を押し付ける貴族、権力を得て自分の望みを満たすために生きる貴族……僕が見続けてきて、僕が壊したいものがこういう悲しみを生んでいる」
私にはレオさんの見てきた物は解らない。
それでもその手から流れる血はいつも笑顔の彼が流す涙のように思えた。
「……陛下がお優しいのは解りましたけど、ご自分の事も大切になさって下さい。少し心配になってしまいます」
私は腰から下げたままだった旅用の物入れを開き、取り出した薬を傷付いた手に塗って布を巻く。
「ありがとう。何か母を思い出すな。これはちゃんと洗って返……」
「あ、大丈夫です。塗った傷薬、凄く効く代わりに凄く臭くて……簡単に落ちないので捨ててしまって下さい」
「え!? ……うわっ本当だ。これは良い不敬だ」
匂いで仰反るレオ陛下を見て笑ってしまう。
「さて、そろそろ行くよ」
「はい」
職人さんから受け取った紙を懐に入れた陛下が、履いている靴に触れて何事かを呟く。
「それじゃ、またね」
言った瞬間、物凄い速さで『歩いて』行った。
(うえ!? なにそれ……馬が走るより早く歩いてる!)
「あれは……魔法のかかった道具ですね」
いつの間にか私の横に立っているニュクスが遥か遠くなって行くレオさんを見ている。
(なるほど、前世で勇者が使っていた剣みたいな物なんだ……)
ガシ
「ふぇ?」
脇の下に手が差し込まれ、身体が浮く。
後ろを振り返るとプロイが持ち上げたのだと解る。
「姉さんもお疲れだと思いますが……」
「うんうん。でも、仕事が一杯あるよ!」
あはは……そうだよねぇ……。
決めなきゃいけない事も、動かなきゃいけない事も一杯ある。
差し当たり……
「まずはご飯かな……140人分くらい?」
「やった! じゃ、急ごう!」
「だから姉さんを抱えたまま……プロイ!」
激しく揺れる視界の中、少し変わったけどいつもの日常に戻って来たのを感じるのだった。
外に出て行ってしまったレオさんを慌てて追いかける。
(どうしよう、私が判断出来なかったから? それとも避けられないことだった? レオさんはどうするつもりで……)
色々な事が頭の中で回って、焦る自分の心臓の音だけが煩いくらいに耳に響く。
「レオさん! 待って! 待って下さい!」
すたすたと歩いているだけに見えるレオさんに全く追いつけない。
(どうして? レオさんは歩いてるだけなのに!)
レオさんの足が止まり剣を振り上げる。
その先には目を見開いた襲撃者の姿が……
ザッ!
振り下ろされた剣が、襲撃者を縛り付けていた縄を断ち切った。
啞然とする襲撃者の前でレオさんが剣を納め、屈み混んで目線を合わせる。
そして、思わず足を止めてしまった私にも聞こえる優しい声でゆっくりと話し出した。
「か弱い女の子を追い回すなんて……嫌な仕事をさせたね。僕の目が届かなかったからだろう、すまない。失態を取り戻す機会をくれるなら僕が君達を守ると誓う。どうか悪辣な首謀者の名前を教えて欲しい」
「え……あの、貴方は?」
「僕はレオナルド。レオナルド・エル・デュシスだ」
「まさ……まさか……え? 本当に?」
視線を彷徨わせる襲撃者と私の目が合う。
レオさんが名乗ったのだから私が嘘をつく理由が無いから……頷いて見せた。
「どうか信じて欲しい」
「……直接はフリューゲル男爵からの依頼で……背後にはガーランド伯爵が付いていると……」
「……解った。話してくれてありがとう。君の信頼に必ず答えると約束する」
レオさんは近くに居た職人さんを呼び、彼等の名前を紙に控えるように頼むと私の元へと歩いてきた。
「すまないアイリスちゃん。お茶の途中だけどレオの時間は終わりみたいだ。レオナルドに戻って彼等の家族を保護したいと思う」
「はい。……ごめんなさい。私、レオさん……陛下があの人達を斬ってしまうのかと……」
少しでもそんな事を思ったのが恥ずかしくなってしまう。
「そうだね……そんな可能性もあったのかも知れない。それに不安にさせた僕の行動の方が問題だよ。冷静でいようと思うんだけどね……ほら」
笑顔で開いて見せた手は、爪が食い込んだようで血が流れていた。
「弱者に不条理を押し付ける貴族、権力を得て自分の望みを満たすために生きる貴族……僕が見続けてきて、僕が壊したいものがこういう悲しみを生んでいる」
私にはレオさんの見てきた物は解らない。
それでもその手から流れる血はいつも笑顔の彼が流す涙のように思えた。
「……陛下がお優しいのは解りましたけど、ご自分の事も大切になさって下さい。少し心配になってしまいます」
私は腰から下げたままだった旅用の物入れを開き、取り出した薬を傷付いた手に塗って布を巻く。
「ありがとう。何か母を思い出すな。これはちゃんと洗って返……」
「あ、大丈夫です。塗った傷薬、凄く効く代わりに凄く臭くて……簡単に落ちないので捨ててしまって下さい」
「え!? ……うわっ本当だ。これは良い不敬だ」
匂いで仰反るレオ陛下を見て笑ってしまう。
「さて、そろそろ行くよ」
「はい」
職人さんから受け取った紙を懐に入れた陛下が、履いている靴に触れて何事かを呟く。
「それじゃ、またね」
言った瞬間、物凄い速さで『歩いて』行った。
(うえ!? なにそれ……馬が走るより早く歩いてる!)
「あれは……魔法のかかった道具ですね」
いつの間にか私の横に立っているニュクスが遥か遠くなって行くレオさんを見ている。
(なるほど、前世で勇者が使っていた剣みたいな物なんだ……)
ガシ
「ふぇ?」
脇の下に手が差し込まれ、身体が浮く。
後ろを振り返るとプロイが持ち上げたのだと解る。
「姉さんもお疲れだと思いますが……」
「うんうん。でも、仕事が一杯あるよ!」
あはは……そうだよねぇ……。
決めなきゃいけない事も、動かなきゃいけない事も一杯ある。
差し当たり……
「まずはご飯かな……140人分くらい?」
「やった! じゃ、急ごう!」
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激しく揺れる視界の中、少し変わったけどいつもの日常に戻って来たのを感じるのだった。
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