うちの弟がかわいすぎてヤバい無理!

はちみつ電車

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ばんそうこう

なっちゃんはかわいい

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5S活動はお昼休みが終わる13時から15分間。
午後の仕事もがんばりますか。

「遠山さん、今日は朝倉さん彼氏ちゃんとデートなんだって。二人だから居酒屋にしません?」

席に着くなり飲みの話。
今日はお給料日。私たち3人は毎月お給料日を祝って食事に行っている。

「焼き鳥は?」
「いいねー。焼き鳥行きましょ」

朝倉さんはオシャレなお店をよく知っていて、いつもおいしくてハズレない店に連れて行ってくれる。
お酒の飲み方も上品で、なっちゃんのように己の限界に挑戦するような飲み方はしない、まさに大人のオンナ。

私も立派な大人ながら、ハタチになったなっちゃんとバカみたいなお酒の飲み方をするのは嫌いじゃない。今日は飲み対決ですな。

ふふふ、と互いに不敵な笑みを浮かべつつ、仕事に取り掛かった。



金曜の夜、焼き鳥屋には男性客の方が圧倒的に多い。

「難波さんはこんな安い店来なさそう」
「入りにくい店好きそうだよね」
「入りにくいの、高級店。私はこういう庶民的なお店が雰囲気好きなんだけどなあ」
「価値観合わない人と付き合ってもしんどくない?」
「難波さんと付き合えるなら私の価値観は捧げます」
「誰に?」

ベロベロに酔っぱらったなっちゃんは、先ほどトイレから戻るとこちらの椅子に来て私の隣に座った。
子犬みたいに腕にしがみつくなっちゃんガチかわいい。大好き。

「マッコリとあんず酒のソーダ割ください」
「喜んでー」

ひとしきり、いつも飲むチューハイやハイボールを飲んで、飲んだことないお酒を飲んでみようタイムに突入している。

「遠山さん! 厚木さん!」
「え? あ! 浜崎さん!」

難波さんと違って庶民的な焼き鳥屋が似合う浜崎さんだ。

「マジやべえ。偶然じゃん。いや運命かな。一緒に飲まない?」

素朴な浜崎さんがらしからぬチャラいことを言うから、驚いてなっちゃんと見つめ合ってしまう。

『どうする?』
『ぶっちゃけめんどくさい』
『気を使うだけだもんね』

我らも超能力者。
首をかしげる、眉をひそめる、うなずく、だけで分かり合える。

「ちょうどこっち側空いてるし。大輝だいき呼んでくる」
「難波さんと来てるんですか?!」

なっちゃんの顔がパアッと明るくなる。

「わっかりやす。いいよ、協力したげる。あいつ今彼女はいねえし」

彼女いないんだ……。
またしてもなっちゃんと見つめ合ってる間に浜崎さんは消えた。

「マジ奇跡! やだこれ、運命かな?!」
「どうする? なっちゃん向こう戻る? 難波さんと隣がいいんじゃない?」
「えー、むり」
「ツーショ狙ってたんでしょ」
「やだ、無理。遠山さん、いて」

かわいい……。
甘えられるのって最強じゃないかなあ。こりゃあ難波さんも好きになっちゃうに決まってる。

「なーに女の子同士でくっついてんのー。遠山さん、こっち来て」
「え」

ごめん、なっちゃん。
難波さんが来て秒で浜崎さんに腕をつかまれ、テーブルを挟んだ反対側に連れて行かれてしまった。
私が座っていた場所に難波さんが座る。

私によりかかっていたから、なっちゃんが慌てて奥へと座り直した。

「おっ、お二人が仲良いなんて意外でした」
「そう? 俺と大輝は同期だし、同じ総務部じゃん」
「総務と経理で仕事ハッキリ別れてるからほとんど接点ないけどね」
「プライベートはよく一緒に遊ぶの、俺たち」

浜崎さんが俺って言ってるの違和感……。
でも、そっか。会社では僕、プライベートは俺って使い分けてるのか。へえ、なんか男って感じ。女子はいっつも私だもんな。

「同期? 浜崎さん35歳くらいだと思ってました」
「失礼な! 俺もピチピチの27歳です!」
「あはは! 老けてるでしょ」
「お前が童顔なんだよ」

難波さん、結構年上だったんだ。
6歳も下なんて、恋愛対象外かなあ……じゃない、なっちゃんは7歳下!

「お待たせしましたー」

マッコリとあんず酒がやってくる。

「何これ?」
「いくつくらい年下まで付き合えますか?!」

聞かねば!
との使命感で意図せず浜崎さんの質問をスルーしてしまった。

正面に座る難波さんがキョトン顔を披露した後、笑う。

「僕は年にはこだわらないかな」
「大輝は守備範囲広いからねえ」
「誰でも年取って行くんだし、今の年がいくつでも気にならないんだよ」

誰でも年を取る。そういう考え方、好きだな……じゃない!

「これはマッコリとあんず酒です」
「え、自分で質問しといて回答にはスルー?」
「あ、ごめんなさい。ありがとうございました」

浜崎さんの指摘を受けて、お礼を述べると浜崎さんも難波さんも爆笑なさる。

「遠山さんってしゃべると見た目と印象違うね」
「そうなんだよ。遠山さんっておもしろい子だよ」

そうだ、難波さんはおっちょこちょいなドジっ子が好き。
なっちゃんのドジエピソードで好感度アップ!

……ん?
なっちゃんのドジエピなんか何も思いつかない。
なっちゃんはかわいくて割と要領の良いちゃっかりしっかりした子だ。

「遠山さん、この間お昼ごはんにオムライス買って来たって言って、開けたらカレーなんですよ。どういう間違い?! ってなりました」
「あはは! どういうこと?!」
「朝倉さんの誕生日が8月2日なんですけど、2月8日にお誕生日おめでとうってお菓子持ってきたから3人で食べたり」
「あはは! それはちょっと分かる。逆に覚えちゃってたんだ」
「けど真夏と真冬ですよ。誕生日聞いた時、私も夏の夜生まれだから紗夜って名付けられたんですって話してたのに」

なっちゃん……私のドジエピはいらないんだよ!
やっちゃってるよ、なっちゃん!

「今です! 今あの子ドジっ子です!」
「え?」

アピールしなければ、となっちゃんを指差した。
ポカンとした空気を感じ、バッとアルコールの熱が顔に火をつけた。

「何それ、かわいいー。遠山さんって天然さんなんだー」
「違っ……誤解です」

あー、あっつ。
もうだいぶ暖かくなってるってのに、この店暖房入れてない?

マッコリを飲んでグラスから手を離すと、隣に座る浜崎さんがサッと取る。

「俺マッコリって飲んだことない。ひと口ちょうだい」

いいよ、なんて言ってないし思ってないのに勝手にゴクッと飲んでしまう。
ええー、私知らない人とグラス共有とか嫌なんだけど……。

「これ酒なの? 俺、焼き鳥には日本酒が好き」

浜崎さんがグイッと自分のグラスを私の前へと差し出す。
ひと口のお返しって感じなのかな。

え、いらない……。
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