14 / 16
いじめ
しおりを挟む
隣の席の人が、渡さんを責め立てている。
なんで責め立てるんだ。
何を貸したのか、僕は今日が転校初日なのだから知らないが、そんなに強く責め立てて、いじめの加害者となったらどうするんだ。
隣の席の人は、たぶん悪い人ではないのに。
なぜ、渡さんをいじめるんだ。
いじめというものは、明らかになるまではいじめられている者が弱者だが、ひとたびそれが社会的に《いじめ》だと認められた瞬間、いじめていた者は加害者として弱者になり、いじめられていた者は被害者という守られる立場になるのだ。
僕は、そう思っている。
考えていても仕方ない。
考えるだけの僕は、渡さんを音楽の授業を欠席させてしまった。
「何を貸してたの?」
僕は、声を振り絞って尋ねた。
決して大きな声ではないだろう。
だが、この距離で聞こえないこともないであろう。
「え? 何を?」
「……え? なんか貸してたんじゃないの?」
「……貸してないけど」
貸してないのか。
貸してないのに、何を責めているのか?
いや、ここで引いていては、この子を救えない。
なんて言ってたっけ?
そうだ。
貸したじゃない、失くした話をしてたんだ。
「何を失くしたの?」
「……私はなんも、失くしてないけど」
あれ?
失くした話をしてたはずだが。
私はってことは、失くした人はいたのか。
これはもう、たぶん考えるより聞いた方が早い。
「誰が何を失くしたの?」
「……美菜子が、リコーダーを失くしたの」
みなこ?
「みなこって?」
「私」
渡さん?!
そうだ、僕は渡さんを渡さんとしか知らなかった!
渡さんは、渡 美菜子さんってことか!
ん?
失くした人は渡さん。
失くした物は、リコーダー。
つまりは、渡さんが渡さんのリコーダーを失くしたのか!!
なんで責め立てるんだ。
何を貸したのか、僕は今日が転校初日なのだから知らないが、そんなに強く責め立てて、いじめの加害者となったらどうするんだ。
隣の席の人は、たぶん悪い人ではないのに。
なぜ、渡さんをいじめるんだ。
いじめというものは、明らかになるまではいじめられている者が弱者だが、ひとたびそれが社会的に《いじめ》だと認められた瞬間、いじめていた者は加害者として弱者になり、いじめられていた者は被害者という守られる立場になるのだ。
僕は、そう思っている。
考えていても仕方ない。
考えるだけの僕は、渡さんを音楽の授業を欠席させてしまった。
「何を貸してたの?」
僕は、声を振り絞って尋ねた。
決して大きな声ではないだろう。
だが、この距離で聞こえないこともないであろう。
「え? 何を?」
「……え? なんか貸してたんじゃないの?」
「……貸してないけど」
貸してないのか。
貸してないのに、何を責めているのか?
いや、ここで引いていては、この子を救えない。
なんて言ってたっけ?
そうだ。
貸したじゃない、失くした話をしてたんだ。
「何を失くしたの?」
「……私はなんも、失くしてないけど」
あれ?
失くした話をしてたはずだが。
私はってことは、失くした人はいたのか。
これはもう、たぶん考えるより聞いた方が早い。
「誰が何を失くしたの?」
「……美菜子が、リコーダーを失くしたの」
みなこ?
「みなこって?」
「私」
渡さん?!
そうだ、僕は渡さんを渡さんとしか知らなかった!
渡さんは、渡 美菜子さんってことか!
ん?
失くした人は渡さん。
失くした物は、リコーダー。
つまりは、渡さんが渡さんのリコーダーを失くしたのか!!
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる