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第二章 第四部 おかえり、ただいま
15 答え合わせ
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「そのルギって人なんだけど」
アランが尋ねる。
「ここに来て色んな人見たんだが、その人だけはまだ見たことがない。まだいるんですか?」
「ルギ? いるよ」
ダルがあっさりと首肯する。
「ただ、ちょっと役割が変わってて、こっちでは見にくくなってるかな」
「役割が?」
「うん、前は『シャンタル宮第一警護隊長』だったろ? 今は『シャンタル宮警護隊隊長』だ」
「え、ってことは第一じゃなく警護隊全部の隊長ってことか?」
「うん、警護の一番えらい人だよ」
「そりゃまたえらい出世だな」
「うん、これも三年前からだよ」
「また三年前かよ」
トーヤが左手をあごに当てて考える。
「なんか、五年前から始まって色んなことが三年前を転機にがらっと変わってる気がするな」
「そうだね、言われてみれば」
ダルが頷く。
「俺たちが出会ったのも三年前だけど」
アランが、ふと、思い出したように言う。
「だな」
トーヤも同じことを思っていたようで、
「はあ~またかよお!」
そう言って両手で頭をかきむしった。
「なんでもかんでもこうだ! こっちに来いって集められてるようで気色悪いんだよ、相変わらずよお!」
「え?」
「今から思えばってやつだけど、おまえら拾った時な、あの時もあいつがやたらとこだわって、どうしても助けるって聞かなかったわけだよ」
「ああ、言ってたな」
「あの時、あの戦場のあたりで、おまえらみたいなやつらはそらもうごろごろいた。いちいち相手なんてしてられねえぐらいな。その中でおまえみたいに死にかけてたやつもそりゃもう山盛りいたんだよ。そんな中で、なんであいつがおまえらにだけこだわったのか、それ思うとまたゾッとするわ」
アランが顔をしかめ、ダルが目を見開く。
「え、え、戦場って? やっぱり戦場に戻ったのかよトーヤ」
ダルの顔が曇る。
『そこをなんとか探せよ!』
八年前、トーヤが戦場に戻るかも知れないと言った時、戦場以外の道を探せと、いつも穏やかなダルが怒鳴りつけて言った言葉だ。
『戦場へ、戦場へなんて俺、トーヤに行ってほしくねえんだよ……』
『もう危険なことはしてほしくないんだよ、そうして、元気にこっちへ戻ってきてほしいんだよ』
苦しそうに、必死に戦場へ戻ってくれるなと、この親友は言ってくれた。
「まあな、まあ、色々あってな、そういうことになっちまった」
トーヤが淡々とそう言った。
その顔は半分泣きそうな、そんな表情に見えた。
「そうか……」
ダルは一言だけそう言うと一瞬黙り、
「でもまあ、こうして元気で戻ってきてくれたんだし、もういいよ、それは。トーヤだって好きで戻りたかったわけじゃないだろうし、それに聞いてたらアランだっけ? 出会うために戻ったのかも知れないしな」
「アランと会うために?」
言われてトーヤの目が丸くなる。
「そうか……」
腑に落ちた、という顔になる。
「やっぱり、俺はまだまだ誰かさんの掌の上で踊らされてるだけ、ってことか……」
そう苦笑する。
「トーヤ」
「トーヤ」
ダルとアランがそれだけ言って黙り込む。
「あーそうかよ、そういうことかよ、まったくよお」
トーヤがそう言うとゲラゲラと笑い出した。
「はああ、すっきりした!!」
「トーヤ?」
「いや、今ので分かったよ、俺はまだ間違っちゃいねえってな」
2人が意味が分からないという顔を見合わせる。
「ラーラ様が言ってたんだがな、人が進む道ってのは天からは見えてるんだそうだ。上からは丸見えだが、地べたを歩いてるやつは正しい道が見えねえから、そんで四苦八苦して進むわけだよ。その結果、間違えることもあるわけだ。そうして、間違えちまったらもう直すことはできないんだとさ」
ぐーっと一つ伸びをしてトーヤは続ける。
「なんでもかんでも三年前、俺がこいつら、アランとベルに会ったのもな。それもまた正しい道に置いとかれて、集めて持ってくることだったとしたら、戦場に戻ったことも、今、こうしてここにいることも、そんでダルに聞いたことでそれもそうだったと分かったことも、全部正しかったんだよ。また答え合わせできた気分でスッキリしたわ」
ダルとアランはまた戸惑った顔を見合わせる。
「だからな、もう分かった。やっぱ俺、好きなようにやることに決めた」
「へ?」
「アランにも散々言われた、ふわふわしてるってな。そんでべルにも言われた、何がしたいか分からねえってな」
「ああ」
アランが認める。
「最近のトーヤはちょっとなんだかいつものトーヤとは違う気がしてた。ちょっとばかりイラッとすることも多かったし」
「すまん」
「けど今はなんだか顔つきが違う。元に戻ったみたいだ」
「そうか?」
満面に笑ってみせる。
「まあな、ずっと何していいのか分かんなかったのは本当だ。戻ったはいいが、何がなんだかわけわかんねえ~、って感じだったしな」
ベルの口癖の真似にアランが笑う。
「あ、うちの妹の口癖なんすよ、わけわかんねえって」
「あ、そうなの?」
いきなりくだけたアランの口調にダルが笑う。
「じゃあ、トーヤは三年前からあの方とアラン、それとベル? その4人で一緒だったんだな」
「ああ」
「よかった、あの方と2人きりでどうしてるのか心配だったし。だって、ああだろ?」
聞いてトーヤが大笑いした。
アランが尋ねる。
「ここに来て色んな人見たんだが、その人だけはまだ見たことがない。まだいるんですか?」
「ルギ? いるよ」
ダルがあっさりと首肯する。
「ただ、ちょっと役割が変わってて、こっちでは見にくくなってるかな」
「役割が?」
「うん、前は『シャンタル宮第一警護隊長』だったろ? 今は『シャンタル宮警護隊隊長』だ」
「え、ってことは第一じゃなく警護隊全部の隊長ってことか?」
「うん、警護の一番えらい人だよ」
「そりゃまたえらい出世だな」
「うん、これも三年前からだよ」
「また三年前かよ」
トーヤが左手をあごに当てて考える。
「なんか、五年前から始まって色んなことが三年前を転機にがらっと変わってる気がするな」
「そうだね、言われてみれば」
ダルが頷く。
「俺たちが出会ったのも三年前だけど」
アランが、ふと、思い出したように言う。
「だな」
トーヤも同じことを思っていたようで、
「はあ~またかよお!」
そう言って両手で頭をかきむしった。
「なんでもかんでもこうだ! こっちに来いって集められてるようで気色悪いんだよ、相変わらずよお!」
「え?」
「今から思えばってやつだけど、おまえら拾った時な、あの時もあいつがやたらとこだわって、どうしても助けるって聞かなかったわけだよ」
「ああ、言ってたな」
「あの時、あの戦場のあたりで、おまえらみたいなやつらはそらもうごろごろいた。いちいち相手なんてしてられねえぐらいな。その中でおまえみたいに死にかけてたやつもそりゃもう山盛りいたんだよ。そんな中で、なんであいつがおまえらにだけこだわったのか、それ思うとまたゾッとするわ」
アランが顔をしかめ、ダルが目を見開く。
「え、え、戦場って? やっぱり戦場に戻ったのかよトーヤ」
ダルの顔が曇る。
『そこをなんとか探せよ!』
八年前、トーヤが戦場に戻るかも知れないと言った時、戦場以外の道を探せと、いつも穏やかなダルが怒鳴りつけて言った言葉だ。
『戦場へ、戦場へなんて俺、トーヤに行ってほしくねえんだよ……』
『もう危険なことはしてほしくないんだよ、そうして、元気にこっちへ戻ってきてほしいんだよ』
苦しそうに、必死に戦場へ戻ってくれるなと、この親友は言ってくれた。
「まあな、まあ、色々あってな、そういうことになっちまった」
トーヤが淡々とそう言った。
その顔は半分泣きそうな、そんな表情に見えた。
「そうか……」
ダルは一言だけそう言うと一瞬黙り、
「でもまあ、こうして元気で戻ってきてくれたんだし、もういいよ、それは。トーヤだって好きで戻りたかったわけじゃないだろうし、それに聞いてたらアランだっけ? 出会うために戻ったのかも知れないしな」
「アランと会うために?」
言われてトーヤの目が丸くなる。
「そうか……」
腑に落ちた、という顔になる。
「やっぱり、俺はまだまだ誰かさんの掌の上で踊らされてるだけ、ってことか……」
そう苦笑する。
「トーヤ」
「トーヤ」
ダルとアランがそれだけ言って黙り込む。
「あーそうかよ、そういうことかよ、まったくよお」
トーヤがそう言うとゲラゲラと笑い出した。
「はああ、すっきりした!!」
「トーヤ?」
「いや、今ので分かったよ、俺はまだ間違っちゃいねえってな」
2人が意味が分からないという顔を見合わせる。
「ラーラ様が言ってたんだがな、人が進む道ってのは天からは見えてるんだそうだ。上からは丸見えだが、地べたを歩いてるやつは正しい道が見えねえから、そんで四苦八苦して進むわけだよ。その結果、間違えることもあるわけだ。そうして、間違えちまったらもう直すことはできないんだとさ」
ぐーっと一つ伸びをしてトーヤは続ける。
「なんでもかんでも三年前、俺がこいつら、アランとベルに会ったのもな。それもまた正しい道に置いとかれて、集めて持ってくることだったとしたら、戦場に戻ったことも、今、こうしてここにいることも、そんでダルに聞いたことでそれもそうだったと分かったことも、全部正しかったんだよ。また答え合わせできた気分でスッキリしたわ」
ダルとアランはまた戸惑った顔を見合わせる。
「だからな、もう分かった。やっぱ俺、好きなようにやることに決めた」
「へ?」
「アランにも散々言われた、ふわふわしてるってな。そんでべルにも言われた、何がしたいか分からねえってな」
「ああ」
アランが認める。
「最近のトーヤはちょっとなんだかいつものトーヤとは違う気がしてた。ちょっとばかりイラッとすることも多かったし」
「すまん」
「けど今はなんだか顔つきが違う。元に戻ったみたいだ」
「そうか?」
満面に笑ってみせる。
「まあな、ずっと何していいのか分かんなかったのは本当だ。戻ったはいいが、何がなんだかわけわかんねえ~、って感じだったしな」
ベルの口癖の真似にアランが笑う。
「あ、うちの妹の口癖なんすよ、わけわかんねえって」
「あ、そうなの?」
いきなりくだけたアランの口調にダルが笑う。
「じゃあ、トーヤは三年前からあの方とアラン、それとベル? その4人で一緒だったんだな」
「ああ」
「よかった、あの方と2人きりでどうしてるのか心配だったし。だって、ああだろ?」
聞いてトーヤが大笑いした。
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