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第三章 第四部 逆風
22 動き出す影
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ルギが取り調べのためと集めた面子だが、思わぬ形で全員集合することとなった。
全員が先代が男性であること、エリス様がその先代であること、そしてある目的のために動いていることを知ってる者ばかりだ。
「なんか、思わん形でこんな風に集まることになっちまったな」
「そうだな、俺も呼び出されてどうなるかと思ったけど、こんな結末になるなんてな」
「私もびっくりして産気づくところだったわ」
「おい!」
トーヤの言葉にダルが答え、そこにリルが妙な言葉を添えたもので、一気に緊張の糸がほどけてしまった。
場の雰囲気が和み、全員が明るい未来を感じる、そんな雰囲気になった。
そんな明るい光の裏、光が強ければ強いほど影は濃くなるものだ。
誰もが知らぬわけではない、だが、明るい場所にいるとついつい忘れがちになるものでもある。
「では、いよいよ」
「準備が整ったようです」
「交代までにということですか」
「そうでなくては意味がないでしょう」
「さようですね」
「奥の方については、もうこれ以上のことはよろしいでしょう」
「大丈夫でしょうか」
「まあ、お気持ちを平らかにするためと思いましたが、間に合わないことはどうしようもありません」
「申し訳ありませんでした」
「あと数日です、もうあの方にもお元気になっていただいても構いません」
「はい」
「うまく時間を稼げました、あなたはよくやってくれましたよ」
「ありがとうございます」
そんな会話がある場所で交わされていた。
トーヤたちはまだ何も知らず、これから先のことを考えていた。
翌朝、キリエが床上げしたとアーダがエリス様たちに伝えてくれた。
「ようやくお加減がよくなられたんだそうです。今日はまず奥宮のシャンタルとマユリアにご挨拶に行かれて、その後でこちらにも来られるそうですよ」
「まあ、それはよかったです」
ベルがうれしそうにそう言って奥様にも通訳する。
奥様もゆっくりと何度か首を上下なさり、それを見てアーダもうれしそうであった。
その日の午後、ちょうどお茶の時間にキリエが訪問するということで、アーダがいそいそと一同にとっておきのお茶とお菓子を用意する。
「以前、エリス様にいただいたあの島のお茶です。それからお菓子はいつものと、特別なお客様にお出しするお菓子をいただいてまいりました」
「まあ」
ウキウキと楽しそうなアーダを見て、ベルが思わずクスクスと笑う。
「キリエ様をお好きなのですね」
「はい」
アーダが少し頬を赤らめる。
「実は、以前は怖い方だとばかり思っていたのです。ですが、今回こうして色々とお役をいただき、お話させていただいているうちに、なんと言うのでしょうね、あの」
こっそりと声をひそめ、
「ちょっと厳しいけど本当は優しいおばあさま、みたいに思えてしまって。あ、内緒ですよ?」
そう言って舌を出す。
その様子を見てますますベルが楽しそうに笑った。
「キリエ様もお幸せですね」
「お元気になってくださってうれしいです」
本心からキリエを慕っているのだなあと、ベルは本当にうれしくなった。
ベルはトーヤとシャンタル、それにミーヤやダル、リルからキリエのことを色々と聞いているから、だから厳しい顔をしていてもいかに優しい人かを知っている。
だがアーダは、自分の感覚でキリエの本当の顔を知った。そういう素直なかわいい女の子として、アーダを本当にいい子だなと思った。自分の方が実は年下なのだが、まるで姉のような気分になれたこともうれしかった。
キリエがエリス様の部屋を訪れ、アーダがお茶の用意だけして退室しようとすると、
「おまえも一緒にお茶をいただきなさい。それからミーヤもここに呼ぶように」
キリエがそう声をかけ、急いでアーダがミーヤを呼びに行った。
部屋の中にはエリス様ご一行4人、それから部屋付きのアーダとミーヤ、前日ルギに宮へ呼ばれ、そのまま残っていたダルとリル、それからこの部屋の客人となっていたディレンも共にお茶をすることとなった。
「この度は、皆様に色々とお心遣いをいただき、ありがとうございました。おかげでこうして顔を見せられるほどに回復いたしました。心よりお礼を申します」
そう言ってキリエが立ち上がったまま深く礼をした。
「あの、頭をお上げください」
ベルが奥様の代わりに急いでそう言う。
「まだ病み上がりでいらっしゃいます、どうぞ早くお席に。アーダ様」
「はい。キリエ様、どうぞ」
アーダにそう言って手を取られ、キリエがもう一度軽く全員に頭を下げてから椅子に座った。
「エリス様とベル殿には足を運んでいただき、結構な見舞いの品までいただきました。アラン殿はきっと王都まで色々とその品を求めに行ってくださったのでしょう。そしてディレン様はきっとそのお手伝いをなさってくださったはず。ルーク殿はご自分の身のことで精一杯でいらっしゃったでしょうに、何かと気遣いをし、お知恵を貸してくださったとか。ご不自由なお体でありながら大変ありがたく思っています」
そこまで言って、座ったままではあるが主従4人と船長に向かってまた頭を下げてから上げた。
全員が先代が男性であること、エリス様がその先代であること、そしてある目的のために動いていることを知ってる者ばかりだ。
「なんか、思わん形でこんな風に集まることになっちまったな」
「そうだな、俺も呼び出されてどうなるかと思ったけど、こんな結末になるなんてな」
「私もびっくりして産気づくところだったわ」
「おい!」
トーヤの言葉にダルが答え、そこにリルが妙な言葉を添えたもので、一気に緊張の糸がほどけてしまった。
場の雰囲気が和み、全員が明るい未来を感じる、そんな雰囲気になった。
そんな明るい光の裏、光が強ければ強いほど影は濃くなるものだ。
誰もが知らぬわけではない、だが、明るい場所にいるとついつい忘れがちになるものでもある。
「では、いよいよ」
「準備が整ったようです」
「交代までにということですか」
「そうでなくては意味がないでしょう」
「さようですね」
「奥の方については、もうこれ以上のことはよろしいでしょう」
「大丈夫でしょうか」
「まあ、お気持ちを平らかにするためと思いましたが、間に合わないことはどうしようもありません」
「申し訳ありませんでした」
「あと数日です、もうあの方にもお元気になっていただいても構いません」
「はい」
「うまく時間を稼げました、あなたはよくやってくれましたよ」
「ありがとうございます」
そんな会話がある場所で交わされていた。
トーヤたちはまだ何も知らず、これから先のことを考えていた。
翌朝、キリエが床上げしたとアーダがエリス様たちに伝えてくれた。
「ようやくお加減がよくなられたんだそうです。今日はまず奥宮のシャンタルとマユリアにご挨拶に行かれて、その後でこちらにも来られるそうですよ」
「まあ、それはよかったです」
ベルがうれしそうにそう言って奥様にも通訳する。
奥様もゆっくりと何度か首を上下なさり、それを見てアーダもうれしそうであった。
その日の午後、ちょうどお茶の時間にキリエが訪問するということで、アーダがいそいそと一同にとっておきのお茶とお菓子を用意する。
「以前、エリス様にいただいたあの島のお茶です。それからお菓子はいつものと、特別なお客様にお出しするお菓子をいただいてまいりました」
「まあ」
ウキウキと楽しそうなアーダを見て、ベルが思わずクスクスと笑う。
「キリエ様をお好きなのですね」
「はい」
アーダが少し頬を赤らめる。
「実は、以前は怖い方だとばかり思っていたのです。ですが、今回こうして色々とお役をいただき、お話させていただいているうちに、なんと言うのでしょうね、あの」
こっそりと声をひそめ、
「ちょっと厳しいけど本当は優しいおばあさま、みたいに思えてしまって。あ、内緒ですよ?」
そう言って舌を出す。
その様子を見てますますベルが楽しそうに笑った。
「キリエ様もお幸せですね」
「お元気になってくださってうれしいです」
本心からキリエを慕っているのだなあと、ベルは本当にうれしくなった。
ベルはトーヤとシャンタル、それにミーヤやダル、リルからキリエのことを色々と聞いているから、だから厳しい顔をしていてもいかに優しい人かを知っている。
だがアーダは、自分の感覚でキリエの本当の顔を知った。そういう素直なかわいい女の子として、アーダを本当にいい子だなと思った。自分の方が実は年下なのだが、まるで姉のような気分になれたこともうれしかった。
キリエがエリス様の部屋を訪れ、アーダがお茶の用意だけして退室しようとすると、
「おまえも一緒にお茶をいただきなさい。それからミーヤもここに呼ぶように」
キリエがそう声をかけ、急いでアーダがミーヤを呼びに行った。
部屋の中にはエリス様ご一行4人、それから部屋付きのアーダとミーヤ、前日ルギに宮へ呼ばれ、そのまま残っていたダルとリル、それからこの部屋の客人となっていたディレンも共にお茶をすることとなった。
「この度は、皆様に色々とお心遣いをいただき、ありがとうございました。おかげでこうして顔を見せられるほどに回復いたしました。心よりお礼を申します」
そう言ってキリエが立ち上がったまま深く礼をした。
「あの、頭をお上げください」
ベルが奥様の代わりに急いでそう言う。
「まだ病み上がりでいらっしゃいます、どうぞ早くお席に。アーダ様」
「はい。キリエ様、どうぞ」
アーダにそう言って手を取られ、キリエがもう一度軽く全員に頭を下げてから椅子に座った。
「エリス様とベル殿には足を運んでいただき、結構な見舞いの品までいただきました。アラン殿はきっと王都まで色々とその品を求めに行ってくださったのでしょう。そしてディレン様はきっとそのお手伝いをなさってくださったはず。ルーク殿はご自分の身のことで精一杯でいらっしゃったでしょうに、何かと気遣いをし、お知恵を貸してくださったとか。ご不自由なお体でありながら大変ありがたく思っています」
そこまで言って、座ったままではあるが主従4人と船長に向かってまた頭を下げてから上げた。
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