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第一章:皇帝と寵姫の秘密。
信じられる者が、愛する者だ。
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今日も私は一日のパターン通り勉学を。
してるけど…
どうしても私は不思議に思う。
講師の人が来ない?
予定時刻に居なかった事も?
そう、なぜか判らないけど…
私が指定の部屋に来た時。
いつも必ず、講師が先に来て部屋へ居る。
そして時間通り。
今まで講師が遅れた事もなかった。
だから壁の時計も見るけど…
既に20分程、過ぎてた。
私も考えるけど…
ルイの予定パターンも間違えてないのに?
どうして?
そのまま少し待った私だけど。
ずっと待ってるのもと。
一度、ルイの部屋へ。
戻ろうとした時だった。
部屋のドアが空いて、知らない男性が…
「申し訳ありません、クリスタ妃。
本日の講師が変更になったと…
陛下からの伝言に急ぎ、私が参りました。
別室にて既に準備させております。
それ程、お時間もかけませんが…
移動に着いて来て頂けますか?」
丁寧な礼と笑顔で、私へと言ってきた。
講師が変更?
ルイからの伝言と?
また私は不思議に思う。
あのルイが?
だってルイは、いつも…
『俺以外、話す必要もない』と…
更に私の知らない男性へ?
一応、私は何も言わないまま…
考えてると今度は男性が不思議そうな顔へ。
また…
「クリスタ妃?
どうか、されましたか?
講師の変更ならば、陛下の指示通り…
国際語講師の手配です。
そして陛下は今、手が離せない程。
大変ご多忙の為、私へ。
指示と伝言も受けた次第ですが…」
言ってきた事に私も驚く。
国際語の予定だったし?
あのルイが忙し過ぎて!?
それでも変更の為、私の手配まで!?
すぐ私も荷物だけ纏めて近付こうとした時。
「俺は指示など出してないぞ?
ましてルカへ?」
ルイの声が聞こえて私は止まる。
知らない男性も凄く驚いた顔へ。
急に振り向いた様子も見てたけど…
その後ろに、ルイの姿が私にも見えた。
他にもルイの側へ。
三人の知らない若い男性も居た。
それにルイ以外、少し恐い顔だった。
「どうしてルイが?
だって仕事で?
凄く忙しいって…
それに講師も変更と?」
どうにか私もルイへ。
言ってる途中から判らなくなる。
でもルイが優しく笑ったのも見た。
「ルカ?
大丈夫だよ。
そして俺が、どんなに忙しくてもね。
ルカの事を、他の誰かへ?
絶対に任せたりしない。
それとルカも良い子だ。
そのまま少し目も閉じてなさい?」
判らない私も、ルイが言うならと思って…
すぐ目を閉じると同時。
「ザレス、リムル、ユハ。
さっきの指示通りだ。
予定パターン9の2で動け。」
「「「はい、陛下。」」」
「チッ、皇帝が?
こんな早く!!」
ルイの声と、部屋に入って来た男性の声!?
更に動く様子の中、他の三人も?
また、すぐ静かになるけど…
「ルカ?
もう良いよ。
目を開けてごらん。」
ルイの声で、私も目を開ける。
でも、なぜか…
ルイだけしか居なかった。
私には何も判らない。
「ルカ、もう大丈夫だよ。
俺の言う通り…
最初、何も話さなかったのだろう?
そして今度は、俺の事で…
心配もしたのだろう?
だが、俺が仕事でもなぁ…
何があってもだ。
ルカは俺以外、話す必要もない。
まして愛してるルカを?
俺が、誰かに任せる筈もない。」
言いながらルイは、私の側まで来るけど…
いつもと同じで優しく笑った。
だけど私は、やっぱり何も言えないまま…
一体、何が?
さっきのは、どうして…
何だったの?
ただ、私もルイを、見るしか出来ない。
すぐ察した様子でルイも私へ。
いつもの様に優しく私の頬へ。
少し触れながらルイが…
「あぁ、ルカ?
さっきの男は…
落ち着いて聞いておくれ?
ルカにも判り易く言うならば…
ルカの事を、誘拐しようとしたのだ。
だから、ルカへ、騙して…
近付いてきたのだよ?」
誘拐しようと!?
だから私へ!?
もう私はルイの言った事に驚く。
けれど理由すら私には判らない。
そのままルイへ。
「ル、ルイ!?
でも、どうして私を?
誘拐って、えっと…
確か、お金でしょう?
だったら講師の変更も?
ルイが仕事で忙し過ぎるからって…
あれも全部、嘘だったの?」
聞けば、ルイも複雑な顔へ。
「そうだよ、ルカ…
あの男が言った事は全て騙す為。
近付いて拐う為、言った嘘だ。
今から俺の言う事。
それでルカも判る筈。
俺の唯一、愛してるルカへ?
最初ルカも不思議に思わなかったか?
俺が、そんな急な変更も他の者へ?
更にルカすら知らない者へ?
そんな事、絶対、俺が任せる筈ないだろう?
俺も気付いたからこそ、この場へ。
そして俺が来れば…
絶対にルカを、止められる。
俺が言えば、騙されず、誤魔化されず、必ず…
愛してるルカを、誘拐犯から守れるだろう?」
私でも充分、意味も判った。
そう…
最初、私すら思った事でしょう!?
あのルイが、変だと…
でも、あの知らない男性がルイを。
言ったから、私も焦って嘘に!?
そのまま騙されて危うく…
だからこそ、ルイ自身が、この場へ!!
もうルイへ。
私は擦り寄りながら目も閉じて思う。
私は、どれだけルイに…
そのまま言うけれど。
「ごめんね、ルイ?
また助けて貰ってたのに…
でも、ありがとう。
私はルイに助けて貰ってばかり。
だけど今すら私は何も…」
言ってる途中から少し苦しくなる。
ルイを、助ける事も…
何も出来ないし?
いつもルイばかり。
やっぱり私には…
そんな事も思ってる私を。
急にルイが抱き締めてから…
「ルカ?
また考えただろう?
ならば、何度でも俺は言うぞ?
ルカは忌み子ではないと。
まして今すら謝る事もない筈。
俺が愛してる唯一のルカを?
騙そうとしてくる者など…
許せる筈もない!!
そして、ルカは気付いてないが…
誘拐だけは、俺が一番、防ぎたい事だ。
そんな嘘すら簡単に言ってくる者達へ?
もし金を、出したところで…
本当にルカが?
戻ってくるかも…
俺が信じられる筈もない!!
何を、ルカへ。
するかも判らぬ者達にか?
決して俺は、させないぞ!?」
言ってくる言葉にだった。
私も見抜かれてる事に少し驚くけど…
同時で、その通りだと思う。
やっぱり、私にはルイが!!
凄く優しいと…
ただ、強いだけでもない!!
そして少し腕すら緩めてルイも…
また優しく笑いながら…
「俺はルカだけ愛してる。
その唯一、愛してる大切なルカを。
他の誰でもない俺が、だろう?
守りたいと思うのも当然だぞ?
そして、愛してるルカだけを。
俺の妻へ、正妃へ、したいと…
それすら何度でも俺は望むだけだよ。
俺の特別なルカへ。
だが、今夜はルカも安心したいだろう?
このまま部屋へ。
戻って休もうか。」
ルイの言う全てが、私には優しい…
更に嬉しくて笑ってルイへ。
「うん!!
ルイが居るなら大丈夫だよね!!
私も一番。
安心するのもルイだけだよ!!」
そう言うとルイも笑うのも見れた。
そのままルイの部屋へ。
戻ってからも二人…
珍しくルイから私の身体へ。
触れるよりも抱き寄せたまま…
あぁ、こんなに優しいルイと…
居られるだけで私は…
温かくて安心しながら眠った。
**************************
一方、ルイ。
書類仕事もしてる最中だったが。
ルカの居場所、結界の異変へ。
すぐ気付いた。
そのまま魔力で書類も片付けながら…
「ザレス!!
リムルと、ユハもだ!!」
大きく近くに居た今日の直属側近三人共へ。
すぐ魔力感知の為、結界内部の状況を。
俺もすれば…
既に僅かな綻びから、俺の結界内へ!?
この時間ならば、ルカと講師のみ。
にも関わらず、他の魔力感知だと!?
だとしたら…
すぐ側近の三人共が俺の側へ。
頭も下げたまま待機したが、そのまま俺も言う。
「真っ先に捕縛パターン9だ!!
王城南棟、最上階へ。
侵入者は二人、恐らく…
侵入者の一人が、必ず、ルカへ。
接触する筈。
講師の安否すら不明だが。
相手の狙いは完全に、ルカのみ!!
一人は誘導、一人は講師の除外へ。
そのまま、ルカだ!!」
三人共が、僅かに驚いた顔へ。
更にザレスだけ俺へ。
「陛下、だとすると…
捕縛後ですが、2か、5へ。
どちらでも陛下待ちへ、なります。
今すぐ、ならば、動きを。」
俺も意味に気付く。
目を閉じて予測もするが…
相手の狙いが、ルカならば…
そのままで言う。
「恐らく、2になる。
既にルカへ。
俺が言ってる言葉もある。
だが、相手も言葉で、だろう。
ルカも誘導する筈。
そして俺が言えば、必ず、ルカも目を閉じる。
10秒で、その場から転移装置へ。」
だが、ルカには一切、見せられない。
そしてルカの性格ならば…
「捕縛パターン9からだが。
今日の予定すら今から全て変更だ!!
愚か者が、ルカへ。
確実に接触すれば…
俺が全て、ルカには対処可能だが。
他の予定ならば、他の者と時間で動かせる。
そして、ルカに関しては俺以外、不可能!!」
言いながら怒りで、俺も目を開ける。
そう…
俺にも、ルカだけ…
そして、ルカも俺だけを!!
判るからこそ余計、怒りも湧き上がる。
あの結界すら僅か程度。
しかも二人掛かりならば、実力も大してない!!
にも関わらず、ルカへ!?
どれ程、愚か者なのだ!!
予測しても講師の存在すら使わん。
直接、あの愛しいルカへ!?
この動きならば、他国より貴族共か…
婚礼前にと、ルカの排除と利益を。
「ふざけるな!!
絶対、俺は許さん!!
捕縛後、俺が直接だ!!」
思わず、怒鳴ったが。
すぐ三人共に視線を。
僅かに動揺した様子だった。
それでも俺は、すぐ続けて時刻も含め計算する。
三人の実力も判断して指示を。
「今の時刻が18時4分。
ザレスは、この場に残って時刻調整だ。
リムルとユハは、俺と一緒に今から転移する。
転移装置でも俺の結界前、18時6分。
そこから俺が、すぐ侵入者二人、場所の特定する。
18時14分までに、誘導側の一人を。
リムルとユハが捕縛。
生かしたまま地下独房へ。
18時16分に再度、戻れ。
同時刻、ザレスも王城南棟で合流だ。
そして、ルカの居る最上階の結界ならば…
相手の力量では18時19分。
更に接触時刻は18時21分。
俺と三人共で、同時刻で最上階へ。
そのまま俺は、ルカへ。
三人共が予定通りだとしてもだぞ?
一切、何も言うな?
相手に警戒しながらだ、俺が指示する。
捕縛パターン9から2へ。
その後、俺も23時頃には地下独房へ。
捕縛後も必ず、生かしたままだぞ?」
言い終わると同時、目を変えて三人共が頷いた。
時刻も含め内容も理解したと、俺も判断する。
その通りに全て動いたのだった…
まだ23時前でも、ルカが寝た事も判る。
そんな中でも俺の事で安心して…
寝てる様子すら判るからこそ…
余計、僅かに触れながら思う。
あぁ、やはり俺はルカだけ愛してる。
俺の事を、今まで一度すら疑った事もだ。
一切ない大切なルカ…
同時に俺だけを。
信じてる事も伝わってくるのだよ?
ルカも俺だけを。
俺もルカだけなのだ!!
今のルカならば、恐らく…
一応、念の為、俺もルカへ。
「汝の主、深き闇よ。
沈む安息へ、誘い賜え。」
小さく呟いて、すぐルカの波動も合わす。
魔力制御すら慎重に僅かな眠りへ。
これでルカも数時間、確実に朝まで起きない筈。
弱い睡眠作用のみ。
それから俺も動き出す。
部屋から出て結界の再確認する。
厳重にしてるからこそ問題ない。
ルカも寝て居ても、俺以外ならば…
更にブレスレットが反応する。
室内でも一切、ルカへ。
触れる事すら出来ない状態へ。
そのまま少し歩いて転移装置を。
使って俺も捕縛者の居る地下独房へ。
この地下独房は俺自身が直接、特殊な造りへ。
変えて入った瞬間でも、俺の苛立ちは嫌でも増す。
そう、この地下独房は…
産まれたばかりのルカが!!
ずっと監禁され続けた元地下施設!!
その苛立ちからルイは尚更、冷酷どころでもない…
残忍な事すら簡単に出来る場所でもある。
だからこそ、特殊な造りの中でも一番、真っ先にだった。
地下独房の特徴でもあるが、ルイの魔力以外では…
一切、反応しない装置も多く拷問設備も含め全てある場所へ。
どうしても苛立ちから僅かに魔力も溢れる中。
俺も地下独房の奥へ。
すぐ直属の側近三人共が居るのも察して端的に言う。
「ザレス、調整は?」
「はい、陛下。
本日の予定に関しては全て…
捕縛した二人も指示通りです。」
すぐザレスも頭すら下げながら言ったが。
他の二人は無言のまま…
再度、確認の為だけ…
「まだ生きてるな?」
言えば、察した様子で僅かにザレスだけ…
「はい、陛下…
ですが、そろそろ…」
俺も意味が判って冷笑しながら言う。
「自業自得だろう?
あのルカも狙って…
全て俺の怒りも買う行為だぞ?
死なせたら、もう苦しめる事すら出来ないと。
俺も学んだからなぁ。」
ザレスも含め無言だったが。
捕縛した者を。
収容した部屋へ。
入れば、俺にも確かに生きてると判った。
すぐ捕縛した二人共が、俺へ。
明らかに視線だけ向けたのも判るが…
俺は何も言わず、怒りだけ湧き上がる。
捕縛された者達の姿は…
余りにも無残な姿でもあった。
両手両足は完全に拘束されてる事。
天井と床から伸びる鎖も使うが。
両方共に着かず…
全裸な上に部屋の中央へ。
宙で磔とも似てる状態へ。
それだけでもない…
繋がれた鎖は高温ではないが、熱を帯び…
常に低温火傷の状態へ。
更に気絶も許さない為、定期的に電気も帯びる。
自決も許さない為、口にも猿轡すら当然ある。
つまり、声も出せないまま…
常に火傷と電気の痛みを、味わい続けながら…
寒い全裸でも一切、己自身では動けない状態へ。
一応、側近の三人共と一緒に俺も部屋の中央へ。
扉も厳重に閉まるのも判る。
俺も考えながら何も言えないままの捕縛者へ。
「ふむ、確かに生きてるなぁ。
大抵、自白前に死のうともするか?
殺すのも簡単だが。
更に勝手に死なれてもだぞ?
俺の苛立ちすら変わらん。
さて、時間も勿体ない。
愚か過ぎる、お前達は判るか?
何が、どう一番か、言えるか?」
僅かに動こうとした捕縛者だが。
「おい…
俺は動けと言ってないぞ?
言えるかと、それだけの事。
口以外にも方法だけならば…
あるだろう!!」
言った時、俺は魔力のみ。
無詠唱で軽めの電撃すら出して二人へ。
浴びせれば、すぐ止まった。
溜息も出る程、呆れながら俺も続けた。
「どれだけの愚か者達だ?
話す以外に方法など、多いにも関わらず。
それすら判らないと?
魔力も、頭脳も、何もない上に…
俺の唯一、愛してるルカへ?
許す筈もない!!」
最後だけ怒鳴ったが。
どうにか冷静にと…
俺も考えた時。
僅かな魔力すら察して捕縛者の一人も見れば…
どうにか必死に出したシグナルへ。
すぐ意味に気付いて…
俺も冷酷とも言われる普段の笑みで…
「なるほど。
言っても殺されるからこその抵抗か?
だから余計、何も言わないと?
確かに俺も許す気すらない。
正しい選択かも知れないが。
お前が言わなくても自白方法は、あるぞ?」
言えば、今度は目だけ俺へ。
何も判ってないと判断も簡単でもある。
そこで俺も捕縛者二人へ。
「ふむ、どうせ二人、居るのだ。
今、一応か?
頑張った方は殺して良いな。
もう一人は、その分、長くしよう。」
頷きながら言った俺へ。
今度は捕縛者だけでもなく側近三人共。
この場に居る者、全員、驚いたのも察したが。
俺だけ冷笑する。
何よりも大切なルカを、俺の唯一を。
狙った下らない愚か者共など…
処分する為、情報確認の為、俺も目を閉じる。
魔力も集め構築しながら…
「我が言霊、我が魔、我が讃えるべき白き魔よ。
河の者は汝の狩人となりし者。
汝の血潮も染めし者、汝の咎人にて嘆く者へ。
我は汝の愛しき人も知り得た者。
汝も紅き血潮に誓いし者、故に汝も嘆かぬ我の元へ。
汝の源を、汝の暗き水を、汝の静けさを。
転生よりも汝の源にて還る願いを、御身と我の賜った言霊へ。
我は汝と等しく賜る言霊へ、その記憶へ、汝も誘えん。
讃えるべき白き魔より訪れるは、我が主も等しく求める者。
漂う記憶の欠片を、汝の源に従い賜る事を。」
最後の詠唱より、俺は先に目を開けた。
そのまま魔力も僅かに高めながら捕縛者の一人へ。
「我の言霊を、汝の力を、河の者を。
闇に葬り我の元へ、顕れよ。」
言った瞬間、捕縛者の一人がだった。
赤黒い血と同じ色でと…
蒸発する様に消える姿も見たが。
同時に俺の脳裏へ。
すぐ、その記憶すら俺も覚える。
だが、これは、まさか…
クリスタ国か!?
今の俺が見た映像…
つまり、嘘もない記憶になる筈。
だとしても、なぜだ?
クリスタ国は、帝国の属国へ。
かなり経つにも関わらず。
なぜ、急に…
そこで、すぐ俺も思い出す。
苛立ちも湧くが、冷静にと判断した。
目を閉じて改めて考える。
最近、属国にしたばかりだが…
真っ先に言ってきた馬鹿者も居たな?
あのチアント国、第二王子ヤランだ…
ルカの事を、真っ先に『クリスタ妃』と!?
更に『クリスタ国』と関わった?
可能性として生き残りか?
いや、それだけは、ない…
抵抗した時点で王族ならば、確実に消した!!
血縁関係も当て嵌まらない。
俺は目を開けて、もう一人へ。
生き残ってる捕縛者も見ながら…
「なるほど。
今は帝国の属国でもだろう?
出身も含め『クリスタ国』の者か?」
言った瞬間、僅かな反応も逃さなかった。
そこで、確信した俺も理由にだった。
確認の為だけ言う。
「だからこそ、唯一の生き残ってる王族へ。
つまり、祖国の為、その為…
真っ先にルカを、狙った理由も含まれたな?
だが、お前の愚かな理由にだぞ?
あのルカを?
単純に道具扱いした事と同じだろう。
そこには気付いてないのか?」
だが、捕縛者の一人も…
その言葉にだけは、必死に足掻いた。
どうにか僅かに魔力を。
その伝えてきた内容へ、俺は…
「どこまで愚か者なのだ?
王族としての権威?
由緒ある血筋?
結局は、お前も『ルカ』を。
全く見てないだろう?
お前の見てる者は『クリスタ妃』であり…
俺の『愛するルカ』でもないぞ!!
ふざけるな!!」
完全に怒りが振り切れる。
怒鳴ってから捕縛者も含め側近達もだったが。
明らかに驚き、動揺して居ても俺は許せない。
すぐ俺には、あのルカが!!
安心して寝る姿も、笑顔も浮かぶ。
そう…
俺の事も絶対に信じてるからこそ…
ましてルカも、俺だけを。
「俺が愛してる者はクリスタ妃ではない!!
俺が愛してる者はルカのみ。
そして俺が唯一、信じられる者すらルカのみ。
俺の唯一、愛する者もルカだけ!!
お前の様な愚かで浅はかな理由など、ない。
もし、お前ならば、王族でもないルカを?
僅かでも見たと言えるのか!?」
睨んで怒鳴ると明らかに反応もした…
だが、もう俺には、どんな反応すら許せなかった。
だからこそ余計、一気に魔力も上げながら…
「我が紅き血潮に誓いし偉大なる汝の主よ。
我が元へ、我が願い、我が言霊、汝の力も讃えん。
紅蓮より汝の青き劫火も従い賜え。」
そこで、俺は魔力も上げて告げる。
「舞い散る命と共に在る終焉の華へ。」
すぐ捕縛者も体内から青い炎に包まれた…
どんなに暴れて様が声すら出せない状態へ。
丸一日以上は燃え続ける苦しみへ。
そのままで、俺も独房から出る為、背を向けたが。
燃え上がってる捕縛者だけを。
ただ、見て動けない側近達にも気付く…
「もう放置で良い。
この場に用もない。」
端的に言えば、すぐ察した様子だった。
また側近三人共、連れてから転移装置の方へ。
少し歩きながら俺も先にルカが寝てる間と判断する。
地下独房から一度、俺も含め執務室へ。
すぐ切り替えて側近達も動く中。
ザレスから時間調整した予定も確認するが。
ルカも考えた時。
ふむ、クリスタ国…
唯一の王族にしたが、こうなると?
だが、このアルデバード帝国でも…
既に唯一なのだがなぁ。
全て知ってるのは、俺だけか?
そもそも、血筋に頼る時点で…
愚か過ぎるだろう?
全く、どこの国もか。
愚か者だけは不要だな…
ルカを、考えてしまえば、俺も思うばかり。
下らない事すら考える余裕まで出来た。
仕事も問題ないが早く、ルカの元へ。
それだけだった…
してるけど…
どうしても私は不思議に思う。
講師の人が来ない?
予定時刻に居なかった事も?
そう、なぜか判らないけど…
私が指定の部屋に来た時。
いつも必ず、講師が先に来て部屋へ居る。
そして時間通り。
今まで講師が遅れた事もなかった。
だから壁の時計も見るけど…
既に20分程、過ぎてた。
私も考えるけど…
ルイの予定パターンも間違えてないのに?
どうして?
そのまま少し待った私だけど。
ずっと待ってるのもと。
一度、ルイの部屋へ。
戻ろうとした時だった。
部屋のドアが空いて、知らない男性が…
「申し訳ありません、クリスタ妃。
本日の講師が変更になったと…
陛下からの伝言に急ぎ、私が参りました。
別室にて既に準備させております。
それ程、お時間もかけませんが…
移動に着いて来て頂けますか?」
丁寧な礼と笑顔で、私へと言ってきた。
講師が変更?
ルイからの伝言と?
また私は不思議に思う。
あのルイが?
だってルイは、いつも…
『俺以外、話す必要もない』と…
更に私の知らない男性へ?
一応、私は何も言わないまま…
考えてると今度は男性が不思議そうな顔へ。
また…
「クリスタ妃?
どうか、されましたか?
講師の変更ならば、陛下の指示通り…
国際語講師の手配です。
そして陛下は今、手が離せない程。
大変ご多忙の為、私へ。
指示と伝言も受けた次第ですが…」
言ってきた事に私も驚く。
国際語の予定だったし?
あのルイが忙し過ぎて!?
それでも変更の為、私の手配まで!?
すぐ私も荷物だけ纏めて近付こうとした時。
「俺は指示など出してないぞ?
ましてルカへ?」
ルイの声が聞こえて私は止まる。
知らない男性も凄く驚いた顔へ。
急に振り向いた様子も見てたけど…
その後ろに、ルイの姿が私にも見えた。
他にもルイの側へ。
三人の知らない若い男性も居た。
それにルイ以外、少し恐い顔だった。
「どうしてルイが?
だって仕事で?
凄く忙しいって…
それに講師も変更と?」
どうにか私もルイへ。
言ってる途中から判らなくなる。
でもルイが優しく笑ったのも見た。
「ルカ?
大丈夫だよ。
そして俺が、どんなに忙しくてもね。
ルカの事を、他の誰かへ?
絶対に任せたりしない。
それとルカも良い子だ。
そのまま少し目も閉じてなさい?」
判らない私も、ルイが言うならと思って…
すぐ目を閉じると同時。
「ザレス、リムル、ユハ。
さっきの指示通りだ。
予定パターン9の2で動け。」
「「「はい、陛下。」」」
「チッ、皇帝が?
こんな早く!!」
ルイの声と、部屋に入って来た男性の声!?
更に動く様子の中、他の三人も?
また、すぐ静かになるけど…
「ルカ?
もう良いよ。
目を開けてごらん。」
ルイの声で、私も目を開ける。
でも、なぜか…
ルイだけしか居なかった。
私には何も判らない。
「ルカ、もう大丈夫だよ。
俺の言う通り…
最初、何も話さなかったのだろう?
そして今度は、俺の事で…
心配もしたのだろう?
だが、俺が仕事でもなぁ…
何があってもだ。
ルカは俺以外、話す必要もない。
まして愛してるルカを?
俺が、誰かに任せる筈もない。」
言いながらルイは、私の側まで来るけど…
いつもと同じで優しく笑った。
だけど私は、やっぱり何も言えないまま…
一体、何が?
さっきのは、どうして…
何だったの?
ただ、私もルイを、見るしか出来ない。
すぐ察した様子でルイも私へ。
いつもの様に優しく私の頬へ。
少し触れながらルイが…
「あぁ、ルカ?
さっきの男は…
落ち着いて聞いておくれ?
ルカにも判り易く言うならば…
ルカの事を、誘拐しようとしたのだ。
だから、ルカへ、騙して…
近付いてきたのだよ?」
誘拐しようと!?
だから私へ!?
もう私はルイの言った事に驚く。
けれど理由すら私には判らない。
そのままルイへ。
「ル、ルイ!?
でも、どうして私を?
誘拐って、えっと…
確か、お金でしょう?
だったら講師の変更も?
ルイが仕事で忙し過ぎるからって…
あれも全部、嘘だったの?」
聞けば、ルイも複雑な顔へ。
「そうだよ、ルカ…
あの男が言った事は全て騙す為。
近付いて拐う為、言った嘘だ。
今から俺の言う事。
それでルカも判る筈。
俺の唯一、愛してるルカへ?
最初ルカも不思議に思わなかったか?
俺が、そんな急な変更も他の者へ?
更にルカすら知らない者へ?
そんな事、絶対、俺が任せる筈ないだろう?
俺も気付いたからこそ、この場へ。
そして俺が来れば…
絶対にルカを、止められる。
俺が言えば、騙されず、誤魔化されず、必ず…
愛してるルカを、誘拐犯から守れるだろう?」
私でも充分、意味も判った。
そう…
最初、私すら思った事でしょう!?
あのルイが、変だと…
でも、あの知らない男性がルイを。
言ったから、私も焦って嘘に!?
そのまま騙されて危うく…
だからこそ、ルイ自身が、この場へ!!
もうルイへ。
私は擦り寄りながら目も閉じて思う。
私は、どれだけルイに…
そのまま言うけれど。
「ごめんね、ルイ?
また助けて貰ってたのに…
でも、ありがとう。
私はルイに助けて貰ってばかり。
だけど今すら私は何も…」
言ってる途中から少し苦しくなる。
ルイを、助ける事も…
何も出来ないし?
いつもルイばかり。
やっぱり私には…
そんな事も思ってる私を。
急にルイが抱き締めてから…
「ルカ?
また考えただろう?
ならば、何度でも俺は言うぞ?
ルカは忌み子ではないと。
まして今すら謝る事もない筈。
俺が愛してる唯一のルカを?
騙そうとしてくる者など…
許せる筈もない!!
そして、ルカは気付いてないが…
誘拐だけは、俺が一番、防ぎたい事だ。
そんな嘘すら簡単に言ってくる者達へ?
もし金を、出したところで…
本当にルカが?
戻ってくるかも…
俺が信じられる筈もない!!
何を、ルカへ。
するかも判らぬ者達にか?
決して俺は、させないぞ!?」
言ってくる言葉にだった。
私も見抜かれてる事に少し驚くけど…
同時で、その通りだと思う。
やっぱり、私にはルイが!!
凄く優しいと…
ただ、強いだけでもない!!
そして少し腕すら緩めてルイも…
また優しく笑いながら…
「俺はルカだけ愛してる。
その唯一、愛してる大切なルカを。
他の誰でもない俺が、だろう?
守りたいと思うのも当然だぞ?
そして、愛してるルカだけを。
俺の妻へ、正妃へ、したいと…
それすら何度でも俺は望むだけだよ。
俺の特別なルカへ。
だが、今夜はルカも安心したいだろう?
このまま部屋へ。
戻って休もうか。」
ルイの言う全てが、私には優しい…
更に嬉しくて笑ってルイへ。
「うん!!
ルイが居るなら大丈夫だよね!!
私も一番。
安心するのもルイだけだよ!!」
そう言うとルイも笑うのも見れた。
そのままルイの部屋へ。
戻ってからも二人…
珍しくルイから私の身体へ。
触れるよりも抱き寄せたまま…
あぁ、こんなに優しいルイと…
居られるだけで私は…
温かくて安心しながら眠った。
**************************
一方、ルイ。
書類仕事もしてる最中だったが。
ルカの居場所、結界の異変へ。
すぐ気付いた。
そのまま魔力で書類も片付けながら…
「ザレス!!
リムルと、ユハもだ!!」
大きく近くに居た今日の直属側近三人共へ。
すぐ魔力感知の為、結界内部の状況を。
俺もすれば…
既に僅かな綻びから、俺の結界内へ!?
この時間ならば、ルカと講師のみ。
にも関わらず、他の魔力感知だと!?
だとしたら…
すぐ側近の三人共が俺の側へ。
頭も下げたまま待機したが、そのまま俺も言う。
「真っ先に捕縛パターン9だ!!
王城南棟、最上階へ。
侵入者は二人、恐らく…
侵入者の一人が、必ず、ルカへ。
接触する筈。
講師の安否すら不明だが。
相手の狙いは完全に、ルカのみ!!
一人は誘導、一人は講師の除外へ。
そのまま、ルカだ!!」
三人共が、僅かに驚いた顔へ。
更にザレスだけ俺へ。
「陛下、だとすると…
捕縛後ですが、2か、5へ。
どちらでも陛下待ちへ、なります。
今すぐ、ならば、動きを。」
俺も意味に気付く。
目を閉じて予測もするが…
相手の狙いが、ルカならば…
そのままで言う。
「恐らく、2になる。
既にルカへ。
俺が言ってる言葉もある。
だが、相手も言葉で、だろう。
ルカも誘導する筈。
そして俺が言えば、必ず、ルカも目を閉じる。
10秒で、その場から転移装置へ。」
だが、ルカには一切、見せられない。
そしてルカの性格ならば…
「捕縛パターン9からだが。
今日の予定すら今から全て変更だ!!
愚か者が、ルカへ。
確実に接触すれば…
俺が全て、ルカには対処可能だが。
他の予定ならば、他の者と時間で動かせる。
そして、ルカに関しては俺以外、不可能!!」
言いながら怒りで、俺も目を開ける。
そう…
俺にも、ルカだけ…
そして、ルカも俺だけを!!
判るからこそ余計、怒りも湧き上がる。
あの結界すら僅か程度。
しかも二人掛かりならば、実力も大してない!!
にも関わらず、ルカへ!?
どれ程、愚か者なのだ!!
予測しても講師の存在すら使わん。
直接、あの愛しいルカへ!?
この動きならば、他国より貴族共か…
婚礼前にと、ルカの排除と利益を。
「ふざけるな!!
絶対、俺は許さん!!
捕縛後、俺が直接だ!!」
思わず、怒鳴ったが。
すぐ三人共に視線を。
僅かに動揺した様子だった。
それでも俺は、すぐ続けて時刻も含め計算する。
三人の実力も判断して指示を。
「今の時刻が18時4分。
ザレスは、この場に残って時刻調整だ。
リムルとユハは、俺と一緒に今から転移する。
転移装置でも俺の結界前、18時6分。
そこから俺が、すぐ侵入者二人、場所の特定する。
18時14分までに、誘導側の一人を。
リムルとユハが捕縛。
生かしたまま地下独房へ。
18時16分に再度、戻れ。
同時刻、ザレスも王城南棟で合流だ。
そして、ルカの居る最上階の結界ならば…
相手の力量では18時19分。
更に接触時刻は18時21分。
俺と三人共で、同時刻で最上階へ。
そのまま俺は、ルカへ。
三人共が予定通りだとしてもだぞ?
一切、何も言うな?
相手に警戒しながらだ、俺が指示する。
捕縛パターン9から2へ。
その後、俺も23時頃には地下独房へ。
捕縛後も必ず、生かしたままだぞ?」
言い終わると同時、目を変えて三人共が頷いた。
時刻も含め内容も理解したと、俺も判断する。
その通りに全て動いたのだった…
まだ23時前でも、ルカが寝た事も判る。
そんな中でも俺の事で安心して…
寝てる様子すら判るからこそ…
余計、僅かに触れながら思う。
あぁ、やはり俺はルカだけ愛してる。
俺の事を、今まで一度すら疑った事もだ。
一切ない大切なルカ…
同時に俺だけを。
信じてる事も伝わってくるのだよ?
ルカも俺だけを。
俺もルカだけなのだ!!
今のルカならば、恐らく…
一応、念の為、俺もルカへ。
「汝の主、深き闇よ。
沈む安息へ、誘い賜え。」
小さく呟いて、すぐルカの波動も合わす。
魔力制御すら慎重に僅かな眠りへ。
これでルカも数時間、確実に朝まで起きない筈。
弱い睡眠作用のみ。
それから俺も動き出す。
部屋から出て結界の再確認する。
厳重にしてるからこそ問題ない。
ルカも寝て居ても、俺以外ならば…
更にブレスレットが反応する。
室内でも一切、ルカへ。
触れる事すら出来ない状態へ。
そのまま少し歩いて転移装置を。
使って俺も捕縛者の居る地下独房へ。
この地下独房は俺自身が直接、特殊な造りへ。
変えて入った瞬間でも、俺の苛立ちは嫌でも増す。
そう、この地下独房は…
産まれたばかりのルカが!!
ずっと監禁され続けた元地下施設!!
その苛立ちからルイは尚更、冷酷どころでもない…
残忍な事すら簡単に出来る場所でもある。
だからこそ、特殊な造りの中でも一番、真っ先にだった。
地下独房の特徴でもあるが、ルイの魔力以外では…
一切、反応しない装置も多く拷問設備も含め全てある場所へ。
どうしても苛立ちから僅かに魔力も溢れる中。
俺も地下独房の奥へ。
すぐ直属の側近三人共が居るのも察して端的に言う。
「ザレス、調整は?」
「はい、陛下。
本日の予定に関しては全て…
捕縛した二人も指示通りです。」
すぐザレスも頭すら下げながら言ったが。
他の二人は無言のまま…
再度、確認の為だけ…
「まだ生きてるな?」
言えば、察した様子で僅かにザレスだけ…
「はい、陛下…
ですが、そろそろ…」
俺も意味が判って冷笑しながら言う。
「自業自得だろう?
あのルカも狙って…
全て俺の怒りも買う行為だぞ?
死なせたら、もう苦しめる事すら出来ないと。
俺も学んだからなぁ。」
ザレスも含め無言だったが。
捕縛した者を。
収容した部屋へ。
入れば、俺にも確かに生きてると判った。
すぐ捕縛した二人共が、俺へ。
明らかに視線だけ向けたのも判るが…
俺は何も言わず、怒りだけ湧き上がる。
捕縛された者達の姿は…
余りにも無残な姿でもあった。
両手両足は完全に拘束されてる事。
天井と床から伸びる鎖も使うが。
両方共に着かず…
全裸な上に部屋の中央へ。
宙で磔とも似てる状態へ。
それだけでもない…
繋がれた鎖は高温ではないが、熱を帯び…
常に低温火傷の状態へ。
更に気絶も許さない為、定期的に電気も帯びる。
自決も許さない為、口にも猿轡すら当然ある。
つまり、声も出せないまま…
常に火傷と電気の痛みを、味わい続けながら…
寒い全裸でも一切、己自身では動けない状態へ。
一応、側近の三人共と一緒に俺も部屋の中央へ。
扉も厳重に閉まるのも判る。
俺も考えながら何も言えないままの捕縛者へ。
「ふむ、確かに生きてるなぁ。
大抵、自白前に死のうともするか?
殺すのも簡単だが。
更に勝手に死なれてもだぞ?
俺の苛立ちすら変わらん。
さて、時間も勿体ない。
愚か過ぎる、お前達は判るか?
何が、どう一番か、言えるか?」
僅かに動こうとした捕縛者だが。
「おい…
俺は動けと言ってないぞ?
言えるかと、それだけの事。
口以外にも方法だけならば…
あるだろう!!」
言った時、俺は魔力のみ。
無詠唱で軽めの電撃すら出して二人へ。
浴びせれば、すぐ止まった。
溜息も出る程、呆れながら俺も続けた。
「どれだけの愚か者達だ?
話す以外に方法など、多いにも関わらず。
それすら判らないと?
魔力も、頭脳も、何もない上に…
俺の唯一、愛してるルカへ?
許す筈もない!!」
最後だけ怒鳴ったが。
どうにか冷静にと…
俺も考えた時。
僅かな魔力すら察して捕縛者の一人も見れば…
どうにか必死に出したシグナルへ。
すぐ意味に気付いて…
俺も冷酷とも言われる普段の笑みで…
「なるほど。
言っても殺されるからこその抵抗か?
だから余計、何も言わないと?
確かに俺も許す気すらない。
正しい選択かも知れないが。
お前が言わなくても自白方法は、あるぞ?」
言えば、今度は目だけ俺へ。
何も判ってないと判断も簡単でもある。
そこで俺も捕縛者二人へ。
「ふむ、どうせ二人、居るのだ。
今、一応か?
頑張った方は殺して良いな。
もう一人は、その分、長くしよう。」
頷きながら言った俺へ。
今度は捕縛者だけでもなく側近三人共。
この場に居る者、全員、驚いたのも察したが。
俺だけ冷笑する。
何よりも大切なルカを、俺の唯一を。
狙った下らない愚か者共など…
処分する為、情報確認の為、俺も目を閉じる。
魔力も集め構築しながら…
「我が言霊、我が魔、我が讃えるべき白き魔よ。
河の者は汝の狩人となりし者。
汝の血潮も染めし者、汝の咎人にて嘆く者へ。
我は汝の愛しき人も知り得た者。
汝も紅き血潮に誓いし者、故に汝も嘆かぬ我の元へ。
汝の源を、汝の暗き水を、汝の静けさを。
転生よりも汝の源にて還る願いを、御身と我の賜った言霊へ。
我は汝と等しく賜る言霊へ、その記憶へ、汝も誘えん。
讃えるべき白き魔より訪れるは、我が主も等しく求める者。
漂う記憶の欠片を、汝の源に従い賜る事を。」
最後の詠唱より、俺は先に目を開けた。
そのまま魔力も僅かに高めながら捕縛者の一人へ。
「我の言霊を、汝の力を、河の者を。
闇に葬り我の元へ、顕れよ。」
言った瞬間、捕縛者の一人がだった。
赤黒い血と同じ色でと…
蒸発する様に消える姿も見たが。
同時に俺の脳裏へ。
すぐ、その記憶すら俺も覚える。
だが、これは、まさか…
クリスタ国か!?
今の俺が見た映像…
つまり、嘘もない記憶になる筈。
だとしても、なぜだ?
クリスタ国は、帝国の属国へ。
かなり経つにも関わらず。
なぜ、急に…
そこで、すぐ俺も思い出す。
苛立ちも湧くが、冷静にと判断した。
目を閉じて改めて考える。
最近、属国にしたばかりだが…
真っ先に言ってきた馬鹿者も居たな?
あのチアント国、第二王子ヤランだ…
ルカの事を、真っ先に『クリスタ妃』と!?
更に『クリスタ国』と関わった?
可能性として生き残りか?
いや、それだけは、ない…
抵抗した時点で王族ならば、確実に消した!!
血縁関係も当て嵌まらない。
俺は目を開けて、もう一人へ。
生き残ってる捕縛者も見ながら…
「なるほど。
今は帝国の属国でもだろう?
出身も含め『クリスタ国』の者か?」
言った瞬間、僅かな反応も逃さなかった。
そこで、確信した俺も理由にだった。
確認の為だけ言う。
「だからこそ、唯一の生き残ってる王族へ。
つまり、祖国の為、その為…
真っ先にルカを、狙った理由も含まれたな?
だが、お前の愚かな理由にだぞ?
あのルカを?
単純に道具扱いした事と同じだろう。
そこには気付いてないのか?」
だが、捕縛者の一人も…
その言葉にだけは、必死に足掻いた。
どうにか僅かに魔力を。
その伝えてきた内容へ、俺は…
「どこまで愚か者なのだ?
王族としての権威?
由緒ある血筋?
結局は、お前も『ルカ』を。
全く見てないだろう?
お前の見てる者は『クリスタ妃』であり…
俺の『愛するルカ』でもないぞ!!
ふざけるな!!」
完全に怒りが振り切れる。
怒鳴ってから捕縛者も含め側近達もだったが。
明らかに驚き、動揺して居ても俺は許せない。
すぐ俺には、あのルカが!!
安心して寝る姿も、笑顔も浮かぶ。
そう…
俺の事も絶対に信じてるからこそ…
ましてルカも、俺だけを。
「俺が愛してる者はクリスタ妃ではない!!
俺が愛してる者はルカのみ。
そして俺が唯一、信じられる者すらルカのみ。
俺の唯一、愛する者もルカだけ!!
お前の様な愚かで浅はかな理由など、ない。
もし、お前ならば、王族でもないルカを?
僅かでも見たと言えるのか!?」
睨んで怒鳴ると明らかに反応もした…
だが、もう俺には、どんな反応すら許せなかった。
だからこそ余計、一気に魔力も上げながら…
「我が紅き血潮に誓いし偉大なる汝の主よ。
我が元へ、我が願い、我が言霊、汝の力も讃えん。
紅蓮より汝の青き劫火も従い賜え。」
そこで、俺は魔力も上げて告げる。
「舞い散る命と共に在る終焉の華へ。」
すぐ捕縛者も体内から青い炎に包まれた…
どんなに暴れて様が声すら出せない状態へ。
丸一日以上は燃え続ける苦しみへ。
そのままで、俺も独房から出る為、背を向けたが。
燃え上がってる捕縛者だけを。
ただ、見て動けない側近達にも気付く…
「もう放置で良い。
この場に用もない。」
端的に言えば、すぐ察した様子だった。
また側近三人共、連れてから転移装置の方へ。
少し歩きながら俺も先にルカが寝てる間と判断する。
地下独房から一度、俺も含め執務室へ。
すぐ切り替えて側近達も動く中。
ザレスから時間調整した予定も確認するが。
ルカも考えた時。
ふむ、クリスタ国…
唯一の王族にしたが、こうなると?
だが、このアルデバード帝国でも…
既に唯一なのだがなぁ。
全て知ってるのは、俺だけか?
そもそも、血筋に頼る時点で…
愚か過ぎるだろう?
全く、どこの国もか。
愚か者だけは不要だな…
ルカを、考えてしまえば、俺も思うばかり。
下らない事すら考える余裕まで出来た。
仕事も問題ないが早く、ルカの元へ。
それだけだった…
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