妖怪クラスの放課後怪奇譚

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Beauty or dead

彼女の事情

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 教室に入った僕は、自分の席で縮こまっている陽向にどう声をかけたものかと迷っている。現状、彼女の周りは二口ふたくち鍛冶町かじまち、その後ろには鼬のような風貌で鍛冶町よりも背の高いガッシリした体つきの『小豆洗い』の糸魚川いといがわ 世羅せら、鍛冶町の横、陽向の顔を覗き込むようにしゃがみ込んで彼女の机に顔を載せているのは頭に皿を乗せた髪の毛先をアフロにしている『ガラッパ』の種子島たねがしま つぐみ、同じく机の上にを載せているのは全長1mを超える3本の尻尾を有する#大きい猫__メインクーン__#の『猫又ねこまた』、仙狸せんりの4人の女子で固められている。

 当初、クラス内の様々な生徒が彼女の下に押し寄せていた。人間であるということも驚きだったが、陰陽師という更に珍しい人物像に興味が湧くなという方が無理な相談であり、あれやこれやと質問を投げかけた。結果、彼女は自己紹介宛らの人見知りっぷりを発揮していた。だが、あれはきっと恥ずかしいからだけではないだろう。多分純粋に僕達を怖がっていたはずだ。
 今でこそオドオドしながら彼女らの質問に答えているようだが、人の形をしていない糸魚川や種子島と顔を合わせ用としている時には所々で怯えているのが伺える。何故か仙狸の事は大丈夫そうだが…

 「それじゃお家の都合で『外』からこっちに引っ越してきたのね。もうこっちには慣れた?」
 「ま……まだ…慣れなくて…」
 「ケケケ、そりゃあ『外』の世界からしてみたら、この辺りは魑魅魍魎が跳梁跋扈するデンジャースポットみたいなもんだから、そりゃ慣れるまで時間かかるさな」
 「にゃー、魑魅魍魎だなんて酷いにゃー。にゃーは世羅に名誉を傷つけられた賠償として『一本松』の大福を要求するにゃー」
 「そりゃ良いや。あんたさ、裏街通りって知ってる?割と中央寄りのところにあるでっかいショッピングモール。世羅はその中の和菓子屋『一本松』でバイトしてんだよ。」
 「は…はい……一本松も行ったことあります…」

 おずおずと答える陽向に対し、あっけらかんとした態度で話しかけ続ける異形の女子生徒たち。嗚呼やって気にせずに話しかけられているのも、彼女にとっていい刺激なのかもしれない。案外鍛冶町もそういうのを意識している―――のか?

 「い、糸魚川さんは…バイトされてるんですか……?」
 「アー、そんな堅苦しい呼び方じゃなくてあたしのことは気軽に世羅で構わないさ。」
 「はい…いと……世羅……さん…」
 「まぁ、最初はそんなもんさね。で、バイトの事だけど、あたしはこう見えて小豆洗いっていう妖怪でね。平日はほぼ毎日小豆を手作業で洗うバイトしてるのさ。結構な重労働だからか細かった腕も気付いたらこんなに鍛えられちまってわけさ。」
 「世羅の腕が太いのは、単に小豆を洗ってるからだけじゃなくて柔道部にも所属してるからだよ。こいつ、この前もあたしと同じ河童の男子達をぶん投げてその上で勝鬨をあげてたからね。」
 「「あたしの目の黒いうちは男子にでかい顔はさせないよ!!」って叫んだあの時の世羅は格好良かったニャー」
 「や、やめろよお前ら!」

 あったな…そんなこと。第2相撲部のガラッパだか猿候だかの男子生徒が女子生徒に関係を強要するように付きまとってるという話を聞きつけた糸魚川は、そのまま第2相撲部に乗り込み、件の男子生徒だけでなく、その他の部員も全て投げ飛ばしてしまったそうだ。ちなみに第2相撲部は河童しかおらず、第1第3はそれぞれ人とその他の妖怪が所属をしている。

 「へ……へぇ………」
 「姐御肌ってやつなのよ。なにか異性関係で困ったことがあったら彼女を頼ってね。」
 「は、はい」

 糸魚川の武勇伝を聞かせられた陽向の顔がやや引きつっている。あれは多分目の前の相手は怒らせないようにしようっていう顔だな。そんな彼女のお腹にポスンと音を立てながら手を着いたのは、白い猫の手である。仙狸だ。

 「滅多なことじゃ怒らないから安心するにゃー」
 「きゃっ あ……はい…」

 突然のネコパンチに驚き、小さな悲鳴をあげた陽向だが、そのままお腹を踏み踏みされると怖さよりも恥ずかしさや愛くるしさの方が優ったのか、仙狸の手を取ってじゃれつき始める。
 
 「仙狸が言ったように、滅多なことがなければ私たちだって怒ったりはしないわ。千影が私達のことがわからなくて怖いのと同じで、私達も千影の事がわからなくて大なり小なり怖いっていう気持ちは持ってるもの。」
 「…はい……す、すみません…」
 「謝らなくて大丈夫よ。わからないならお互いにわかり合えるように歩み寄りましょう。折角こうして意思の疎通ができるんですから、使わないのはもったいないわ。」

 鍛冶町の説得に何か思う所があるのか陽向は何度も何度も頷きを繰り返す。陽向だけではない。糸魚川や種子島、仙狸も同じように頷いているし、なぜか僕の右隣に座っている剣持も頷いている。

 「ところで、千影は教科書とか持ってるかしら?」
 「あ…えっと……数学と国語とか基本的なのは貰ったんですけど、近代妖学の教科書だけは間に合わなかったって言われました。」
 「それじゃあ……露峯、彼女に教科書貸してあげれる?」
 「僕の?別に構わn「ちょっと待て!」なんだよ剣持。」
 「それじゃあ俺は一体誰に教科書を借りればいいんだ!?」

 僕の教科書を借りる気満々だったのか…。というか首を外すなと言ったのに、今叫んだことによって首がごろんと机の上に落ちた。それを見た陽向は「ひっ」と小さく悲鳴をあげた。そりゃそうだ。見た目が怖いならまだしも、剣持の今の状態はスプラッタな光景の方である。

 「そうだ、3人で見ようぜ!授業中、露峯が教科書をめくって、俺の頭を陽向ちゃんが持ってれば3人で見れる!ウィンウィンだ!!」
 「黙れ、お前は女の子に触りたいだけだろうが。」
 「違う!俺は真面目に勉学に励むにはどうすればいいのかを真剣に考えただけだ!それと、少しでも早く俺達に慣れてもらうためにもまずは俺のヘッドに触れるところから始めるべきだと思うんだ!」
 
 キリっとした表情で堂々と嘘と変態発言を振りまく剣持を射抜く僕を含めた5人の冷たい視線。陽向?怯えきってしまい、また俯いて震えている。
 僕は徐に剣持の頭を掴むと、それを真横にいる種子島に放り投げてパスをする。それをしっかりと掴んだ種子島に今度は教室の後ろにいる『野干』の夜湖が手を挙げて「パスパス」と催促する。

 「ちょ、待て!俺が悪かった!俺が悪かったかr」
 「へぃへぃへーぃ!」

 女子サッカー部所属の種子島のスローインにより、綺麗な弧を描いて夜湖の胸元に剣持の頭が飛んでいく。それを胸でトラップした夜湖は、後ろの扉の脇にいた銀羽に向かってインサイドキックでパス。飛んできたボールに対し、銀羽はヘディングをすることでボールを夜湖の下に戻すのだが、戻した途端に三条が乱入。夜湖と三条で激しいボールの奪い合いが始まった。

 「ギャー!痛い痛い痛い!誰か助けウップ…待って酔う!これ凄い酔う!」
 「ディーフェンス、ディーフェンス」
 「目指せ国体!」
 
 一進一退の攻防が続く中、夜湖の隙を付いた三条がボールを奪うのに成功し、ゴールキーパー種子島目掛けて渾身のドライブシュートが放たれる。

 「甘い!」

 三条の放ったドライブシュートをパンチングで弾く、種子島。ボールから「ひでぶっ」とか言う声が聞こえたけど気にしては駄目だ。ちなみに、蹴られている間、胴体は柔道部糸魚川がしっかりと押さえ込んでいる。武勇伝に違わぬ素晴らしい押さえ込みである。

 だが、ここで予期せぬアクシデントが起きてしまった。パンチングで弾いたボールは、隣の机に直撃してコロコロと地面を転がって戻ってきたのだ。そう、陽向の足元に――

 そして交わってしまう血だらけの生首と臆病な女子生徒の視線。

 「テヘペロ」

 「き…きゃああああああああああああああああああああ!!!」

 絹を引き裂く乙女の悲鳴というのを、僕は生まれて初めて聞いたのだった。



 1限の授業が始まるまでの間でスンスンと泣き始めてしまった陽向を女子達があやしてなんとか泣き止ませ、怖がらせた剣持は、胴体を簀巻きにされた状態で僕とは逆隣の席に座っている『雪男イエティ』の男澤おとこざわ 好生よしおの下で、一緒に授業を受けるということになった。
 雪男と言ってもゴリラとかクマの様な姿ではなく、全身が白い毛に覆われた毛むくじゃらであり、夏場は非常に暑苦しいという男子生徒である。彼の机の上に乗って授業を受けると、どうしても彼の体毛が後頭部に当たるので、常にゾワゾワとした感覚に襲われ続けるという剣持にしかわからない罰ゲームである。

 近代妖学の授業は僕の教科書を陽向に貸してしまうと、僕が授業を受けられなくなってしまうので、机をくっつけて一緒に見ることにした。男子生徒と机をくっつけて一緒に1つの教科書を見るのが恥ずかしいのか、僅かに頬を紅潮させているのが伺える。
 ただ、恥ずかしいのとは別で一緒に授業を受けてみて彼女の意外な一面も垣間見ることができた。彼女はそれまで人間の学校に通っていたということもあり、僕らとは所有している知識の量も内容も全く異なる。僕らにしてみれば、中学の頃に1度習っている部分もあるので、補足程度にしかならない部分も、彼女は初めて習うことなので、先生の一言一句全てをノートに記入している。置いていかれない様に、という雰囲気ではなく純粋に知識を得ることが楽しいようだ。
 時折、どうにもわからないことがあると首を傾げるのだが、その部分を僕がフォローすることによって「なるほど。」と納得をしてくれる。
 彼女は一度習うと、習った部分だけではなく、更にその発展先のことに関しても深く追求をしようとする。まだ最初の方の授業だと言うので、先生や僕たちも中学のおさらい程度の認識でしかなかったが、僕と彼女の2人だけはテスト直前の空気と何ら変わり無い様相になっていた。

 「人間の学校だと近代妖学っていうのは習わないの?」
 「が……学校の教科書で配布はされていません…。ただ、本屋さんには参考書とかがありますし……きょ、教育テレビでもやってたりします。けど……本を読むだけと実際に先生に教わるのだと…全然違います…」

 授業中、色々と教えていたら僕に対しての彼女の態度は幾分か緩和しているように感じられるようになった。特別な事は何もしていないが、面倒見がいい人とでも思ってくれたのかもしれない。
 だが、よっぽど近代妖学が面白かったのか、その後の1限目と2限目の授業の休み時間でも彼女は僕に向かって様々な質問を投げかけるようになっていた。

 難しい内容ではないのだが、確かにわかり難い部分も多い分野なので、ごちゃ混ぜになってしまっているのだろうということがわかる。これも話をしてみてわかったのだが、彼女はこれまでの人生で実はそれ程妖怪と関わってはいないということだった。陰陽師なのに?と不思議に思ったが、その血筋が陰陽師なだけであり、彼女自身はそこまで陰陽師であるということを気にしていないらしい。

 けれど、高校進学を控えたある日、両親に呼び出されてみると、そこには会ったことも無いような親戚一同が会しており、陽向が次代を担う陰陽師として活動をしなければいけない、という大任を背負わされてしまったらしい。

 これには陽向も困った。何故ならお化けが大の苦手で、ホラー映画さえまともに見ることができないくらいの怖がりだというのに、妖怪達の学校になんて入れられたらショック死してしまうとさえ猛抗議をしたのだ。だが、一族全員から「口答えをするとはなんたる不敬」と逆に猛バッシングを受けてしまったらしい。

 両親に助けを求めても他の一族同様にやはり陽向に冷たい視線を向けるばかりで彼女は諦めて泣く泣く転入することにしたのだった。そして僅かな時間で彼女は陰陽師の修行を開始。彼女に修行を施したのは、僕らが心配していた通りの過激派の陰陽師であったらしい。

 曰く「奴らに隙を見せるな」「奴らは鬼だ、鬼畜だ」「我らの祖先は皆奴らに食われた」等等――

 自己紹介で陰陽師と宣言したのかというはどうやら家族の入れ知恵であったらしく、「ただの人間が転入してくるなんてまずありあえないと不気味がられたり舐められたりするかもしれない。だから、陰陽師であると言えば舐められることはない」と言うことであった。

 これには話を聞いていた僕も呆れてものが言えなくなってしまい、その様子を見た陽向は体を縮こませて顔を真っ赤にしていた。

 「で、でも…最初はすごい怖かったんですけど…鍛冶町さんや露峯さんみたいに優しい人とか世羅さんとか鶫さんみたいに頼りになる妖怪もいますし、仙狸ちゃんみたいに可愛らしい妖怪もいて…思ってるよりも楽しいところです…」

 僕の顔に極端に近寄りながらそんなことを言われ、僕は冷や汗を流しながら「そ、そう?」と答えるので精一杯だった。なぜこんなに顔を近づけるかというと、恐らくだが僕を挟んで背後の光景を視界に入れたくないのだろう。そこには、首のない身体が見えるからである。現在顔は休み時間ということもあり、銀羽の所に行っている。

 ところで―――

 「えーっと……一応、僕も鍛冶町も妖怪って区分になるんだよ。」
 「えっ……」

 うん、これは完全に勘違いしてたんだな。さっき「優しい人」って言ってたから多分勘違いしてるんだろうなとは思っていたが…。

 「鍛冶町が『二口』って妖怪で、あいつのポニーテールが解けるとそこに口が出てきてあいつの本音を喋るんだよ。最近は戦争物の映画に嵌っているみたいだから物凄い罵声になってるよ。」

 もしも、鍛冶町を綺麗な人間だと思い込んでいたら、あいつの本性を知った時に多分ショック死してしまうかもしれない。素人には剣持の生首よりも鍛冶町の本性の方が危険すぎる。あんなのはZ指定18禁だ。

 「僕も、見た目がこんな感じだけど一応、『鬼』なんだ。」
 「お、鬼って……あの…鬼…ですか?」

 おぉっと…せっかく積み上げていた彼女からの信頼度が目に見えて引いていくのがわかる。それもその筈、陰陽師について彼女が教わってきたというのならば恐らく、20年前の『混沌災』の際に、彼女の先祖を根絶やしにせんとしたのは僕の祖である『鬼』だからだ。
 人間として彼女に接し続けることもできたのだろうけど、そういった嘘はいずれバレてしまうことだろう。外見だけ人間でも僕の打たれ強さや角を生やした時の姿はまごう事なく鬼なのだから。

 「あ…あの……。」
 「ずっと黙っていても良かったんだけど、それだと黙ってるんじゃなくて騙してるみたいで気がひけるから正直に話すことにしたよ。」
 「お…鬼ってことは……ひ、人を食べるんですか…?」
 「え?いや、食べないよ?僕らの食事は一般的に人間が食べるものと大差ないし。」

 なんだ、どんな教わり方をしたんだ。まぁ、伝承でも確かにそういう鬼は存在したかもしれない。酒呑童子だとか茨木童子とか、確かに極悪で人を好んで喰らう者も過去にはいただろう。

 「そうだな……ヨアヒム・クロルとかジェフリー・ダーマーって知ってる?」
 「えっと…ごめんなさい。」
 「んー…それじゃあハンニバル・レクターは聞いたことない?」
 「わ、わかりません……」

 んー、一般の人にはカニバリストは流石に分からないか。人間が彼らのことを理解できないように、僕らにしてみても、人間を食べる鬼なんて存在は全く以て理解ができない。
 
 「牛とか豚ってさ…美味しいよね。鶏肉も美味しいし、馬や羊や猪や鹿もちょっと癖があったりするけど美味しい。」
 「はぁ…あの……」
 「僕が今まで食べたものは人間と大差がない。君らと同じように美味しいと感じ、君らと同じ量を食べてお腹を膨らませる。少なくとも、昔話の鬼や映画のゾンビみたいに好んで人を食べようとは思わないよ。」
 「あ……」
 「今朝方先生に転入生の案内をするように色々と頼まれたんだよ。その時、すぐに転入生が人間だってわかったのは、このクラスの中で体の構造が1番『人間きみら』に近いのが、『ぼくら』だからさ。」
 「そうだったんですね…色々と教えてくださってるのに私ったら…」
 
 おずおずと言ったように謝ってくる彼女を手で制する。謝罪は必要ない。彼女の両親の同士や彼女の仲間を殺したのは間違いなく僕の親や仲間なのだ。その事実は変わることはない。

 「何かわからないことがあったらさっきみたいに何でも言って欲しい。先生から頼まれてるってだけじゃなくて、僕自身陽向の役にたちたいって思ってるから。」

 「ふぇ……え?えぇぇ!?」

 なんだ?さっきまでの申し訳なさが嘘のように、彼女は顔を真っ赤にしてその場で立ち上がり、視線が忙しなく周囲を彷徨って口の輪郭があわあわと大きく波打っている。
 彼女の突然の狼狽に、クラス中の視線が一斉に彼女に向けられる。そのことも拍車がかかったのか、彼女の頭から目に見えるように白い煙が立ち上ると、そのままふーっと気を失ってしまった。

 「ちょ、なんで!?」

 まっすぐ僕の方へと前のめりに崩れる彼女の体。慌てて抱き抱えたのは良いものの、一体どうしたものかと視線を泳がすと、頼れるクラス委員の鍛冶町が彼女を預かり、糸魚川に保健室に連れて行くようにパスをしてくれた。結局、陽向は3限目の授業を丸々休み、帰ってきたのは4限目の授業が始める前であった。
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