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Beauty or dead
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4限目の授業前に陽向は帰ってきた。
「す、すみませんでした」とクラス委員の鍛冶町と保健室に連れて行ってくれた糸魚川に謝罪をし、彼女は自身の席へと戻った。しかし、注目を浴びたことで気絶をするとは――僕は彼女の人見知りとあがり症を少々甘く見ていたのかもしれない。うん―――僕は悪くないはずだ。
彼女が保健室から帰ってきてから何故か異様に僕のことをチラ見するようになり、話しかけようとすると、途端に真っ赤になって俯いてモゴモゴと言ってるのもきっと僕の気のせいだ。
気のせいだと…思いたかった。
伽藍、伽藍と授業の終わりを告げる鐘の音が校舎内に響き渡る。同時に、教室内から飛び出す幾人かの生徒。彼らは購買や学食というゴールめがけて走り始めたスプリンターであり、お昼ご飯を求めて走り出したハンターでもある。いつもならば僕もあのハンター達の仲間入りをするところなのだが、今日の僕は何故かコンビニで買ってきたお弁当と牛乳パックである。これら2つは今日からセットで買うと100円引きという非常にお得な組み合わせなのである。
今日もいつもと同じように、剣持達を誘ってお昼を楽しもうと立ち上がる――が、そんな僕の左袖を誰かがぎゅっと掴んだ。三条かな?と左隣を向くと、そこには顔を真っ赤にした陽向がいた。
「あ……あの!!」
「はい…!?」
こんな声が出せるのかと驚く程に彼女の声がクラス中に響く。そういえば、自己紹介の時も割と大声を出していたので、もしかしたら彼女の声は通りやすいんだな…と現実逃避をしていると、僕の目を決して離さない彼女の瞳に意を決したような強い光が宿り――
「私と、ご飯を食べてください!」
「え…あ、はい。」
あまりにも男らしいお昼ご飯の誘いに、僕はよくわかっていないままに了承をしたのだが…冷静になってみるととてつもなく恥ずかしい状況であることを理解してしまい、誰に言い訳をするでもなく視線を彷徨わせてしまう。予想通りというか案の定というか、クラスメイトは全員生暖かい視線で僕らのことを見ているし、僕が了承してくれたのがよっぽど嬉しかったのか、陽向は早速自分の椅子を僕の机にくっつけてお弁当を広げている。
彼女いない歴=年齢の僕に、女の子と一体何を話せばいいというのだ。必死に考えをまとめながら着席をしようとすると、僕の机にもう一つの椅子がくっつけられた。
この状況を打破してくれる強い味方が現れた!僕は突然の来訪者を満面の笑みで迎え入れようとしたのだが――
「あら、私は千影さんとご飯を一緒にしようと思ってたのよ?」
そこにいたのは実に楽しそうな表情を浮かべている鍛冶町だった。
そして、物語は最初に巻き戻る。
「あら、露峯は今日は唐揚げじゃないのね?珍しいこともあるものだわ。」
「え、露峯さんって唐揚げが好きなんですか?奇遇ですね!私唐揚げが料理の中で1番得意なんですよ!」
「唐揚げなんて誰でも簡単に作れる料理じゃない?そんなことよりそんなコンビニ弁当だけじゃ栄養が偏りそうだし、この煮物をちょっと分けてあげる。」
「唐揚げじゃなくて油淋鶏とかザンギだって作れますよ?それより鍛冶町さん、少し露峯さんに近寄りすぎじゃないですか?」
さて、僕は一体どうしてこんな状況になってるんだろうか。
世が世ならリア充だなんだと騒ぎ立てることなんだろうし、僕だって女の子と一緒にご飯が食べれるなんて夢みたいだと思っている。けど、こうじゃない。こうじゃないんだ――。
陽向は事あるごとに「露峯さん、露峯さん」と嬉しそうに僕の名前を呼んでは話しかけ続け、それを聞いて鍛冶町は「ふっ」と鼻で笑い、何故か陽向と競い合うように僕に話しかけてくる。さっきからそれの繰り返しだ。
最初は面白がってみていたクラスメイトもいつの間にか僕らの周りから距離を置いている。隣でいつも一緒に食べている剣持さえ、空気に耐え切れなくなって逃げ出した。あの剣持が、だ。
「あら…机が狭いんだから仕方がないわ。露峯だって別に嫌じゃないでしょうし。」
「ちょ…何言ってるんですか!露峯さん、もっとこっちに寄ってください!」
「うん、2人ともちょっと落ち着こうか…」
一体僕はどうすればいいんだ?近寄る鍛冶町、引き寄せようとする陽向――『そこで押し倒す』というカンペを出す夜湖――って、出来るかそんなこと!!
2人に気づかれることなく逃げていく夜湖を睨みつけながら、ガリガリと精神を削られていく昼休みは続く。ちなみに、お昼ご飯のコンビニ弁当は全くと言って良いほど味を感じなかった。
◇
「先日、「おたくの学校の生徒がほぼ全裸で買い物にきた。」とコンビニから苦情が入ったそうです。皆さん、社会の常識はきちんと守りましょうね」
「「「はーい」」」
「それじゃあ、鍛冶町さん、号令をお願いします。」
「起立―――礼」
帰りのSHRが終わり、それまで大人しくしていた生徒達が一斉に動き出す。僕も例に違わず、鞄に机の中身を詰め込んで帰り支度を整えている。
「ぜ…全裸で買い物しようとするだなんて……なんだか、怖い人もいるんですね…」
「ウン…ソウダネ……」
「?どうして視線を逸らすんですか?」
言えない…その怖い人が君のクラスメイトだよ、なんて。修理が終わるまでしばらくは来れないであろう友人に心の中で敬礼をしつつ、ふと左側を見る。学校指定の学生鞄ではなく、可愛らしいリュックサックに自身の荷物をしまっている陽向に近寄る影が4つ。鍛冶町、糸魚川、種子島、それと―――
「千影、帰るにゃー。」
「え…せ、仙狸ちゃん……ですか?」
「ほかに誰が居るにゃー。」
茶色のショートボブヘアに猫耳を生やしたスラリとしたモデル体型のツリ目美女、人間形態の仙狸である。そりゃ、猫形態の仙狸しか知らなかったら驚く。ファッション誌宛らの美女が猫耳つけて語尾がにゃーなんてギャップ差が激しいにも程がある。
「む、露峯、なんかにゃーのこと馬鹿にしてにゃいか?」
「べっぴんさんって思っただけだよ。」
「正直は美徳にゃ。褒めてつかわすにゃー」
「そりゃどうも。」
動物の勘ってやつなのか、仙狸は妙に勘が鋭い。特に自分の悪口に関しては心の中で思っただけでも察知するに至っている。
「千影の家ってここから遠いの?」
「えっと……戻り橋の近くなんですけど…」
「え…あの辺りに住んでるの?ここからだと結構大変じゃない?」
「でも、自転車で40分ぐらいですし…電車が近くに通っていないのが不便ですけど、とっても静かで…それに、色々と安かったんです。」
戻り橋…元々は京都にあった同名の橋を『混沌災』の折にこちらに移した、京でも有数の曰くつきの心霊スポットである。今でも『丑三つ時に鬼女が出る』等といった噂が後を絶えないのだが、陽向はその辺りのことを知らないのだろうか…知らないんだろうな。知ってたら怖がりな彼女が住めるとは思えない。
実際、あそこに行ったことのある生徒の中で、夜中に鬼の形相をした女に追いかけられたと言う生徒も少なくはなく、何度も警察や退妖士が出向いてはいるのだが、未だに捕まえることができていないらしい。そういうこともあってか、あの辺りのマンションやアパートは軒並み賃貸料が安く、近くの商店街も大手のスーパーなんかよりも幾分かはお買い得になっている。
「千影って一人暮らしなのか?引っ越したばっかだっていうのに大変じゃないか?」
「えっと……最近の引越し屋さんってただ持ってくるだけじゃなくて、セッティングも全部してくれるようになってるから、荷解きの心配はないんですけど……まだご近所さんに馴染めなくて…」
喋るほどに尻つぼみで小さくなっていく声。あぁ、周りが妖怪しかいないんだな。
「で、でも…頑張って馴染めるように頑張ります。」
「そのいきよ、千影。なにか困ったことがあったら私達も手伝うから。勿論、露峯もね。」
「ふぇっ!?あ、あの…わわわわわわたし、べ、別に露峯さんとは何も…」
しどろもどろになりながらも、きちんと女子生徒と会話ができている陽向を見て、今朝方感じた不安はもう心配することないなと安堵する。すると、僕よりも先に準備が終わった剣持や銀羽等の一緒に帰る面子が僕の机の周りに集まり始めてしまった。時間をかけすぎたらしい。
「露峯、まだかかるか?」
「おう、今終わったよ。それじゃあ、陽向、またあした。」
「は……はい!ま、またあした!!」
またもや教室中に聞こえるほどの叫びに似た挨拶をし、注目を集めてしまう陽向。クラス中から「また明日」とか「またねー」なんてからかい混じりの声が飛びかい、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
こうして、ひと波乱起こると思われた学校での1日は終わりを告げた。
次の日―――
陽向は学校に姿を見せなかった。
◇
陽向千影が転入してきた次の朝、家に財布を忘れるという凡ミスをしてしまい、結局僕が登校できたのは朝のSHR直前になってであった。
教室に入ると座席はほとんどが埋められており、空いてる机は全部3つ。一昨日の放課後に全身がバラバラに分解してしまった継早、僕、それと―――僕の左隣の陽向の席である。
「あれ、陽向はまだ来てないのか?」
僕は右隣に座る剣持に、そう訪ねてみた。SHRギリギリということもあって既に彼の首も彼の体のもとへと戻ってきている。「転入生?そういえば…今朝はまだ見てないな。」と、荷物だけおいてどこかに行ってるわけではなく、そもそも登校すらしていない様子である。
僕が入ってからそんなに時間を経たずして出席簿と配布用のプリントを手にした幼先生が教室に入ってくる。
「起立、礼。」
教卓の向こう側、所定の位置についたところで鍛冶町が号令をかけて朝の挨拶をする僕ら。着席をすると、先生がまずは、と列の先頭の生徒の机にプリントを置いていく。受け取った生徒の反応は、皆一様にその内容を食い入るように見るといったものである。
僕のところにもプリントが回ってきたので、1枚抜いて後ろに回す。どれどれ…目を通したその内容に、僕は目を見開く。
『口裂け女出没の注意 出没地域:戻り橋~二ツ岩周辺 付近の生徒は登下校に気をつけましょう』
端までプリントが行き渡ったらしく、幼先生が教卓の横に移動をして補足説明が入る。どうやら、戻り橋~二ツ岩を巡回していた自転車に乗った警察官が2名、深夜2時頃に出歩いている若い女を見かけたらしい。その女性はトレンチコートを羽織り、顔の半分以上を覆い隠すほどの巨大なマスクをしていたそうだ。今の時期は花粉も飛んでいるのでそれ程気にもしていなかったのだが、女性の横を通り過ぎようとした時、女性の方から警官の方に声をかけられたと言う。
「ねえ、私…綺麗?」と。
そのまま無視をすれば良いものの、この警官はお調子者だったのか、「綺麗なんじゃないですか?」と態々答えてしまったらしい。すると、女は徐に顔のマスクを外し――頬骨、耳元、エラ骨に枝別れをしながらパックリと裂けた口を顕にして「……これでも……?」と問いただしてきたそうだ。
例に漏れずこの警察官2名もその顔を見た彼女を化物扱いした。化物を見るように悲鳴を上げ、逃げ出そうとした。が、逃げられない。走り出した目の前に彼女が回り込んでいたからだ。意を決した警察官が彼女に向かって発砲をすると、彼女はゲラゲラと笑い声を発しながら、4本の腕を生やして逃げていったそうだ。
先生の話を聞き、なんだそれは…と皆が思っただろう。詳細な絵が書かれたプリントを見ている僕も、その異様な形相には絶句をしている。口裂け女というのは想像の中ではただ耳まで裂けているだけだと思っていた。それだけでも十分怖すぎる。にも関わらず、この絵の中の口裂け女は都市伝説というよりも寧ろ宇宙人だ。○レデターである。こんなの逃げ出すに決まってる。
逃げ出したら逃げ出したで先回りをしている。こちらが抵抗をしたらすぐに逃げ出し、もしも見失えば次はいつ襲われるのかわからない恐怖にこちらが苛まれる、と。
「近隣の生徒の家には注意をするよう連絡を入れました。なので、本日は陽向さんはお休みをしますと連絡を受けています。」
転入早々に休んだ理由はこれか、と納得せざるを得ない。怖がりな彼女は今でもきっと自分の家でブルブルと恐怖と戦っているに違いないのだから、誰も彼女を責められないだろう。
SHRが終わり先生が教室を出て行くと、剣持が僕に話しかけてくる。内容は勿論口裂け女に関してだ。
「今のご時世に口裂け女かー…いや、今だから出てきやすくなったってことか?」
「都市伝説の中だと大物中の大物だけど、子供達の噂と大人たちの作り話っていうのが殆どだからな。『混沌災』以降ははっきり言って口裂け女よりも怖い奴らがウヨウヨ彷徨いてるわけじゃない?廃れもするよ。」
「口裂け女って大人の作り話なん?」
「一応昔から存在するって言われてるのもあるよ。主に岐阜県がその内容の中心になってて、女の怨念とか恋人に会うために山を隔てた町へ行く時、独り身で山道を行くのは物騒っていう理由で、白装束に白粉を塗り、頭は髪を乱して蝋燭を立て、三日月型に切った人参を咥え、手に鎌を持って峠を越えたっていうのがある。」
「ジェネレーションギャップっつーか…変わった時代だったんだな。そんな格好で彼女が来たら100年の恋も冷めるわ。」
「岐阜県での最初期の噂だと、その正体が精神病院からの脱走者として語られていて、70年代に大垣市で座敷牢に閉じ込められていた精神病女性が夜ごとに外出、精神に異常を来たしているために口紅を顔の下半分に塗りたくり、それを見た人が驚いたっていう話や、多治見市の著名な心霊スポットのトンネルで精神病の女性が徘徊して子供を脅かしていたという話が元になったといわれていて、その後も精神病=口裂け女っていう風に結びつける事が多いよ。驚くことにいずれも中京地区、特に岐阜県近辺が発祥である点はほぼ一致してるんだ。」
「岐阜県での噂になってるのは県民性か?」
「もしくは、位置的に日本の中心地にあるから、噂が集まりやすかったのかもしれないな。県民性としては自分の身内をとにかく大事にしようとしているから、夜遅くまで遊ぼうとする子供を早く帰らせるために大人たちが作り出した――っていう考え方もある。」
はぁ…とここまで聴き終えたところで剣持が椅子の背もたれに寄りかかって何かを考え込んでいる。この格好はあれだな、まだなにか引っかかってるってところか。
「なぁ、さっきから口裂け女の話してるけど…うちは整形失敗の話って聞いたけどそれも大人の作り話ってこと?」
「あぁ、それだ。なんか忘れてると俺も思ってたんだ。」
前の席に座る『砂かけ』の有鳩 末貞である。彼もこの話に興味を持ったのか体を横にし、こちらに顔を向けてくる。僕らよりも肌が白く、ややしゃくれ気味の長い顔が特徴的な独逸生まれである彼がこの手の都市伝説に食いついてくるのは珍しい。
「そっちは90年代に広まった噂だな。90年代に美容整形が話題になり、当時の漫画やアニメでも怖い話が掲載・放送されたことにより、それらを愛読・視聴していた子供達の間で爆発的に広がったのが原因だと思われる。こっちに関しては眉唾物だが噂の広がり方を検証するためにCIAが流したっていうのもあるな。」
「なんかそう言われると嘘って感じがプンプンするな。」
「あと、これもあくまでも噂の範疇を超えないんだけど…口裂け女は複数いるらしい。」
「?噂が沢山あるならそりゃあバリエーションも増えるんじゃないか?」
剣持の答えはけっして間違ってはいない。有鳩も同様の意味に聞き取れたのか剣持の言葉に頷いている。恋人に会いにいく女、精神異常の患者、整形失敗――いずれも単独を思わせる内容である。だが、そんな彼らに対して僕は首を左右に振り、そうではないと告げ。
「口裂け女は実は姉妹なんじゃないかって噂だよ。」
「え?何人もいるの?」
「でも、今聞いた話だと口裂け女ってどう考えても1人しか登場してないだろ?」
「そう。これに関しては僕らが『嘘くさい』って思った整形に失敗した女っていうのに出てくるんだ。あろ所に3姉妹がいて、長女は整形手術の失敗で口が裂け、次女は交通事故で口が裂けた。3女は口が裂けていなかったんだけど、嫉妬した姉たちによって口を裂かれたってパターン。3姉妹のうちの1人が生まれつき口が裂けていたので、ほかの2人は同情し、1人は自分で口の片方を裂き、もう1人は口紅で口を大きく見せるようにしたってパターン。いずれも3人で道行く人に「誰が綺麗?」って聞くんだよ。」
「答えたらどうなるんだ?」
「簡単さ。選ばれなかった姉妹に殺されて御終い。」
「最悪じゃないか」
この3姉妹は性質上1人よりもタチが悪い。相手が1人ならばまだなんとか逃げる手立ては考えられるのだが、これが3人に増えてしまうと、途端に逃げ場がなくなるのだ。後、これは話していないが他にも江戸時代には似たような話があるが、こちらは狐が化けた姿であると知られている。そう考えると、もしかしたら犬神憑きや銀羽のような狼男、獣人という線も捨てきれない。
「対処法は?逃げる術はないのか?」
「あるよ。本当かどうかは知らないけど――1、べっこう飴が好きであげると喜んで見逃す。2、べっこう飴が嫌いであげると逃げ出す。3、豆腐を見せると逃げ出す。こんなところでどうだろう。」
「そんなんでいいの?ポマードは?」
「そっちは90年代になってから広まった噂の方だからな…。後、ポマードで逆上するって言うのを聞いたことがあるから念には念を入れてやめておいた方がいいかもしれないな。」
なるほどー、とどうやら納得をしてくれたらしい。そもそも髪にポマードを塗るならともかく、口でポマードと叫ぶだけで相手が苦しむなんてどんな呪いの言葉だよ、と前々から思っていた。吸血鬼に向かって「ニンニク!」と叫ぶようなもんだ。絶対に殺されるに決まってる。
「ただ、今回目撃された口裂け女の腕が生えたっていうのは説明がつかないな。」
「確かに……そればかりは僕にもさっぱりわからないよ。まぁ、今まで話したのも、あくまでも僕の予想というか妄想というか、噂をまとめただけに過ぎないしね。確証があって話をしていたわけじゃないさ。」
「いや、でも勉強にはなったな。」
「あぁ、とりあえず帰りにべっこう飴を買い占めていくぜ!」
頑張ってくれ、と僕が応援すると同時に1限目の教師がやってきたことでこの話はお開きとなった。だが、僕の疑問はまだ残る。果たしてべっこう飴ってどこで手に入るのだろうか?
「す、すみませんでした」とクラス委員の鍛冶町と保健室に連れて行ってくれた糸魚川に謝罪をし、彼女は自身の席へと戻った。しかし、注目を浴びたことで気絶をするとは――僕は彼女の人見知りとあがり症を少々甘く見ていたのかもしれない。うん―――僕は悪くないはずだ。
彼女が保健室から帰ってきてから何故か異様に僕のことをチラ見するようになり、話しかけようとすると、途端に真っ赤になって俯いてモゴモゴと言ってるのもきっと僕の気のせいだ。
気のせいだと…思いたかった。
伽藍、伽藍と授業の終わりを告げる鐘の音が校舎内に響き渡る。同時に、教室内から飛び出す幾人かの生徒。彼らは購買や学食というゴールめがけて走り始めたスプリンターであり、お昼ご飯を求めて走り出したハンターでもある。いつもならば僕もあのハンター達の仲間入りをするところなのだが、今日の僕は何故かコンビニで買ってきたお弁当と牛乳パックである。これら2つは今日からセットで買うと100円引きという非常にお得な組み合わせなのである。
今日もいつもと同じように、剣持達を誘ってお昼を楽しもうと立ち上がる――が、そんな僕の左袖を誰かがぎゅっと掴んだ。三条かな?と左隣を向くと、そこには顔を真っ赤にした陽向がいた。
「あ……あの!!」
「はい…!?」
こんな声が出せるのかと驚く程に彼女の声がクラス中に響く。そういえば、自己紹介の時も割と大声を出していたので、もしかしたら彼女の声は通りやすいんだな…と現実逃避をしていると、僕の目を決して離さない彼女の瞳に意を決したような強い光が宿り――
「私と、ご飯を食べてください!」
「え…あ、はい。」
あまりにも男らしいお昼ご飯の誘いに、僕はよくわかっていないままに了承をしたのだが…冷静になってみるととてつもなく恥ずかしい状況であることを理解してしまい、誰に言い訳をするでもなく視線を彷徨わせてしまう。予想通りというか案の定というか、クラスメイトは全員生暖かい視線で僕らのことを見ているし、僕が了承してくれたのがよっぽど嬉しかったのか、陽向は早速自分の椅子を僕の机にくっつけてお弁当を広げている。
彼女いない歴=年齢の僕に、女の子と一体何を話せばいいというのだ。必死に考えをまとめながら着席をしようとすると、僕の机にもう一つの椅子がくっつけられた。
この状況を打破してくれる強い味方が現れた!僕は突然の来訪者を満面の笑みで迎え入れようとしたのだが――
「あら、私は千影さんとご飯を一緒にしようと思ってたのよ?」
そこにいたのは実に楽しそうな表情を浮かべている鍛冶町だった。
そして、物語は最初に巻き戻る。
「あら、露峯は今日は唐揚げじゃないのね?珍しいこともあるものだわ。」
「え、露峯さんって唐揚げが好きなんですか?奇遇ですね!私唐揚げが料理の中で1番得意なんですよ!」
「唐揚げなんて誰でも簡単に作れる料理じゃない?そんなことよりそんなコンビニ弁当だけじゃ栄養が偏りそうだし、この煮物をちょっと分けてあげる。」
「唐揚げじゃなくて油淋鶏とかザンギだって作れますよ?それより鍛冶町さん、少し露峯さんに近寄りすぎじゃないですか?」
さて、僕は一体どうしてこんな状況になってるんだろうか。
世が世ならリア充だなんだと騒ぎ立てることなんだろうし、僕だって女の子と一緒にご飯が食べれるなんて夢みたいだと思っている。けど、こうじゃない。こうじゃないんだ――。
陽向は事あるごとに「露峯さん、露峯さん」と嬉しそうに僕の名前を呼んでは話しかけ続け、それを聞いて鍛冶町は「ふっ」と鼻で笑い、何故か陽向と競い合うように僕に話しかけてくる。さっきからそれの繰り返しだ。
最初は面白がってみていたクラスメイトもいつの間にか僕らの周りから距離を置いている。隣でいつも一緒に食べている剣持さえ、空気に耐え切れなくなって逃げ出した。あの剣持が、だ。
「あら…机が狭いんだから仕方がないわ。露峯だって別に嫌じゃないでしょうし。」
「ちょ…何言ってるんですか!露峯さん、もっとこっちに寄ってください!」
「うん、2人ともちょっと落ち着こうか…」
一体僕はどうすればいいんだ?近寄る鍛冶町、引き寄せようとする陽向――『そこで押し倒す』というカンペを出す夜湖――って、出来るかそんなこと!!
2人に気づかれることなく逃げていく夜湖を睨みつけながら、ガリガリと精神を削られていく昼休みは続く。ちなみに、お昼ご飯のコンビニ弁当は全くと言って良いほど味を感じなかった。
◇
「先日、「おたくの学校の生徒がほぼ全裸で買い物にきた。」とコンビニから苦情が入ったそうです。皆さん、社会の常識はきちんと守りましょうね」
「「「はーい」」」
「それじゃあ、鍛冶町さん、号令をお願いします。」
「起立―――礼」
帰りのSHRが終わり、それまで大人しくしていた生徒達が一斉に動き出す。僕も例に違わず、鞄に机の中身を詰め込んで帰り支度を整えている。
「ぜ…全裸で買い物しようとするだなんて……なんだか、怖い人もいるんですね…」
「ウン…ソウダネ……」
「?どうして視線を逸らすんですか?」
言えない…その怖い人が君のクラスメイトだよ、なんて。修理が終わるまでしばらくは来れないであろう友人に心の中で敬礼をしつつ、ふと左側を見る。学校指定の学生鞄ではなく、可愛らしいリュックサックに自身の荷物をしまっている陽向に近寄る影が4つ。鍛冶町、糸魚川、種子島、それと―――
「千影、帰るにゃー。」
「え…せ、仙狸ちゃん……ですか?」
「ほかに誰が居るにゃー。」
茶色のショートボブヘアに猫耳を生やしたスラリとしたモデル体型のツリ目美女、人間形態の仙狸である。そりゃ、猫形態の仙狸しか知らなかったら驚く。ファッション誌宛らの美女が猫耳つけて語尾がにゃーなんてギャップ差が激しいにも程がある。
「む、露峯、なんかにゃーのこと馬鹿にしてにゃいか?」
「べっぴんさんって思っただけだよ。」
「正直は美徳にゃ。褒めてつかわすにゃー」
「そりゃどうも。」
動物の勘ってやつなのか、仙狸は妙に勘が鋭い。特に自分の悪口に関しては心の中で思っただけでも察知するに至っている。
「千影の家ってここから遠いの?」
「えっと……戻り橋の近くなんですけど…」
「え…あの辺りに住んでるの?ここからだと結構大変じゃない?」
「でも、自転車で40分ぐらいですし…電車が近くに通っていないのが不便ですけど、とっても静かで…それに、色々と安かったんです。」
戻り橋…元々は京都にあった同名の橋を『混沌災』の折にこちらに移した、京でも有数の曰くつきの心霊スポットである。今でも『丑三つ時に鬼女が出る』等といった噂が後を絶えないのだが、陽向はその辺りのことを知らないのだろうか…知らないんだろうな。知ってたら怖がりな彼女が住めるとは思えない。
実際、あそこに行ったことのある生徒の中で、夜中に鬼の形相をした女に追いかけられたと言う生徒も少なくはなく、何度も警察や退妖士が出向いてはいるのだが、未だに捕まえることができていないらしい。そういうこともあってか、あの辺りのマンションやアパートは軒並み賃貸料が安く、近くの商店街も大手のスーパーなんかよりも幾分かはお買い得になっている。
「千影って一人暮らしなのか?引っ越したばっかだっていうのに大変じゃないか?」
「えっと……最近の引越し屋さんってただ持ってくるだけじゃなくて、セッティングも全部してくれるようになってるから、荷解きの心配はないんですけど……まだご近所さんに馴染めなくて…」
喋るほどに尻つぼみで小さくなっていく声。あぁ、周りが妖怪しかいないんだな。
「で、でも…頑張って馴染めるように頑張ります。」
「そのいきよ、千影。なにか困ったことがあったら私達も手伝うから。勿論、露峯もね。」
「ふぇっ!?あ、あの…わわわわわわたし、べ、別に露峯さんとは何も…」
しどろもどろになりながらも、きちんと女子生徒と会話ができている陽向を見て、今朝方感じた不安はもう心配することないなと安堵する。すると、僕よりも先に準備が終わった剣持や銀羽等の一緒に帰る面子が僕の机の周りに集まり始めてしまった。時間をかけすぎたらしい。
「露峯、まだかかるか?」
「おう、今終わったよ。それじゃあ、陽向、またあした。」
「は……はい!ま、またあした!!」
またもや教室中に聞こえるほどの叫びに似た挨拶をし、注目を集めてしまう陽向。クラス中から「また明日」とか「またねー」なんてからかい混じりの声が飛びかい、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
こうして、ひと波乱起こると思われた学校での1日は終わりを告げた。
次の日―――
陽向は学校に姿を見せなかった。
◇
陽向千影が転入してきた次の朝、家に財布を忘れるという凡ミスをしてしまい、結局僕が登校できたのは朝のSHR直前になってであった。
教室に入ると座席はほとんどが埋められており、空いてる机は全部3つ。一昨日の放課後に全身がバラバラに分解してしまった継早、僕、それと―――僕の左隣の陽向の席である。
「あれ、陽向はまだ来てないのか?」
僕は右隣に座る剣持に、そう訪ねてみた。SHRギリギリということもあって既に彼の首も彼の体のもとへと戻ってきている。「転入生?そういえば…今朝はまだ見てないな。」と、荷物だけおいてどこかに行ってるわけではなく、そもそも登校すらしていない様子である。
僕が入ってからそんなに時間を経たずして出席簿と配布用のプリントを手にした幼先生が教室に入ってくる。
「起立、礼。」
教卓の向こう側、所定の位置についたところで鍛冶町が号令をかけて朝の挨拶をする僕ら。着席をすると、先生がまずは、と列の先頭の生徒の机にプリントを置いていく。受け取った生徒の反応は、皆一様にその内容を食い入るように見るといったものである。
僕のところにもプリントが回ってきたので、1枚抜いて後ろに回す。どれどれ…目を通したその内容に、僕は目を見開く。
『口裂け女出没の注意 出没地域:戻り橋~二ツ岩周辺 付近の生徒は登下校に気をつけましょう』
端までプリントが行き渡ったらしく、幼先生が教卓の横に移動をして補足説明が入る。どうやら、戻り橋~二ツ岩を巡回していた自転車に乗った警察官が2名、深夜2時頃に出歩いている若い女を見かけたらしい。その女性はトレンチコートを羽織り、顔の半分以上を覆い隠すほどの巨大なマスクをしていたそうだ。今の時期は花粉も飛んでいるのでそれ程気にもしていなかったのだが、女性の横を通り過ぎようとした時、女性の方から警官の方に声をかけられたと言う。
「ねえ、私…綺麗?」と。
そのまま無視をすれば良いものの、この警官はお調子者だったのか、「綺麗なんじゃないですか?」と態々答えてしまったらしい。すると、女は徐に顔のマスクを外し――頬骨、耳元、エラ骨に枝別れをしながらパックリと裂けた口を顕にして「……これでも……?」と問いただしてきたそうだ。
例に漏れずこの警察官2名もその顔を見た彼女を化物扱いした。化物を見るように悲鳴を上げ、逃げ出そうとした。が、逃げられない。走り出した目の前に彼女が回り込んでいたからだ。意を決した警察官が彼女に向かって発砲をすると、彼女はゲラゲラと笑い声を発しながら、4本の腕を生やして逃げていったそうだ。
先生の話を聞き、なんだそれは…と皆が思っただろう。詳細な絵が書かれたプリントを見ている僕も、その異様な形相には絶句をしている。口裂け女というのは想像の中ではただ耳まで裂けているだけだと思っていた。それだけでも十分怖すぎる。にも関わらず、この絵の中の口裂け女は都市伝説というよりも寧ろ宇宙人だ。○レデターである。こんなの逃げ出すに決まってる。
逃げ出したら逃げ出したで先回りをしている。こちらが抵抗をしたらすぐに逃げ出し、もしも見失えば次はいつ襲われるのかわからない恐怖にこちらが苛まれる、と。
「近隣の生徒の家には注意をするよう連絡を入れました。なので、本日は陽向さんはお休みをしますと連絡を受けています。」
転入早々に休んだ理由はこれか、と納得せざるを得ない。怖がりな彼女は今でもきっと自分の家でブルブルと恐怖と戦っているに違いないのだから、誰も彼女を責められないだろう。
SHRが終わり先生が教室を出て行くと、剣持が僕に話しかけてくる。内容は勿論口裂け女に関してだ。
「今のご時世に口裂け女かー…いや、今だから出てきやすくなったってことか?」
「都市伝説の中だと大物中の大物だけど、子供達の噂と大人たちの作り話っていうのが殆どだからな。『混沌災』以降ははっきり言って口裂け女よりも怖い奴らがウヨウヨ彷徨いてるわけじゃない?廃れもするよ。」
「口裂け女って大人の作り話なん?」
「一応昔から存在するって言われてるのもあるよ。主に岐阜県がその内容の中心になってて、女の怨念とか恋人に会うために山を隔てた町へ行く時、独り身で山道を行くのは物騒っていう理由で、白装束に白粉を塗り、頭は髪を乱して蝋燭を立て、三日月型に切った人参を咥え、手に鎌を持って峠を越えたっていうのがある。」
「ジェネレーションギャップっつーか…変わった時代だったんだな。そんな格好で彼女が来たら100年の恋も冷めるわ。」
「岐阜県での最初期の噂だと、その正体が精神病院からの脱走者として語られていて、70年代に大垣市で座敷牢に閉じ込められていた精神病女性が夜ごとに外出、精神に異常を来たしているために口紅を顔の下半分に塗りたくり、それを見た人が驚いたっていう話や、多治見市の著名な心霊スポットのトンネルで精神病の女性が徘徊して子供を脅かしていたという話が元になったといわれていて、その後も精神病=口裂け女っていう風に結びつける事が多いよ。驚くことにいずれも中京地区、特に岐阜県近辺が発祥である点はほぼ一致してるんだ。」
「岐阜県での噂になってるのは県民性か?」
「もしくは、位置的に日本の中心地にあるから、噂が集まりやすかったのかもしれないな。県民性としては自分の身内をとにかく大事にしようとしているから、夜遅くまで遊ぼうとする子供を早く帰らせるために大人たちが作り出した――っていう考え方もある。」
はぁ…とここまで聴き終えたところで剣持が椅子の背もたれに寄りかかって何かを考え込んでいる。この格好はあれだな、まだなにか引っかかってるってところか。
「なぁ、さっきから口裂け女の話してるけど…うちは整形失敗の話って聞いたけどそれも大人の作り話ってこと?」
「あぁ、それだ。なんか忘れてると俺も思ってたんだ。」
前の席に座る『砂かけ』の有鳩 末貞である。彼もこの話に興味を持ったのか体を横にし、こちらに顔を向けてくる。僕らよりも肌が白く、ややしゃくれ気味の長い顔が特徴的な独逸生まれである彼がこの手の都市伝説に食いついてくるのは珍しい。
「そっちは90年代に広まった噂だな。90年代に美容整形が話題になり、当時の漫画やアニメでも怖い話が掲載・放送されたことにより、それらを愛読・視聴していた子供達の間で爆発的に広がったのが原因だと思われる。こっちに関しては眉唾物だが噂の広がり方を検証するためにCIAが流したっていうのもあるな。」
「なんかそう言われると嘘って感じがプンプンするな。」
「あと、これもあくまでも噂の範疇を超えないんだけど…口裂け女は複数いるらしい。」
「?噂が沢山あるならそりゃあバリエーションも増えるんじゃないか?」
剣持の答えはけっして間違ってはいない。有鳩も同様の意味に聞き取れたのか剣持の言葉に頷いている。恋人に会いにいく女、精神異常の患者、整形失敗――いずれも単独を思わせる内容である。だが、そんな彼らに対して僕は首を左右に振り、そうではないと告げ。
「口裂け女は実は姉妹なんじゃないかって噂だよ。」
「え?何人もいるの?」
「でも、今聞いた話だと口裂け女ってどう考えても1人しか登場してないだろ?」
「そう。これに関しては僕らが『嘘くさい』って思った整形に失敗した女っていうのに出てくるんだ。あろ所に3姉妹がいて、長女は整形手術の失敗で口が裂け、次女は交通事故で口が裂けた。3女は口が裂けていなかったんだけど、嫉妬した姉たちによって口を裂かれたってパターン。3姉妹のうちの1人が生まれつき口が裂けていたので、ほかの2人は同情し、1人は自分で口の片方を裂き、もう1人は口紅で口を大きく見せるようにしたってパターン。いずれも3人で道行く人に「誰が綺麗?」って聞くんだよ。」
「答えたらどうなるんだ?」
「簡単さ。選ばれなかった姉妹に殺されて御終い。」
「最悪じゃないか」
この3姉妹は性質上1人よりもタチが悪い。相手が1人ならばまだなんとか逃げる手立ては考えられるのだが、これが3人に増えてしまうと、途端に逃げ場がなくなるのだ。後、これは話していないが他にも江戸時代には似たような話があるが、こちらは狐が化けた姿であると知られている。そう考えると、もしかしたら犬神憑きや銀羽のような狼男、獣人という線も捨てきれない。
「対処法は?逃げる術はないのか?」
「あるよ。本当かどうかは知らないけど――1、べっこう飴が好きであげると喜んで見逃す。2、べっこう飴が嫌いであげると逃げ出す。3、豆腐を見せると逃げ出す。こんなところでどうだろう。」
「そんなんでいいの?ポマードは?」
「そっちは90年代になってから広まった噂の方だからな…。後、ポマードで逆上するって言うのを聞いたことがあるから念には念を入れてやめておいた方がいいかもしれないな。」
なるほどー、とどうやら納得をしてくれたらしい。そもそも髪にポマードを塗るならともかく、口でポマードと叫ぶだけで相手が苦しむなんてどんな呪いの言葉だよ、と前々から思っていた。吸血鬼に向かって「ニンニク!」と叫ぶようなもんだ。絶対に殺されるに決まってる。
「ただ、今回目撃された口裂け女の腕が生えたっていうのは説明がつかないな。」
「確かに……そればかりは僕にもさっぱりわからないよ。まぁ、今まで話したのも、あくまでも僕の予想というか妄想というか、噂をまとめただけに過ぎないしね。確証があって話をしていたわけじゃないさ。」
「いや、でも勉強にはなったな。」
「あぁ、とりあえず帰りにべっこう飴を買い占めていくぜ!」
頑張ってくれ、と僕が応援すると同時に1限目の教師がやってきたことでこの話はお開きとなった。だが、僕の疑問はまだ残る。果たしてべっこう飴ってどこで手に入るのだろうか?
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