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Beauty or dead
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仮面が壊れたことで隠すことをやめたその姿は、ただ只管に巨大な蜘蛛であった。赤いトレンチコートであった部分は赤い甲殻へと変貌し、黒い髪となっていた部分は黒い毛を生やした頭部へ。人の腕は既にそこには存在せず、胴体部だけで3メートル程度、足まで含めたら更に大きいだろう。歯を鬼蜘鬼蜘と鳴らしながら、赤い八つ目を忙しなく動かし続け、3人と玄関に逃げ込んだ4人を見つめている。
先に動いたのは、絡新婦ではなく、絡新婦が捉えている7人でもなかった。絡新婦の動きがピタリと止まり、今にも動き出さんとしているその刹那、絡新婦を下から持ち上げる2つの影。未だに下敷きにされ続けている僕と剣持である。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「気張れやあぁぁぁぁぁっ!!」
両手両足全身に力を漲らせ、潰されまいと踏ん張りながら無理やり持ち上げている。気合や根性論ではない。僕と剣持の体には、それぞれが先ほどまでなかった現象が起きている。
僕の場合は黒髪の前髪の1部分だけが赤く染まり、怒髪天を衝く様に逆だっている。これは僕が『鬼』として覚醒をした証であり、後ほど体に反動が来る代わりに、この状態の僕は普段よりも遥かに筋力がパワーアップしている。
そして、僕だけではなく力を覚醒させているのがもう1人。剣持は『首なし騎士』としての能力を発揮し、その身を漆黒の甲冑に身を包ませ、両手両足を使って力尽くで持ち上げている。
「投げるぞぉぉ!」
「っしゃぁ、三条…潰せぇ!!」
いくら普段よりも能力を向上させているからといっても限界はある。僕と剣持はあっさりと絡新婦の体を銀羽達目掛けて放りなげ、銀羽達は飛んできた絡新婦を避けるように空へと飛ぶ。
「おぶさりたぁーいっ!!」
瞬間、地面に叩きつけられる絡新婦の巨体。僕らが声をかけたのは銀羽達ではなく、非戦闘員であった鍛冶町を守るための護衛役である『背負われ妖怪』の三条である。僕たちが絡新婦を持ち上げたと同時に、『ガラッパ』の種子島が、三条を空中目掛けて勢いよく投擲。後は僕らがその場所めがけて投げた、というのがこの攻撃の真相である。
おばりよんの体が僕らよりも大分太ましいのは、不摂生な生活をしているからではなく、彼の体は純金を常にまとっているような状態なのである。彼はデブなのではない。常にその全身に重金属を纏い、○イヤ人のような修行をしている猛者なのだ。だが、彼は自らの性質上絶対にそれを外すことができず、結果として素早い動きができずにいつも護衛として戦えないものを守っているのだ。
「銀爪!」
叩きつけられた直後の絡新婦の首目掛けて銀羽の爪が振り下ろされる。だが、銀羽の体に鞭の如くしならせた絡新婦の腕が叩きつけられる。
「クソッ…」
「三条、どけ!」「応よ!」
上に載っていた三条が飛び退くと、直前までいた場所を蜘蛛の爪が通り過ぎる。少しでも遅れていたら、串刺しになっていたことだろう。
「小豆散弾!」
離れた塀の上から『小豆洗い』糸魚川の投げつけた小豆が蜘蛛に降り注ぐ。ただ投げつけられただけならば大したことはないが、日頃鍛えている糸魚川の全力投球の小豆は最早殺傷能力の低い拳銃と同威力であり、それを複数投げつけることで起きる被害範囲と破壊力は技名通りショットガンと遜色がない。
絡新婦の全身には穴こそあきはしなかったが、細かい罅が至るところに発生しており、血を流している箇所もある。
現状は僕たちが押している。ここまで確かにダメージを受けてはいるが、致命的になった傷は1つもない。巨大化したのが仇になったのか、絡新婦の体を挟んで後ろに僕達、前を2人、左右にそれぞれ1人ずつで取り囲むような陣形を組んでいる。
「一気に決着つけるぞ!」
「ギィッ」
そうはさせない。絡新婦のそう叫んだような鳴き声と全身を褐色に変色させる様から、ここからはこれまでと同じにはいかないのだろうと全員が悟った。
「ギッ!」
「――クッ!?」
「三条!!」
前足の鎌が凄まじいスピードで種子島の肩にくい込む。すかさず銀羽がそれ以上はやらせるかと鎌を殴りつけるのだが、続く自ら目掛けて突き出された鎌を避けることができず、種子島諸共吹き飛ばされた。目を見開いてその光景を目撃していた三条を、糸魚川が注意を促すように叫び声をあげる。視線を外してしまった隙をつかれ、中足の鎌によって前方へと薙ぎ払われる。いくら金属を纏っているから重いとは言え、蜘蛛の脚力の前では動かせないほどではないらしく、地面を数回転がり、何とか体勢を立て直そうと立ち上がったところを狙いすましたかのようにお返しだと言わんばかりに前足で踏みつけられて地面に縫い付けられる。
糸魚川も、三条に注意を奪われた瞬間を狙われて蜘蛛の鎌に襲われるのだが、接近戦を主とする彼女は蜘蛛の足を逆に捕まえることに成功をし、今度こそ引っこ抜かんと全力で引っ張る。
僕と剣持も彼女の邪魔はさせまいと彼女に襲いかかる2本の腕を全身で掴み、同じく引きちぎらんと万力の力を籠める。
「ギイイッ」
だが、元々の体積さがあまりにも違いすぎるのだ。引っ張り続けている僕らを、蜘蛛はそのまま持ち上げる。重いし凄い引っ張られているけれども、持ち上げられないわけではない状態であるのだ。だが、持ち上げられた僕らを地面に叩きつけることは出来なかった。僕らに気を取られすぎていて、目の前に躍り出ていた2人に気がついていなかったのだ。
「狐火!」「火車!」
無防備なところに飛んできた炎弾と火の輪を浴びてしまい、悶え苦みだす。前に後ろにと無造作に足が振られ、僕らはその勢いに耐え切れずにそのまま吹き飛ばされる。叩きつけられるよりかはダメージが少ないが、それでも投げ飛ばされ、高所から落とされたことで多少のダメージを受ける結果になった。
だが、まだ戦えないわけではない。
「今が千載一遇のチャンス!」
「っしゃぁ、そんじゃあ俺の切り札を見せてやる!」
剣持が腰に指していた警棒を引き抜き、一気に伸ばす。普段の制服姿から鎧の姿になったのと同じく、警棒はその姿を黒い剣に変貌させる。だが…以前見たときにはバスタードソードぐらいの大きさだった剣は
、今ではショートソード程度の大きさしかないように見える。
「お前…前に見たときよりも剣のサイズが小さくなってないか?」
「おう、相棒が古いから今の俺の魔力も中学の頭ぐらいまで落ちてるんだよな。」
そういえば、忘れていたけれどもこいつはデュラハンなのだ。首なし騎士は首が離れていたり、死を伝えに来るといったイメージが強いのだが、どのような伝承でも常に首のない馬を自らの分身、相棒として引き連れている。それはこいつも例に漏れず、頭のない馬の代わりにヘッドライトのないママチャリを相棒として乗り回していた。その相棒はつい先日、不幸な事故によって壊れてしまい、今は過去に使っていたものに乗っているのだ。デュラハンにとって半身とも言える相棒がいなくなってしまい、コイツ自身の魔力も大分落ちてしまっているとのことだ。
「お前、そういうことは早く言えよ」
「悪い、俺もこんなことになったのは初めてだったんでよ。でも安心しろ!切れ味とか威力は落ちても、この剣は前と同じで絶対に折れないからな!」
絶対に折れないか。詳しい硬度は僕も知らないが、こいつがそういうのならば僕はそれを信じる。
「それじゃあ……さっさと止めと行きますか。」
「強気に出たな。」
「信じないのか?」
「馬ッ鹿、勝ちの目が見えたんだろ?お前が止めをさせるって言うんなら俺はそれを信じるよ。」
こいつと同じ思考をしていたのが気恥ずかしくなり、僕の顔が今日1番で歪む。その顔を見て「どうした?」と訊ねてきたので「お前と同じことを考えたのがすごい嫌だ」と正直に答えてやると、黙って左拳を突き出してきた。黙って右拳をぶつけ、後はもう言葉はいらなかった。
「銀羽、糸魚川、多少無茶してでもこいつの動きを止めろ!種子島と三条は打ち上げ花火の準備だ!夜湖と仙狸は1匹目と同じで火炎旋風の準備を頼む!」
「気楽に言ってくれる」「多少無茶って…」
「ケケケ…三条もっぱついけるか?」「行かないと…駄目だろ」
僕の指示に渋々といった様子だがみんな従ってくれるようだ。声色から勝利を確信したことを察したのかもしれない。蜘蛛から距離を取った僕はその場に左膝を付き、右手のひらを上に向けた状態で右肩に乗せ、左手は手のひらを上に向けた状態で右太ももの上に乗せる。これで僕の準備は完了である。
「っしゃあ!糸魚川、気合い入れろよ!」
「任せろ銀羽!」
奇しくも銀羽と糸魚川がとった構えは全く同じスタイルであった。両足の膝を体の外側に向け、腰を低く落とし、両手を握り締めて地面につける――相撲の力士の構えである。その後ろでは夜湖と仙狸が本日2回目の合体技の準備を始めている。
「あいつも猫使いが荒いにゃー」
「食われろって言わないだけ今日は割とまともだぜ?」
「なんのフォローにもなってないにゃー」
人一人分のスペースを空けて横並びになる両者。片や硬質化させた尻尾に硬質化させた拳を叩き込んで火花を発生させ、片やフサフサの尻尾が背後で高速回転をし、発生した摩擦によって車輪が回転しているように炎が発生をさせている。
「多分上げるだけ上げるけど、これが最後だな。もう一発はあたしの腰がもたねぇ」
「もう一発あれば十分さ。何をやるかはわからんが、上で合わせてみせるぜ」
誰よりも後方でクラウチングスタートの体勢になっている三条と、壁際に寄って呼吸を整える鍛冶町。全員の準備が整ったらしく、周囲の緊張感が最高潮に達し―――連戦となった『口裂け女』との決着が着いたのは、それから7秒後のことであった。
◇
――1秒
『火炎旋風』。その技の危険性は絡新婦も察していたのか、全ての足を駆使することで一旦その場で大きく沈み込み、そして、空中に大きく跳躍をした。構えから糸魚川と銀羽の防御を突破するのは至難であると判断をし、それならばと直接背後の夜湖と仙狸を狙いに行ったのだ。
これには皆驚きを――する者はいなかった。着地地点にいた夜湖と仙狸は直ぐにその場から後退をして踏み潰されるのを避け、せいぜい絡新婦が着地をした際の地面の衝撃で多少よろけたぐらいである。
――2秒
着地をした絡新婦はすぐにでも追撃をしようと手を伸ばした。だが、その真後ろから何かが自分を引っ張ることに気づいた。何者かはわかっている。狼男と鼬だ。だが奴らなら何も問題はなかった。自分が少し強く押せばすぐに吹き飛んでしまう奴らだ。そのことを知っていた絡新婦はまた力を入れて移動をするだけで動くと思っていた。だが、動かない。このときはどれだけ力を篭めようとも微動だにすることがなかった。
「逃がすかぁ!」
「グルルラァァァァl!!」
どれだけパワーがあっても体格差で圧倒的に劣ることになる2人は、それならばと相手よりも更に巨大な存在を味方につけることにした。それは僕らの足元に広がる『地面』だ。両手両足の爪を地面に喰い込ませて絶対にその場から動くまいとし、離れていこうとする絡新婦の足の付け根に牙を立てて食いついている。
――3秒
「今だ剣持!こい!」
「っしゃぁ、行ってくるぜ!」
動きが止まった。目標地点が定まった僕は、親友の名前を呼ぶ。それに元気よく応えた奴は、僕へと向かって全速力で突っ込んでくる。一切のブレーキをかけることなく、僕の体を駆け上がるように左足は僕の右肩に添えられた右手に、右足は僕の右足に添えられた左足に載せられる。剣持の体が完全に僕の上に乗っかった瞬間、勢いよく立ち上がりながら剣持の体を空中へと一直線に放り投げる。助走+鬼の筋力によって勢いよく飛んだ剣持の体と、反対側から飛んできた何かの影が合わさる。三条だ。
反対側では、三条が同じように絡新婦の動きが止まったと同時にダッシュを始め、タイミングを見計らって種子島が勢いよく三条の体を空中に救うように蹴り上げた。三条の足や腰にかかる負担は計り知れなかったが、それでも三条の体はそのまま空中で無事に剣持と合流を果たしたのであった。
――4秒
「っしゃぁドンピシャ!」
「待ってた。こいつを下に向けて持ってろ」
投げられた剣持が蹴り飛ばされた三条を受け止め、三条に愛剣を差し出す。受け取った三条は言われた剣の鋒を真下の絡新婦に合わせ、そして――
「決めてこい」
「任せろ!」
足に乗っかった三条を目標めがけ、一気に蹴り出した。
――5秒
絡新婦は自分よりも小さなものが自分の邪魔をしていると知り、憤りを隠せなかった。そんなことがあってはならない。先程まで自分にいいように転がされてた者共が、どうして自分の邪魔をできようか。地面に爪を突き刺し、前に前にとその体に力を籠めて動いていく。糸魚川と銀羽の爪の付け根と口から赤い雫が見える頃、待っていたものは空からやってきた。
「おぶさりたぁーいっ!!」
凄まじい衝突音と共に、絡新婦の中心部へと落下してきた三条は『背負われ妖怪』と言うより最早『流星』であった。その巨体が中央からくの字に曲がり、長い手足を一際ピクピクと痙攣させている。その胴体には剣持の剣が貫通して地面に縫い付けんとするように深々と刺さっていた。
――6秒
「止めだ…夜湖、仙狸、頼んだ!」
「任せろ(にゃー)!」
仙狸の背後で回転をしていた火の輪がその回転を止ませぬまま夜湖の目前へと移り、バスケットボール大の狐火である『狐火玉』が、火の輪の形を崩すことなく注がれ続ける。
回転を続けながら次第に輪郭を太くしていく火の輪は、やがてその形を維持することができなくなり、そこに後ろから軽い衝撃を与えることで、前方へと狙いを定めた指向性の衝撃波となって蓄積された炎が一気に拡散をする。これが『火炎旋風』である。
「皆、こっちだ!早く早く!」
三条に続いて蜘蛛の上に落ちた剣持が、突き刺さったままの剣は放っておいて、三条を慌てて連れだす。それに次いで糸魚川と銀羽も同時に僕の方へと逃げてくる。
――7秒
身動きが取れない絡新婦の体を炎が包み込む。意識を取り戻し、ジタバタと足掻きはすれども、地面に縫いつけられた体では身動きをとることができない為、甲殻、関節、内臓、全てを余すとこなく炎が収まるまでの間焼かれ続ける。
「ギィ!ギィギィギィィィィッ!!」
断末魔の絶叫を上げながらゆっくりとその動きを緩めていく絡新婦。炎が完全に収まったとき、それまで僕たちを苦戦させていた巨体はどこにもなく、地面に突き刺さった剣持の剣だけが、その場には残っていた。
◇
「厄介極りない相手だったな…」
「あぁ。ここが狭い道だったからなんとかなったけど、もっと自由に動き回れる広場とかだったら確実に負けてた。」
「おい、剣を拾わなくていいのか?」
「あんだけ熱せられたら絶対に熱いじゃん。嫌だよ終わってから火傷するなんて。」
「銀羽と糸魚川も大丈夫か?血が出てるけど」
「ちょっと爪が剥がれかけたぐらいでそこまで大袈裟じゃねぇよ」
「同じく。」
戦いが終わり、僕たちは思い思いの言葉を口にし、和やかなムードに包まれる。マンションに避難していた鍛治町を三条が呼びに行き、全員が互いの無事を喜び合っている。
「ごめん…私何もできなくて」
「気にすんなって。適材適所、こういうのは出来る俺らに任せてくれればいいんだよ。」
「そうそう、鍛治町は鍛治町にしかできないことがあるんだ。だろ?」
「……ごめん。」
よっぽど戦えなかったことが悔しいのか、昨日の陽向みたいに俯いてしまう鍛治町。僕らはどう声をかけたものかと思い悩むが、鍛治町は徐に両頬をパチンと叩いた。
「次は絶対に私も協力できるように頑張るからね!」
「お、おう…頼んだ。」
「ケケケ、鍛治町はやっぱりこうでなくっちゃ。」
知らなかったけど鍛治町って実はこういう奴だったのかな?と気押される男子陣とは逆に、流石!と盛り上がる女子陣。空気が払拭できてよかったけど、意外な一面を見て僕は苦笑いをしてしまう。
「そういえば……結構派手に音とか衝撃とか出してたけど、全然騒がれないな…」
「戦ってる時は全然気にならなかったけど、誰も顔を見せないっていうのは…確かに異常かも。」
「あ、それなんだけど…外にいた時は確かに音がしたんだけど、マンションの中だと全然外の音が聞こえなかったわ。」
「は?すっげー音出してたんだぜ?三条とか隕石が落ちたんじゃないかってぐらいの勢いで攻撃してたし。」
「俺だけじゃないよ!?夜湖とか仙狸とかの火炎旋風も周りの家を燃やすんじゃないかってハラハラしたし」
「にゃーの炎はそう簡単に燃え移ったりするような鈍ら炎じゃないにゃー」
「右に同じく。だけど、確かに派手な音は何回かあったよな。」
僕らの視線は壊れた壁や地面に向けられる。あれだけ派手に戦っていたのに、今の今まで誰にも目撃されていないというのはおかしい。時間もまだ19時になるかならないかというところである。ならば、帰宅をする学生等に少なからず目撃をされていてもおかしくはないはずなのだが――
「たまたま…ってことでいいんかな?」
「そのたまたまが怖いんだけど…」
拭い切れない不安を抱えてはいるものの、当面の脅威は間違いなく去っているはずだ。破壊した道路などの説明をしなければならないので、銀羽が警察を呼んで、来るまでの間は暫し口裂け女の正体であった絡新婦の話をし続けるのであった。
先に動いたのは、絡新婦ではなく、絡新婦が捉えている7人でもなかった。絡新婦の動きがピタリと止まり、今にも動き出さんとしているその刹那、絡新婦を下から持ち上げる2つの影。未だに下敷きにされ続けている僕と剣持である。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「気張れやあぁぁぁぁぁっ!!」
両手両足全身に力を漲らせ、潰されまいと踏ん張りながら無理やり持ち上げている。気合や根性論ではない。僕と剣持の体には、それぞれが先ほどまでなかった現象が起きている。
僕の場合は黒髪の前髪の1部分だけが赤く染まり、怒髪天を衝く様に逆だっている。これは僕が『鬼』として覚醒をした証であり、後ほど体に反動が来る代わりに、この状態の僕は普段よりも遥かに筋力がパワーアップしている。
そして、僕だけではなく力を覚醒させているのがもう1人。剣持は『首なし騎士』としての能力を発揮し、その身を漆黒の甲冑に身を包ませ、両手両足を使って力尽くで持ち上げている。
「投げるぞぉぉ!」
「っしゃぁ、三条…潰せぇ!!」
いくら普段よりも能力を向上させているからといっても限界はある。僕と剣持はあっさりと絡新婦の体を銀羽達目掛けて放りなげ、銀羽達は飛んできた絡新婦を避けるように空へと飛ぶ。
「おぶさりたぁーいっ!!」
瞬間、地面に叩きつけられる絡新婦の巨体。僕らが声をかけたのは銀羽達ではなく、非戦闘員であった鍛冶町を守るための護衛役である『背負われ妖怪』の三条である。僕たちが絡新婦を持ち上げたと同時に、『ガラッパ』の種子島が、三条を空中目掛けて勢いよく投擲。後は僕らがその場所めがけて投げた、というのがこの攻撃の真相である。
おばりよんの体が僕らよりも大分太ましいのは、不摂生な生活をしているからではなく、彼の体は純金を常にまとっているような状態なのである。彼はデブなのではない。常にその全身に重金属を纏い、○イヤ人のような修行をしている猛者なのだ。だが、彼は自らの性質上絶対にそれを外すことができず、結果として素早い動きができずにいつも護衛として戦えないものを守っているのだ。
「銀爪!」
叩きつけられた直後の絡新婦の首目掛けて銀羽の爪が振り下ろされる。だが、銀羽の体に鞭の如くしならせた絡新婦の腕が叩きつけられる。
「クソッ…」
「三条、どけ!」「応よ!」
上に載っていた三条が飛び退くと、直前までいた場所を蜘蛛の爪が通り過ぎる。少しでも遅れていたら、串刺しになっていたことだろう。
「小豆散弾!」
離れた塀の上から『小豆洗い』糸魚川の投げつけた小豆が蜘蛛に降り注ぐ。ただ投げつけられただけならば大したことはないが、日頃鍛えている糸魚川の全力投球の小豆は最早殺傷能力の低い拳銃と同威力であり、それを複数投げつけることで起きる被害範囲と破壊力は技名通りショットガンと遜色がない。
絡新婦の全身には穴こそあきはしなかったが、細かい罅が至るところに発生しており、血を流している箇所もある。
現状は僕たちが押している。ここまで確かにダメージを受けてはいるが、致命的になった傷は1つもない。巨大化したのが仇になったのか、絡新婦の体を挟んで後ろに僕達、前を2人、左右にそれぞれ1人ずつで取り囲むような陣形を組んでいる。
「一気に決着つけるぞ!」
「ギィッ」
そうはさせない。絡新婦のそう叫んだような鳴き声と全身を褐色に変色させる様から、ここからはこれまでと同じにはいかないのだろうと全員が悟った。
「ギッ!」
「――クッ!?」
「三条!!」
前足の鎌が凄まじいスピードで種子島の肩にくい込む。すかさず銀羽がそれ以上はやらせるかと鎌を殴りつけるのだが、続く自ら目掛けて突き出された鎌を避けることができず、種子島諸共吹き飛ばされた。目を見開いてその光景を目撃していた三条を、糸魚川が注意を促すように叫び声をあげる。視線を外してしまった隙をつかれ、中足の鎌によって前方へと薙ぎ払われる。いくら金属を纏っているから重いとは言え、蜘蛛の脚力の前では動かせないほどではないらしく、地面を数回転がり、何とか体勢を立て直そうと立ち上がったところを狙いすましたかのようにお返しだと言わんばかりに前足で踏みつけられて地面に縫い付けられる。
糸魚川も、三条に注意を奪われた瞬間を狙われて蜘蛛の鎌に襲われるのだが、接近戦を主とする彼女は蜘蛛の足を逆に捕まえることに成功をし、今度こそ引っこ抜かんと全力で引っ張る。
僕と剣持も彼女の邪魔はさせまいと彼女に襲いかかる2本の腕を全身で掴み、同じく引きちぎらんと万力の力を籠める。
「ギイイッ」
だが、元々の体積さがあまりにも違いすぎるのだ。引っ張り続けている僕らを、蜘蛛はそのまま持ち上げる。重いし凄い引っ張られているけれども、持ち上げられないわけではない状態であるのだ。だが、持ち上げられた僕らを地面に叩きつけることは出来なかった。僕らに気を取られすぎていて、目の前に躍り出ていた2人に気がついていなかったのだ。
「狐火!」「火車!」
無防備なところに飛んできた炎弾と火の輪を浴びてしまい、悶え苦みだす。前に後ろにと無造作に足が振られ、僕らはその勢いに耐え切れずにそのまま吹き飛ばされる。叩きつけられるよりかはダメージが少ないが、それでも投げ飛ばされ、高所から落とされたことで多少のダメージを受ける結果になった。
だが、まだ戦えないわけではない。
「今が千載一遇のチャンス!」
「っしゃぁ、そんじゃあ俺の切り札を見せてやる!」
剣持が腰に指していた警棒を引き抜き、一気に伸ばす。普段の制服姿から鎧の姿になったのと同じく、警棒はその姿を黒い剣に変貌させる。だが…以前見たときにはバスタードソードぐらいの大きさだった剣は
、今ではショートソード程度の大きさしかないように見える。
「お前…前に見たときよりも剣のサイズが小さくなってないか?」
「おう、相棒が古いから今の俺の魔力も中学の頭ぐらいまで落ちてるんだよな。」
そういえば、忘れていたけれどもこいつはデュラハンなのだ。首なし騎士は首が離れていたり、死を伝えに来るといったイメージが強いのだが、どのような伝承でも常に首のない馬を自らの分身、相棒として引き連れている。それはこいつも例に漏れず、頭のない馬の代わりにヘッドライトのないママチャリを相棒として乗り回していた。その相棒はつい先日、不幸な事故によって壊れてしまい、今は過去に使っていたものに乗っているのだ。デュラハンにとって半身とも言える相棒がいなくなってしまい、コイツ自身の魔力も大分落ちてしまっているとのことだ。
「お前、そういうことは早く言えよ」
「悪い、俺もこんなことになったのは初めてだったんでよ。でも安心しろ!切れ味とか威力は落ちても、この剣は前と同じで絶対に折れないからな!」
絶対に折れないか。詳しい硬度は僕も知らないが、こいつがそういうのならば僕はそれを信じる。
「それじゃあ……さっさと止めと行きますか。」
「強気に出たな。」
「信じないのか?」
「馬ッ鹿、勝ちの目が見えたんだろ?お前が止めをさせるって言うんなら俺はそれを信じるよ。」
こいつと同じ思考をしていたのが気恥ずかしくなり、僕の顔が今日1番で歪む。その顔を見て「どうした?」と訊ねてきたので「お前と同じことを考えたのがすごい嫌だ」と正直に答えてやると、黙って左拳を突き出してきた。黙って右拳をぶつけ、後はもう言葉はいらなかった。
「銀羽、糸魚川、多少無茶してでもこいつの動きを止めろ!種子島と三条は打ち上げ花火の準備だ!夜湖と仙狸は1匹目と同じで火炎旋風の準備を頼む!」
「気楽に言ってくれる」「多少無茶って…」
「ケケケ…三条もっぱついけるか?」「行かないと…駄目だろ」
僕の指示に渋々といった様子だがみんな従ってくれるようだ。声色から勝利を確信したことを察したのかもしれない。蜘蛛から距離を取った僕はその場に左膝を付き、右手のひらを上に向けた状態で右肩に乗せ、左手は手のひらを上に向けた状態で右太ももの上に乗せる。これで僕の準備は完了である。
「っしゃあ!糸魚川、気合い入れろよ!」
「任せろ銀羽!」
奇しくも銀羽と糸魚川がとった構えは全く同じスタイルであった。両足の膝を体の外側に向け、腰を低く落とし、両手を握り締めて地面につける――相撲の力士の構えである。その後ろでは夜湖と仙狸が本日2回目の合体技の準備を始めている。
「あいつも猫使いが荒いにゃー」
「食われろって言わないだけ今日は割とまともだぜ?」
「なんのフォローにもなってないにゃー」
人一人分のスペースを空けて横並びになる両者。片や硬質化させた尻尾に硬質化させた拳を叩き込んで火花を発生させ、片やフサフサの尻尾が背後で高速回転をし、発生した摩擦によって車輪が回転しているように炎が発生をさせている。
「多分上げるだけ上げるけど、これが最後だな。もう一発はあたしの腰がもたねぇ」
「もう一発あれば十分さ。何をやるかはわからんが、上で合わせてみせるぜ」
誰よりも後方でクラウチングスタートの体勢になっている三条と、壁際に寄って呼吸を整える鍛冶町。全員の準備が整ったらしく、周囲の緊張感が最高潮に達し―――連戦となった『口裂け女』との決着が着いたのは、それから7秒後のことであった。
◇
――1秒
『火炎旋風』。その技の危険性は絡新婦も察していたのか、全ての足を駆使することで一旦その場で大きく沈み込み、そして、空中に大きく跳躍をした。構えから糸魚川と銀羽の防御を突破するのは至難であると判断をし、それならばと直接背後の夜湖と仙狸を狙いに行ったのだ。
これには皆驚きを――する者はいなかった。着地地点にいた夜湖と仙狸は直ぐにその場から後退をして踏み潰されるのを避け、せいぜい絡新婦が着地をした際の地面の衝撃で多少よろけたぐらいである。
――2秒
着地をした絡新婦はすぐにでも追撃をしようと手を伸ばした。だが、その真後ろから何かが自分を引っ張ることに気づいた。何者かはわかっている。狼男と鼬だ。だが奴らなら何も問題はなかった。自分が少し強く押せばすぐに吹き飛んでしまう奴らだ。そのことを知っていた絡新婦はまた力を入れて移動をするだけで動くと思っていた。だが、動かない。このときはどれだけ力を篭めようとも微動だにすることがなかった。
「逃がすかぁ!」
「グルルラァァァァl!!」
どれだけパワーがあっても体格差で圧倒的に劣ることになる2人は、それならばと相手よりも更に巨大な存在を味方につけることにした。それは僕らの足元に広がる『地面』だ。両手両足の爪を地面に喰い込ませて絶対にその場から動くまいとし、離れていこうとする絡新婦の足の付け根に牙を立てて食いついている。
――3秒
「今だ剣持!こい!」
「っしゃぁ、行ってくるぜ!」
動きが止まった。目標地点が定まった僕は、親友の名前を呼ぶ。それに元気よく応えた奴は、僕へと向かって全速力で突っ込んでくる。一切のブレーキをかけることなく、僕の体を駆け上がるように左足は僕の右肩に添えられた右手に、右足は僕の右足に添えられた左足に載せられる。剣持の体が完全に僕の上に乗っかった瞬間、勢いよく立ち上がりながら剣持の体を空中へと一直線に放り投げる。助走+鬼の筋力によって勢いよく飛んだ剣持の体と、反対側から飛んできた何かの影が合わさる。三条だ。
反対側では、三条が同じように絡新婦の動きが止まったと同時にダッシュを始め、タイミングを見計らって種子島が勢いよく三条の体を空中に救うように蹴り上げた。三条の足や腰にかかる負担は計り知れなかったが、それでも三条の体はそのまま空中で無事に剣持と合流を果たしたのであった。
――4秒
「っしゃぁドンピシャ!」
「待ってた。こいつを下に向けて持ってろ」
投げられた剣持が蹴り飛ばされた三条を受け止め、三条に愛剣を差し出す。受け取った三条は言われた剣の鋒を真下の絡新婦に合わせ、そして――
「決めてこい」
「任せろ!」
足に乗っかった三条を目標めがけ、一気に蹴り出した。
――5秒
絡新婦は自分よりも小さなものが自分の邪魔をしていると知り、憤りを隠せなかった。そんなことがあってはならない。先程まで自分にいいように転がされてた者共が、どうして自分の邪魔をできようか。地面に爪を突き刺し、前に前にとその体に力を籠めて動いていく。糸魚川と銀羽の爪の付け根と口から赤い雫が見える頃、待っていたものは空からやってきた。
「おぶさりたぁーいっ!!」
凄まじい衝突音と共に、絡新婦の中心部へと落下してきた三条は『背負われ妖怪』と言うより最早『流星』であった。その巨体が中央からくの字に曲がり、長い手足を一際ピクピクと痙攣させている。その胴体には剣持の剣が貫通して地面に縫い付けんとするように深々と刺さっていた。
――6秒
「止めだ…夜湖、仙狸、頼んだ!」
「任せろ(にゃー)!」
仙狸の背後で回転をしていた火の輪がその回転を止ませぬまま夜湖の目前へと移り、バスケットボール大の狐火である『狐火玉』が、火の輪の形を崩すことなく注がれ続ける。
回転を続けながら次第に輪郭を太くしていく火の輪は、やがてその形を維持することができなくなり、そこに後ろから軽い衝撃を与えることで、前方へと狙いを定めた指向性の衝撃波となって蓄積された炎が一気に拡散をする。これが『火炎旋風』である。
「皆、こっちだ!早く早く!」
三条に続いて蜘蛛の上に落ちた剣持が、突き刺さったままの剣は放っておいて、三条を慌てて連れだす。それに次いで糸魚川と銀羽も同時に僕の方へと逃げてくる。
――7秒
身動きが取れない絡新婦の体を炎が包み込む。意識を取り戻し、ジタバタと足掻きはすれども、地面に縫いつけられた体では身動きをとることができない為、甲殻、関節、内臓、全てを余すとこなく炎が収まるまでの間焼かれ続ける。
「ギィ!ギィギィギィィィィッ!!」
断末魔の絶叫を上げながらゆっくりとその動きを緩めていく絡新婦。炎が完全に収まったとき、それまで僕たちを苦戦させていた巨体はどこにもなく、地面に突き刺さった剣持の剣だけが、その場には残っていた。
◇
「厄介極りない相手だったな…」
「あぁ。ここが狭い道だったからなんとかなったけど、もっと自由に動き回れる広場とかだったら確実に負けてた。」
「おい、剣を拾わなくていいのか?」
「あんだけ熱せられたら絶対に熱いじゃん。嫌だよ終わってから火傷するなんて。」
「銀羽と糸魚川も大丈夫か?血が出てるけど」
「ちょっと爪が剥がれかけたぐらいでそこまで大袈裟じゃねぇよ」
「同じく。」
戦いが終わり、僕たちは思い思いの言葉を口にし、和やかなムードに包まれる。マンションに避難していた鍛治町を三条が呼びに行き、全員が互いの無事を喜び合っている。
「ごめん…私何もできなくて」
「気にすんなって。適材適所、こういうのは出来る俺らに任せてくれればいいんだよ。」
「そうそう、鍛治町は鍛治町にしかできないことがあるんだ。だろ?」
「……ごめん。」
よっぽど戦えなかったことが悔しいのか、昨日の陽向みたいに俯いてしまう鍛治町。僕らはどう声をかけたものかと思い悩むが、鍛治町は徐に両頬をパチンと叩いた。
「次は絶対に私も協力できるように頑張るからね!」
「お、おう…頼んだ。」
「ケケケ、鍛治町はやっぱりこうでなくっちゃ。」
知らなかったけど鍛治町って実はこういう奴だったのかな?と気押される男子陣とは逆に、流石!と盛り上がる女子陣。空気が払拭できてよかったけど、意外な一面を見て僕は苦笑いをしてしまう。
「そういえば……結構派手に音とか衝撃とか出してたけど、全然騒がれないな…」
「戦ってる時は全然気にならなかったけど、誰も顔を見せないっていうのは…確かに異常かも。」
「あ、それなんだけど…外にいた時は確かに音がしたんだけど、マンションの中だと全然外の音が聞こえなかったわ。」
「は?すっげー音出してたんだぜ?三条とか隕石が落ちたんじゃないかってぐらいの勢いで攻撃してたし。」
「俺だけじゃないよ!?夜湖とか仙狸とかの火炎旋風も周りの家を燃やすんじゃないかってハラハラしたし」
「にゃーの炎はそう簡単に燃え移ったりするような鈍ら炎じゃないにゃー」
「右に同じく。だけど、確かに派手な音は何回かあったよな。」
僕らの視線は壊れた壁や地面に向けられる。あれだけ派手に戦っていたのに、今の今まで誰にも目撃されていないというのはおかしい。時間もまだ19時になるかならないかというところである。ならば、帰宅をする学生等に少なからず目撃をされていてもおかしくはないはずなのだが――
「たまたま…ってことでいいんかな?」
「そのたまたまが怖いんだけど…」
拭い切れない不安を抱えてはいるものの、当面の脅威は間違いなく去っているはずだ。破壊した道路などの説明をしなければならないので、銀羽が警察を呼んで、来るまでの間は暫し口裂け女の正体であった絡新婦の話をし続けるのであった。
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