1000人の特盛召喚記 mobに憧れた876番目の転移者

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交通の都ヘパイドン

21.煙

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遅くなってすみません。



 ノージス村が謎の煙に覆われ始める前、ノージス村から離れた森の中で拓郎とリゴラは木の上で煙に苦しめられていた。

 煙が発生したのは日が明けるか否かという時分、2人は偶々見つけた洞窟にて1夜を明かしていたのだが、ノージス村と同様に彼らの下へも白い煙が迫り、見張りとして起きていたリゴラはその異様な光景に思わず悲鳴を上げそうになっていた。
 リゴラは直様拓郎を叩き起そうとしたが、視認していたリゴラよりも先に、横になって寝ていた拓郎はその異様な臭いに気付いて目を開け、状況確認を開始している。煙は到達していないものの、地面に顔が近かった分、拓郎の方が臭いに敏感になっていたのだ。

 「な、なあ…ありゃ一体何だ?」
 「何って…なんだろな。霧ってわけじゃなさそうだ。」

 拓郎は袋に包まれたままの槍を手にし、リゴラも同じく自身の得物であるスリングショットと小盾を身に付ける。このままでは煙が洞窟に到達し、逃げ場のない洞窟では煙が充満する恐れもある為、彼らは洞窟を出る他ないのである。

 「もしかしてこの森に生き物がいないのってこいつらのせいか。」
 「どうだろな。昨日泊まった宿屋ではこんなのが出るとは言ってなかったし、もしかしたら俺がこの森に入ったことで発生したのかもしれないし。」

 前日、彼らが森に到着したとき、長年狩猟をしていた彼らの直感が「この森はやばい」と最大限で警鐘を鳴らしていた。
 本来であればモンスターなどが跋扈しているこの世界でも、鳥や虫といった生物も人間同様何事もなく生活をしている。地球の生き物と生態こそ違えども、彼らなりの暮らしというのが存在するのだ。
 平原や街中でさえそういった生き物がいるというのにも関わらず、この森にはそう言った生態系の存在が一切感じ取れない。
 鳴き声や移動の際に生じるであろう羽撃き、木々や葉のさざめきと言った音が全く聞こえない。
 リゴラが地面や木々を何本か確認したところ、動物の巣や、トロールがいたであろう痕跡をいくつも見つけることができた。だが、痕跡こそあれどもそれらの姿は見当たらない。

 それが一体何を意味するのか、それの調査の為にこうして一晩留まる事で何かがわかるのではないかと試してみたのだが、結果は予想を遥かに裏切るものであった。

 「どうする?」
 「と言われてもな…」

 足首までを完全に覆い隠し、地面に何が設置されているのかなど一切わからない。そうなると彼らが取れる手段は煙から極力離れて行動することであるが、木によじ登って周囲を見渡しても、煙で覆われているだけで昨日の森となんら変わりはない。何もないだけだ。

 「しっかし…この煙は一体何なんだよ…。胸糞悪い臭いがプンプンしやがる。」
 
 吐き捨てるようにリゴラが悪態をつき、それに同意するように拓郎も頷きどこかで嗅いだ覚えのある臭いだと記憶を掻き漁る。
 
 「思い出した、そういえば貴族が使ってるパイプがこんな臭いだった気がするわ。」
 「……あぁ、ヤニの臭いか。言われたら思い出すな。」
 
 拓郎の記憶の奥底に眠っていたのは、リゴラが挙げたこの世界の煙管などではなく、転移前に嗅いだ覚えのある煙草であった。
 この臭いの発生源が一体どこなのか?2人が共に予想をしていたのは、この場より少し離れたところにある森の切れ目で、外に出るわけでもなく、木が一切生えていない場所で、小さな公園がスッポリ入るぐらいに広い空白である。

 「行くしかないか…。先行頼む。」
 「超行きたくねー。」

 文句を口にしつつも、言われた通りに前方と上下を警戒しつつ、先行をするリゴラと後方と左右を警戒しながら続く拓郎。飛び移る際の衝撃を考慮し、同時に同じ木に着地をしないように注意をしながら、彼らは目的地へと着実に近付いて行く。
 すると、目前にてリゴラの動きが止まる。拓郎も同様に動きを止めると、声を出さないよう「こっちにこい」とハンドサインが送られ、言われるがまま拓郎はリゴラの止まっている木に飛び移る。
 
 広場を目視できる距離になったが、中央の煙の発生源と思しき場所に1人の男が立っていた。

 「どうする?」
 「まぁ、普通に考えたら敵だろうな。」

 男の格好は20代前半と言ったところだろうか。黒い髪を後頭部で縛っており、顔にはサングラスのような黒色レンズの眼鏡をかけている。皮膚は見えてる部分だけでも全体的に青白く、何より違和感が強いのは、中世的なこの世界で、近代的である黒いライダージャケットのような服に身を包んでいるのだ。
 口に咥えている物も場違い感が凄まじい。煙管やパイプといった道具ではなく、拓郎もよく知る現代日本に存在した紙巻き煙草だ。
 転移者か、転移者から荷物を簒奪した何者かである。前者なら交渉の余地が出てくるが、後者ならば先制して攻撃をしてしまった方が楽だが――。

 「俺が接近する。やばそうだったら援護射撃を頼む。」
 「わかった。足元に何があるかわからんから気をつけろよ。」

 リゴラから離れた拓郎が音を立てないように木から降り、掛かっていた袋を取り払って彼の二つ名【光槍】を体現するかのように白金色の輝きを纏う刀身の槍を露にさせながら広場へと躍り出た。

 参ったな、と広場で佇む男をより近くで観察することで拓郎は安易に近づいたことを後悔した。紫煙を口から吐きだし、サングラス越しに拓郎を見つめる男は、拓郎に声こそ掛けないものの、そこには純然たる敵意がある。
 見たところ無手であるが、拓郎の足が浸かっているこの煙そのものが相手の武器だとした場合、自身は既に相手の射程圏内にいるというわけだ。
 後方に「撃て」とサインを送ると、瞬時に男の顔目掛けて小石サイズの弾丸が背後の木から射出され、なんの抵抗もしない男をあっさりと貫通する。
 だが、即座に拓郎が動いた。刃化させた初級の風魔法[ウインドカッター]で槍を魔刃化させ、それを振り回すことで周囲に風の柱を生み出す拓郎のオリジナルスキル[大旋風斬舞]。拓郎の周囲の煙が全て吹き飛ばされ、地面を露出させる。

 男の顔に穴があいた瞬間、男の口からではなく、体から煙が発せられたのを拓郎は目撃していた。即ち、目の前にいたあの男の体は恐らく[煙化]か煙で造られた偽物の可能性が非常に高い。その場合、煙越しの攻撃というのが予想でき、それを防ぐためにも自分の周りから煙を除かなければならなかったのだ。

 「拓郎!!」

 旋風の向こう側からリゴラの叫びが拓郎の耳に届く。咄嗟にその身を屈めながら横に飛ぶと、直前まで拓郎がいた場所に、真上から複数のナイフが突き刺さった。
 拓郎の周囲には風の壁があったが、敵は上空の旋風のない場所から拓郎目掛けて攻撃をしてきたのだ。リゴラの声がなければ自身の身に到達したであろうことに背筋を寒くさせるが、空を見上げればそこには確かに人の姿がある。

 「雷刃!!」と拓郎が叫ぶと、拓郎の刃目掛けて落雷が降り注ぐ。当然、空と拓郎の槍の間にいる男の体は雷に貫かれるのだが、あっと言う間に煙となって霧散する。
 風の壁を解除すると、再び足首までを煙が充し、そのまま拓郎はリゴラの下へと避難しようとするが、彼の体は途中でピタリと止まる。

 目の前の煙が立ち上っただけかと思ったが、瞬きをする間にその姿は男のものへと変わったのだ。

 「酷いことをする。これだから野蛮人は嫌いなんだ。」
 「そういうお前も人のこと攻撃してきたくせに…。」
 「正当防衛さ。」

 正当防衛。この世界に正当防衛という言葉はない。そんな言葉を知っているということは、拓郎か緑朗太達と同じ世界、もしくは似たような他の世界からの転移者ということだろう。なにより、目の前の男が口にしたのは拓郎達が普段から口にしているような皇国語ではなく、ただの日本語だ。
 男がサングラスを外すと、黒い瞳孔が拓郎の姿を捉える。黒髪黒目、[闇魔法]の使い手であり、魔王軍の者である可能性が一気に向上し、2人の緊張感が高まる。

 「魔王軍か。」
 「そういうお前は元勇者パーティーの光槍だろ。俺の名前は藤枝喜朗。ガイアからの転移者って言えばわかるか?」

 ガイア――緑朗太と同じである。

 「1000人のうちの1人か。」
 「なんだ知ってるのか。もしかして俺と同じような境遇の奴にでも会ったのか。」
 「ああ。だが、そいつはお前みたいに黒髪黒目じゃないけどな…。」

 「干渉者か」と忌々しげに吐き捨てるように呟いた藤枝の言葉に拓郎が僅かに反応を示す。もしかしたら、目の前の男は自分達の知らない何かを知っているのかもしれないが…交渉を試みようとした矢先、藤枝の体が動いた。懐から取り出したのは拓郎も見覚えのある煙草の箱である。そこから1本の煙草を取り出すと、オイル式ライターで煙草に火を点ける。

 「驚いたな。この世界に異世界のものが持ち込めるのか。」
 「これが俺の固有スキルだ。煙草を作り出す能力とでも思ってくれればいいさ。」

 緑朗太の最適化や拓郎の刃化とは全く系統が異なる異質のスキルを暴露しながらも、藤枝は美味そうに煙草の香りを楽しみ、対して拓郎は自身の身体の異変に気付き、槍を先程と同様に振るう。
 だが、体の動きがおかしい。大して魔力を消費していないにも関わらず、大量の魔力を消費した時と同じような気だるさを感じていた。

 「判断が少しばかり遅かったな。」

 風で再び障壁を作り、煙を吹き飛ばすも、直後に体が脱力をし、槍の石突を地面に着けながら膝を折る。
 充満した煙こそ再びなくなったものの、この原因不明の症状をどうにかしなければ、非常にまずいだろうと、拓郎の勘がそう告げている。藤枝の体は煙だが、恐らく煙を媒介にしてどこかに本体がいるはずである。闇雲に探すというのは愚策だが、どうすれば――拓郎の視線が彷徨った時、彼の視界に先ほど攻撃してきたナイフが目に飛び込む。
 藤枝の能力が煙だなんだと言っていたが、あのナイフは煙にならずにずっとそこにあり続けている。だが、藤枝の体は間違いなく煙であり、形成されていく工程は拓郎も確認している。ということは、もしかしたらあれを準備した本体が近くにいるのかもしれない。そうなると、一番怪しいのは煙の発生源である。確かに藤枝は煙を吐いたりしていたが、あの煙の偽物は発生源ではない。となると、やれることはそう多くない。

 膝を地面に着けたまま、拓郎が唱えたのは初級の風魔法ではなく、中級の風魔法である[エアリアルスラッシュ]。魔刃化させると[大旋風斬舞]の効果時間を飛躍的に伸ばすことができるが、それよりも直接使用することで周囲により大きな生み出すことができる。この広場の煙全てを吹き飛ばすことだって可能で、煙が吹き飛べばこの広場のどこかに発生源があった場合直ぐにでもわかるはずである。

 「エアリアルスラッシュ!!」

 風の障壁の解除と同時に、拓郎が振るう突風が、広場に蔓延した煙を一斉に吹き飛ばす。木の上で待機していたリゴラも思わず木から吹き飛ばされそうになるのを必死に堪えながら、なんとかその場に留まり続ける。
 風が止んだことでリゴラが瞑っていた瞼を開けると、そこには煙が一切ない前日と全く変わりない様相の広場に戻っており、代わりに拓郎は先程までの男とは別の人物に襲いかかられていた。

 同じく黒髪であるが、先ほどの長髪ではなく逆立てており、耳にはこれ以上ない程に無数のピアスが付けられている。
 だが、その顔には仮面が嵌められており、一切の表情を伺えない。目元部分に横一線で切れ込みがあり、そこから目だけが見えるというような代物だ。

 リゴラは突如現れた敵に、拓郎に援護射撃をしようとするも敵との距離が近すぎて誤射をする可能性があるためにできない。せめて、煙の発生源さえわかればと広場を見渡し、広場の隅に煙を吐き出している妙に存在感のない箱があることに気付くのであった。

 リゴラが援護射撃を断念した頃、拓郎の心境に変化が起きていた。
 ただ攻撃をされているだけならば、それだけならば大したことはない。振り下ろされた刃を槍の柄で受け止め、事なきを得たのだから。
 だが、問題なのは敵が所持している武器――それが、拓郎の友人である勇者と全く同じ日本刀であったことで、拓郎は嘗ての魔王軍とのことを思い出し、恐怖して―――憤慨したのだ。

 「その武器をどこで手に入れた?」
 「………。」

 拓郎の問いに、男は何も答えない。だが、言葉に呼応するかのように武器に篭められた力が増し、拓郎を押し込もうとする。だが…

 「舐めるなよ、マスクマン。」と、押し込まれた状況から何事もないかの如く立ち上がり、仮面の男の腹部に拓郎の蹴りが突き刺さり、体をくの字にさせる。仮面の裏側でくぐもった嗚咽が漏れ、更に拓郎の槍の柄が敵の仮面を下から掬う様にかち上げ、仰向けになりながら地面へと後頭部を強打させる。

 リゴラが木から木へと飛び移る気配を感じ、拓郎がそちらへと顔を向けると、視線の先に煙を吐き出している奇妙な箱が存在した。あれが原因か――彼も破壊に加わろうとするが、そんな彼の背後で仮面の男が立ち上がる音がする。

 「驚いたな…仮面越しとはいえ、確実に顔面を捉えたんだ。脳震盪で暫くは立てないと思ったが…」
 
 仮面に罅が入っているが健在である為、相変わらず表情は隠れたまま。正眼で構えた日本刀に対し、拓郎は緑朗太との戦いで見せた右半身で槍を持ち、体を深く沈ませる態勢で迎え撃つ。

 「喋れないのか喋りたくないのか知らんが…その武器は不快だ…。」

 拓郎の体が仮面の男の目の前から消え去り、刹那、仮面の男が真横に弾き飛ばされる。態勢を立て直さんとするが、目の前で拓郎が槍を振りかぶっている。
 刀を立てて刀身を盾にしようとするが、拓郎の槍の柄が再び顔面を捉えた。防御していたはずなのに、防御をすり抜けて拓郎の槍は相手に到達しうるのだ。退きながらも刀を手から離すことがない相手の体を拓郎は容赦なく打ち付け、そして止めだと言わんばかりに腹部に[棍]スキルの[パワースイング]を叩き込んで仮面の男を遥か彼方に吹き飛ばした。

 急ぎ、箱の下へと向かおうとするも、この時点で既に拓郎は煙に取り囲まれ、煙から複数の藤枝の分身が姿を現した。時間をかけすぎた――後悔をするのも束の間、拓郎の目の前で箱があった地点から火の手が上がった。

 拓郎と仮面の男が戦いを開始した頃、リゴラは箱の傍に藤枝がいることに気付く。察知スキルの高いリゴラが辛うじてわかるぐらいなのだ。恐らく、拓郎は箱に気づいていても男には気づいていない可能性が高い。箱にも同様のスキルが掛けられていたのか、煙を吐き出すという異様な風貌の割に存在感が希薄であった。

 「俺がやるしかないのかよ…」

 リゴラは自身の戦闘能力の低さをよく理解している。だからこそ、力で解決することは全て拓郎に任せ、それ以外は自分でやるというのが決まりであった。だが、頼みの綱となる拓郎は間に合うような気配はない。一瞥すれば、決着はしたものの、先程と同様に拓郎の周りには煙が滞っており、藤枝の分身が彼を取り囲んでいる。

 このままでは、さっきの鼬ごっこである。拓郎のMPも今後何があるかわからない為に節約をさせねばならない。
 意を決し、リゴラは自身のポーチからとあるものを取り出し、スリングショットに番えて箱目掛けて射る。

 「なに!?」

 拓郎だけを警戒していた藤枝は、突如真横から箱に攻撃を仕掛けた第三者に驚きの声を上げた。援護射撃をしているものがいたことは知っていたが、隠蔽を施した自身と箱が攻撃を受けたという事が信じられなかったのだ。それ程までに感知能力に長けた者がいるのかと、攻撃をした方向を睨みつけた。だが、相手の攻撃が被弾をした箱から、藤枝のよく知る特異臭を感じてしまい、背筋を凍らせる。

 「残念でした!」

 次にリゴラが番ったのはたっぷり油を染みこませ、多少の速度で飛んでも火はそう簡単に消えることがない特性の火縄に火を灯して小石に巻きつけてある通称【着火弾】。
 一直線にモンスターを燃やす様の油で塗れた箱へと飛び、藤枝の静止も虚しく箱はあっと言う間に燃え盛ったのである。

 「よっし……ゃあ?」

 燃え盛る箱を目にし、リゴラはガッツポーズをして喜びの声を叫ぼうとしたのだが、どうにも様子がおかしい。燃え続ける箱から出てくる煙の量が燃える前と比べ物にならないほどに増えた。
 壊すのに失敗をしたのか?リゴラは今度は小型鉄球を用いて物理的な破壊を試みようとするのだが、そんな彼目掛けて3本のナイフが下から飛んでくる。

 「くそっ」
 「お前が…よくも!!」

 目を血走らせた藤枝がリゴラへと殺意を向けたのと同じくして、箱は音を立てて崩れた。
 だが、煙は収まらない。寧ろ何もない場所から凄まじい勢いで吹き出し続け、広場全てを覆い隠さんばかりに埋め尽くすのであった。

 拓郎は藤枝の分身が消えた直後、煙草の臭いが薄れたことでリゴラが無事に破壊に成功したのだと喜んだのも束の間、煙が足首だけではなく体全体、それどころか広場全体を埋め尽くさんばかりに充満し始めたことで警戒を最大限にまで引き上げた。
 しばらく周りを警戒していると、徐々にではあるが煙の量が減っていき、やがて視界がクリアになり始める。

 なんだったんだ?拓郎が槍を構え直すと、背後から拓郎に走り寄る音を捉え、振り向きざまに横一線でなぎ払う。仮面の男の日本刀の一撃が拓郎の頬を掠めながらも、拓郎の攻撃は再び敵の腹部に命中し、ピンボールさながらに吹き飛ばす。
 
 普通、これだけ痛めつければ痛みで動きが鈍ったりするものだが、そのような様子を一切見せない。それどころか不意打ちとは言え拓郎に傷を負わせたのだ。
 その事で拓郎は1人の人物とスキルを思い出す。彼と同じく成長系統の固有スキルではないのか?と、薄ら寒いものを感じつつ、止めを刺すべきかと悩んでいると、拓郎の背後からくっくっと女性の笑い声が広場に木霊する。


 『相変わらずじゃのう…槍の。』


 声を聞いた直後、拓郎は心臓を鷲掴みにされるような錯覚に陥った。聞き覚えのある声どころではない。4年間一時もわすれたことのない声だ。あの日、拓郎から勇者を含む仲間達を奪ったあの非情の女の声―――

 「セニャァァァァァァレェェェェェェェェェェッ!!!!」

 嘗て魔王軍を率いてヘパイドンを強襲した幹部である【黒女郎セニャーレ】は拓郎の叫びに「あい」と、嬉しげに返事をするのであった。
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