やり直しで健康的な人生に!

ノッポ

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告白なんて、まだ早い?

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夕焼けが差し込む教室で、私は一ノ瀬晴翔くんと並んで机に向かっていた。
中間テストが近いということで、放課後の勉強会。彼は理数系が得意で、私はどちらかというと国語や家庭科の方が好き。お互いに教え合いながら、少しずつ仲も深まっていった。

「ここ、わかんないんだけど……」

私が数学の問題を指差すと、晴翔くんは軽くため息をつきながらも、隣に椅子を寄せて教えてくれる。

「これは公式覚えてるかどうかだけ。……ほら、こうして代入して──」

「……あ、そっか。なるほど」

「飲み込み早いじゃん」

ぽん、と軽く頭をなでられて、心臓が跳ねた。
そんなことされたら、勉強どころじゃなくなっちゃうよ……。

「……こっちは、まだ教えてないでしょ?」

私は照れ隠しに国語の問題集を手に取ると、今度は逆に彼に説明を始める。
言葉に詰まる彼の顔を見るのが、ちょっと楽しい。たぶん、お互い様なんだけど。



「……なあ、未来って、なんで料理始めたの?」

一段落ついたところで、晴翔くんがぽつりと聞いてきた。

「え?」

「前からうまかったの? それとも、何かきっかけがあったの?」

私は少し迷ってから、静かに答えた。

「お母さんが亡くなってから……お父さんに、少しでも喜んでほしくて。でもうまくいかなくて、何年もすれ違って……」

「……そっか」

「だから、今は後悔しないようにしたくて。ごはんって、人と人をつなぐっていうか……少しだけでも、あったかい気持ちになってくれたら、いいなって思ったの」

「……ちゃんと、届いてるよ」

不意に、彼の声がまっすぐで、どこか優しかった。
思わず顔を上げると、真剣な眼差しでこっちを見ていた。

「結菜だけじゃなくて、親父も……俺も。お前がいると、家があったかくなる」

「……それって、なんか照れるね」

「俺の方が照れてるわ」

二人して笑って、また少しだけ距離が近づいた気がした。



帰り道。
薄暗くなった空の下を並んで歩いていると、ふいに風が吹いて、私は小さなくしゃみをした。

「……バカ。薄着すんなって言ったろ」

彼がさりげなく自分の制服の上着を脱いで、私の肩にかけてくれた。

「だ、大丈夫だよ! 晴翔くんが寒くなっちゃう!」

「いいの。女の子が風邪ひいたら、お兄ちゃん的に結菜に怒られる」

「……ふふ、たしかに」

私はそのまま、彼の上着の温もりを感じながら歩いた。

胸の中が、じんわり温かくて。
でもどこか、くすぐったいような、そわそわするような気持ちもあって。

――これって、恋?

「ねえ、未来」

立ち止まった彼が、少しだけ口を開いて、何か言おうとして……やめた。

「……なんでもない」

「えっ、気になるんだけど……」

「いいから。テスト終わったら言う」

そう言って彼は、少しだけ照れくさそうに笑った。

(なにそれ、ずるい……)

告白なんて、まだ早い?
それとも、もうすぐ?

そんなことを思いながら、私は少しだけ早足になって、隣を歩く彼に笑いかけた。
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