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新しい世界【 2 】
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私は部屋に戻り、結界を張った上で精霊に呼びかけた。
「リリー、いま大丈夫?」
「大丈夫よ。何かあった?」
呼びかけに対してすぐに答えて姿を現してくれたのは上位精霊のリリーだ。
異世界に来てから、初めて1人で夜の散歩をしていた時に庭園で出会い契約した。
精霊は嘘をつかない上に、上位精霊のためか各国の情報にも詳しく、どの国にも肩入れしないで話をしてくれるので本当に大事な存在だ。
宮殿に集まる人々は、私に対してはみんなとても親切だけれど各国それぞれの思惑があるらしく神殿を巡る順番もそれで揉めている時もあった。
そうした時に夜に話した際に各国の状況を教えてくれた。
また、周りからのアプローチに戸惑っているとリリーに相談したら、昼間に周りに見えるように姿を現して私が異世界に慣れるまではあからさまなアプローチは控えるように怒ってくれた。
異世界の人にとって上位精霊は敬うべき相手のため、それ以降のアプローチは落ち着いた。
私は先程の庭園での状況を説明した。
「そう……ブンガ国ね。あそこは武力で周りを半分支配しているような大国だから 断れないんでしょうね」
「えぇ……そんな……」
私は目の前が真っ暗になった。
「阻止出来る方法はあるわよ」
「どうすれば良いのっ!?」
私は焦りながら聞いた。
「ユリアーナが そのルーカスと結婚すれば良いのよ。ちょうどそろそろ周りからの要請も断れなくなってきた時期でしょ」
そうなのだ……リリーのおかげで落ち着いた私へのアプローチなのだけれど
1年経ってそろそろ環境に慣れたのでは……と周りからの圧が再熱され、連日部屋に釣り書きが山積みになっていたり 再びアプローチをしようと近付いてくる人が増えて来ていた。
「ううーん。そっか……」
「それはそれで嫌なの?」
「そういう訳ではないのだけれど……今の私の魅力って、見た目や聖女の能力よね」
「そうね」
「でもそれって、女神様からいただいて。私のではなくて借り物って意識もあって、複雑で……」
「でもあなたは今ユリアーナ自身なのだからあなた自身の魅力でしょ」
「ううーん。そうなのかなぁ……しかも私……前世+1年で、ちょうど40歳な訳だし」
「この世界は平均寿命が、前に話してくれたユリアーナの世界よりも長いじゃない。40歳なんてこっちの世界の人間じゃ10代じゃない。まぁ、私はそもそも年齢に対して何も感じないけれど」
「10代……そっか」
「大体、この宮殿にいる人間たちは100歳ぐらいじゃないかしら。40歳なんてかなり若い方よ」
目から鱗だった。
なんでそこが問題? というような雰囲気のリリーからの言葉は、私にとって衝撃だった。
そうか……実は中身はアラフォーの私で……とか、容姿はこの世界に来てからの容姿で……と
周りからの熱視線やアプローチをどこか他人事のように捉えていたけれど……
「この世界に来て1年……結婚を考え始めても良いのかな……」
「まぁ、考え始めたって周りに宣言した時点で、まず10人くらい見繕われるわね」
「いやいや!それは多いって!!」
「ユリアーナは聖女だから全然少ないくらいじゃない?」
「えぇー……」
確かに、この世界に来てすぐの頃、とりあえずは夫を10人で、その後は気に入った者を随時加えていただいて……みたいに言われたけど……嘘よね?
ルーカス以外に気になっている人は 3人ほどいるけど、えぇー……
リリーが帰った後も、私はしばらく一人で悩んでいた。
「リリー、いま大丈夫?」
「大丈夫よ。何かあった?」
呼びかけに対してすぐに答えて姿を現してくれたのは上位精霊のリリーだ。
異世界に来てから、初めて1人で夜の散歩をしていた時に庭園で出会い契約した。
精霊は嘘をつかない上に、上位精霊のためか各国の情報にも詳しく、どの国にも肩入れしないで話をしてくれるので本当に大事な存在だ。
宮殿に集まる人々は、私に対してはみんなとても親切だけれど各国それぞれの思惑があるらしく神殿を巡る順番もそれで揉めている時もあった。
そうした時に夜に話した際に各国の状況を教えてくれた。
また、周りからのアプローチに戸惑っているとリリーに相談したら、昼間に周りに見えるように姿を現して私が異世界に慣れるまではあからさまなアプローチは控えるように怒ってくれた。
異世界の人にとって上位精霊は敬うべき相手のため、それ以降のアプローチは落ち着いた。
私は先程の庭園での状況を説明した。
「そう……ブンガ国ね。あそこは武力で周りを半分支配しているような大国だから 断れないんでしょうね」
「えぇ……そんな……」
私は目の前が真っ暗になった。
「阻止出来る方法はあるわよ」
「どうすれば良いのっ!?」
私は焦りながら聞いた。
「ユリアーナが そのルーカスと結婚すれば良いのよ。ちょうどそろそろ周りからの要請も断れなくなってきた時期でしょ」
そうなのだ……リリーのおかげで落ち着いた私へのアプローチなのだけれど
1年経ってそろそろ環境に慣れたのでは……と周りからの圧が再熱され、連日部屋に釣り書きが山積みになっていたり 再びアプローチをしようと近付いてくる人が増えて来ていた。
「ううーん。そっか……」
「それはそれで嫌なの?」
「そういう訳ではないのだけれど……今の私の魅力って、見た目や聖女の能力よね」
「そうね」
「でもそれって、女神様からいただいて。私のではなくて借り物って意識もあって、複雑で……」
「でもあなたは今ユリアーナ自身なのだからあなた自身の魅力でしょ」
「ううーん。そうなのかなぁ……しかも私……前世+1年で、ちょうど40歳な訳だし」
「この世界は平均寿命が、前に話してくれたユリアーナの世界よりも長いじゃない。40歳なんてこっちの世界の人間じゃ10代じゃない。まぁ、私はそもそも年齢に対して何も感じないけれど」
「10代……そっか」
「大体、この宮殿にいる人間たちは100歳ぐらいじゃないかしら。40歳なんてかなり若い方よ」
目から鱗だった。
なんでそこが問題? というような雰囲気のリリーからの言葉は、私にとって衝撃だった。
そうか……実は中身はアラフォーの私で……とか、容姿はこの世界に来てからの容姿で……と
周りからの熱視線やアプローチをどこか他人事のように捉えていたけれど……
「この世界に来て1年……結婚を考え始めても良いのかな……」
「まぁ、考え始めたって周りに宣言した時点で、まず10人くらい見繕われるわね」
「いやいや!それは多いって!!」
「ユリアーナは聖女だから全然少ないくらいじゃない?」
「えぇー……」
確かに、この世界に来てすぐの頃、とりあえずは夫を10人で、その後は気に入った者を随時加えていただいて……みたいに言われたけど……嘘よね?
ルーカス以外に気になっている人は 3人ほどいるけど、えぇー……
リリーが帰った後も、私はしばらく一人で悩んでいた。
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