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告白と決意
しおりを挟む舞踏会の夜が更け、最後の曲が流れる頃――私はユリウス様とバルコニーに出ていた。
月明かりに照らされた庭園を見下ろしながら、私はそっと息をついた。
「今日は……本当に、夢のようでした」
「それは僕も同じです。貴女と過ごす時間が、これほど心地よいとは思いませんでした」
彼の声は、夜風のように柔らかく響いた。
ジークフリート殿下とセレナの顔も、今はもう思い出の中の一場面に過ぎない。
苦しかった過去も、悔しさに震えた日々も、今となっては私を強くした礎に変わっていた。
「……リリアーヌ嬢。いえ、リリアーヌ」
ユリウス様が、私の名を優しく呼ぶ。
「僕は貴女を心から尊敬し、そして……愛しています」
その言葉に、胸が熱くなった。
「貴女がどんな過去を背負っていても、僕にとっては関係ありません。むしろ、そんな困難を乗り越えた強さに惹かれたのです。どうか――僕の妻になってください」
膝をつき、彼は指輪を差し出した。
宝石の煌めきよりも、彼の瞳の真剣さのほうが、ずっと美しかった。
「……私でよろしいのですか?」
「君でなければ、意味がない」
私の目から、知らぬ間に涙がこぼれ落ちていた。
こんなにも真摯に、私を選んでくれる人がいる。
「……はい。喜んで、お受けいたします」
私は彼の手を取り、微笑んだ。
――こうして、私はかつての婚約者に捨てられた侯爵令嬢から、
今や王国で最も注目される、クラウゼン公爵家の未来の公爵夫人となったのだった。
後日、ジークフリート殿下のもとには王家の顧問たちからの厳しい叱責が届いたという。正統な侯爵令嬢との婚約を破棄し、子爵令嬢を正妃に選んだ判断は、王家の立場を弱める結果となったからだ。
一方で、クラウゼン公爵家は王国軍と財政を取りまとめる立場として、より一層の影響力を持ち始めていた。
「まさか、私の選択が、王国の均衡を動かすなんて……」
そう呟いた私に、ユリウス様は優しく笑って言った。
「君はもう、ただの侯爵令嬢ではない。僕の妻として、この国の未来を共に歩む人だ」
私は静かに頷いた。
もう振り返らない。
私は、自らの選んだ幸せな未来へと、誇りを持って歩んでいく。
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