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26. 王都での話し合い「アレクシス視点」
王都、貴族街の奥にある静かな応接室。
公的な召集ではない。
ただ「顔を出してほしい」とだけ伝えられた。
最初に到着したのはアレクシスだった。
扉が軽く開く。
「やあ」
柔らかな声とともにユリウスが入ってきた。
「呼ばれた顔ぶれ、もしかしてって思ったけど……」
視線が合う。
一拍。
そしてユリウスが笑う。
「このメンバー、久しぶりじゃない?」
アレクシスも小さく口元を緩める。
「そうだな」
ユリウスは椅子に腰を下ろす。
貴族学校時代。
三年生のセドリックが生徒会長。
同じく三年生のレオンハルトが副会長。
一年生だったアレクシスとユリウスは、生徒会員。
書類や生徒会の運営で話し合った日々。
何も言わなくても、役割は決まっていた。
ほどなくして扉が開く。
先に入ってきたのはレオンハルト。
変わらぬ静かな佇まい。
その後ろからセドリックが姿を見せる。
「待たせたね」
穏やかな声音。
四人の視線が自然と交わる。
懐かしさと、今の立場の重みが混じった空気。
ユリウスが軽く笑った。
「揃ったね、元生徒会」
レオンハルトが即座に返す。
「その呼び方はやめろ」
セドリックが苦笑する。
「相変わらずだな、お前たちは」
だがその声音はどこか嬉しそうだった。
今はそれぞれ立場が違う。
侯爵家当主代理として日々邁進しているセドリック。
宰相子息として文官側に立つレオンハルト。
騎士団長子息であり騎士団所属のアレクシス。
魔術師団長子息であり団所属のユリウス。
机上には、封蝋付きの報告書。
辺境砦より届いた不審な香の件。
国としては、まだ本格的に動いていない。
辺境での魔物増加。
「経過観察」で終わる可能性の高い案件。
最初に口を開いたのはセドリックだった。
「……死者なし、か。まずはそこが救いだね」
穏やかな声音。
面倒見の良い兄のような響き。
レオンハルトが静かに続ける。
「小型中心。量が少ない。戦略的というより試験的行為の可能性が高い」
冷静な分析。
アレクシスは報告書の一文をなぞる。
「“先日、砦を訪れた令嬢がいた旨も報告に添える”……断定はしていません」
真面目な声。
やがてレオンハルトが告げる。
「国はまだ動かない」
「騎士団としても、大規模対応の根拠にはなりません」
アレクシスが続ける。
ユリウスが指を立てる。
「でも、隣国製なら別だよね?しかも、隣国の香の噂はあっても、なかなか実物は手に入らなかった。今回はなぜかそのまま置かれていたらしいから、解析結果によってはいずれ国が動く状況になるかもよ」
沈黙。
セドリックが静かに言う。
「だから集まった」
「隣国の香と判明しても、何もしなければ、次の問題が起きるまで様子見という意見も出てくるだろう。辺境だから、中央の貴族からしたら問題にしない者もいるだろう。でも、早く証拠を揃えて国が動く方向にしていきたい」
「そのために、みんなと協力したいと思って今日集まってもらった」
レオンハルトが言う。
「香はそれなりに高額だろう。今回香が見つかった近辺の領地の税収に怪しい動きはないか見ることは出来る」
アレクシスが頷く。
「騎士団内部は私が確認します」
ユリウスが笑う。
「解析は僕がやるよ」
セドリックがまとめる。
「貴族側の噂や動きは俺が見る」
そして、柔らかく言う。
「……力になりたいんだ」
一瞬の静寂。
だが、全員が同じ人物を思い浮かべている。
レオンハルトが淡々と返す。
「感情で動くつもりはない」
アレクシスは真っ直ぐに。
「出来ることをします」
ユリウスは微笑む。
「私も頑張らないと」
セドリックが静かに締める。
「立場は違う。でも、だからこそ俺たちが集まれば見えてくる証拠もあると思う」
国がまだ注目していない小さな火種。
このまま見過ごされないように裏から整える。
レオンハルトが立ち上がる。
「動くぞ」
アレクシスも書類を抱える。
ユリウスは軽やかに扉へ向かう。
セドリックは最後に報告書へ視線を落とした。
四人は散る。
だが歩みは、同じ未来へ向いている。
公的な召集ではない。
ただ「顔を出してほしい」とだけ伝えられた。
最初に到着したのはアレクシスだった。
扉が軽く開く。
「やあ」
柔らかな声とともにユリウスが入ってきた。
「呼ばれた顔ぶれ、もしかしてって思ったけど……」
視線が合う。
一拍。
そしてユリウスが笑う。
「このメンバー、久しぶりじゃない?」
アレクシスも小さく口元を緩める。
「そうだな」
ユリウスは椅子に腰を下ろす。
貴族学校時代。
三年生のセドリックが生徒会長。
同じく三年生のレオンハルトが副会長。
一年生だったアレクシスとユリウスは、生徒会員。
書類や生徒会の運営で話し合った日々。
何も言わなくても、役割は決まっていた。
ほどなくして扉が開く。
先に入ってきたのはレオンハルト。
変わらぬ静かな佇まい。
その後ろからセドリックが姿を見せる。
「待たせたね」
穏やかな声音。
四人の視線が自然と交わる。
懐かしさと、今の立場の重みが混じった空気。
ユリウスが軽く笑った。
「揃ったね、元生徒会」
レオンハルトが即座に返す。
「その呼び方はやめろ」
セドリックが苦笑する。
「相変わらずだな、お前たちは」
だがその声音はどこか嬉しそうだった。
今はそれぞれ立場が違う。
侯爵家当主代理として日々邁進しているセドリック。
宰相子息として文官側に立つレオンハルト。
騎士団長子息であり騎士団所属のアレクシス。
魔術師団長子息であり団所属のユリウス。
机上には、封蝋付きの報告書。
辺境砦より届いた不審な香の件。
国としては、まだ本格的に動いていない。
辺境での魔物増加。
「経過観察」で終わる可能性の高い案件。
最初に口を開いたのはセドリックだった。
「……死者なし、か。まずはそこが救いだね」
穏やかな声音。
面倒見の良い兄のような響き。
レオンハルトが静かに続ける。
「小型中心。量が少ない。戦略的というより試験的行為の可能性が高い」
冷静な分析。
アレクシスは報告書の一文をなぞる。
「“先日、砦を訪れた令嬢がいた旨も報告に添える”……断定はしていません」
真面目な声。
やがてレオンハルトが告げる。
「国はまだ動かない」
「騎士団としても、大規模対応の根拠にはなりません」
アレクシスが続ける。
ユリウスが指を立てる。
「でも、隣国製なら別だよね?しかも、隣国の香の噂はあっても、なかなか実物は手に入らなかった。今回はなぜかそのまま置かれていたらしいから、解析結果によってはいずれ国が動く状況になるかもよ」
沈黙。
セドリックが静かに言う。
「だから集まった」
「隣国の香と判明しても、何もしなければ、次の問題が起きるまで様子見という意見も出てくるだろう。辺境だから、中央の貴族からしたら問題にしない者もいるだろう。でも、早く証拠を揃えて国が動く方向にしていきたい」
「そのために、みんなと協力したいと思って今日集まってもらった」
レオンハルトが言う。
「香はそれなりに高額だろう。今回香が見つかった近辺の領地の税収に怪しい動きはないか見ることは出来る」
アレクシスが頷く。
「騎士団内部は私が確認します」
ユリウスが笑う。
「解析は僕がやるよ」
セドリックがまとめる。
「貴族側の噂や動きは俺が見る」
そして、柔らかく言う。
「……力になりたいんだ」
一瞬の静寂。
だが、全員が同じ人物を思い浮かべている。
レオンハルトが淡々と返す。
「感情で動くつもりはない」
アレクシスは真っ直ぐに。
「出来ることをします」
ユリウスは微笑む。
「私も頑張らないと」
セドリックが静かに締める。
「立場は違う。でも、だからこそ俺たちが集まれば見えてくる証拠もあると思う」
国がまだ注目していない小さな火種。
このまま見過ごされないように裏から整える。
レオンハルトが立ち上がる。
「動くぞ」
アレクシスも書類を抱える。
ユリウスは軽やかに扉へ向かう。
セドリックは最後に報告書へ視線を落とした。
四人は散る。
だが歩みは、同じ未来へ向いている。
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