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29. 真面目な騎士の優しさ
伯爵邸の庭は、春の光に包まれていた。
柔らかな風が吹き、花壇の花が小さく揺れている。
その中で、私は目の前の人に頭を下げた。
「アレクシス様。先日のこと……本当にありがとうございました」
アレクシスは一瞬だけ驚いた顔をしたあと、少し困ったように視線を逸らした。
そして、耳がほんのり赤くなる。
「……いや」
「礼を言われるようなことはしていない」
そう言ってから、小さく咳払いをする。
「ただ」
少しだけこちらを見る。
「エリシア嬢の力に、少しでもなれたなら……それで十分です」
その言い方が、あまりにも真っ直ぐで。
胸の奥が、ふわりと温かくなった。
アレクシス様は決して多くを語る人ではない。
でも、だからこそ。
その言葉には、飾りのない誠実さがあった。
「でも、本当に嬉しかったんです」
私は微笑む。
「アレクシス様も、セドリック様も……皆さんが力を貸してくださって」
そして、少し首を傾げた。
「それに、驚きました」
「アレクシス様と、セドリック様、レオンハルト様、それにユリウス様まで……元々お知り合いだったなんて」
アレクシスは少しだけ目を細めた。
「貴族学校の頃からの付き合いなんです」
懐かしむような声だった。
「四人とも、生徒会でした」
「生徒会……?」
私は思わず聞き返す。
「ええ」
アレクシスは頷いた。
「セドリック先輩が三年で、生徒会長」
「それは……なんだか想像できます」
思わずそう言うと、アレクシスは小さく笑った。
「そうだね」
そして続ける。
「レオンハルト先輩は副会長でした。冷静で、判断が早い人でね」
なるほど、と私は頷く。
レオンハルト様の落ち着いた雰囲気を思い出す。
確かに副会長という立場が似合う。
「ユリウスは同じ一年で書記でした」
「書記ですか?」
思わず聞き返すと、アレクシスは少し苦笑した。
「書類仕事は……やらないと俺がやっていましたけど」
私は思わず笑ってしまった。
「なんだか想像できます」
「彼は頭はいいけど、じっとしていられないタイプだから」
その言葉には、どこか親しみがこもっていた。
「俺は……生徒会の補佐みたいなものだった。規律の管理とか、揉め事の仲裁とか。地味な仕事ばかりでしたね」
アレクシス様は懐かしむような目をした。
「セドリック先輩とレオンハルト先輩が上にいると、生徒会は驚くほど上手く回って。ユリウスも自由に動けたし。俺も仕事がしやすかったです」
静かな声。
けれどそこには、確かな信頼があった。
「卒業してからは、それぞれの道に進んだから会う機会はほとんどなかったんです」
少し笑う。
「今回の件で、久しぶりに顔を合わせた。でも……」
肩をすくめる。
「不思議なもので、久しぶりでも、何も変わらなかったですね」
その言い方が少しだけ照れくさそうで。
私はくすりと笑った。
「素敵ですね。そういう関係」
そう言うと、アレクシス様は少し驚いたように私を見た。
「……そうかな」
「はい」
私は頷く。
「皆さんが信頼し合っているのが、伝わってきました」
少し沈黙が落ちる。
春の風が庭を通り過ぎた。
そしてアレクシスは、静かに言った。
「またこうして関わることになるとは思っていなかったですね」
言いながら、少し照れたように眉を寄せる。
その姿が、なんだか可愛らしくて。
私は思わず微笑んだ。
「皆さんがいてくださって、良かったです」
そう言うと、アレクシス様はゆっくりと頷く。
「俺もです」
「……それに、アレクシス様がすぐに私の話を真剣に受けとめて相談に乗ってくれて、本当に嬉しかったです」
感謝の気持ちを込めながら目を見て伝えると、アレクシス様は照れながらも頷いてくれた。
柔らかな風が吹き、花壇の花が小さく揺れている。
その中で、私は目の前の人に頭を下げた。
「アレクシス様。先日のこと……本当にありがとうございました」
アレクシスは一瞬だけ驚いた顔をしたあと、少し困ったように視線を逸らした。
そして、耳がほんのり赤くなる。
「……いや」
「礼を言われるようなことはしていない」
そう言ってから、小さく咳払いをする。
「ただ」
少しだけこちらを見る。
「エリシア嬢の力に、少しでもなれたなら……それで十分です」
その言い方が、あまりにも真っ直ぐで。
胸の奥が、ふわりと温かくなった。
アレクシス様は決して多くを語る人ではない。
でも、だからこそ。
その言葉には、飾りのない誠実さがあった。
「でも、本当に嬉しかったんです」
私は微笑む。
「アレクシス様も、セドリック様も……皆さんが力を貸してくださって」
そして、少し首を傾げた。
「それに、驚きました」
「アレクシス様と、セドリック様、レオンハルト様、それにユリウス様まで……元々お知り合いだったなんて」
アレクシスは少しだけ目を細めた。
「貴族学校の頃からの付き合いなんです」
懐かしむような声だった。
「四人とも、生徒会でした」
「生徒会……?」
私は思わず聞き返す。
「ええ」
アレクシスは頷いた。
「セドリック先輩が三年で、生徒会長」
「それは……なんだか想像できます」
思わずそう言うと、アレクシスは小さく笑った。
「そうだね」
そして続ける。
「レオンハルト先輩は副会長でした。冷静で、判断が早い人でね」
なるほど、と私は頷く。
レオンハルト様の落ち着いた雰囲気を思い出す。
確かに副会長という立場が似合う。
「ユリウスは同じ一年で書記でした」
「書記ですか?」
思わず聞き返すと、アレクシスは少し苦笑した。
「書類仕事は……やらないと俺がやっていましたけど」
私は思わず笑ってしまった。
「なんだか想像できます」
「彼は頭はいいけど、じっとしていられないタイプだから」
その言葉には、どこか親しみがこもっていた。
「俺は……生徒会の補佐みたいなものだった。規律の管理とか、揉め事の仲裁とか。地味な仕事ばかりでしたね」
アレクシス様は懐かしむような目をした。
「セドリック先輩とレオンハルト先輩が上にいると、生徒会は驚くほど上手く回って。ユリウスも自由に動けたし。俺も仕事がしやすかったです」
静かな声。
けれどそこには、確かな信頼があった。
「卒業してからは、それぞれの道に進んだから会う機会はほとんどなかったんです」
少し笑う。
「今回の件で、久しぶりに顔を合わせた。でも……」
肩をすくめる。
「不思議なもので、久しぶりでも、何も変わらなかったですね」
その言い方が少しだけ照れくさそうで。
私はくすりと笑った。
「素敵ですね。そういう関係」
そう言うと、アレクシス様は少し驚いたように私を見た。
「……そうかな」
「はい」
私は頷く。
「皆さんが信頼し合っているのが、伝わってきました」
少し沈黙が落ちる。
春の風が庭を通り過ぎた。
そしてアレクシスは、静かに言った。
「またこうして関わることになるとは思っていなかったですね」
言いながら、少し照れたように眉を寄せる。
その姿が、なんだか可愛らしくて。
私は思わず微笑んだ。
「皆さんがいてくださって、良かったです」
そう言うと、アレクシス様はゆっくりと頷く。
「俺もです」
「……それに、アレクシス様がすぐに私の話を真剣に受けとめて相談に乗ってくれて、本当に嬉しかったです」
感謝の気持ちを込めながら目を見て伝えると、アレクシス様は照れながらも頷いてくれた。
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