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一章
1.とつぜん
しおりを挟む「許せ、ルウよ」
「はい・・・」
「次の贄が決まった。・・・お主じゃ」
「はい・・・・・・、、はい?」
アオバ村ユカリ通り3番地。
そこから少し奥に入っていったとこに僕の家がある。小さな小さな家だけど、僕にとっては大事なもの。どんなものより大きなもの。
「ただいまです母様。今日はですね、お隣のタドコロさんがお裾分けにってサトイモを下さったんですよ~。今夜は母様の大好きだったニッコロガシにしますね!」
そう言って僕はブツダンから離れた。
お金がないからあんまり大きなブツダンは買えなかったけど、このお家には丁度良い大きさだし、結構可愛い。きっと母様もこれで良いと思ってる。
僕には父様がいない。
僕が生まれた頃に父様は母様と僕を置いて出ていってしまった。母様は一生懸命働いて、僕を育ててくれたけど去年・・・と言ってもほんの二週間前に亡くなった。
ソウギとかマイソウとかはご近所の人たちが全部やってくれた。まだ14歳になったばかりの僕には大変だろうからって。
お祖父様とかお祖母様の話は聞いたことがない。
・・・父様と母様はカケオチ(?)して結婚したから僕にはお祖父様もお祖母様もいないんだって。
「ふんふ~ん♪ふんふ~♪」
鼻唄を歌いながら、今日のお昼の用意をする。
午前中は近くにある洗濯屋さんで働いた。その帰りにお隣さんに会って、知り合いの人にたくさん貰ったからってサトイモをいっぱいくれたんだ~。
あれ?
「こちらはルウ・スメラギ様のお宅で在らせられるか」
誰か来たみたい・・・。
僕は一旦サトイモの皮を剥いていた手を止めて、玄関に急いだ。
「・・・はい?・・・・・・あの、、どちら様ですか?」
「は、こちらはルウ・スメラギ様のお宅で?」
そこにいたのは立派な騎士の格好をした兵士さん?だった。目まで隠れるほどの大きな帽子を被っていて、腰にはこれまた大きな剣を帯刀してる。
「・・・あの、ルウは僕ですけど・・・・・・。どなたかと勘違いなされているのではないですか?」
「込み入った話があるので中に入れて頂けますか?」
「え、、?あ、えっと・・・。母様に知らない人はお家に入れちゃダメだって言われてて・・・」
「・・・母様、ですか?」
「はい・・・二週間ほど前に亡くなりましたが・・・」
兵士さんは少し困ったように眉を顰めた。
「すみません・・・」
「いえ。・・・・・・あ、では、上着を脱いで頂けますか?」
「えっ、、何でですか?」
「あ、いえ、やましい意味は無くてですね?・・・えっと、上着を脱いで自分の背中を見ることは出来ますか?」
僕は上着を脱いで背中を見ようと首を回した。
・・・うーん、なかなか・・・痛いし見えない。
「素直な子だな・・・。見えますか?」
「・・・・・・無理です」
「じゃあ、こっちに背中を向けてくれますか?」
「・・・母様に知らない人に背中向けちゃいつ襲われるか分からないからダメだって言われてて」
「・・・・・・」
「・・・・・・すみません」
「いや、良い子だな。君は」
「え?」
「何でもないですよ。・・・それじゃあ、どうしましょうか・・・・・・」
兵士さんはまた腕を組んで首を傾げた。
・・・どうしよう・・・。
僕は脱いだ上着を持ったまま立ち尽くした。だって、お家の前に兵士さんがいて、上着脱いでって言われて、・・・・・・怖いもん!
もう季節はハルとナツの境い目だから寒くないけど・・・。
「ちょっとちょっと!あんた何してんのよ!」
あ
「え、?」
「ルウちゃんに何してんのよって言ってるの!」
「そうよそうよ!ルウちゃんにお裾分けって思って来てみたら玄関の前で!」
「ちょっと?ルウちゃん!何で上着着てないの~!」
「あんたまさか・・・・・・!!」
「いっくらルウちゃんが可愛いからってあんた手出そうとしてるの?そんなことあたし達がさせないよ!」
オバチャンを舐めんじゃないわよ!
とご近所の人たちが兵士さんに積めよっていった。
「タドコロさん!ナカイさん!オガワさん!」
「怖かったでしょ~。
ほらっ、あんたはさっさと消えなさい!」
「もう二度と現れんじゃないわよ!」
「えっと、私はですね・・・」
「あんたなんて知らないわよ!こんな小さな子にこんなことして!この気狂い変態兵士!こんなのが兵士なんて世も末だわ~」
オバチャンたちは僕を庇って兵士さんを追い返そうとしてる。兵士さんは困った顔のまま後退り。
「私はルナ様を知っています!ルナ様のお父様、貴方のお祖父様からの使いなのです!ただし、貴方が彼のお方のお孫様であるかはその背中で分かります!お願い申し上げます!」
「お祖父様?母様を知ってるんですか!?」
僕はオバチャンたちを掻き分けて兵士さんの前に出た。オバチャンたちも母様の名前が出たことで驚いて兵士さんを見た。
「ルウちゃん・・・」
「大丈夫ですよ!ご心配お掛けしてしまってすみません」
「良いのよぉ!そんなこと!」
「そうよそうよ!困ったときはお互い様!ね?」
「はい・・・!」
「じゃあ、これ。リンゴとメロンね、食べきれなかったから貰って!ルウちゃんは細いんだからちゃんと食べなきゃだめよ~?それじゃあね」
オバチャンたちはそう言って帰っていった。
リンゴは5つも袋に入れてくれていて、メロンは半分に切ったのを器に入れてくれていた。
「すみません。しまってくるので少し待ってて下さい」
「はい、分かりました」
リンゴの袋とメロンの器を抱え直して仕舞いに行くために兵士さんに背中を向けた。
「あ、、」
「ん?どうしましたか?」
「・・・ルウ様、至急国王様の元へ参ります」
「え―?」
そして僕はここに連れてこられた。
目の前には国王様。・・・僕のお祖父様がいる。
あの兵士さんは瞬間移動が使えたようで、あのまま転移されられてしまった。だからリンゴとメロンは王宮に入る前に没収されてしまったんだ・・・・・・リンゴとメロン食べたかったなぁ。
「ルウ、お主は朕の娘であったルナの子。そして、朕の孫じゃ」
「・・・そうなんですか?」
「うむ。その証拠として主の背にシャラソウジュの花が咲いておるでないか・・・・・・。それが何よりの証拠じゃ。そして、皇族である以上全うしなければならない宿命がある。それは・・・・・・」
「宿命・・・」
「それは50年に一度の贄じゃ」
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「贄は齢、14~24の若い男が務める」
え・・・・・・。
「贄は決して生きて差し出すことはない。この王宮の東に命運の祭壇と言うものがある。明日、そこで贄の儀式を行う・・・お主はそこにおるサエグサの長男・・・名は・・・・・・なんじゃったか」
「スグル・サエグサにございます」
そう言って僕を連れてきた兵士さんが頭を下げた。
「そうじゃ、スグル・サエグサが殺す。故に、今宵禊をし最後の晩餐を用意しよう。話はそれで終わりだ」
「え・・・」
「サエグサ、ルウを禊の間に通せ」
「はっ」
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