離れる気なら言わないで。~運命に振り回される僕はいつ自由になれるのかな?~

望百千もち

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本編 2章

2.

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「・・・・・・起きましたか」

・・・ん?・・・あ、直江先生・・・・・・。
目を開けるとすぐ横に先生が座っていた。そっと僕のおでこを優しく触れるように撫でる。・・・思わず生理的な涙が出てきて僕は目を閉じた。

「・・・辛かったですね・・・すみません」
「・・・先生」
「噂に聞いてはいたんです・・・。でも、まさか本当のこととは知らなくて――。・・・こんなのは言い訳になりますね・・・すみません。・・・二度も、、私は・・・・・・」
「・・・・・・先生?」
「愛人君の件についても私は知っていました。君の称号のことも。・・・ユウト君は覚えていないかもしれませんが、愛人君の件で君が記憶を失って、しばらくは先生と一緒に寝ていたんですよ?」

先生は夜になるともう8歳であるのに夜泣きで目を覚ます僕の面倒を見てくれてたらしい。さっきみたいに夢に導く・・・みたいな。







「ユウト君、・・・・・・少し昔話をしましょうか――。


以前、私の友人に受け継ぎ型の称号を持った人がいたと言いましたね?・・・その人は『聖姫』を持っていたんです・・・」

え・・・?

「えぇ、その友人は・・・死にました。
・・・今の君のように愛されて、愛したくて、愛されたいのに、愛されないで・・・。愛故に憎まれて、愛故に疎まれて・・・。
毎日の虐めも好意による裏切りも・・・今の君のようでした」

「・・・私は愛故に疎んでいる方の人間でした。彼に何も出来なかった・・・声をかけてあげることもしなかった・・・。
・・・今ではすごく後悔してるんです。彼は決して悪い人間では無かった。寧ろ、他の人間よりより純粋で優しかった・・・」

「・・・・・・今思えば、疎んでいるつもりで愛していたのかも知れません・・・。・・・難しい話でしたね。すみません。
彼に出来なかった分、贖罪と言えば聞こえは良いですね。・・・ただ単に彼への罪滅ぼしと言ったところもあります。しかし、君は第一に私の生徒です。・・・だから、君の力になってあげたいんです・・・・・・もう遅いかもしれませんが」


先生は僕のお腹をとんとんしながら話してくれた。
・・・夜泣きのこと、少し思い出したのは秘密。先生は寝る前にいつもとんとんしてくれてた。

「・・・先生」
「何ですか?」
「・・・・・・僕、もう子供じゃないしとんとんしなくていいよ?それに五十嵐先輩のことは大丈夫。僕には郁だけじゃなくて伽南も愛人君もいるから」
「・・・そう、ですね」
「・・・先生。お話ししてくれて、ありがとう。・・・でも僕は大丈夫だから。・・・僕には、僕を心配してくれる人がいるから。・・・先生もだよ?ふふ」
「・・・はい。・・・・・・では、私の助けが必要ならいつでも言ってください。私はユウト君のことを我が子のように思っていますから。私のことも母と思って接して下さい。・・・父ですかね?」
「うんっ。あ、はい。・・・ありがとう、先生」

・・・やっぱり、直江先生は優しい。

「それと、熱があるようですから・・・迎えを寄越します。お昼休みになったら大江君たちと寮に戻って、今日は休んで下さい。・・・おやすみなさい」
「・・・・・・おやすみなさい」


またふわっとした。
・・・先生が導いてくれてるんだ・・・。

暖かくて、優しくて、・・・僕はまた目を閉じた。





















「・・・大江君、少し良いですか?」

1限でユウ先輩のトラウマの原因であると言うあの人の授業になんとか耐え、恐らく保健室であろうユウ先輩の元へ行こうとしたら担任の直江先生に声をかけられました。

「はい・・・?」
「・・・ユウト君のことで」
「・・・ユウ先輩・・・・・・」
「はい。・・・今は保健室で寝ています。熱も出てるので早退させたいのですが、今は静かに寝かせてあげた方がいいと判断して保健室のベッドで療養してもらってます。ですから、お昼休みにお迎えに行ってあげて下さい。それを伝えにと」
「・・・分かりました」
「・・・それから、、。・・・あまり過激なことはしないで下さいね?君たちの気持ちも分からなくはないのですが、あとが大変なので」
「・・・ええ」

・・・・・・お見通しですか。まぁ、それなりに。
しかし、まさかユウ先輩が熱を・・・。
それだけ辛かったんだろうと思うと胸がズキズキと痛んだ。俺だって、あんなことをユウ先輩に言われたとしたら耐えられないくらいなのに――!!

「あと、ちゃんと授業は受けて下さいね?テストで取れても単位が足りないと、再び2年生に戻って頂きますから」
「・・・はい」

そう言い残し、直江先生は離れた。
・・・あの人、静かに怒るとき迫力ありますね・・・。いつも怒られている大久間先生の気持ちが少し分かった瞬間でした。

・・・とりあえず、先のことは桐谷先輩や野崎先輩にもお伝えしておきましょう。


俺はそのまま隣のクラスへ向かった。
3年になると3年生だけ校舎が一棟与えられているので楽ですね。以前はそうもいきませんでした。・・・クラスごとに階数ご変わるのは移動が大変なので。

「・・・桐谷先輩と野崎先輩は――
「おー、イク。・・・あれ、ユウトは?」
「・・・その件でお話が」

隣のクラスに行くと、桐谷先輩は友人でしょうか?と腕相撲をしていました。その表情は変わらず、対面している人の方が顔を真っ赤にしています。

「・・・余裕そうですね」
「あぁ、だって田中の三男弱いから」
「なっ!それはっ――」

あ、確かこの人は田中三郎先輩。
去年の例の魔法訓練でユウ先輩が相手した・・・。

「それで?ユウトのことでって・・・」
「野崎先輩は――」
「あいつはあそこ」

桐谷先輩が指差した先には野崎先輩が四、五人ほどのクラスメイトらしい人たちに囲まれていた。机に腰かけて、腕を組み野崎先輩お得意のキラースマイルを浮かべている。



「はは。そう?」
「そうだよ~。愛人ってば!」
「ごめんね。俺、ちょっとこれから用事あるから」
「えー!!」
「・・・嫌ならバイバイする?」
「ヒッ・・・・・・じょ、冗談だよね?」
「ふふ。うん。冗談だよ。···それじゃ」
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