パーティを追放されて、出会ったのは裏切った婚約者の妹でした

カモ

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第1話 始まり

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「そっちに行ったぞ! ハジメ」

 俺は呼ばれていつも通りに魔物の攻撃を盾で防ぐ。
 鉄の盾は微量な魔力を含んで魔物のブレスをなんとか打ち消す。

 そして後ろからパーティ内の攻撃の要。
 勇者の職業を持っており、素早い動きと強烈な攻撃で魔物を圧倒する。
 得意の氷の魔術を使いながら剣で斬りつける。

「アイシクリンソード!」

 その攻撃によって魔物は凍り付き、粉々となり消滅する。

「やったね、ハジメ君」

「ああ、お前のおかげで今回も楽勝だな」

 俺たちは互いにハイタッチしながら今回の依頼もこなした。

 守りの要と攻撃の要。俺たちは最強コンビ。
 俺が守り、ツバサが攻撃をする。

 俺たちのパーティは魔王を倒すために組んだ。

 魔王を倒せば世界は平和になれる。
 そして俺たちはこれからずっと仲間だ。

 こいつらとなら……どんな敵が来ても安心だ。

 しかしこの時からか。
 絶望へのカウントダウンは始まっていた。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆

「「「かんぱーい!」」」

 無事依頼をこなして俺たちはある宿屋を貸し切って祝賀会をしていた。

 今回の依頼はなかなかの難易度だった。
 だけどみんなが協力したおかげで犠牲者もなく終われた。
 多額の報酬も手に入れてパーティ内で山分けすることにした。

 しかしみんなが俺の方をチラチラと見ている。

 なんだろう。何かあるのか? と思ったが答えはすぐに分かった。

「おい、ハジメ……」

「なんだ? ガウン?」

 いつも通りの低い声でガウンは俺に話しかけてくる。
 大男で頬に傷があるこいつは俺たちのパーティのリーダー。
 仲間の命を最優先に考え、悩んでいるやつのことを気にかけてくれる。
 そしてガウンは俺に大量の金貨を渡してくる。

「みんなで事前に相談してたんだ……お前とマドカ、この戦いが終わったら結婚するんだろ?」

「……っ! どうしてそれを」

「うちが話したんだよ、ハジメ」

 長く美しい黒髪。赤い瞳。スラっとした体形は誰が見たって魅力的。
 そう、彼女こそが俺の愛する人であり婚約を約束している女の子。
 彼女は冷静に長い髪を触りながら俺に話しかけてくる。

 マドカが俺たちの結婚の約束をみんなに話したのか。
 いやいつか話そうとは思っていた。

 隠そうとは思っていなかったがパーティ内に無駄な混乱を避けるため。
 頃合いを見て打ち明けようとは思っていたが。

「ハジメ、うちは……みんなに祝福されて嬉しい」

「マドカ……」

「ひゅーひゅー! あんたたちもそういう関係だったんだ! あたしとガウンみたいな関係ってことね!」

 すると茶化すようにセーニャがガウンと抱き付きながら言ってくる。
 ピンク色のツインテールが特徴的な彼女。
 明るい性格でこのパーティのムードメーカでもある。
 セーニャは既にガウンと付き合っていることを公言しており、いつも一緒である。

「セーニャ、あんまり騒がないで」

「なーんで? いいじゃん! このこの! あたしたちの知らないところでラブラブしやがって」

「とにかく今回の報酬金はお前たち二人の今後の未来の資金にあててくれ、これはみんなで決めたことだ」

「そうだよ、ハジメ君……君たちに幸せになって欲しいんだ」

 するとツバサも俺たちの前に現れて拍手をしている。
 ガウンもセーニャもハジメもみんな喜んでくれている。
 パーティのみんなも賛同しているようだ。

「これからはマドカの『守護神』としてもその盾で守ってやりなよ」

「ハジメ……ああ! そのつもりだ!」

「それでこそこのパーティの守護神、お前がいるから俺たちは怪我しなくて済んでいる」

「ハジメ、幸せにしてね」

 マドカは俺の頬にキスをしてくる。
 大胆なその行動に俺は顔を赤らめる。
 さらにセーニャが声をあげて盛り上げる。

 ガウンは俺のことを持ち上げて胴上げのような状態となる。

 幸せだ。俺は……ずっとみんなと一緒だ。

 こうして運命の祝賀会は終わっていった。
 でもこれが俺の人生で一番の絶頂期だったのかもしれない。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 祝賀会が終わった翌日。
 俺たちは新しい依頼をこなしていた。
 実力のあるパーティに暇はない。

 今回もガウンの指示の元。陣営が決められ、俺はいつも通り前衛で魔物の攻撃を防ぐ。

 俺が魔物の攻撃を止めている間に他のやつが攻撃する。

 しかし最近は休み暇もなく依頼が続いているためか。
 元々、魔力も才能もない俺は息切れを起こす。

 だけど俺はこのパーティの守りの要。
 弱音を吐くわけにはいかねぇ!

 炎のブレスを魔力を必死に盾に伝えながら防いでいる。

 後ろから、ツバサ、マドカの連携攻撃で魔物を倒す。
 さらにガウンは巨大に斧を振り回し、セーニャは小刻みにレイピアによる攻撃を繰り出している。

 ここまでくると気合いと根性で俺は守っている状態。

 だけどこのままいけばいける! 今回もみんなで一緒に犠牲もなく終わるんだ!

「ま、マドカ!」

「し、しまった!」

 でも、最悪の事態が起きる。マドカがその場で転倒してしまう。
 いつも冷静沈着なマドカがあんなミスをするなんて。
 そしてさらに魔物はその隙を見逃さずマドカに強烈な炎のブレスをはいてくる。

 誰も反応出来ず、このままではマドカがやられてしまう。

 ぐぅ! こうなったら……。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「おい! ハジメ! やめろ、危険過ぎる!」

 俺は誓った。マドカの盾となりどんな障害からも守る守護神となると。
 こんなところで愛する人を守れなくてどうする!
 身を犠牲にしてでも守るのが男としての務め!

 でもとてもじゃないが重い盾を持ちながらでは間に合わない。

「ぐぁぁぁぁぁ!」

「は、ハジメ!?」

「あいつ……自分の体で」

「……」

 熱い。だけどそんなの気にしてられるか。俺は焼けつく痛みを必死に我慢しながらブレスを体で受け止める。
 その隙にツバサとガウンは魔物を倒す。
 それを確認して俺はボロボロになった体を見ることもなく力尽きた。

 悲鳴が聞こえてきたがなんとか意識を保っている。

 マドカとセーニャが駆け寄りすぐに手当てを施す。

 だが、気のせいか。ツバサが笑っているように思えたのは。
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