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7.「メンタルブレイク」
しおりを挟む7.「メンタルブレイク」
「やめて‼やめて‼やめて‼」
ズイは、リエンをメッタ刺しにし続けた。
「私は、悪くないの・・・!私はただ・・・」
ズイには聞こえない。いや、聞きたくないのか。
「お前のせいで!お前のせいで!お前のせいで‼」
リエンの返り血でズイの顔が真っ赤に染まる。
「やめて・・・やめてよ・・・」
ズイの攻撃力は最低値。リエンのHPが全損するにはまだ時間がかかるが、ズイの狂気を前にして、確実にリエンは冷静な思考を失っている。
「俺はやり直すはずだった!認められるはずだった‼なのに!なのに‼」
リエンは逃げなかった。それでも訴え続けた。
「私はずっと、ズイのこと・・・。ズイは、私にとって・・・」
「うるさい!ウルサイ‼お前は俺の理想を踏みにじった‼」
突然、ズイの動きがピタリと止まった。一瞬、リエンの顔に光が差す。
「俺に『ロット』をかけろ」
「えっ・・・」
「もういい。次で殺す」
「そんな・・・」
「早くしろ‼」
リエンは震え、涙を流しながら、口を開いた。しかし、震えで喉が上手く動かない。
「やめておけ」
突如、スルズが仲裁する。
「貴様の精神は限界だ。これ以上の『ロット』は身ももたん。貴様、本当に死ぬぞ」
それを聞いたリエンは、口をぎゅっと閉じる。
ズイは、リエンを再度視界に捕らえる。リエンは飛びのいて後ずさりする。その時だった。
カラン、コロン。
リエンのバッグから、小結晶が零れ落ちた。
時が止まった。誰も動かなかった。
ガリッ、ガリッ。
時間が動き出したとき、ズイは、小結晶を――食べていた。
「な、なにをしている、貴様」
「ズイ・・・?」
ガリッ、ガリッ。
無性に食べ続ける。
「待て、やめるんだ、その辺にしておけ!」
「ズイ!」
ガリッ、ガリッ。
まるで取り憑かれたように貪り続ける。
しかし、今のズイに狂気はなかった。
ガリッ、ガリッ。
転がった小結晶はあっという間になくなった。それを見るや、リエンはとっさにバッグをひっくり返した。
ガラガラガラガラ!
ものすごい数の小結晶が地面に叩きつけられた。
ズイが小結晶の山に飛びつく。
ガリッ、ガリッ。
あっという間に山がなくなった。
「やめろ、やめろ、やめてくれ貴様ら・・・」
「ズイ!ズイ‼」
山を食い散らかしたところで、俯いたまま、
「リエン」
涙目のリエンが力強くズイを見つめる。
「『ロット』を・・・かけてくれ」
声はもう、獣のそれではない。
「あいつを・・・仕留める」
「ズイ‼」
ズイの顔が上がる。リエンがのぞき込む。
ズイの眼は爛々と輝き、血走った眼球からは火花が散っていた。
「やめろ、無駄だ、無駄なんだよ。貴様らの抵抗は無駄なんだ」
「どういうことだ」
スラっと伸びた刀身を構えたズイが聞き返す。
「またやり直すだけなんだ」
「なんだと?」
「貴様は、またあのボロ宿屋に戻る。そして貴様らが出会うんだ」
ズイは引かない。
「私の野望が叶うまで、終わらないんだよ」
リエンは言葉を失ってしまった。それでもズイは、
「リエン、頼んだ」
「えっ、で、でも」
「そうだ、意味ないんだよ。ただ私がちょっと痛い思いするかどうかだから、ね?」
「リエン」
リエンの方には向かない。
「愛してる」
「⁉」
刹那――ズイはスルズに突っ込んでいった。
7.「メンタルブレイク」 終
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