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第一章 船出
5、食事なんかで
しおりを挟む僕の名前は望月何某。いい加減、名前言えって?
はい。言いません。僕とても素直なので。
さて、辻もワイフも自分から名前を言ってしまいましたね。
馬鹿野郎ですよ。気軽に初対面で名前を名乗るなんてね。
あ、僕が皆さんを不躾なんて思っていませんよ。
僕なりの配慮です。
ということで、ダイニングに通された僕たちは夕飯にありついたところです。
「今日は牛肉の煮込みだけど、お口にあったかな?」
辻はスマートな物言いで食事の味を確認する。
「辻さん、とても美味しいです。洋食は以前、主人が群馬の家で作ってくれた以来で。」
「望月くん、君料理もするのかい?」
「14から一人で一軒家で生活してるからね。料理も行きつけのところで色々教えて持ったよ。」
わあ。なんて完璧な僕。勉強もできるのに、料理もできるなんて。辻、君は敗北宣言だな。
「僕は、君と同じようには作れないけど、ガールフレンドの家でモーニングを作ることもあるよ。」
「え?辻さん、同棲なさってるんですか?」
「いえいえ。モガなガールフレンドが何人かおりまして、泊まらせてもらうお礼に、食事を少々。」
むむむ。その先方は僕のやり方を真似たね。大学に入った時、君に女遊びを教えたのは僕だからね。
「な、望月。君はいい奥さんをもらって羨ましい限りだよ。」
全然褒め言葉じゃない。辻は自由を満喫しすぎている。。。
「ああ、僕は幸せ者さ。」
余裕な僕の発言に君たちは圧巻だろう。
ん?僕を差し置いて、二人で盛り上がっている。。。むむむ。。。
まあいいだろう。僕を好きな二人が僕の為に盛り上がってるのだから。。。
それにしても、辻の家の料理はうまい。
大金持ちになったらシェフを雇おう。
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