夢は職業婦人〜カラクリ御曹司と偽お嬢様の恋

有住葉月

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第九章 成長に合わせて

10、冬休みの宿題

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櫻は冬休みの宿題に取り掛かっていた。

提出の有無は関係ない。しかし、教師に教えを乞うことができる。

櫻は将来の夢という文章で辻あてに書いていた。

「将来の夢
私の将来の夢は職業婦人です。まだ、この仕事というものは決まってきませんが、魅力的な仕事につきたいと思っています。
結婚ももちろんしたいと思っています。家庭を築くことも国のため、自分のために必要だと考えるからです。

職業は女性の進出がここ何十年かで大変広まりました。私はこのタイミングがとても幸運だと考えています。
百貨店で働く女性は、とてもきらびやかで、憧れます。タイミピストの女性は理知的でまだまだ私には憧れの域を出ていません。
しかし、すべての職業に共通する私が憧れるのは、「人を幸せにする」職業に就きたいということです。
私の働きで誰かが笑顔になることが本当にいいいなと思います。
まだまだ修行中の私ですが、いつか本当のモダンガールな職業婦人になりたいです。」

という書き出しで書いてみた。
櫻のキーワードは「人を幸せにする」というところだった。
幸せな人を幸せにすることはもちろんだが、困っている人たちを救いたいとも思っていた。

最近、気になるのは、活動家のことだった。
自分と同じような貧乏な人たちが虐げられている状況を弁論によって変えようとしている人がいる。
それをいろいろな新聞や書籍で読んだのだ。
いつか、その弁論大会に見に行ってみたい。
辻にそれを頼んでみようとも思った。

しかし、それは同時に危険な行為でもあった。
社会に反逆する行為と見做されることがあるのだ。
辻の嫁に行きたいのであれば、それは避けた方がいいとわかっている。
でも、自分には湧き上がる衝動をどう抑えていいのかわからなかった。

前に読んだ、大杉何某の存在が櫻の中で気になっていた。
もちろん、自分とは全く違う世界の人である。
自分は何を聞きたいかと言われたら、わからないと言える。
でも、そのパッションを演説で聞いてみたいと思った。

辻に相談すべきか迷う櫻はレポートの筆が止まってしまった。
あとで、アグリに相談しに行こうと思っていた。
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