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第十三章 養女になる準備

29、ノア先生の話の続き

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ノア先生との話は続く。

「どう思いましたか?」
「ノア先生はもっと穏やかなお生まれだと思っていました。」
「そう。私も母を知りたかった。でもノアの方舟に乗る動物や植物は親を知らずに育つものもいるでしょう。」
「そうですね。」
「ノアは日本に行く時に、ああ、これが方舟だとおったのです。」
「日本が?」
「そう。世界は終わってません。でも一度私の世界は終わりました。」
「終わった?」
「私は父を置いて、日本に来ました。主人と少しの友人しかいない日本に。」
「勇気がありますね。」
「勇気ではないです。運命です。」
「運命?」
「そう。あなたはクリスチャンじゃないからそういうことをあまり感じないかもしれません。でも、運命はここにあるのです。」
「すごい話です。」
「でも、櫻さん、あなたの名前、世界中で有名になりますよ。」
「え?」
「日本の桜を見たら、世界中の人たちはその苗木を世界に植えるでしょう。」
「実は、私は櫻じゃないんです。」
「それは?」
「あの、櫻っていうのは私がつけた名前で本当はサクなんです。」
「サク?」
「そう。私は貧しい家で生まれて、あまり考えずにつけられた名前なんです。漢字もなくて。」
「あなた、サクも素晴らしいですよ。」
「え?」
「ノア、思います。櫻さんがあるのはサクさんがあったからです。櫻さんはこれから花を咲かせていくのでしょう?」
「。。。はい。」
「なら、サクは咲くになればいいのです。」
「ノア先生は漢字までご存知なんですか?」
「もう勉強たくさんしました。まだ知らないものも多いけど。」
「ノア先生みたいに生きたいです。」
「そう?私の息子は猛獣ですよ?」
「猛獣?」
「そう。おもちゃは投げるし、ご飯は好き嫌いするし、手がかかります。」
「でも?」
「そう。大好き。何しても怒っても、大好き。」
「先生のお子さんの頃って、聞かん坊らしいです。学校の家庭科で習いました。」
「そうなんですか。うちの子だけだと思いました。」
「ノア先生でも知らないことあるんですね。」
「そう。だから、勉強するんです。沢山。」

櫻はノアと話したことで、沢山の経験を聞くことができた。
不幸な生まれは自分だけではない。切り開いていくことが重要だと思ったのであった。
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