夢は職業婦人〜カラクリ御曹司と偽お嬢様の恋

第十四章 望月家からの旅立ち

３、アグリとヨウスケ

辻からの提案があった後、アグリはヨウスケに相談した。

「ねえ、辻さんが櫻さんの結納めいたものをこちらで開いて欲しいって。」
「ああ、それはいいことだね。」
「でも、したことないじゃない？」
「オリジナルを作るのが僕たちのいいところじゃないか？」
「オリジナル？」
「そう。アグリ、君が東京に来てしてきたことって誰もしたことがないことだよ。道を切り開く。それを今回もしてみようじゃないか。」
「なんだかヨウスケさんが言うと納得させられちゃうけど。。。」
「あ、でも僕に任せてなんて言わないよ。」
「え？」
「だって、結納めいたものなんて重荷じゃないか。アレンジしよう。」
「アレンジって？」
「そうだね。食事は洋食って言ってただろ。だから、僕がシェフと司会をしよう。」
「何？」
「ショウだよ。」
「ショウ？」
「フランスのムーラルージュにいるような体験ができる結納だよ。」
「そんなのっていいのかしら？」
「櫻くんが楽しくこの家を旅立てる内容にしたいんだろ？」

「そうだけど。。。」
「そうだろ？なら、してみるのにダメな理由はないよ。」
「具体的にはどんなの？」
「そうだね。まず、サプライズで音楽の演奏に櫻くんの先生をしてるノアを呼ぶ。」
「ノアさん？」
「あ、言ってなかったけ？」
「櫻さんからは聞いていたけど。」
「僕も留学中に会ってて、共通の友人なんだ。」
「顔が広いことですね。。」
「まあまあ。で、演奏はそう言うことで、僕が司会をしながら、歌を交えながらことを進めていく。それで、最後のフィナーレはアグリから櫻さんへのお手紙だ！」
「え？」
「まあ、送り出すわけだからさ、最後は御涙頂戴ってわけさ。」
「そんなふざけたみたいのでいいのかしら？」
「ふざけていないよ。ウィットに飛んでいると言ってくれ。」

と言うことで、不思議な会が開催されることになったのをアグリは聴きながら、一方でそれを楽しもうと考えるようになっていった。