上 下
275 / 416
第十五章 佐藤櫻として

19、ノアとの続き

しおりを挟む
ノアとの話は続く

「ノア先生、私、正直いうと、仕事をするのが好きなんです。」
「そうですね。あなたはいろんなところで働いてきましたね。」
「その中でも、辻先生が導いてくれた職業婦人の職業はとても魅力的でした。」
「それをしたいと?」
「はい。今の所。」
「それは今じゃなければいけないですか?」
「ノア先生、どういう意味ですか?」
「勉強するタイミングは若い時ほどいいということです。」
「それって?」
「私は一度、勉強するのを逃しました。」
「え?」
「イタリアで進学できず、そのまま販売員になりました。」
「楽しくなかったですか?」
「いいえ。でも、私はある職場のパーティーで今の主人に出会いました。」
「あ、てっきりフランスでだと思ってました。」
「フランスに行くべきだといったのは主人です。」
「え?」
「宴会の時、ノアがピアノを弾いたのです。それを主人が聞きました。それで、進学するべきだと。」
「どう思いました?」
「変な東洋人だと思いました。思いつきで軽々しいことを言うと思いました。」
「でも、どうして?」
「学費を出すといったのです。」
「え?」
「主人がノアの学費を出すからフランスに行こうといったのです。」
「それって?」
「はい。私をパートナーとして連れて行きたいと言われました。」
「どう言う気持ちになりました?」
「正直、父をイタリアに置いて、フランスに行くことを躊躇いました。しかし、主人は父の世話もすると言いました。」
「よっぽど大切だったんですね。」
「大切?」
「ご主人様にとってノアさんが」
「いいえ。主人は私に恋はしておりませんでした。私のピアノに恋したのです。」
「そんな。いいんですか?」
「私にとってピアノは心臓です。だから、そう言われた時、本当に嬉しかったです。」
「不思議な縁ですね。」
「その後、フランスで勉強をした時、ノアは思いました。」
「何をですか?」
「勉強は若い時にしたほうがいいと。いつでも遅くはありません。でも吸収する力が違うのです。」
「それで。。」
「そう、だから、せっかく佐藤櫻になったのだから勉強続けるべきです。」
「いい体験を聞きました。辻先生に相談してみます。」
「あと、父とも相談すべきですよ。」
「ああ、そうですね。」
「あなたは一人で生きてきた。だから、無理してきた。遠慮すべきではないのです。素敵な人生を。」

その後、ノアとは雑談をして、別れた。辻に話す前に父に話すべきか迷った櫻であった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

母と娘の躾直しのお尻叩き

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:1

離縁するので構いません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:46,188pt お気に入り:524

“やさしい”お仕置き

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:13

『背伸び』ができない“なぎさちゃん”

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:16

ドラゴン☆マドリガーレ

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:1,450pt お気に入り:671

お仕置きの思い出~お仕置きされたい?~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:0

きつく縛って、キスをして

BL / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:224

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:12

痛がり

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:13

2100年の小学校

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:7

処理中です...