362 / 419
第十六章 最終学年
83、帰り道での出来事
しおりを挟む
図書館で本を数冊借りて、櫻は下校した。
今日は望月の予定があるということで、途中まで送ってもらうことになっていた。
「やあ。」
「望月さん、お待たせしてすみません。」
「ううん。こちらこそ、家まで送れなくてごめんね。」
「どうしたんですか?」
「和子のお風呂の時間に間に合わせたくてね。」
「赤ちゃん思いですね。」
「で、御殿山の交差点が混むから品川の手前でいいかな?」
「もちろんです。」
車内で櫻は先ほどのことを望月に話してみることにした。
「あの、望月さん。」
「ん?」
「新人の先生が私のことを色々知っていたら不安になりますよね?」
「うーん。そうとも言えるけどね。」
「どういう意味ですか?」
「だって、佐藤支店長だって大金持ちじゃないか。一教師が婿に入りたくなるよ。」
「そんな。私だって佐藤を継ぐ予定はないのに。」
「世間はそう思わないよ。」
「そうなんですか?」
「前も言っただろ。うちだって、勇蔵という弟とどちらが継ぐかが親父の悩みなんだよ。」
「望月さんは土建屋さんにはならないんですか?」
「それは櫻くんに思想を変えないんですっかっていうのと同じだよ。」
「え?」
「君の思想を変える男とは結婚しないだろ?」
「そうですけど。」
「だから、辻なんだな。」
「そうじゃありません。」
「うん。冗談。」
「冗談がすぎます。」
「でもさ、家族関係っていうのは時代が変わっても、世襲制とか結構煩わしいもんだよね。」
「外国は違うんですか?」
「いや、もちろん世襲の会社もあるよ。でも、有能な人がいたらその人に託すこともある。」
「それはいいですね。」
「本来ビジネスはそうであるべきなんだよ。」
「そうなんですか?」
「だから、僕はね、和子には別に洋装店を注いで星なんんて思ってない。」
「え?」
「それは淳之介もだよ。」
「淳之介さんは望月さんに憧れてます。」
「文筆家なんて別にフリーランスだしね。僕が成し遂げなかったことを淳之介がするもね。」
「私、望月さんが教師でも面白いと思います。」
「そりゃ。でも、僕は小説家で幸せだ。」
「辻先生は幸せでしょうか?」
「いろんな形があるよ。僕はきっと辻の次回作は傑作になると思う。」
先ほども助けてくれた辻。
若葉はとても脅威である。でも、若葉とは結婚したいとも思わない。
辻を大切にして、そして生きていこうと思った。
今日は望月の予定があるということで、途中まで送ってもらうことになっていた。
「やあ。」
「望月さん、お待たせしてすみません。」
「ううん。こちらこそ、家まで送れなくてごめんね。」
「どうしたんですか?」
「和子のお風呂の時間に間に合わせたくてね。」
「赤ちゃん思いですね。」
「で、御殿山の交差点が混むから品川の手前でいいかな?」
「もちろんです。」
車内で櫻は先ほどのことを望月に話してみることにした。
「あの、望月さん。」
「ん?」
「新人の先生が私のことを色々知っていたら不安になりますよね?」
「うーん。そうとも言えるけどね。」
「どういう意味ですか?」
「だって、佐藤支店長だって大金持ちじゃないか。一教師が婿に入りたくなるよ。」
「そんな。私だって佐藤を継ぐ予定はないのに。」
「世間はそう思わないよ。」
「そうなんですか?」
「前も言っただろ。うちだって、勇蔵という弟とどちらが継ぐかが親父の悩みなんだよ。」
「望月さんは土建屋さんにはならないんですか?」
「それは櫻くんに思想を変えないんですっかっていうのと同じだよ。」
「え?」
「君の思想を変える男とは結婚しないだろ?」
「そうですけど。」
「だから、辻なんだな。」
「そうじゃありません。」
「うん。冗談。」
「冗談がすぎます。」
「でもさ、家族関係っていうのは時代が変わっても、世襲制とか結構煩わしいもんだよね。」
「外国は違うんですか?」
「いや、もちろん世襲の会社もあるよ。でも、有能な人がいたらその人に託すこともある。」
「それはいいですね。」
「本来ビジネスはそうであるべきなんだよ。」
「そうなんですか?」
「だから、僕はね、和子には別に洋装店を注いで星なんんて思ってない。」
「え?」
「それは淳之介もだよ。」
「淳之介さんは望月さんに憧れてます。」
「文筆家なんて別にフリーランスだしね。僕が成し遂げなかったことを淳之介がするもね。」
「私、望月さんが教師でも面白いと思います。」
「そりゃ。でも、僕は小説家で幸せだ。」
「辻先生は幸せでしょうか?」
「いろんな形があるよ。僕はきっと辻の次回作は傑作になると思う。」
先ほども助けてくれた辻。
若葉はとても脅威である。でも、若葉とは結婚したいとも思わない。
辻を大切にして、そして生きていこうと思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる