大杉緑とは俺様だ(完結)

有住葉月

文字の大きさ
上 下
15 / 62
第2章 弁護士になって

5、梅との出会い

しおりを挟む
大杉緑とは俺のことだ。
生家には兄弟がいるが養子に出された叔父の家では一人っ子の俺はみーちゃんなんて呼ばれてた。
それを嫌とも思わなかった。しかし、尋常小学校の変なやつが、みーちゃんと呼ばれているのを見て、から買ってきた。何が悪いんだ。親が子供を愛くるしく呼ぶのは悪いことではない。
しかし、その時の俺は恥ずかしかった。泣いて親に訴えた。
だが、俺の母親は俺を叱った。それは至極正当なことである。
それで、俺は恥ずべきことでないと再認識し、何か言われたら、対抗するという手段を得たのだ。

ということで、名前に困ってる諸君がいたら、参考にしてほしい。

さて、本題に移ろう。
サチと交際というか活動というかなんだかよくわからない関係を続けていた弁護士の俺。
ある日に、活動の集まりにサチが家の用事で来られなくなった。
そうなら、俺も出ないと言ったのだが、戦争のこと分かったらと俺1人で行けと言ったんだ。

乗り気ではないが、サチを失いたくない俺は活動の集まりに行った。
サチの所属している活動はインテリが集まっていた。
帝国大出の男なんてザラにいたし、来てる俺がいうのも変だが、こんなところに来なくてもと思ったのだ。

その中で、異色の花を放つ女性がいた。
ちょっと本名を言うと(これから明かすかもしれないが)ちょっと、彼女のことに申し訳ないので、俺はあえて偽名で伝える。
梅という女学校出た後に、結婚した女性だった。
梅はとても聡明な活動家だった。
他の仕事はしておらず、執筆活動をしながら、世間に主張をしていた。
俺は、その可愛らしい顔から強い思いを聞くたびに、惹かれていった。

梅に声をかけてみた。
「あの」
「あ、あなた大杉さんね。」
「え?どうして?」
「あ、サチさんと親しいの。だからあなたのこと聞いてて。」
「でも、梅さんは結婚してるし、活動してるのは大丈夫なんですか?」
「うん。。主人は賛成してないわ。でも、反対もしてない。」
「それって?」
「うん、子育てさえしてればいいって言うんだけどね。」
「俺が旦那だったら。。。」
「ん?もし、私と大杉さんが?」
「うん、君の活動を応援したい。」
「あら、本当にサチに聞いていた通りね。でも、ガールフレンド以外にそんなこと言っちゃダメよ。」
「え?どうして?」
「だって、口説き文句にもなるでしょ?」
「いや、俺は、そんなつもりじゃ。」
「じゃあ、ありがとう、大杉さん。これからもよろしくね。」

と言うことで、俺は梅と出会ったのだ。サチがいるのに、どうしようもなく梅が欲しくなった。

それからのこと、気になると思う。それはまたの機会に。さらばである。
しおりを挟む

処理中です...