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第2章 弁護士になって
6、梅との愛情
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大杉緑とは俺のことだ。おっ手がきてるから、ささっと紹介した。
なぜ、追っ手が来てるかって?
俺は今梅を連れて、逗留しているのだ。
2日前に時間を戻そう。
その日もサチは用事が会って、活動の会合にはこなかった。
手持ち無沙汰な状態であった。まだ戦争にはならなそうだし、なんならそういう状態で俺は自分の生活を守りたいと思っていたのである。
「あら、大杉さん、今日も1人?」
「ああ、サチが来れなくてね。」
梅が話しかけてきた。
「あら、じゃあ私と一緒ね。今日は同志が来ていなくてね。」
「君は書き物をしたり、育児や家事をしたり大変だね。」
「私ね、家事をするのは男でも女でもいいって思い始めてるのよ。」
「え、でも君のご主人はあの有名な。」
「ああ、名前出さないで。知らない人もいるから。私、お金持ちの家に嫁いで不自由さを感じてるの。」
「愛し合った結婚じゃなかったのか?」
「そう。愛し合ったからこそ、お互いのことをちゃんと考えてなかった。」
梅はタバコに火をつけた。
「おい、大丈夫なのか。」
「何が?」
「女性は妊娠してるかもしれないからタバコは。」
「あら、結婚したらダメなの?私、そんなことはないと思うわ。」
「君は強いんだな。」
「じゃあ、この会を抜け出して飲みに行きましょうよ。」
俺たちはそっと会合から出た。
外の風は少しひんやりした。
梅が手を繋いできた。
「え?」
「だって。寒いから。」
これはまずいとわかっていたが、俺は梅をどうしても手に入れたくなってしまった。
「どうする?」
「じゃあ、静かなところに行こう。」
もう、俺はしけ込むことしか考えられなくなっていた。
まだ20代半ばの男である。
梅だって同じくらいだ。
子供がいるのに、変に所帯染みてなかった。
梅から繋がれた手を俺が引っ張って、電車に乗った。
「電車に乗るの?」
「ああ、ついてきてくれるか?」
「仕方ないわね。」
その、仕方ない、が後々の俺にとってもどういう意味だったのかわからない。
俺に対してなのか、旦那にたいしてなのか、それとも自分の置かれた立場だったのか。
ということで、俺はなんと逃避行をしてしまった。まだまだその話は続くが、今日はこの辺りで、さらばである。
なぜ、追っ手が来てるかって?
俺は今梅を連れて、逗留しているのだ。
2日前に時間を戻そう。
その日もサチは用事が会って、活動の会合にはこなかった。
手持ち無沙汰な状態であった。まだ戦争にはならなそうだし、なんならそういう状態で俺は自分の生活を守りたいと思っていたのである。
「あら、大杉さん、今日も1人?」
「ああ、サチが来れなくてね。」
梅が話しかけてきた。
「あら、じゃあ私と一緒ね。今日は同志が来ていなくてね。」
「君は書き物をしたり、育児や家事をしたり大変だね。」
「私ね、家事をするのは男でも女でもいいって思い始めてるのよ。」
「え、でも君のご主人はあの有名な。」
「ああ、名前出さないで。知らない人もいるから。私、お金持ちの家に嫁いで不自由さを感じてるの。」
「愛し合った結婚じゃなかったのか?」
「そう。愛し合ったからこそ、お互いのことをちゃんと考えてなかった。」
梅はタバコに火をつけた。
「おい、大丈夫なのか。」
「何が?」
「女性は妊娠してるかもしれないからタバコは。」
「あら、結婚したらダメなの?私、そんなことはないと思うわ。」
「君は強いんだな。」
「じゃあ、この会を抜け出して飲みに行きましょうよ。」
俺たちはそっと会合から出た。
外の風は少しひんやりした。
梅が手を繋いできた。
「え?」
「だって。寒いから。」
これはまずいとわかっていたが、俺は梅をどうしても手に入れたくなってしまった。
「どうする?」
「じゃあ、静かなところに行こう。」
もう、俺はしけ込むことしか考えられなくなっていた。
まだ20代半ばの男である。
梅だって同じくらいだ。
子供がいるのに、変に所帯染みてなかった。
梅から繋がれた手を俺が引っ張って、電車に乗った。
「電車に乗るの?」
「ああ、ついてきてくれるか?」
「仕方ないわね。」
その、仕方ない、が後々の俺にとってもどういう意味だったのかわからない。
俺に対してなのか、旦那にたいしてなのか、それとも自分の置かれた立場だったのか。
ということで、俺はなんと逃避行をしてしまった。まだまだその話は続くが、今日はこの辺りで、さらばである。
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