望月アグリと申します

有住葉月

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第4章 新しい関係

12、生活力

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望月アグリと申します。私はお嫁入りしてから、一日家事に携わるということがなく、本当に養女に行った状態だったことはお話ししましたね。
女中さんのお仕事を手伝ったりしましたが、なかなか1日の全体に関わることはできませんでした。

ある日、河村の実家に帰ることになりました。
「お母さん、帰ったよ。」
「まあアグリ。またお腹が大きくなったんじゃない?」
「んーー。そうかな?毎日自分だからわからんかな。」

お母様は愛おしそうにお腹を撫でてくださいます。

「ねえ、お母様。」
「どしたん?」
「あの、今日、食材を買ってきたのよ。」
「重かったでしょう。どうしたの?」
「あのね、望月のお母様がお小遣いたくさんくれたから、牛鍋にしようと思って。」
「え!牛鍋!」

お母様、びっくりして、尻餅ついてしまいました。

「ああ、お母様びっくりさせてすみません。」
「ええんよ。嬉しいびっくりだからね。」

「それで、お母様、私自分で準備したいの。」
「そんな大きなお腹で障るんじゃないの?」
「ううん。私、ちょっとした夢でね、エイスケさんと子供と3人でいつか暮らしたいの。」
「望月組はどうするん?」
「うん、近い未来じゃなくてもいいのよ。それでも、女中さんなしで暮らしていける力をつけたいの。」
「でもアグリ、この家に住んでいた時、沢山家事してたじゃない?」

「うん。そうなの。でもやっぱりしてないと忘れちゃう。」
「じゃあね、アグリ。少しずつうちに来て家事ノートを作るとええわ。」
「どういうこと?」
「したことをノートに書いて、忘れないようにするのよ。」
「いいわね。お母様もそうしたの?」
「お父さんが生きていた時は女中さんまかせだったでしょ。でも、女中さんにお暇するときに少し多めに包んで、家事のイロハを教えてもらったの。」
「家事のイロハ?素敵ですね。」
「今はね、マスオと2人だから簡単に終わるけど、お姉さんたちもいた時は5人家族だったから、料理も洗濯も一苦労だったわ。」
「だから、お姉さまもお手伝いするようになったんですね。」

「まだ、お腹の子が男か女かわからんけどね、どちらであっても家事ができた方がいいと思うわ。」
「お母様もそう思う?」
「アグリも考えてたの?」
「そうです。でも、なんだか男の子な気がするんだけど、ちゃんと教えたくて。」
「そうするとええわ。お金持ちでもなんでもできなきゃね。」

それから、河村の家に帰るときはノートを持って色々な家事を教わって書くようにしました。
そのノートは私の今でも宝物です。

ということで今日のお話はこの辺りで失礼します。お粗末様でした。
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