華族の悪役夫人に転生。復讐されないよう、家庭円満を目指します。

いんげん

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夫婦の夜の営業内容

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ふすまがあいて、現れたよいさまは、破壊力抜群だった。

普段、キッチリとしたスーツを着ているのに、すこしリラックスした感じの浴衣ゆかた姿に、ギャップで萌える。
濡れた髪に、お風呂上り感がある。
癖毛くせげが散らかっていて、顔にかかり、色気が半端じゃない。

これは刺さる。
凄く、私に刺さる!

でも、本当の絹子には刺さらなかったんだよね。
絹子には幼少期からの想い人がいた。
正統派、美形俳優が演じる、酷い男だ。

絶対に、宵さまの方が良い男だ。

「おっ、おかえりなさいませ」

朝からずっと見ていなかったし、宵さまは、今日も忙しかったのだろう。
多分、今の時刻は夜中の2時は回っているだろう。

宵さまは、相場師として稼いだ養父に見出され、資金提供を受け、いくつかの企業を設立している。
今も大変稼いでいるが、博弥ひろやさんが宵様に復讐を考える頃には、もう巨大すぎる敵になっている。

そんな男が忙しくないわけもなく……常に、不健康感がある。

「あぁ」
「お疲れ様です」
「……あぁ」

私たちが弾まない会話をしていると、久子さんは博弥さんを布団に寝かせた。

「すごい……私が寝かせたら、絶対起きるのに、何が違うんですかね」

自分の顎をつまんで、うなった。
久子さんは、宵さまが居ると曖昧に微笑んで、話してくれない。
仕方なく、まだ廊下に立っている宵さまを見上げた。

「さぁ、私には分からないが、泣いているのが気になるなら、人に任せて寝室で寝ればいい」

宵さまが答えてくれた。
でも、彼は一歩も部屋に入ってこない。

「そうなんですけど、違うんですよ! 確かに寝たいですけど、絶対、寝室に行っても気になって眠れないんです」

もう泣き声が、耳に張り付いているみたいだ。
それに、放り出して楽していると思われたくないという無駄なプライドもある。

「……来い」
「えっ……」

大きな足が、一歩踏み込んで、腕を取られた。
私は、目を白黒させながら、ひかれるがままについて歩く。
久子さんが、頷いて襖をしめた。


これは

まさか、夜の営みでしょうか。

た、確かに絹子と宵さまは夫婦ですが!

ですが、ちょ、む、無理です。

無理、無理。

神に抱きつくくらいの妄想はしたけど、断じて性的な対象にはしていない!

これは、カロリーオーバーだ!

頭の中がパニックになった。
広い屋敷だけど、寝室にはすぐに着く。
駅、徒歩五分もかからない。

ガチャ

重い扉が開く。

どっこ、どっこ、心臓の音が乱打している。

「寝ろ」
「……」

そ、それは、ベッドに横になれということでしょうか。
どうしよう、困った。

こ、ここは体調不良を訴えるべきだろうか。

しかし、ここで断るのは、夫婦としてこじれるのでは?
家庭円満を困難にするのでは?

重い足を、ずりずり、引きずるようにベッドへ向かった。
そして、どっちが自分のベッドか分からず、手前のベッドに、うつ伏せで倒れこんだ。

バタン

ドアが閉まる音がして、息を止め覚悟を決めた。

ちらり、宵さまを振り返った


が、

居なかった。

「ん?」

「は?」

「え?」

寝ろって、睡眠ということ?

なーんだ!
びっくりさせないで下さいよ。
そっか、そりゃ、そっか、二人は破綻してたんだよね、うん。

私は、安心するやら、拍子抜けするやらで―― 一瞬で爆睡した。

泣き声が耳についてても、寝れました。

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