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癒しの背中
しおりを挟む宵さまに、くっついていると、落ち着く。
あれから、隙があれば宵さまの背中にくっついた。精神安定剤だ。
最初こそ、野生の獣のように “ビクッ” と驚いていた宵さまだったけど、最近では『来るぞ』というのを感じるみたいで、驚かないし抵抗しない。きっと、子供にも飛びつかれたりしているから、人とのスキンシップになれたのだろう。
じっと動かず、嵐が去るのを待つように耐えてくれる。もちろん、無言だ。
「母さま、僕にしなよ」
そう言って横で腕を広げてくれた、博弥さん。
か、可愛い!愛しい。
「博弥さん!」
三歳となった博弥さんに抱き着いた。
すると、後ろからは貴世実さんが抱き着いてくれた。
ふあぁぁぁ!
幸せって、挟み込んでくるのね。私が締まりのない顔で笑っていると、目を細めて呆れたような顔の宵さまが居た。すみません。不審者じゃないです。
おほん、咳ばらいをして立ち上がった。
「宵さま、明日なんですけど、久しぶりに久子さんの所へ行ってみようと思います」
「……そうか」
興味なさそうに、宵さまは私たちから目をそらした。
「4人目か……」
宵さまが、ぼそりと呟くので「女の子らしいですよ」と教えてあげた。
「僕も行く!久子に会う」
「きーも行く」
二人が我も、我もと腕を伸ばした。
「明日はご遠慮ください。久子さんのお家がパンパンになってしまいます。もっと落ち着いたら、皆さんで遊びに来てもらいましょう」
「ちぇー」
「ひぇー」
不満を表す二人。
ごめんなさい。今回は、本当に来てもらっては困るのです。私には、別のミッションがある。
それは、あの呪いの箱を見つけた時に出て来た紙だ。折りたたまれうえに、くちゃっと握りつぶされた紙。開いてみたが、達筆すぎて解読に時間がかかった。
B5くらいの紙で、四角の枠線が引いてある。下手な走り書きで、読むのに苦労した。誰かに聞こうかと思ったけれど、あんなやばい物と一緒にされていたのだ。危険を冒したくなかった。
そして何とか『質札』という文字を読み取り、店の名前も解読できた。
おそらく、絹子は宝石を売ったのだろう、この店で。
鉱山詐欺にあった実家の為だろうか。
それを知っていて、宵さまは、あの発言をしたのだろうか。
明日、久子さんの家に行くついでに、この質屋に行ってみようかと思う。
そこで、何か分かればと思う。
宵さまが絹子に贈った宝石なら、安くないはずだ。質屋の記憶に残っていてもおかしくない。
しかも、絹子は美人だ。
「母さま? どうかした?」
「いいえ、明日、何を手土産に持っていこうかと考えてました」
「僕らにも買ってきて!」
「はいはい。ちゃんと歯磨きをするのですよ」
「はーい」
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