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後編
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「あー、今日も良い天気だぁ」
あれから順調に回復し、ベッドから起き上がれるようになったアークは、今日も鈍った体を鍛えるべく、シュヴァルツ家の広い広い敷地の中を走っていた。
シュヴァルツ家は、建国にも関わった公爵家。敷地は広大で、どこもかしこも一級品、使用人達も超一流だ。
(あぁ…団長の過保護のせいで一ヶ月も寝たきり生活させられたせいで、美しく鍛えた体が台無しだ…衰えた筋肉ほど醜い贅肉は無い…くそぉ…もっと気張って鍛えないと…腕もプルプルじゃないか…早く包帯もとって、肌のケアもしたい…見える所に傷があるのも、男らしくてカッコイイ…私の魅力がまた上がってしまうな…)
アークは、飽きずに笑顔…もといニヤニヤと走り込みを続けた。
「アーク」
同じく使用人相手に朝の鍛錬を終えたシュヴァルツが、アークに声を掛けた。
「団長、おはようございます」
「あぁ、おはよう…また走っていたのか?」
シュヴァルツが、アークの額に触れる。元気になっても、アークの熱を測る癖が抜けないようだ。
あちらこちらを厳しい目でチェックしている。
「はい、すっかり鈍ってしまいましたから」
アークは自分は元気だというアピールのため、その場で飛び跳ねた。
シュヴァルツは口うるさい男で、荷物を持つな、夜更かしをするな、体を冷やすな、もっと食べろ、などアークにあれこれと指図をするので、アークはすっかり辟易していた。
しかし、ここでも生活は気に入っていた。兵舎とは比べものにならない美味しい食事、快適な寝具、自分は王族かと思うほどのお風呂、毎日肌のケア、傷の処置をしてくれる一級の使用人。
夢に思い描いたような、安全で快適なくらしの前には、シュヴァルツの口うるささも些末なことだった。
「そうか…この後、ちょっと良いか…大事な話がある」
シュヴァルツが暗い表情で、アークを見ること無く言った。
「…はい」
アークは、ついにこの時が来たと悟った。
元気になったから出て行けと言われる時が来たと…。
□□□
「…それで…団長…お話とは…」
部屋に用意された紅茶を飲むでも無く、暗い表情で黙り込むシュヴァルツに焦れ、アークから声を掛けた。
「あっ…あぁ…そうだな…すまない」
シュヴァルツが、顔を上げて対面に座るアークを見つめた。しかし、開いてはまた閉じるシュヴァルツの口からは、まだ声が出ない。
「団長?どうしたんですか?」
「……これからする話は…アーク…君にとって辛い話になる…」
「……」
アークはゴクリと唾を飲み込んだ。
「…実は…君の腕の傷は完全には治らない…」
シュヴァルツが立ち上がり、アークの足下に跪いた。
アークの包帯に巻かれた右腕に、そっと彼の手が重ねられた。
「はい…何となくそう思って居ました」
アークとしては、思ったよりちゃんと動くなぁという感覚だった。
「だから……君は、もう騎士として剣を握ることも、弓を構えることもできないっ…」
「っ!」
シュヴァルツの手が微かに震えている。
多くの貴族出身の騎士は、訓練や鍛錬をサボり、抵抗できない平民相手に一方的な打ち稽古をする中、ただひたすら一人で体力作りと基礎鍛錬を頑張るアークを、シュヴァルツはとても好意的に見ていた。戦闘の才能は今ひとつだが、きっと高潔な良い騎士となるだろうと…。
腹立たしい事に……他の騎士たちも、そんなアークに魅了され、本人は認識していなかったが、いつも視線を集めていた。
だが、今回の事件でシュヴァルツを庇い、怪我をしたことで、アークの騎士としての未来が潰えてしまった。
シュヴァルツは罪悪感で胸が潰れそうだった。
「…すまない……君の未来を…台無しにしてしまった…」
シュヴァルツの目から涙が流れた。
しかし、アークの頭の中には、ファンファーレが流れた。
彼の目には喜びの波が溢れる。
(好都合!なんという好都合!痛い思いをした甲斐がある!これで、正々堂々と前線にでない内勤になれるじゃないか!願ったり叶ったりだ!)
「団長…私は大丈夫です。きっと戦地に立っても、貴方の役に立つこともなかったでしょうから、ぜひ…内勤で…皆さんの役に立ちたいと思います」
アークは笑いが止まらなかったが、それを必死に堪えシュヴァルツの肩に手を添えた。
「…アーク……それも…難しい…君の腕では雇用条件に満たない…」
「…えっ…では…私は……きっと、実家に返され……どこか辺境の婿養子に…」
アークは目を閉じて考えた。
そして、まぁ悪くないと思った。どこか平和な地方で結婚して、シュヴァルツからたんまり見舞金をもらって悠々自適に暮らそうと…。
「……アーク!!」
突然、シュヴァルツがアークを抱きしめた。
アークは、腰あたりに抱きついたシュヴァルツを呆然と見下ろす。
「…どうか……私を罰してくれ……斬り殺して貰っても構わない…」
「ど…どうしたのですか…団長…いや、もう私は騎士じゃないし…シュヴァルツさま?」
アークはシュヴァルツを引き剥がそうとしたが、屈強なその体は動かなかった。
シュヴァルツは暫く沈黙し、時が流れた。
彼はどうしても言いにくかった。
騎士としてのプライドも、男としてのプライドも全て…失ったとは…。
しかし、このまま黙っていることも出来ないと…重い口を開いた。
「君は…傷と毒による高熱で……恐らく………もう子が……望めないと……」
「……」
アークは沈黙した。
辺境婿養子という選択肢が消え、では自分は今後どう身を振ったら良いのかと、彼には結婚願望と子を成す願望は無かった。
貴族として、しなければならない義務だとは理解していたが…。
「すまない…アーク……私は…こんな事になって……申し訳ない気持ちと……それから……この状況を利用して、君を自分の側に置いて置けるのでは、という醜い心が湧いている…」
「…どういう事ですか……」
アークは、すぐに食いついた。
「……このまま、私のパートナーとして、側に居てくれないか…」
シュヴァルツは懺悔をするように、懇願した。
「このまま…ここに?」
アークの目は人知れず輝いた。
彼にとっては、最高に美味しい話だった。
アークはこの屋敷での生活が、人生の中で一番気に入っていた。
「君の願いは、何でも叶えよう……生涯をかけて君に尽くすと誓う」
シュヴァルツがアークの手を取り、口づけをした。
「だから…どうか側にいて欲しい…愛しい人よ…」
「……」
アークは、シュヴァルツの真摯な気持ちに心が奪われた。
今まで彼を相手にしてくれていた女性たちは、心の中で彼を馬鹿にしている気持ちが透けて見えていた。
しかし、シュヴァルツからはジリジリと心を焦がされるような、本気の熱を感じた。
「……私がシュヴァルツ様の役にたつとは思えません…」
アーク殊勝な態度で俯いた。
本当は直ぐにでも両手を上げたい所だったが、そうもいかない。
(男妾ってことだろう。良いですよ!でも…簡単に頷いて主導権を失うわけにはいかない!)
「側にいて欲しい。帰ってきた家に君がいるだけで嬉しい…」
「シュヴァルツ様…っ痛い!」
アークは、今だと抱きつき右腕に痛みが走った。
「アーク!大丈夫か!すぐに医者に…」
心配したシュヴァルツが立ち上がり、アークを抱きあげようとした。
「大丈夫です!」
「本当か…」
「はい」
アークは、改めてシュヴァルツの胸に抱きついた。
(女性のような柔らかい胸はないけれど…まぁ……広くて硬い胸に抱かれるのも思ったより悪くない?安心感あるなぁ…)
二人は、ぎこちなく抱き合った。
□□□
アークがシュヴァルツ家の自宅警備員になり、半年が経った。
アークは毎日、屋敷の外をシュヴァルツと走り、敷地内で美しい肢体を造るために運動をした。
それ以外は、食事を楽しみ、使用人たちと他愛ない話をして過ごしていた。
屋敷の人間達には、とても評判がいい。
見目麗しく、浪費するでもなく、規則正しく過ごす、優しい奥様。そう認識されたようだ。
シュヴァルツはアークを迎え入れ、すぐに跡継ぎには養子を迎えると宣言をした時には、アークが一番驚いた。
屋敷の者たちは、主人が女性に興味がないと早々に気がついていたので、納得した。
(あーあ、毎日最高に幸せだ。自由気ままに過ごせるし、ご飯は美味しいし……大好きなお風呂は、いい香りの木でできてる…石の風呂もあるし……唯一不満が有るとすれば……そう……欲求不満だぁぁ)
月に二度は娼館に通っていた、セックス大好きなアークが、半年、女性と寝ていなかった。
自分で自分を慰めても、利き手は以前よりも自由が利かないし、一人で寝るのは寂しかった。
(今の生活を失わずに、性行為を行うのは……やはりシュヴァルツと寝るしかない…)
そう結論に至ったアークは、夜な夜なこっそりと、自分の尻を開発し始めた。
そしてシュヴァルツのモノを十分受け入れられるようになった時、事件は起きた。
後ろの開発を楽しみ、汗を流そうとアークが、浴場に向かうと、そこはシュヴァルツが使用中だった。
折角だから、ちょっと誘惑して行こうかとニヤニヤ浴室に入ったアーク。
すると、そこでは…
「……っく……アーク……アーク!」
シュヴァルツが浴室の壁に手を付いて、自身の長大なペニスをしごいていた。
アークは息を殺して、そっと浴室に足を踏み入れた。
「…っ誰だ!」
アークは、気配もなるべく消したつもりだったが、早々に気が付かれた。
「…ア…アーク…」
シュヴァルツの顔色が変わった。
気まずそうに、眉を顰め、唇を噛み締めている。
「あの…シュヴァルツさま……すみませんでした…」
殊勝な顔をするが、出ていくでもなく、シュヴァルツに近寄るアーク。
「く…来るな、アーク。すまない…後で話をするから……出ていってくれないか……君の裸……今は目の毒だ…」
(誰が出ていくか…こんなチャンス見逃すはずない!)
アークは、シュヴァルツに逆らい、彼の体にそっと抱きついた。
「アーク!離れるんだ!」
「嫌です!」
アークはシュヴァルツの胸に顔を埋めて、首を振った。
彼は、頬に当たる乳首が吸いたくて仕方なかったが我慢をした。
「実は……相談したい事があったのです!!」
「なっ…なんだ…それは…頼むから後でにして欲しい……どんな願いでも君の希望を叶えるよう努力する…」
シュヴァルツの勃起したペニスが、アークの下腹部に当たる。
なんとかアークを引き剥がしたいシュヴァルツだったが、アークを乱暴に扱うことも出来ず、困惑している。
「今じゃないと……恥ずかしくて言えません……医者にも相談が出来ず……困っていたのです……その……私の自慰のことなのです……」
「なっ!」
「しかし……いくら何でも……やはり…シュヴァルツさまに言うのは失礼でした……明日、医師に相談を…」
アークはシュヴァルツの胸から体を離した。
「待ちなさい!」
「シュヴァルツさま?」
「医師に聞かせるべきか私が判断する……」
「ありがとうございます!」
□□□
二人は並んで浴槽の大理石に腰掛け、足を湯に浸した。
シュヴァルツのソレは、布で隠されている。
「実は……腕を負傷してから……うまく動かせないせいで……イケなくなってしまったのです…」
アークは、嘘がバレないように、ただ浴槽の湯を見つめた。
「……アーク…」
シュヴァルツは、アークの肩をそっと抱いた。
「こんな恥ずかしい事は誰にも言えなかったのですが……シュヴァルツさまだってなさる、男なら普通の事ですよね……だから……明日、医師に相談して…イケるように何か、方法を考えて頂き…」
「……やめてくれ……どうか、私以外に、そんな話をしてはならない……君の身が危険だ…もし、アークが嫌で無ければ、私に手伝わせて欲しい」
肩を抱くシュヴァルツの手に力が籠もった。
アークはシュヴァルツを見つめ、コクンと頷いた。
「……」
シュヴァルツの喉仏が大きく上下し、立ち上がると、アークを後ろから抱き込んだ。
アークのお尻にはシュヴァルツのペニスが当たっている。
恐る恐る、彼の傷だらけの太い腕が、アークの下腹部に伸びた。
アークの毛は白銀の色で、下生えは産毛のようで、ペニスは丸見えになっている。
「シュヴァルツさま…」
「アーク…」
シュヴァルツの大きな右手が、アークのペニスを優しく包み、皮を滑らせるように上下させた。
「…あっ…ん」
アークの艷やかな声を聞いて、シュヴァルツは興奮し夢中になってアークのペニスをしごいた。
くちゅ…くちゅ…
「アーク、痛くないか?」
シュヴァルツがアーク耳を舐めながら聞いた。
「えぇ……大丈夫です……きもちいい…んっ…あぁ…」
くちょ…くちょ…
アークのペニスから、ぴゅっぴゅっと精液が溢れ出してくる。
「あぁー!気持ちいい……シュヴァルツさまぁ…きもちいい…」
「アーク…なんて綺麗で、扇情的なんだ……堪らないっ…」
シュヴァルツの手が、アークの精液を纏い、袋から根元、裏筋、亀頭と何度も擦りあげた。
「ああ!イキたい!もう…あああ…出したいのに!!シュヴァルツさまっ……助けて!!イケない!」
後ろを弄りすぎたアークは、前だけの刺激では物足りなくなっていた。
意図的にお尻をモジモジと動かし、勃起している、シュヴァルツのペニスを刺激した。
シュヴァルツの限界が近い、息が荒く、汗が流れている。
「…っく……アーク……」
「イキたいです!!苦しい……助けてっ…ああぁ…んぁ……シュヴァルツさま!」
「…アーク!…嫌だったら言ってくれ……」
シュヴァルツがアークの腹に腕を回して立ち上がらせると、ゆっくりと風呂場の壁に怪我をしてない左手をつかせた。
そして、風呂場に置いてある、アークの傷をマッサージするオイルを手にし、トロトロと垂らした。
「あっ……オイル…垂れて、ゾクゾクする…」
アークは、腰からお尻に流れてくるオイルに期待が高まった。
流れるオイルを掬い、シュヴァルツがアークの後孔をほぐし初めた。
シュヴァルツは男色家であったが、男性を相手にしたセックスの経験が無い。
騎士団に入ったばかりの頃、囚人の監視をしていて、行為に及ぶ者を何度か見たことはあった。
「んっ…あっ…シュヴァルツさま……お尻…きもちいい……ペニスまで響きます……あっ…あー!」
アークは嫌がって居ると思われたく無くて、貪欲に尻を動かして、自らの快楽のポイントへとシュヴァルツを誘導する。
「あっ!!んぁっ…いい、きもちいい…そこっ……シュヴァルツさま! そこ…びゅって……出る!! そこ!もっとグリグリして!」
アークの媚態にシュヴァルツは息を呑み、夢中になって、ぐちょぐちょと尻を弄った。
そして、ぷっくりしたある一点に触れると、アークが激しくよがることに気がついた。
「きもちいい!うっ…あっ……あぁ…もっと…もっと突いて!!ああー!」
もしこの膨らみを、自分のペニスで突いたら……シュヴァルツは、自らの欲望をアークの蕾にあてがった。
アーク自らによって、開発された後孔は、既にヒクヒクとシュヴァルツを誘っていた。
そしてやって来たシュヴァルツのペニスを獲物を飲み込むように受け入れた。
「っぐ……あぁ…アーク……うぅ…」
シュヴァルツは、愛する者と、体を重ね愛し合う事は無いと思っていた。
しかし今こうして、アークを抱いている。
その事実だけでも昇天しそうなのに、アークの中は想像以上に気持ちが良かった。
温かく濡れた肉襞が、シュヴァルツの亀頭に絡みついてくる。
きゅう、きゅうと締め付けるアークの後孔が、シュヴァルツのペニスの根元から精を絞り取る。
「んあぁぁ…シュヴァルツさま……苦しいのに……温かくて…あああ!きもちいい…」
「っく……あっ…ぐっ……う……アーク…アーク!!」
理性を失ったシュヴァルツが、腰を打ち付け始めた。
卑猥な音が浴室に響き、二人の熱気に満たされた。
「あああ!そこ!…シュヴァルツさま……そこっ!!ひぃぃ……うぁああ…」
シュヴァルツのペニスに、グリグリと前立腺を潰され、アークが何度も射精した。
「いやぁぁ!出てるっ……もう…だめ!とまっ…うっ……あああ!とめてっ!!ひぃあぁあ!」
アークは、女性相手と違い、自分で支配出来ないセックスに身悶えた。
逃げようと思っても、体格も力も全然違うシュヴァルツ相手には、彼の抵抗など意味がなかった。
「アーク!!うっ……あぁ…アーク!!愛してる!アーク!!」
「んあぁああ!……やっ…もう!もうイケない!くっ…あっ…あ…うっ……」
シュヴァルツの獣のような交わりに、アークの意識が薄れて行った。
□□□
シュヴァルツは、アークが意識を失って、正気を取り戻した。
慌ててペニスを抜くと、アークの中から、自らの精液が溢れ出し……なんとも言えない支配欲と愛に満たされた。
アークの全身を清めながら、溢れ出す想いが抑えられず、彼の全身に口づけた。
そして、目にするたびに心痛み、アークを失う恐怖を思い出す右腕の傷には、頬を寄せた。
もっと名医に見せれば、今よりも良くなるかもしれない…前線には元より連れて行くつもりは無いが、騎士団には戻れるかもしれない。
しかし…シュヴァルツは、そうしなかった。
「……アーク……私は…お前だけは失いたくない……」
率いる騎士の死は、誰だって胸が痛いが……アークにもしもの事があれば……そう考えるだけで、シュヴァルツは平静でいられない。
アークが死ぬのでは…と感じた、あの時、大声で叫びだしそうになった。
喚き散らし、周囲の全てを切り裂いて、アークを抱いて自分も逝こうかと……そんな妄想をした。
まだ、アークが子供だった頃、戦場から傷だらけで凱旋したシュヴァルツを見て、痛い痛いと泣き、手を引いて騎士団なんて逃げた方がいいと言った。
シュヴァルツは、最初は、なんて情けない子なんだと思ったが、それからアークの事が気になって調べるようになった。臆病だけど、優しいアークをひっそりと見守るのは彼の心の癒やしだった。
アークが騎士団に志願した時は、あんなに臆病だったのに、国を守るために強くなったのだと感動した。
アークがシュヴァルツを見つめるようになってからは、常に気持ちが落ち着かず、シュヴァルツの気持ちが肉欲を含む恋情と気がついた。
「……君を……離せそうもない……」
シュヴァルツは、アークを抱きあげベッドへと運び、服を着せた。
□□□
翌朝、アークは目が覚めても腰の痛みで起き上がれなかった。
(……シュヴァルツ……あんなすました顔して……とんでもない色魔じゃないか……くそう……快楽で気を失うなんて……最高だな…)
アークはニヤニヤと微笑んだ。
気持ちいいことが大好きで、セックスが好きなアークはシュヴァルツとの営みに大変満足をした。
(…金持ちで、格好良くて、優しくて、強くて、夜は獣……良いな…)
アークは、これからの公爵家での生活を思いニヤニヤ笑った。
彼の計画とは少し違ってしまったけれど…
希望以上の結果だった。
「あとは、末永く愛されるように、頑張るとしますか…」
アークは人知れず、呟いた。
おしまい
あれから順調に回復し、ベッドから起き上がれるようになったアークは、今日も鈍った体を鍛えるべく、シュヴァルツ家の広い広い敷地の中を走っていた。
シュヴァルツ家は、建国にも関わった公爵家。敷地は広大で、どこもかしこも一級品、使用人達も超一流だ。
(あぁ…団長の過保護のせいで一ヶ月も寝たきり生活させられたせいで、美しく鍛えた体が台無しだ…衰えた筋肉ほど醜い贅肉は無い…くそぉ…もっと気張って鍛えないと…腕もプルプルじゃないか…早く包帯もとって、肌のケアもしたい…見える所に傷があるのも、男らしくてカッコイイ…私の魅力がまた上がってしまうな…)
アークは、飽きずに笑顔…もといニヤニヤと走り込みを続けた。
「アーク」
同じく使用人相手に朝の鍛錬を終えたシュヴァルツが、アークに声を掛けた。
「団長、おはようございます」
「あぁ、おはよう…また走っていたのか?」
シュヴァルツが、アークの額に触れる。元気になっても、アークの熱を測る癖が抜けないようだ。
あちらこちらを厳しい目でチェックしている。
「はい、すっかり鈍ってしまいましたから」
アークは自分は元気だというアピールのため、その場で飛び跳ねた。
シュヴァルツは口うるさい男で、荷物を持つな、夜更かしをするな、体を冷やすな、もっと食べろ、などアークにあれこれと指図をするので、アークはすっかり辟易していた。
しかし、ここでも生活は気に入っていた。兵舎とは比べものにならない美味しい食事、快適な寝具、自分は王族かと思うほどのお風呂、毎日肌のケア、傷の処置をしてくれる一級の使用人。
夢に思い描いたような、安全で快適なくらしの前には、シュヴァルツの口うるささも些末なことだった。
「そうか…この後、ちょっと良いか…大事な話がある」
シュヴァルツが暗い表情で、アークを見ること無く言った。
「…はい」
アークは、ついにこの時が来たと悟った。
元気になったから出て行けと言われる時が来たと…。
□□□
「…それで…団長…お話とは…」
部屋に用意された紅茶を飲むでも無く、暗い表情で黙り込むシュヴァルツに焦れ、アークから声を掛けた。
「あっ…あぁ…そうだな…すまない」
シュヴァルツが、顔を上げて対面に座るアークを見つめた。しかし、開いてはまた閉じるシュヴァルツの口からは、まだ声が出ない。
「団長?どうしたんですか?」
「……これからする話は…アーク…君にとって辛い話になる…」
「……」
アークはゴクリと唾を飲み込んだ。
「…実は…君の腕の傷は完全には治らない…」
シュヴァルツが立ち上がり、アークの足下に跪いた。
アークの包帯に巻かれた右腕に、そっと彼の手が重ねられた。
「はい…何となくそう思って居ました」
アークとしては、思ったよりちゃんと動くなぁという感覚だった。
「だから……君は、もう騎士として剣を握ることも、弓を構えることもできないっ…」
「っ!」
シュヴァルツの手が微かに震えている。
多くの貴族出身の騎士は、訓練や鍛錬をサボり、抵抗できない平民相手に一方的な打ち稽古をする中、ただひたすら一人で体力作りと基礎鍛錬を頑張るアークを、シュヴァルツはとても好意的に見ていた。戦闘の才能は今ひとつだが、きっと高潔な良い騎士となるだろうと…。
腹立たしい事に……他の騎士たちも、そんなアークに魅了され、本人は認識していなかったが、いつも視線を集めていた。
だが、今回の事件でシュヴァルツを庇い、怪我をしたことで、アークの騎士としての未来が潰えてしまった。
シュヴァルツは罪悪感で胸が潰れそうだった。
「…すまない……君の未来を…台無しにしてしまった…」
シュヴァルツの目から涙が流れた。
しかし、アークの頭の中には、ファンファーレが流れた。
彼の目には喜びの波が溢れる。
(好都合!なんという好都合!痛い思いをした甲斐がある!これで、正々堂々と前線にでない内勤になれるじゃないか!願ったり叶ったりだ!)
「団長…私は大丈夫です。きっと戦地に立っても、貴方の役に立つこともなかったでしょうから、ぜひ…内勤で…皆さんの役に立ちたいと思います」
アークは笑いが止まらなかったが、それを必死に堪えシュヴァルツの肩に手を添えた。
「…アーク……それも…難しい…君の腕では雇用条件に満たない…」
「…えっ…では…私は……きっと、実家に返され……どこか辺境の婿養子に…」
アークは目を閉じて考えた。
そして、まぁ悪くないと思った。どこか平和な地方で結婚して、シュヴァルツからたんまり見舞金をもらって悠々自適に暮らそうと…。
「……アーク!!」
突然、シュヴァルツがアークを抱きしめた。
アークは、腰あたりに抱きついたシュヴァルツを呆然と見下ろす。
「…どうか……私を罰してくれ……斬り殺して貰っても構わない…」
「ど…どうしたのですか…団長…いや、もう私は騎士じゃないし…シュヴァルツさま?」
アークはシュヴァルツを引き剥がそうとしたが、屈強なその体は動かなかった。
シュヴァルツは暫く沈黙し、時が流れた。
彼はどうしても言いにくかった。
騎士としてのプライドも、男としてのプライドも全て…失ったとは…。
しかし、このまま黙っていることも出来ないと…重い口を開いた。
「君は…傷と毒による高熱で……恐らく………もう子が……望めないと……」
「……」
アークは沈黙した。
辺境婿養子という選択肢が消え、では自分は今後どう身を振ったら良いのかと、彼には結婚願望と子を成す願望は無かった。
貴族として、しなければならない義務だとは理解していたが…。
「すまない…アーク……私は…こんな事になって……申し訳ない気持ちと……それから……この状況を利用して、君を自分の側に置いて置けるのでは、という醜い心が湧いている…」
「…どういう事ですか……」
アークは、すぐに食いついた。
「……このまま、私のパートナーとして、側に居てくれないか…」
シュヴァルツは懺悔をするように、懇願した。
「このまま…ここに?」
アークの目は人知れず輝いた。
彼にとっては、最高に美味しい話だった。
アークはこの屋敷での生活が、人生の中で一番気に入っていた。
「君の願いは、何でも叶えよう……生涯をかけて君に尽くすと誓う」
シュヴァルツがアークの手を取り、口づけをした。
「だから…どうか側にいて欲しい…愛しい人よ…」
「……」
アークは、シュヴァルツの真摯な気持ちに心が奪われた。
今まで彼を相手にしてくれていた女性たちは、心の中で彼を馬鹿にしている気持ちが透けて見えていた。
しかし、シュヴァルツからはジリジリと心を焦がされるような、本気の熱を感じた。
「……私がシュヴァルツ様の役にたつとは思えません…」
アーク殊勝な態度で俯いた。
本当は直ぐにでも両手を上げたい所だったが、そうもいかない。
(男妾ってことだろう。良いですよ!でも…簡単に頷いて主導権を失うわけにはいかない!)
「側にいて欲しい。帰ってきた家に君がいるだけで嬉しい…」
「シュヴァルツ様…っ痛い!」
アークは、今だと抱きつき右腕に痛みが走った。
「アーク!大丈夫か!すぐに医者に…」
心配したシュヴァルツが立ち上がり、アークを抱きあげようとした。
「大丈夫です!」
「本当か…」
「はい」
アークは、改めてシュヴァルツの胸に抱きついた。
(女性のような柔らかい胸はないけれど…まぁ……広くて硬い胸に抱かれるのも思ったより悪くない?安心感あるなぁ…)
二人は、ぎこちなく抱き合った。
□□□
アークがシュヴァルツ家の自宅警備員になり、半年が経った。
アークは毎日、屋敷の外をシュヴァルツと走り、敷地内で美しい肢体を造るために運動をした。
それ以外は、食事を楽しみ、使用人たちと他愛ない話をして過ごしていた。
屋敷の人間達には、とても評判がいい。
見目麗しく、浪費するでもなく、規則正しく過ごす、優しい奥様。そう認識されたようだ。
シュヴァルツはアークを迎え入れ、すぐに跡継ぎには養子を迎えると宣言をした時には、アークが一番驚いた。
屋敷の者たちは、主人が女性に興味がないと早々に気がついていたので、納得した。
(あーあ、毎日最高に幸せだ。自由気ままに過ごせるし、ご飯は美味しいし……大好きなお風呂は、いい香りの木でできてる…石の風呂もあるし……唯一不満が有るとすれば……そう……欲求不満だぁぁ)
月に二度は娼館に通っていた、セックス大好きなアークが、半年、女性と寝ていなかった。
自分で自分を慰めても、利き手は以前よりも自由が利かないし、一人で寝るのは寂しかった。
(今の生活を失わずに、性行為を行うのは……やはりシュヴァルツと寝るしかない…)
そう結論に至ったアークは、夜な夜なこっそりと、自分の尻を開発し始めた。
そしてシュヴァルツのモノを十分受け入れられるようになった時、事件は起きた。
後ろの開発を楽しみ、汗を流そうとアークが、浴場に向かうと、そこはシュヴァルツが使用中だった。
折角だから、ちょっと誘惑して行こうかとニヤニヤ浴室に入ったアーク。
すると、そこでは…
「……っく……アーク……アーク!」
シュヴァルツが浴室の壁に手を付いて、自身の長大なペニスをしごいていた。
アークは息を殺して、そっと浴室に足を踏み入れた。
「…っ誰だ!」
アークは、気配もなるべく消したつもりだったが、早々に気が付かれた。
「…ア…アーク…」
シュヴァルツの顔色が変わった。
気まずそうに、眉を顰め、唇を噛み締めている。
「あの…シュヴァルツさま……すみませんでした…」
殊勝な顔をするが、出ていくでもなく、シュヴァルツに近寄るアーク。
「く…来るな、アーク。すまない…後で話をするから……出ていってくれないか……君の裸……今は目の毒だ…」
(誰が出ていくか…こんなチャンス見逃すはずない!)
アークは、シュヴァルツに逆らい、彼の体にそっと抱きついた。
「アーク!離れるんだ!」
「嫌です!」
アークはシュヴァルツの胸に顔を埋めて、首を振った。
彼は、頬に当たる乳首が吸いたくて仕方なかったが我慢をした。
「実は……相談したい事があったのです!!」
「なっ…なんだ…それは…頼むから後でにして欲しい……どんな願いでも君の希望を叶えるよう努力する…」
シュヴァルツの勃起したペニスが、アークの下腹部に当たる。
なんとかアークを引き剥がしたいシュヴァルツだったが、アークを乱暴に扱うことも出来ず、困惑している。
「今じゃないと……恥ずかしくて言えません……医者にも相談が出来ず……困っていたのです……その……私の自慰のことなのです……」
「なっ!」
「しかし……いくら何でも……やはり…シュヴァルツさまに言うのは失礼でした……明日、医師に相談を…」
アークはシュヴァルツの胸から体を離した。
「待ちなさい!」
「シュヴァルツさま?」
「医師に聞かせるべきか私が判断する……」
「ありがとうございます!」
□□□
二人は並んで浴槽の大理石に腰掛け、足を湯に浸した。
シュヴァルツのソレは、布で隠されている。
「実は……腕を負傷してから……うまく動かせないせいで……イケなくなってしまったのです…」
アークは、嘘がバレないように、ただ浴槽の湯を見つめた。
「……アーク…」
シュヴァルツは、アークの肩をそっと抱いた。
「こんな恥ずかしい事は誰にも言えなかったのですが……シュヴァルツさまだってなさる、男なら普通の事ですよね……だから……明日、医師に相談して…イケるように何か、方法を考えて頂き…」
「……やめてくれ……どうか、私以外に、そんな話をしてはならない……君の身が危険だ…もし、アークが嫌で無ければ、私に手伝わせて欲しい」
肩を抱くシュヴァルツの手に力が籠もった。
アークはシュヴァルツを見つめ、コクンと頷いた。
「……」
シュヴァルツの喉仏が大きく上下し、立ち上がると、アークを後ろから抱き込んだ。
アークのお尻にはシュヴァルツのペニスが当たっている。
恐る恐る、彼の傷だらけの太い腕が、アークの下腹部に伸びた。
アークの毛は白銀の色で、下生えは産毛のようで、ペニスは丸見えになっている。
「シュヴァルツさま…」
「アーク…」
シュヴァルツの大きな右手が、アークのペニスを優しく包み、皮を滑らせるように上下させた。
「…あっ…ん」
アークの艷やかな声を聞いて、シュヴァルツは興奮し夢中になってアークのペニスをしごいた。
くちゅ…くちゅ…
「アーク、痛くないか?」
シュヴァルツがアーク耳を舐めながら聞いた。
「えぇ……大丈夫です……きもちいい…んっ…あぁ…」
くちょ…くちょ…
アークのペニスから、ぴゅっぴゅっと精液が溢れ出してくる。
「あぁー!気持ちいい……シュヴァルツさまぁ…きもちいい…」
「アーク…なんて綺麗で、扇情的なんだ……堪らないっ…」
シュヴァルツの手が、アークの精液を纏い、袋から根元、裏筋、亀頭と何度も擦りあげた。
「ああ!イキたい!もう…あああ…出したいのに!!シュヴァルツさまっ……助けて!!イケない!」
後ろを弄りすぎたアークは、前だけの刺激では物足りなくなっていた。
意図的にお尻をモジモジと動かし、勃起している、シュヴァルツのペニスを刺激した。
シュヴァルツの限界が近い、息が荒く、汗が流れている。
「…っく……アーク……」
「イキたいです!!苦しい……助けてっ…ああぁ…んぁ……シュヴァルツさま!」
「…アーク!…嫌だったら言ってくれ……」
シュヴァルツがアークの腹に腕を回して立ち上がらせると、ゆっくりと風呂場の壁に怪我をしてない左手をつかせた。
そして、風呂場に置いてある、アークの傷をマッサージするオイルを手にし、トロトロと垂らした。
「あっ……オイル…垂れて、ゾクゾクする…」
アークは、腰からお尻に流れてくるオイルに期待が高まった。
流れるオイルを掬い、シュヴァルツがアークの後孔をほぐし初めた。
シュヴァルツは男色家であったが、男性を相手にしたセックスの経験が無い。
騎士団に入ったばかりの頃、囚人の監視をしていて、行為に及ぶ者を何度か見たことはあった。
「んっ…あっ…シュヴァルツさま……お尻…きもちいい……ペニスまで響きます……あっ…あー!」
アークは嫌がって居ると思われたく無くて、貪欲に尻を動かして、自らの快楽のポイントへとシュヴァルツを誘導する。
「あっ!!んぁっ…いい、きもちいい…そこっ……シュヴァルツさま! そこ…びゅって……出る!! そこ!もっとグリグリして!」
アークの媚態にシュヴァルツは息を呑み、夢中になって、ぐちょぐちょと尻を弄った。
そして、ぷっくりしたある一点に触れると、アークが激しくよがることに気がついた。
「きもちいい!うっ…あっ……あぁ…もっと…もっと突いて!!ああー!」
もしこの膨らみを、自分のペニスで突いたら……シュヴァルツは、自らの欲望をアークの蕾にあてがった。
アーク自らによって、開発された後孔は、既にヒクヒクとシュヴァルツを誘っていた。
そしてやって来たシュヴァルツのペニスを獲物を飲み込むように受け入れた。
「っぐ……あぁ…アーク……うぅ…」
シュヴァルツは、愛する者と、体を重ね愛し合う事は無いと思っていた。
しかし今こうして、アークを抱いている。
その事実だけでも昇天しそうなのに、アークの中は想像以上に気持ちが良かった。
温かく濡れた肉襞が、シュヴァルツの亀頭に絡みついてくる。
きゅう、きゅうと締め付けるアークの後孔が、シュヴァルツのペニスの根元から精を絞り取る。
「んあぁぁ…シュヴァルツさま……苦しいのに……温かくて…あああ!きもちいい…」
「っく……あっ…ぐっ……う……アーク…アーク!!」
理性を失ったシュヴァルツが、腰を打ち付け始めた。
卑猥な音が浴室に響き、二人の熱気に満たされた。
「あああ!そこ!…シュヴァルツさま……そこっ!!ひぃぃ……うぁああ…」
シュヴァルツのペニスに、グリグリと前立腺を潰され、アークが何度も射精した。
「いやぁぁ!出てるっ……もう…だめ!とまっ…うっ……あああ!とめてっ!!ひぃあぁあ!」
アークは、女性相手と違い、自分で支配出来ないセックスに身悶えた。
逃げようと思っても、体格も力も全然違うシュヴァルツ相手には、彼の抵抗など意味がなかった。
「アーク!!うっ……あぁ…アーク!!愛してる!アーク!!」
「んあぁああ!……やっ…もう!もうイケない!くっ…あっ…あ…うっ……」
シュヴァルツの獣のような交わりに、アークの意識が薄れて行った。
□□□
シュヴァルツは、アークが意識を失って、正気を取り戻した。
慌ててペニスを抜くと、アークの中から、自らの精液が溢れ出し……なんとも言えない支配欲と愛に満たされた。
アークの全身を清めながら、溢れ出す想いが抑えられず、彼の全身に口づけた。
そして、目にするたびに心痛み、アークを失う恐怖を思い出す右腕の傷には、頬を寄せた。
もっと名医に見せれば、今よりも良くなるかもしれない…前線には元より連れて行くつもりは無いが、騎士団には戻れるかもしれない。
しかし…シュヴァルツは、そうしなかった。
「……アーク……私は…お前だけは失いたくない……」
率いる騎士の死は、誰だって胸が痛いが……アークにもしもの事があれば……そう考えるだけで、シュヴァルツは平静でいられない。
アークが死ぬのでは…と感じた、あの時、大声で叫びだしそうになった。
喚き散らし、周囲の全てを切り裂いて、アークを抱いて自分も逝こうかと……そんな妄想をした。
まだ、アークが子供だった頃、戦場から傷だらけで凱旋したシュヴァルツを見て、痛い痛いと泣き、手を引いて騎士団なんて逃げた方がいいと言った。
シュヴァルツは、最初は、なんて情けない子なんだと思ったが、それからアークの事が気になって調べるようになった。臆病だけど、優しいアークをひっそりと見守るのは彼の心の癒やしだった。
アークが騎士団に志願した時は、あんなに臆病だったのに、国を守るために強くなったのだと感動した。
アークがシュヴァルツを見つめるようになってからは、常に気持ちが落ち着かず、シュヴァルツの気持ちが肉欲を含む恋情と気がついた。
「……君を……離せそうもない……」
シュヴァルツは、アークを抱きあげベッドへと運び、服を着せた。
□□□
翌朝、アークは目が覚めても腰の痛みで起き上がれなかった。
(……シュヴァルツ……あんなすました顔して……とんでもない色魔じゃないか……くそう……快楽で気を失うなんて……最高だな…)
アークはニヤニヤと微笑んだ。
気持ちいいことが大好きで、セックスが好きなアークはシュヴァルツとの営みに大変満足をした。
(…金持ちで、格好良くて、優しくて、強くて、夜は獣……良いな…)
アークは、これからの公爵家での生活を思いニヤニヤ笑った。
彼の計画とは少し違ってしまったけれど…
希望以上の結果だった。
「あとは、末永く愛されるように、頑張るとしますか…」
アークは人知れず、呟いた。
おしまい
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…アーク~( ̄▽ ̄;)ドタバタの素直な器の小ささ❗️可愛い~( *´艸)
シュヴァルツよ、よろしく頼む❗️( ゚Д゚)ゞ
今回は短編で あっという間でしたが 流石ですね🎵主人公アホ可愛い‼️勘違いからの大団円の天才ですね🎵
虎太郎さま、こちらもありがとうございます(*´∀`*)
このお話では、主人公がことごとくプラスに勘違いされるストーリーをお送りしました(^o^)/
短編なので、ぽっと浮かびあっがって萌え滾って、へい、お待ち!と一瞬で書き終え、あー楽しかった!やっぱり短編も良いわぁと、しみじみ思いました♡
でも、妄想はモクモクと広がり、使用人たちのストーリーも楽しいだろうなと、考えたけど、次から次へ書き出してしまい、手をつけられず(;´∀`)
それにしても、読み返してみると意外と大変な目に遭っているのに、終始コメディで逆に凄いな、と我ながら思いましたwww
大変です。
作者様の作品がドストライクすぎて大変です。
日々の糧にさせていただきます……!
陰ながら応援しています!!
紅茶さま、こちらまで読んでいただけたのですね!!
ありがとうございます(´;♡;`)
良かった…ストライクに入ってくれた方がいたのなら、本当に書いて良かったです!!
嬉しいお言葉を、ありがとうございます♡♡
読ませて頂きました!
勘違いする攻と意図せじ勘違いを生み出す受が面白いです☺️
アークのキャラめっちゃ好きですb
みあ子さま、ありがとうございます♡
死にかけている割には、ドタバタ勘違いでポップにお送りしましたwww
アークを気に入って頂けて嬉しいです♡٩(๑´♡`๑)۶