ゾンビBL小説の世界に転生した俺が、脇役に愛され過保護される話。【注、怖くないよ】

いんげん

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豹兒の告白

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 連れられて来たのは、豹兒の部屋だった。
 部屋の中に引き入れられて、豹兒がドアを閉める。何か用かと声を掛けようとすると、掴まれた腕が離されて、目が泳いでいる豹兒に抱きしめられ、ぱさりとタオルが落ちた。

「ひょ……豹兒、どうしたの?」
 なんだか緊張する。運動の後でしっとり汗を掻いている豹兒の胸に抱かれ、後頭部に手を添えられている。豹兒は走ってきたのもあるのか、凄く心臓の鼓動が早い。
 何故だろう。俺は、横に垂らしている自分の腕を豹兒の背中に回したい衝動が湧いている。
「ポチが……ムカついた」
「はぁあ!?」
 俺は持ち上げかけた腕を、二人の体の間に割り込ませた。ぐぅぅっと豹兒の雄っぱいを握りながら、体を離そうと押す。しかし離れない。
「……大胸筋を掴むな」
「じゃあ、抱きしめないでよ」
 豹兒の顔を見上げながら、豹兒の胸を揉んだ。ほら、揉まれたくないなら離せっと目で訴える。
「いやだ」
「豹兒ムカつく」
「……俺は、今はムカついてない……気分が良い……ポチと二人だ……」
 そう言うと、豹兒は少しだけ顔を下げて……目を瞑った。

「っ!」
 少し先にある、豹兒の顔は、凄く格好いい。伏せられた睫毛、高い鼻。艶やかな肌。すこしふっくらした柔らかそうな唇。見ていると凄く恥ずかしくなる!
 わーって叫んでこのイケメンな顔面を叩きたい!衝動に従い胸から手を上げて、豹兒の頬の近くに手を持って行ったけれど、豹兒の頬に触れる手前で自然と手が止まった。
 
 これって……キス待ち顔では?

「……」
 
 豹兒の綺麗な顔を見つめて、俺の唇が尖る。

 あれ?……何で、俺は……キスしたくなっているんだ!?
 俺……今、背伸びして、豹兒にキスしたいと思っている。

 えっ……俺……豹兒の事が好きなのか??
 こ……コレは、吊り橋効果みたいな錯覚?好きだって錯覚?

 俺がグルグル頭の中で考えていると、豹兒の目が開いちゃった。
 
 あっ……キス……出来なかった。

「ふぉ!」
 何だ、キスできなかったって何だ!!どうしたんだ俺!!まるでしたかったみたいじゃないか!

「ポチが……他の奴を褒めるのムカつく。触られるのも、笑うのも、ムカつく。でも……我慢する。他がいた方がポチが……安全だし……でも、やっぱり……すごい気分が悪い」
 眉を寄せて、俺を見つめる豹兒。普段は無口なのに、感情を語られて……俺の心が動く。可愛い、豹兒が可愛い。なんか愛しい。
 いや、でも駄目でしょ!豹兒は男で、俺は女の子が好き。いや、駄目では無いけど……違うでしょ。

「おっ……俺は……女の子が好き」
「……うん」
「豹兒は全然女の子じゃ無いし、細見に見えるけど脱いだら凄いんですみたいに、バッキバキだし、雄っぱいあるし……顔格好いいし……強くて素敵だし……優しいし……見つめられると、恥ずかしい。でも、一緒に居ると楽しいし落ち着く。なんか、エロいし……キスしたいけど」
 豹兒の肩に手を置いて、胸におでこを付けて俯いた。俺は何が言いたいんだ?支離滅裂すぎる。

「……俺は、ポチに噛みつきたい。組み敷きたいし、骨が折れるくらい抱きしめたい。そう思ってた」
「物騒!なにそれ怖い!」
 俺は、豹兒の腕から抜け出して後ろを向いた。なんてバイオレンスな思考なんだ。
「でも、本読んでわかった……違う。……それに、遠くでみてる時は、そう思うのに……」
 豹兒の手が肩に優しく触れた。先ほどの発言のせいで、ついビクって体が震えてしまった。
「ポチに触れると……優しくしたくなる」
 振り返って見上げると、真っ赤な顔した豹兒が目を逸らしている。

 なんだか……俺、告白されている気がするんだけど……あってる?

「……豹兒」
「ポチは……尻軽っていうらしい」
「はぁああ!?」
 真剣な顔で、とんでもない発言をする豹兒。俺の何処が尻軽だ!誰ともセックスした事無い!

「レッドの漫画に載ってた。ポチは……誰の胸も揉む」
 そっと胸に手を当ててガードするの辞めて。
「おと…男が男の胸揉んだって尻軽じゃ無い!俺、豹兒以外とキスしたこと無い!豹兒以外の……ペニス触ってない!」
 俺は振り返って噛みつくように抗議した。恥ずかし過ぎる。

「……本当?」
 豹兒の目が据わっている。クイズ番組の最終問題に答えた後の司会者みたいだよ。
「嘘!」
「ポチ!」
 なんだか素直になるのが癪で、天邪鬼な事を言ったら怒られた。

「ほんとだよ」
 俺は、ボソボソっと本当の事を言った。
「……そう」
 そうって何だよ。そうって……何か、もっと……こう、好きとか、付き合って下さいとかじゃないの?
「……今後も?」
 唇を噛みしめた豹兒は、首の後ろに手を当てて天井を見ている。
「わかんない」
「……」
 俺の答えに、くっきりした猫目を見開き、顔を覗き込んできた。嘘だろって顔が言っている。なにこれ楽しい。豹兒可愛い。キュンなんだけど。

「……今後も……そうして」
 ちょっと困った顔しているのが、凄く可愛い。
「豹兒は?」
「……俺は……最後まで、ポチだけだ……」
 なにそれ、心臓に刺さる。ぎゅっと豹兒の黒いTシャツを握りしめた。そして踵を浮かせて、つま先立ちして、豹兒の唇にチュッとキスをした。

豹兒が驚いた顔をして……俺の顔が離れた後……すごく幸せそうに笑った。
目を細めて、歯まで見せて、顔がすこし、くしゃってなった。

豹兒の顔を見ていたら、俺も満面の笑みになった。心の中がキラキラ輝いている気分だった。

ふっ…て照れるように下を向いた豹兒は、素早く顔を寄せて、俺にキスした。
二人で見つめ合って、ニヤニヤ笑ってしまう。

俺は豹兒の背中に腕をまわして、その胸に抱きついた。

「ポチ……ポチ……」

豹兒の腕が俺をギュッと抱きしめた。
すごく、すごく幸せ。顔の表情が笑顔以外を作れない。
豹兒の匂いと、体温が溜まらなく愛しい。

そして……目の前の雄っぱい。

すっと腕を一本前に回して……

「今は……やめろ」
「……はい」

すごすごと腕を豹兒の背中に戻した。






 

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