ゾンビBL小説の世界に転生した俺が、脇役に愛され過保護される話。【注、怖くないよ】

いんげん

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ジフ×ポチ 好き

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春の日の、昼下り。 

「ジフ? 屋上で寝てたよ」 

レッドに言われ、屋上までやってきた。 

「うわぁ、あったかーい」

 眩しいほどの日差しと、温かい空気。うん、絶好の昼寝日和だ。 

ジフはすぐに見つかった。

 屋上の、1メートルほど盛り上がった所に、足首がはみ出て寝転んでいる。

 逞しい体は、胸筋でTシャツがパツパツだし、頭の後ろで組んだ腕も、筋肉質だ。 顔は、渋くてカッコイイ。

 細くて高い鼻。切れ長の目、細めの顎。左の唇に走る傷も魅力でしかない。

 黙っていれば、クールで色気溢れる、大人の男だ。 

でもやっぱり、アウトロー感が凄い。 屋上の古いコンクリートに寝そべる姿は、反社会的な男の一時の休息か、刑務作業をサボる囚人のボスだ。 

蒼陽と豹兒なら、ハイブランドの撮影だし、レッドなら……雨漏りして修理しに来たアメコミヒーローの日常ターンだな。

 俺は、ジフのそばで、うんうん頷いた。 

そして、ジフの隣に膝をついて、その逞しい左腕を引き抜いて枕にして寝転んだ。

 空で輝く太陽が、瞼を通過してくる。 眩しくて、ジフの肩口に顔を埋めた。

 ジフは、誰かが階段登ってきた時点で起きてるはず。 
でも、まだ目を開けない。 

「ねぇ、実は隣で寝転んだのが豹兒とかだったらどうするの、ちらっと確認しないの?」 

面白半分で聞いてみた。 

「あぁ……足音でわかるだろ……」

 黙ってろ。 ジフが、俺の頭を抱き込んだ。 囚人の王様は、起きる気がないみたいだ。 

俺の髪に鼻を寄せて、それからまた動かなくなった。 

なんか、良いな。 
こういう、無言で心地よさを共有できるの。 

幸せだなぁ。 

嬉しくなって、むくりと顔をあげて、ジフの頬に口づけた。 

「おー、ありがとよ」

 半分寝言のようにつぶやくジフに、笑ってしまった。 

「好き、凄い好き」

 思わずつぶやいたら、ジフが三白眼気味の目を見開いてた。 

「ポチさん、今日はサービスデイですか?」 
「うん、たまにはね」 
「よし、じゃあ褒め称えていいぞ」
「ジフは、誰よりも強くて、頼もしくて、魅力的だよ」 

春の日差しに、ネジが外れて、素直に伝えてみた。 恥ずかしいし、なんか悔しいけど、たまには良いか。
 
「……」 
ジフは、呆然と俺を見つめたあと、再び眠りの体制に入り、目を開けた。

 「夢か?」 
「うん、夢だよ」
「ちげーだろうが。しょうがねーな。よし、俺のポチへの気持ちも言葉にするぜ」 
「え?」 

俺は、起き上がったジフの足の間に抱き寄せられ、散々愛を囁かれた。
 

「もういい!!聞きたくない!!あー!あーーー!!」 
「言わせろよ、まだ序章だぞ」 

ジブの腕と足に閉じ込められ、耳元に顔を寄せられた。 

「ひいいいい、恥ずかしい!恥ずかしいってば!!」 




「あれ?ポチ、顔真っ赤だよ、どうしたの?」 

階段を駆け下りる俺に、蒼陽が心配して声をかけてくれたけど、俺の足は止まらない。 

「大丈夫!!日焼け、日向ぼっこしてたからぁぁ」 
「そう? 気をつけて、走らない方がいいよ」 
「うん!ありがと」 
ダッシュから、早足にかえて進んだ。

 あぁーーー!! 
耳が……脳が……溶ける。
目が、開かない!! 

あーーー! ムカつく!! 
絶対、モテてた!! 
ジフ、恋愛強者だった! 

許さん……明日は、一日、嫌いって言ってやる。 

「ジフのこと……嫌い寄りの好きくらい。割と、好き風味」 
「ああ?」 

言えなかった。 
嫌いは言えなかった。

 だって、ジフが愛しそうな目で見下ろすのが悪い。

 悪い……。 
わる……くない 

好きだあああ!!
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