ゾンビBL小説の世界に転生した俺が、脇役に愛され過保護される話。【注、怖くないよ】

いんげん

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モブ視点の小話。

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俺の名前は、並山タダオ。


 このゾンビだらけになった世界を、運良く生き抜いて来られた、普通の男だ。


俺の特技と言えば、人の髪を切る事だ。 

そう、世界がゾンビに染まる前は、田舎の二代目床屋だった。


都心に住んでいなかった事が、最初の波を乗り越えられた所以で、その後、独り身だった為に、すぐに逃げ出してガタガタ震えながら山に籠もったから今がある。


寂しいような、良かったような


そんな俺も世界が落ち着いたら、この一大派閥、下野に属した。


下野にも色々あった。


それは、あの唯我独尊男、ダリウスのせいだ。


あいつと信者の暴走で、だいぶ人が減ってしまった。


でも、あの戦闘集団のおかげで何とか危機を乗り越えられた。


以前から、どんなゾンビも必ず退治する事で有名な、ジフ率いる3人組の戦闘集団は、我らがスター蒼陽を加え、謎の美青年、ピンクの髪の子と、医者の6人になったらしい。 


俺は、今日、その戦闘集団のアジトにやってきた。 


もちろん、無断じゃない。

呼ばれて来たんだ、散髪に。 


何でも、蒼陽が俺を紹介してくれたらしい。 

下野には、おしゃれな美容師もいるのに。 


「何で俺なんかを……」 と聞くと 

「並山さんの自制心と、警戒心の強さ、真面目さは称賛に値します」 

とアルカイックスマイルを決められて、ドキリとした事は内緒だ。


これは女性を滅ぼした、BLVirusのせいに違いない。 



最初に紹介されたのは、豹兒と言う青年だった。 


もう……なんというか、圧倒的にカッコイイ青年だ。 

若くて生命力に溢れ、鍛えられた体と、黒豹のようなクールで、感情の読めない無表情がまた格好いい。

年下なのに、圧倒的にカッコイイ。 


「ふおっ」と変な声が出たら、睨まれて、ちびりそうだった。

「何、そいつ」 

「話してた、髪を切ってくれる人だよ」 

蒼陽が説明すると、彼は上から下まで俺を品定めして「まぁ、よろしく」と去っていった。 


やばい、後ろ姿までカッコイイ。



次に紹介されたのは、レッドという巨漢だった。 

彼のことは、下野何度か見たことがある。

厳ついが、笑顔あふれるタイプだ。 


「あー、今日はよろしくね!」

 背中を叩く圧で、地面に埋まりそうだった。 


そして、アジトの中に入ると、戦闘集団のボス、ジフに会った。


 もう、そのときの興奮は凄まじかった! 


あの、ジフだ。 


この周辺で彼の名を知らない者はいない。 

とにかく強い。


銃の玉は吸い込まれるようにゾンビの急所に当たり、振るったナイフは首を切り落とす。 


戦闘だけではなく、銃器、火器、車両、配線、あらゆる面で博識で、ここらの地域を無線で連絡を取れるようにしたのも、ジフだ。


彼が居なければ、この地域の人間は、とっくに絶滅している。


目の前に立っただけでも震えた。


「こっ、こんにちは!!お、おあ、お会いできて光栄です!」 


体を二つ折りにして挨拶をした。


「おー、わざわざ来てくれて、ありがとよ」 


ジフは、ポケットに突っ込んでいた手を差し出して来た。 


その仕草だけでも、なぜか男の色気と魅力に溢れている。 


「あっ……あ…」 


まさか、まさか俺なんかに、ジフが握手を!! 

俺は、震える手を差し出して、その大きく硬い手と握手をした。


やばい、やばい!! 


「あっ、あの!今日は、貴方の髪を切らせて頂けるのでしょうか!」 

「あー? 俺じゃねーよ」 

「え……でも、ボスの髪を切ると伺っています」 


「いいか、床屋。うちのボスはもう俺じゃねー」 


ジフが、ヤレヤレと肩をすくめた。 


そんな……ジフよりも強い男が現れたのか!! 


「今のボスは、ピンクの髪をした、恐ろしい男だ。俺たちのグループで、あいつに逆らえるやつはいねぇ。良いか、もしも間違えて耳でも切った日には……」


 ジフが、俺の肩を掴み、耳元で囁いた。 


殺されるぞ 


俺の心のライフは、もう限りなくゼロになった。 


「もー、ジフ、脅したら手が震えて危ないじゃないですか。大丈夫ですよ、彼は慈悲深いですから。彼は……ですけどね」


蒼陽が微笑んでいる。

影を含んだ美しい笑顔で。


とんでもないところへ来てしまった。


ピンクの髪の、最強の青年。


彼は、どんな男なんだ!!

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感想 32

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みんなの感想(32件)

るか
2025.04.21 るか

このお話好きなのよなぁ、全然まだまだ見たい笑

2025.04.21 いんげん

るか様、嬉しいお言葉ありがとうございます(≧∇≦)b
私も、ゾンビ大変気に入っておりますwww
まだまだ、彼らのストーリーは続いて行けそうなので、また書けたらいいなと思ってます!!

解除
ホープ
2024.02.20 ホープ

あと、やっぱり、下の方のコメント読んでおかしくておかしくて😂
(お邪魔して申し訳ありません💦)
絶対散髪できない😂
切ったピンク髪もホウキで掃き捨てるなんて絶対出来なくて一本一本指でつまんで新品の激レアハンカチーフに包んでサッと差し出そうとして誰に渡せばいいのか分からなくなってグルグルしてるタダオくんが浮かぶ🤣

そこでぜひ絶賛名もなきモブ希望の私が挙手して一本一本数えて三等分してハンカチーフには頼み込んでポチに「〜さんへ」とか記入してもらって渡すときにはこっそり「少し多めにしときましたよ」って全員に言ってニヤッてしてもらってあとでバレて口を縫い付けられるとかするんだ(///∇//)テレテレ

あー
バカ笑

バカと言えばやっぱり思い出す凹んだ車の屋根を車内から押して直すアレまた読みたくなってきました
次はアレを読み直してこようかな

2024.02.20 いんげん

ホープさーーーん(^♡^)

あれですね、もはや切った髪で、赤ちゃんみたいに筆とか作られそうですねwww

でも、なんかピンクの筆はエロくて駄目ですね。
それは、純情な豹兒には毒だと思いますwww
ジフ絶対エロい事するし、蒼陽は永遠にいちゃいちゃする道具にしそうです♫

おぉ、凹んだ車を反対から押す、で有名な飛んで火にいですねwww
ぜひぜひ、読んでやってください♡(^♡^)

解除
ホープ
2024.02.20 ホープ

アーツカマッチャッター笑

そう笑
私も思ってました
読み返してまだ1話中、(長いな、2話にいってた?長い…ん?長っ!て、1話どころか2話も3話も10000文字超えてる笑短編じゃないですか笑さすがここで笑いを取るんだゲラゲラ)とか
筆、ノリにノリ過ぎ、ゾンビ大好きなんだなーって笑

門を開けてやるからの、できる犬だから大丈夫の下りはまたグゥッてなって他にも改めてつっ込みたいところ満載ですがキリがない笑

とりあえず今回はタダオくんの親友のネイリストにでもなって大人の魅力を背中で語ろう会でも作って談義したいです
で、ジフに「爪屋、ご苦労、爪以外切んなよ、爪だけ残して切られるハメになりたくなきゃな」とか言われてみたいー!!!←バカ
まあネイル出来ませんけどね!

さらにレッドと仲良くなって漫画読ませてもらったり気軽に肩叩かれて床に沈んでみたいし、ポチのクビに付けられた首輪をこっそり装着してるところとか見られてジフに「似合うぜー笑」とか蒼陽に若干引かれながら「オモチャじゃないよ」とか豹兒に「………………(興味なし)」スタスタ無視されたりしたいー!

てか、ポチとうとう下剋上してボスになってるし笑

あ、居たんだ?って思われるその他モブでいいからチームに入って泣いたり笑ったりグフグフしたいー
口も態度も悪いくせに不意に愛おしげな優しい目でポチを見るジフ
本心はポチ以外どうでもいいと思ってる実は割と真っ黒な蒼陽
ポチとあんな事もこんな事もチャレンジしたいと妄想に沸る若者豹兒
実はかなり大事なキーパーソンでまともな人のお医者様に雨漏り修理に来たアメコミヒーロー的なレッド
唯我独尊男レベルじゃないダリウス(当て馬ご苦労退場!!!!永遠にな!)
濃いキャラ達が本当に良かったです

返信嬉しくてまたまた勝手な解釈話を長々すみません(^人^)💦
また何か思いつく日を楽しみにしてまーす

2024.02.20 いんげん

ホープさーーーん、ありがとうございます(^♡^)

ホントだ、3話まで1万字超えてたwww
ちょっともう、あれですね
「面白い!!面白い!!書くの面白すぎる!見てみて!ここまでかけたの、ドドドド」って一気に出した感すごいですよねw
どう考えても、トリップしたあたりで一回切るだろうに、その後も続いてる。
考えなんて、何もないさ。って感じですねw

あとから、なんとかしようと思っても、何にもならないから「まいっか!」に毎回なります。


戦闘集団の影のボスとなった、ポチ。
恐ろしく、強く有能な舎弟ばかりですwww
モブの一員となって、アジトでジフたちに殺されないで暮らすミニゲームとかしてみたいですwww
多分、意外とすぐモブを成敗しちゃうのは蒼陽だと思います。主人公スマイルで、容赦なくバッサリと(≧∇≦)b
面白そう♫

解除

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