猫と不思議の塔

玉木白見

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ラストミッション

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■ 1
 「ねえ。聞いてもいいかい。トゲゾウって、結局ペットにはならなかったんでしょ。でも誰かの世話にはなっていた。そうじゃない?」
 急に話しかけられた猫は、目をまん丸くしてこっちを見た。驚いている様子だ。
 「いいよ。詳しくは教えてくれなくても。でも図星じゃない?」
 「ん。まあ、そんなところだ。」
 さきほどのミッションで有り余るほどの時間があったせいでいろいろと考えてみた。この猫のこと、へんちくりんな動物のミッションのこと、和美ちゃんのこと、先ほどのミッションの季節、最後に握ってくれたあの手。そしてある推測にたどり着いた。これであれば無理やり感があるがすべて説明がつく。

 「まあ、話すとだなあ。ある日、野良猫で産まれた子供が近所の住民に連れていかれるのを見た。その子猫は人懐っこくて特に人を警戒することもなく住民のほうも触ってあげたり餌をあげたりと面倒を見ていた。次第に家族で定期的に会いに来るようになり、そのまま連れていかれた。きっとペットになったんだろうな。そのときに、野良猫でもペットになれるチャンスがあることを知った。俺もそうしようと少し努力したが見た目が悪いのと、どうしても人間を警戒してしまうので駄目だった。でもそんなある日知り合いに、しつこく付きまとっておねだりし続けると面倒を見てくれる人がたまにいるってことを聞かされて、それを実戦したんだ。そしたら確かにボランティアの人以外でもおねだりすれば餌をくれる人がいて、そこで面倒見てもらったんだ。」
 「その人はどんな人だったの。」
 「近所の人だ。年配の人だ。」
 「へえ、それは良かったじゃない。」
 「あの近辺は、事件があったり、ボランティアを住民が言い争ったりで雰囲気が悪かった。だから別の道も考えないとと思ってなあ。教えてくれた知り合いが言ってたよ。猫は猫ってだけで人間はかわいいと思うらしいから利用しなきゃって。そして、人間も悪い奴ばかりじゃないって。」
 「あはは、その知り合いたくましいな。僕も見習わないと。」
 「俺は今でも人間は怖い。平気で意味のない残酷なことをしてくるし、他のやつからも嫌なことをさんざん聞かされている。でも少しその知り合いの言うこともわかる。俺を面倒見てくれた人もとてもやさしい人で、俺の面倒を見るのが少し生きがいになってたようだった。」
 「トゲゾウ。僕も君のことは襲わないよ。大丈夫だよ。」
 「ふん。スリッパで俺を殺そうとしたじゃないか。」

 ペットを老人フォームなどに置くとその癒し効果や、ペットに対する母性本能が活発になる効果があり老人が健康に長生きするなんていう報道を見たことがある。なるほどなと思った。でも今改めて考え直すと、完全に肯定的にはなれない。

 「トゲゾウ。とりあえず上の階に行こうか。」
 食後、風呂に入り少しのんびりしたが、前回のミッションの退屈さから体を動かしたくてしかたなかった。次のミッションがペンギンの時のようなものであれば今やってもいいと思う。猫は僕の言った事に即座に反応し待ってましたとばかりにエレベーターのほうへと歩いて行った。僕は少し身支度をし追いかけた。一緒にさらに上の階へと進む。
 「43階だ。」
 到着すると猫がそう教えてくれた。確かこの塔は44階建て。ということは次のミッションをクリアすれば頂上のゴールだ。
 「トゲゾウ。相談なんだけど次のミッションの内容を少しだけ教えてくれないかなあ。」
 無理を承知で聞いてみる。
 「お前は馬鹿か。俺はミッションについては全く知らん。」
 「全く知らないなんて言うけどカニとクモの時は教えてくれたじゃないか。いや詳しい内容はいいんだ。さっきのミッションみたいではないかだけ知りたいんだ。」
 猫は、怒ったときに出すような喉音を立てながら、そこで待っていろと言って寝室部屋のほうへ去って行った。しばらくしてから猫は帰ってきて、動物のミッションであること、そして何日もかからない、すぐに終わるミッションであることを教えてくれた。僕はお礼を言い、最後のミッションへ挑戦することを決めた。

■2
 「ミッション:旅立て」
 いつも良くわからないタイトルだが、猫から動物のミッションだと言われた瞬間、何の動物だか予想がついた。いや推論がただしければたぶん最後はこれで来るだろうと思った。準備運動をし気合を入れ、光の中へと飛び込む。
 
 気が付くと辺り一面薄暗く、空には大きな月が浮かんでいる。夜の砂浜だった。僕の体は半分以上が砂の中で砂から顔だけが出ている。周りの砂がもぞもぞと動き、中から次々に別の顔、体が湧きだすように出てくる。ウミガメの赤ちゃんだ。
 することはすぐにわかった。ここから海へと旅立つのだ。他の子達は休まず、光のあるほうへばたばたと進んでいる。

 僕も一緒に進む。デコボコの砂地をほふく前進で乗り越え進む。と、次の瞬間、左に黒く細い2本の棒が立っているのを見ると同時に首を挟まれ宙に浮く。鳥だ。
 もがきながら辺りを見渡すと、次々と鳥に啄まれ餌食となっている。遠くにはカニと思われる陰に挟まれて運ばれているものもいた。そして遠くには波打ち際が見える。思ったよりも遠いし、砂浜には障害物になるゴミも見える。振りほどきたいと全力で暴れるが頭を啄まわれ痛みとともに記憶が薄れていく。駄目だ。これで失敗だ。
 
 気が付くと天井・・・。何度これを体験したか。
 いつもの挫折感とともに新たな使命感が湧き上がる。そう、これが与えられた最後の試練なのだ。もう失敗はしない。次で絶対にクリアして見せる。
 
 僕はそのまま寝泊まりした部屋のほうへと移動した。改めてわかった。だから初めからあんなものが準備されているのだ。動きやすい恰好に着替え、準備体操を始める。押し入れを物色するとサイズがぴったりの運動靴まで見つかった。
 「あれ、どうしたんだ。ミッションはあきらめたのか?」
 様子を見ていた猫が不思議そうに話しかけてきた。
 「いや、少し体力をつけてから再挑戦しようと思うんだ。ペンギンの時に全然体力が持たなかったから。あのランニングマシーンは動くよね。借りてもいいかい。」
 
■3
 それからランニングマシーンでゆっくりと走ってみた。
 たった10分走っただけで息が切れヘロヘロになった。やはり体力が相当落ちている。走って、歩いての繰り返しでもいい。とにかく体を動かして徐々に慣れさせようと思った。走りながら中学校1年生の時の筋トレの練習メニューを思い出した。そして40分程度走って、歩いてを繰り返したのちやってみた。やはり筋力が落ちていて自分の体を支えるのも大変だった。
 
 約1時間半程度運動をした。結構疲れた。そのあと、押し入れにあった本を見てみる。「スポーツ選手の体調管理」「効果的にやせるランニング」「走れる体を作る」などのタイトルの本があった。1冊読んでみようと取り出した。社会人になってジョギングをして怪我をしたときに病院から教わったストレッチや自分でやるマッサージ方法なども思い出した。また怪我をしたくない。こんなところで怪我をしてしまったらみじめだ。過去の経験から思い出したこと、そして毎日の無理のない練習メニューを決めようとノートにでまとめることにした。
 
 その日は明日から数日の計画を立てた。また本を読み徐々に体を作っていくための知識を得て寝た。
 
 翌日から計画に沿って運動を始めた。朝と夕方に3時間程度、準備運動、練習、そして運動後のケアのための体操。食事も豊富にはそろっていないがなるべく体力が付きそうなもの、そして体重が増えないようなものを極力選択して食べた。自分はそんなには肥満ではないが、マラソン選手とかに比べればぶよぶよなほうだ。体重を減らすべく昨日からお菓子を食べるのも止めた。運動しているとき以外は本を読み勉強した。
 
 3日目に、次のミッション挑戦のために、ランニングマシーンで時速15km以上で1000m を走れるようにという具体的な目標を定めた。確か、中学校の時に1500m 5分切るのが最初の目標だったと思う。それに比べるとまだ遅いがたぶんこれくらいでないと達成できない。なお3日目くらいから、体に疲れがたまるのを感じ早々と辛くなってきた。その時は本を読みストレッチや疲れを取るための運動などを調べ実施した。
 
 こんな生活を数日間繰り返した。猫は寝ながら時折不思議そうに僕の事をじっと見ていた。あまり猫には理解できる行動ではないのだろう。

■4
 1週間くらい経つとさすがに体に大きな疲労感を感じた。この日は1日休みにした。毎日のトレーニングの日誌を見直し、ノウハウ本を読み、大事なところをメモした。怪我の心配はないか、自分の体を一つ一つチェックした。ノウハウ本を見ているうちに、ただ寝ているより少し体を動かしたほうが疲れが早くとれることを知り、ランニングマシンで少しウォーキングをしたり、ラジオ体操やストレッチなどを行った。
 そうこうしているうちに疲れからか、ちゃぶ台で本を読んでいるうちに座ったまま寝てしまった。夕方、変な夢を見たせいで飛び起きるように目が覚めた。見ると左のほうから夕日の光が部屋を照らし、部屋全体が眩しい朱色に染まっていて寂しい雰囲気に満ちていた。ふと右手の甲に何か「もさっ」としたものが当たったと思い見てみると、座布団に僕に寄り添うように丸くなって寝ているトゲゾウがいた。とても気持ちよさそうに薄目を開けて寝ている。恐る恐るそっと頭から背中にかけて撫で、それから首元をさすってあげると、猫は気持ちよさそうな顔をして目を閉じ静かに喉を鳴らしていた。
 その晩、僕がベッドで寝ていると、トゲゾウは布団の中にも入ってきた。
 
 体はすぐには慣れなかったが、徐々に走れるようになってきた。モチベーション維持に本が非常に役に立った。知らないことだらけで、特にトレーニングばかりしていても駄目で回復することが重要なことを知らなかった。少年漫画のように死ぬほど訓練すればそのまま強くなるかと思っていたが、当然怪我につながる。急がず、慎重に、無理をしないようにトレーニングを進めた。体が慣れてきたと思えたある日の午後、体の調子をチェックし体調が良いときにランニングマシーンの速度を上げれるだけ上げて走ってみたが、それでも時速15kmで走ると苦しく1分と持たなかった。悔しく、また自己嫌悪に陥りそうになったが、とにかく焦らずやろうと決め、翌日からまた慎重に練習を重ねた。
 
 トレーニングの休憩の合間に、ミッションのことを思い出し計画を練った。暗く正確な状況が分からなかったが少し移動した限り砂浜の道は決して平らではなくデコボコしていたこと、前回鳥の餌になる直前に少し上から見た砂浜には鳥以外にカニもいたこと、天敵以外にもゴミなどの障害物が行く手を邪魔していたことなど。そして産まれた場所からの距離やどのルートで行けば助かる可能性が高いかを想像し計画を立てた。
 
 約3週間程経った日、決して楽にではないが時速15kmで1000m走れた。ミッション再挑戦の計画も出来上がった。残っている筋肉痛や疲れを取るため数日回復に努めながら、練った計画を思い出しイメージトレーニングもしてみた。
 
 そしてついに最終ミッションに望む決意をした。
 
 荷物をまとめ、寝泊まりした部屋を片付け、ミッションの入り口の部屋へと行く。猫もその様子をみて後ろからついてくる。
 「ようやく自信がついたようだな。いよいよだな。」
 「うん。今までありがとう。絶対に成功する。」
 「少しだけたくましくなったな。これで俺と会うのもたぶん最後だろう。悔いないように行ってきな。」
 「うん。じゃあね。クロ。」
 猫が少しニヤッと笑ったように見えた。
 「まあ、何をしたわけでもないが少しは恩返しになった。少し情けない奴だと聞いていたが、思ったよりも根性があって見直した。じゃあな。」
 僕は小さな笑みを浮かべながら手を振り、暗闇の部屋へと入って行った。そして決意を胸に最後の扉に手をかける。やるべきことはやった。僕にだって少しはできることを見せてやる。

■5
 前回と同じく、砂から出た瞬間だった。周りには同志がいっぱいいる。
 なるべく団体となっている場所を選ぶ。少しでも襲われる可能性を少なくする弱きものの知恵だ。右手のほうではすでに鳥たちがいて何匹か捕まっているのが見える。気の毒だがこれがチャンスだ。暗闇と砂浜のデコボコを利用し、なるべく見つからないようにそして全力で前に進む。デコボコ道が意外と厄介だがこれもイメージ通りだ。砂を丁寧にかき前に進む。練習の成果か、思った以上にスピードに乗り前に進める。勢いあまって体ごとひっくり返るがすぐに立て直し休まず進む。
 
 周りを常に良く見て警戒する。神経を研ぎ澄ます。左の奥から黒い影がこっちに近づいてくるのが見える。カニか。右手の鳥を警戒しつつ、少し右にそれ、デコボコを利用して隠れるように進む。すると何かに体全体が覆われる。ビニール紐のような何かだ。良く見えなかった。体を横に何度かくねらせビニールから体を逃れようとするが、そうこうしているうちにカニがこっちに近づいてくる。もう2匹ほどもビニールやペットボトルのゴミに絡み身動きが取れない模様だ。こんな非常識な人間が捨てたゴミのために命を奪われてたまるか。何とかビニールの絡みから逃れカニと逆の方向へ全力で逃げる。幸いカニは別のカメに狙いをつけたようで別の方向へと去っていった。
 
 思ったよりも前に進まなくなってきた。息が切れ始める。でもこのためにトレーニングを積んだんだ。こんなところで少し疲れたからってへこたれてたまるか。周りの何も準備をしていない同志だって全力で進んでいる。負けてなるものか。
 
 ちょっとした岩場に差し掛かるとフナムシが別のカメに群がっているのが見えた。こいつらも天敵か。周りを見て少し遠回りであるが砂浜に戻り波打ち際を目指す。少し気を抜いたその瞬間、ふと黒い二本の棒が見えたと思うと同時に、後ろ足を挟まれ上に持ち上げられる。鳥だ、しまった。でもこれも最悪の場合の想定の範囲内だ。諦めず、全身をバタつかせ全力で抵抗する。腹筋を使い体を起こし、急所と思われる目などを狙い攻撃を試みる。さすがに体の大きさが違うため自由には動けない。でも最大限抵抗する。生き残るために。
 
 不意に手が良いところに当たったようで、鳥はクチバシを広げ、掴んでいた足を離し、僕は砂浜に肩から落ちる。落ちると同時に痛みをこらえ全力で逃げる。火事場のくそ力。自分でも驚くほどの力が奥底から湧き上がり練習以上のスピードで進む。鳥も諦めず追ってくるが砂浜のデコボコに入ったときに別のカメを見つけそれを捕らえたため助かった。
 
 天敵が渦巻く暗闇の中、再度神経を研ぎ澄まし全力で波打ち際へと走る。先ほど挟まれた足に鈍い熱さと共に鋭い痛みを感じる。他のものは生を受けて数分後にこの世界に出会い、自力で生き残らなければならない。なんという過酷な世界だとあらためて痛感する。暗闇の恐怖の中次第に波の音が大きくなってきた。間もなくだ。

 波は砂浜に強く押し寄せている。目の前で運良くたどり着いた同志が波の勢いで転がって戻されている。僕もあと少し。
 ついに波打ち際につき、波に体を任せ海に入る。ちらっと後ろを見るが天敵はいない。ついに海についた。
 でもまだ終わらない。海の中にも天敵はいる。打ち付ける波に飛び込み全力で海中を這う。スムーズに進んでいるように感じる。ペンギンの時の泳ぎが生かされている。

 気が付くと深き群青色の静寂の世界、上からは頼りない月明かりが照らされている。岩場を避け、海藻の抜け道を通り深くに潜る。幸い小さな魚が数匹いるだけで他には何もいない。ふと横を見るといつの間にか、隣に生き残った同志が一匹。少しの間、互いの距離を保ち平行に泳いでいたが同志は方向を変え去っていく。去る間際、一瞬目が合う。お互いそれぞれの検討を祈るよう。同志はすぐに小さくなって消えて行ってしまった。
 
 少し進むと正面に小さな眩い光が見えた。力を振り絞り全力で向かう。光は近づくにつれ広がり、群青色が次第に黄金色の光に包まれるとともに再び体は無の世界へ吸い込まれていった。
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