2 / 56
第1章 白濁の聖女、甘やかなる堕落
悪魔の取引と、「500ml」の暴力
しおりを挟む
王都を出発して3日目。
最初の遠征任務で、俺たちは「クレイシの森」へやってきていた。
異世界の現実は、俺の予想以上に過酷だった。
道中は馬車などなくひたすら徒歩。
勇者ゴウの「魔王を倒すための精神修行だ!」という脳筋方針により宿屋ではなく野宿が強制された。
「……最悪」
夕闇が迫る森の中でサオリが呟いた。
純白だった聖女のローブは泥で汚れ、美しい銀髪は汗と脂で束になっている。
食事は石のように硬い干し肉と、川の水を皮袋に入れただけの生ぬるい水。
そして何よりトイレがない。
「おいサオリ、トイレならそこの茂みでしてこいよ。誰も見ねーから」
「……っ!デリカシーがないのね!」
ゴウの心ない言葉にサオリが涙目で反論する。
見ないと言われても尻を虫だらけの草むらに晒し、ゴワゴワの葉っぱで拭く屈辱。
精神的にも衛生的にも彼女は限界を迎えていた。
深夜。
見張り番を押し付けられた俺は、焚き火のそばで一人スキルウィンドウを開いていた。
初期ボーナスとして配給されたLPは『500』。
「まずはお試しの『撒き餌』だな」
俺は手元の操作パネルで商品を検索し、購入ボタンをタップする。
【購入確定:ボディシート(石鹸の香り・徳用)……LP:30】
【購入確定:コカ・コーラ(500ml・氷点下ボトル)……LP:15】
フォォン……。
微かな光と共に俺の手の中に「現代日本のコンビニ」が出現した。
プシュッ。
コーラのキャップを開けると炭酸の弾ける音と甘い香りが腐葉土と獣臭のする森の空気を切り裂いた。
「……え?」
背後で枯れ枝を踏む音がした。
振り返ると、我慢できずに用を足しに起きてきたらしいサオリが立っていた。
彼女の視線が俺の手にある『黒い水』と『清潔なパッケージ』に釘付けになる。
「カ、カイトくん……それ……」
「ああ、委員長。喉乾いてない?」
俺はコーラのボトルを軽く振ってみせた。
ボトル表面には冷え冷えの水滴がついている。
生ぬるい川の水しか飲んでいない彼女にとってそれは宝石よりも輝いて見えたはずだ。
「これ、カイトくんのスキル……?」
「そうだよ。この世界にはない、キンキンに冷えた『文明の味』だ」
サオリがゴクリと喉を鳴らす。
彼女の唇は乾燥してひび割れ目は渇望で見開かれている。
「……飲みたい?」
「……のみ、たい。お願い、一口だけ……」
プライドの高い彼女が懇願するように俺を見上げる。
俺はコーラを渡さずもう片方の手にある『ボディシート』の封を開けた。
フワッ。
清潔な石鹸と清涼感のあるメンソールの香りが漂う。
「カイトくん、いい匂い……なに、それ?」
「体、洗えてないだろ?これで拭けばシャワーを浴びたみたいにサッパリするよ。ベタベタの肌もサラサラになる」
サオリの瞳孔が開くのが見えた。
今の彼女にとって「清潔」という概念はどんな魔法よりも強力な誘惑だ。
股間の蒸れ、脇の汗、髪のベタつき。
それらを一瞬で消せる魔法の紙。
「……貸して。それ、貸して!」
理性を失いかけたサオリが手を伸ばしてくる。
俺はヒョイと手を引っ込め悪魔の微笑みを浮かべた。
「タダじゃないよ、委員長」
「……お金なら、王都に戻れば」
「お金はいらない。俺のスキルはもっと別の『対価』が必要なんだ」
俺は立ち上がり彼女の耳元に顔を近づける。
泥と汗の臭いがする彼女の首筋からは隠しきれない甘いフェロモンが漂っていた。
「LP(ラブポイント)。つまり……俺に『キス』してくれたら全部あげるよ」
「……ッ!?」
サオリが息を呑む。
勇者ゴウという許嫁同然の存在がいながらクラスの底辺である俺にキスをする。
それは彼女の貞操観念が許さないはずだった。
だが。
俺はわざとらしく冷えたコーラを自分の首筋に当ててみせた。
冷たさに気持ちよさそうに声を漏らす。
「あー、冷てぇ。生き返るわ」
(冷たい……清潔……サッパリしたい……!もう嫌、こんな不潔な体……!)
サオリの中で何かが音を立てて崩れ落ちた。
「……わかった、わ」
震える声で彼女が言った。
瞳は潤み、頬は興奮と羞恥で紅潮している。
「一回だけ……一回だけよ。だからそれを……その『清潔』をわたくしにちょうだい……!」
サオリが目を閉じ、おずおずと唇を突き出す。
その瞬間、俺の脳内にシステム音が鳴り響いた。
【ターゲット捕捉:神宮寺サオリ】
【攻略推奨アイテム:バスルーム、高級ローション、避妊具】
(へぇ、気が利くナビゲーションだ)
俺は心の中でシステムを称賛し彼女の肩を抱き寄せた。
これが、勇者の婚約者を寝取る最初の夜。
そして、俺のスキルが「世界最強」であることを証明する最初の取引だった。
最初の遠征任務で、俺たちは「クレイシの森」へやってきていた。
異世界の現実は、俺の予想以上に過酷だった。
道中は馬車などなくひたすら徒歩。
勇者ゴウの「魔王を倒すための精神修行だ!」という脳筋方針により宿屋ではなく野宿が強制された。
「……最悪」
夕闇が迫る森の中でサオリが呟いた。
純白だった聖女のローブは泥で汚れ、美しい銀髪は汗と脂で束になっている。
食事は石のように硬い干し肉と、川の水を皮袋に入れただけの生ぬるい水。
そして何よりトイレがない。
「おいサオリ、トイレならそこの茂みでしてこいよ。誰も見ねーから」
「……っ!デリカシーがないのね!」
ゴウの心ない言葉にサオリが涙目で反論する。
見ないと言われても尻を虫だらけの草むらに晒し、ゴワゴワの葉っぱで拭く屈辱。
精神的にも衛生的にも彼女は限界を迎えていた。
深夜。
見張り番を押し付けられた俺は、焚き火のそばで一人スキルウィンドウを開いていた。
初期ボーナスとして配給されたLPは『500』。
「まずはお試しの『撒き餌』だな」
俺は手元の操作パネルで商品を検索し、購入ボタンをタップする。
【購入確定:ボディシート(石鹸の香り・徳用)……LP:30】
【購入確定:コカ・コーラ(500ml・氷点下ボトル)……LP:15】
フォォン……。
微かな光と共に俺の手の中に「現代日本のコンビニ」が出現した。
プシュッ。
コーラのキャップを開けると炭酸の弾ける音と甘い香りが腐葉土と獣臭のする森の空気を切り裂いた。
「……え?」
背後で枯れ枝を踏む音がした。
振り返ると、我慢できずに用を足しに起きてきたらしいサオリが立っていた。
彼女の視線が俺の手にある『黒い水』と『清潔なパッケージ』に釘付けになる。
「カ、カイトくん……それ……」
「ああ、委員長。喉乾いてない?」
俺はコーラのボトルを軽く振ってみせた。
ボトル表面には冷え冷えの水滴がついている。
生ぬるい川の水しか飲んでいない彼女にとってそれは宝石よりも輝いて見えたはずだ。
「これ、カイトくんのスキル……?」
「そうだよ。この世界にはない、キンキンに冷えた『文明の味』だ」
サオリがゴクリと喉を鳴らす。
彼女の唇は乾燥してひび割れ目は渇望で見開かれている。
「……飲みたい?」
「……のみ、たい。お願い、一口だけ……」
プライドの高い彼女が懇願するように俺を見上げる。
俺はコーラを渡さずもう片方の手にある『ボディシート』の封を開けた。
フワッ。
清潔な石鹸と清涼感のあるメンソールの香りが漂う。
「カイトくん、いい匂い……なに、それ?」
「体、洗えてないだろ?これで拭けばシャワーを浴びたみたいにサッパリするよ。ベタベタの肌もサラサラになる」
サオリの瞳孔が開くのが見えた。
今の彼女にとって「清潔」という概念はどんな魔法よりも強力な誘惑だ。
股間の蒸れ、脇の汗、髪のベタつき。
それらを一瞬で消せる魔法の紙。
「……貸して。それ、貸して!」
理性を失いかけたサオリが手を伸ばしてくる。
俺はヒョイと手を引っ込め悪魔の微笑みを浮かべた。
「タダじゃないよ、委員長」
「……お金なら、王都に戻れば」
「お金はいらない。俺のスキルはもっと別の『対価』が必要なんだ」
俺は立ち上がり彼女の耳元に顔を近づける。
泥と汗の臭いがする彼女の首筋からは隠しきれない甘いフェロモンが漂っていた。
「LP(ラブポイント)。つまり……俺に『キス』してくれたら全部あげるよ」
「……ッ!?」
サオリが息を呑む。
勇者ゴウという許嫁同然の存在がいながらクラスの底辺である俺にキスをする。
それは彼女の貞操観念が許さないはずだった。
だが。
俺はわざとらしく冷えたコーラを自分の首筋に当ててみせた。
冷たさに気持ちよさそうに声を漏らす。
「あー、冷てぇ。生き返るわ」
(冷たい……清潔……サッパリしたい……!もう嫌、こんな不潔な体……!)
サオリの中で何かが音を立てて崩れ落ちた。
「……わかった、わ」
震える声で彼女が言った。
瞳は潤み、頬は興奮と羞恥で紅潮している。
「一回だけ……一回だけよ。だからそれを……その『清潔』をわたくしにちょうだい……!」
サオリが目を閉じ、おずおずと唇を突き出す。
その瞬間、俺の脳内にシステム音が鳴り響いた。
【ターゲット捕捉:神宮寺サオリ】
【攻略推奨アイテム:バスルーム、高級ローション、避妊具】
(へぇ、気が利くナビゲーションだ)
俺は心の中でシステムを称賛し彼女の肩を抱き寄せた。
これが、勇者の婚約者を寝取る最初の夜。
そして、俺のスキルが「世界最強」であることを証明する最初の取引だった。
164
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる