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最終章 超銀河級統合リゾート、ラス・ベガス・ドリーム~ ~魔王(幼女)も骨抜きにします~
魔王軍、全滅(完食)! ~焼肉とアイドルとカジノに勝てるわけがない~ ☆
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「総員、突撃ぃぃぃッ!あの不埒な建物を破壊せよ!」
「「「オオォォォォォッ!!!」」」
魔王城の城門が開き数万の魔物の軍勢が雪崩を打って進撃を開始した。
先陣を切るのは豚の顔を持つオーク族の重装歩兵部隊。
空を覆うのは凶暴なワイバーンとハーピーの航空部隊。
そして後方には巨大なオーガやトロールたちが棍棒を振り回している。
本来ならば、どんな国でも一夜で滅ぼせるほどの恐怖の軍団だ。
だが。
彼らの進撃はアーク・ロイヤル改め『ラス・ベガス・ドリーム』の入り口、巨大なウェルカム・ゲートの前でピタリと止まった。
「な、なんだこの匂いは……?」
オークの隊長が鼻をヒクつかせた。
戦場に漂う血と鉄の臭いではない。
もっと暴力的で脳髄を直接揺さぶるような、甘辛く、香ばしい香り。
ジュウウゥゥゥ……。
どこからともなく肉が焼ける音とタレが焦げる芳香が漂ってくる。
「よ、ようこそお越しくださいました~♡」
ゲートの向こうから可愛らしいエプロン姿の少女――篠原真美(しのはら まみ)が現れた。
彼女の背後には黄金色に輝く巨大ドーム**『真美の食い倒れコロシアム』**が聳え立っている。
「只今、グランドオープン記念!魔王軍の皆様に限り、初回60分食べ放題無料キャンペーン実施中です!」
「た、食べ放題だと……?」
「はいっ!厚切りカルビ、ハラミ、ロース!さらに、特製ニンニク醤油ダレに漬け込んだ『魔界スタミナ丼』もご用意しております!」
ドォォォン!
真美が巨大な中華鍋の蓋を開けるとそこには湯気を立てる山盛りの肉、肉、肉!
「う、うまそうだ……」
「俺たち、昨日は腐ったパンしか食ってねぇぞ……」
「無料……?本当に食っていいのか?」
オークたちの戦意(空腹)が揺らぐ。
「どうぞ!お腹いっぱい食べて元気になってくださいね♡」
真美が女神のような笑顔で手招きする。
「うぉぉぉッ!肉だぁぁぁッ!」
「隊長、俺は行きます!腹が減っては戦ができねぇ!」
「ま、待て貴様ら! ……くっ、俺も行く!毒見だ、毒見!」
ガシャァァァン!
武器が地面に投げ捨てられる。
数千のオーク部隊が焼肉屋と町中華の暖簾(のれん)をくぐり、吸い込まれていった。
「うめぇぇぇ!このタレ悪魔的だぁ!」
「ビール!冷えたビールを持てぇ!」
数分後、そこにはジョッキを片手に肩を組んで歌う陽気な酔っ払い集団が出来上がっていた。
***
一方、上空。
「地上の奴らは何をしている!ええい、我らが空から爆撃してやる!」
ハーピーの女王が金切り声を上げる。
彼女たちがリゾートの上空に差し掛かった時、ピンク色のネオンタワー**『歌恋のギャラクシー・ライブドーム』**から強烈な光線が放たれた。
「ギャッ!?攻撃か!?」
いや、違う。
それは色とりどりのレーザービームによる演出だった。
『みんな~っ!こんかれ~ん☆魔界のみんなに愛を届けに来たよ~っ!』
大音量のスピーカーから脳が溶けるような甘い声が響き渡る。
ドームの屋根が開き、巨大なホログラム映像としてアイドル衣装に身を包んだ星奈歌恋(ほしな かれん)が投影された。
「な、なんだあの輝く美少女は……!」
「眩しい……直視できない……!」
魔物たちは歌恋の圧倒的な「アイドルオーラ(魅了スキル)」に目を奪われた。
『一曲目は、新曲『デビル・キッス』!聞いてね♡』
ズンッ、ズンッ、ズンッ、ズンッ♪
重低音のビートが空気を震わせる。
歌恋がウィンクをし、投げキッスを放つとハート型の光弾が空中の魔物たちに直撃した。
「はうぅッ!?」
「か、可愛い……!」
「俺、あの子のファンになる!」
ワイバーンが空中で宙返りをし、ハーピーたちがサイリウム(発光魔法)を振り始める。
「L・O・V・E! カ・レ・ン・ちゃん!」
「オオオオオッ!!!」
空を覆っていた恐怖の航空部隊は一瞬にして統率の取れた親衛隊(ファンクラブ)へと変貌した。
ライブドームの上空では魔物たちが規則正しく旋回し、オタ芸のような編隊飛行を繰り広げている。
***
地上部隊の後方、武闘派のオーガやトロールたちは、肉や歌には目もくれず殺気を放っていた。
「軟弱者どもが!俺たちは戦いがしたいんだ!」
「血を見せろ!破壊させろ!」
彼らが殺到したのは闘技場のような外観を持つ**『アルティメット・バトルアリーナ』**だった。
「お待ちしてましたヨ、血の気の多いお客様たち!」
入り口で仁王立ちしていたのは、チャイナドレスのスリットから美脚を覗かせた王美鈴(ワン・メイリン)と、短距離ユニフォーム姿の日向莉央(ひなた りお)だ。
「ここは暴力禁止ネ。……でも、『eスポーツ』なら大歓迎ヨ!」
「いーすぽーつ……?」
「そう!このVRヘッドセットを被れば痛くないのに殴り合える!死なないのに殺し合える!最高のストレス発散だよ!」
莉央が巨大なトロールに無理やりゴーグルを装着させた。
『READY……FIGHT!』
仮想空間の中でトロールは思う存分暴れまわった。
「おおっ!殴れる!壊せる!なのに疲れない!」
「レベルアップ!新技習得!」
「た、楽しい……!リアルで殴り合うよりこっちの方が面白いぞ!」
現実の体は安全なポッドの中で横たわっているのに、精神は闘争本能を完全に満たされている。
「美鈴ちゃん、対戦しよ!」
「望むところネ!負けた方はジュース奢りヨ!」
気づけば凶悪な魔物たちがゲームセンターの常連のように熱中し、莉央や美鈴と熱いバトルを繰り広げていた。
***
リゾートの地下には怪しい紫色の照明が輝く**『大人の社交場・アンダーグラウンド』**が広がっていた。
ここはカジノとバー、そしてちょっとエッチな店が並ぶエリアだ。
「いらっしゃいませ~♡運試ししていかない?」
バニーガール姿の滝川(たきがわ )ののかと、牧野樹里(まきの じゅり)がゴブリンたちをカジノホールへ誘う。
「キラキラしてる……金貨がいっぱい……」
「スロット?ルーレット?よくわからんが、勝てば増えるのか!」
「そうだよ。……あ、お客様!その台、今『確変』入ってますよ!大当たりの予感(シグナル)ビンビンです!」
樹里の【探知】スキルは当たりの台を見抜くのにも使えた。
「ジャラジャラジャラ!777(ジャックポット)!」
「ギャアアアッ!当たったぁぁぁ!」
脳汁が出る音と光の洪水。
ゴブリンたちは完全にギャンブルの虜となり、持っていた武器を質に入れてまでコインを買い求めていた。
その奥のVIPルームでは、一ノ瀬清花(いちのせ さやか)と江藤(えとう)くるみが上級魔族たちをもてなしていた。
「あら、将軍様。……肩が凝っていらっしゃるわね」
清花が妖艶なドレス姿で魔族の将軍にオイルマッサージを施す。
「はうぅッ……そこ、そこだ……」
「くるみが新しいお洋服、選んであげる♡……うん、このタキシードすっごく似合うよ!」
くるみが魔糸で仕立てたオーダーメイドのスーツを着せると、醜悪だった魔族も見違えるような紳士になった。
「おぉ……私がこんなにダンディに……」
「今夜は朝まで帰しませんわよ?……極上のワインとふかふかのベッドが待っていますもの♡」
「ぐふふ……もう魔王城には戻れん……」
そして、最上階の**『ロイヤル・ヒーリング・スパ』**。
ここでは、相崎莉奈(あいざき りな)がアンデッド系の魔物たちを癒やしていた。
「ゾンビさんも、スケルトンさんも、みんな疲れてるんだね……」
彼女は聖水を混ぜたお湯をかけ流す。
「【浄化(リラックス)】……♡」
「あぁぁぁ……成仏しそう……」
「骨の髄まで温まるわぁ……」
本来なら聖水はアンデッドにとって劇薬だが、莉奈の「癒やし」に特化した調整により彼らは消滅することなく、ただただ「毒気」だけを抜かれていた。
恨みや憎しみが消えただの善良な死体へと浄化されていく。
***
「……報告します。魔王軍、壊滅率(リピーター率)98%を超えました」
メインタワーの最上階、オーナーズルーム。
眼下に広がる宴のような光景を見下ろしながら、僕、相田ミナトはワイングラスを傾けた。
「順調だね。……怪我人は?」
「ゼロです。……食べ過ぎで動けなくなったオークが数名いるくらいで」
秘書のようなスーツ姿に着替えた清花が苦笑しながら報告する。
「これ、戦争って言っていいのかしら?」
「いいんじゃないかな。……『文化』という最強の兵器による一方的な虐殺だ」
僕はモニターに映る楽しそうな魔物たちの顔を見た。
彼らはもう僕たちを敵とは思っていない。
「オーナー!肉おかわり!」
「歌恋ちゃん、アンコール!」
「おい、両替してくれ!」
そこにあるのは、敵意ではなく純粋な欲望と充足感だけだ。
「さて……」
僕はグラスを置き立ち上がった。
「雑魚(お客さん)の相手はヒロインたちに任せておけばいい。……問題はこの城の主だ」
モニターを切り替える。
隣の魔王城は今や完全にもぬけの殻。
静まり返っている。
だが、2つだけ強力な魔力反応が残っていた。
「宰相のじいさんと……魔王本人か」
「行くぞ。……最後の仕上げ(営業)だ」
僕はエレベーターへと向かった。
向かう先はこのリゾートで最も豪華で最も堕落できる場所。
『ロイヤル・スイート・カジノ』のVIPルーム。
そこに最後の抵抗勢力と、そしてまだ見ぬ魔王が潜んでいるはずだ。
「魔王様も……僕たちの『おもてなし』で満足させてあげないとね」
「「「オオォォォォォッ!!!」」」
魔王城の城門が開き数万の魔物の軍勢が雪崩を打って進撃を開始した。
先陣を切るのは豚の顔を持つオーク族の重装歩兵部隊。
空を覆うのは凶暴なワイバーンとハーピーの航空部隊。
そして後方には巨大なオーガやトロールたちが棍棒を振り回している。
本来ならば、どんな国でも一夜で滅ぼせるほどの恐怖の軍団だ。
だが。
彼らの進撃はアーク・ロイヤル改め『ラス・ベガス・ドリーム』の入り口、巨大なウェルカム・ゲートの前でピタリと止まった。
「な、なんだこの匂いは……?」
オークの隊長が鼻をヒクつかせた。
戦場に漂う血と鉄の臭いではない。
もっと暴力的で脳髄を直接揺さぶるような、甘辛く、香ばしい香り。
ジュウウゥゥゥ……。
どこからともなく肉が焼ける音とタレが焦げる芳香が漂ってくる。
「よ、ようこそお越しくださいました~♡」
ゲートの向こうから可愛らしいエプロン姿の少女――篠原真美(しのはら まみ)が現れた。
彼女の背後には黄金色に輝く巨大ドーム**『真美の食い倒れコロシアム』**が聳え立っている。
「只今、グランドオープン記念!魔王軍の皆様に限り、初回60分食べ放題無料キャンペーン実施中です!」
「た、食べ放題だと……?」
「はいっ!厚切りカルビ、ハラミ、ロース!さらに、特製ニンニク醤油ダレに漬け込んだ『魔界スタミナ丼』もご用意しております!」
ドォォォン!
真美が巨大な中華鍋の蓋を開けるとそこには湯気を立てる山盛りの肉、肉、肉!
「う、うまそうだ……」
「俺たち、昨日は腐ったパンしか食ってねぇぞ……」
「無料……?本当に食っていいのか?」
オークたちの戦意(空腹)が揺らぐ。
「どうぞ!お腹いっぱい食べて元気になってくださいね♡」
真美が女神のような笑顔で手招きする。
「うぉぉぉッ!肉だぁぁぁッ!」
「隊長、俺は行きます!腹が減っては戦ができねぇ!」
「ま、待て貴様ら! ……くっ、俺も行く!毒見だ、毒見!」
ガシャァァァン!
武器が地面に投げ捨てられる。
数千のオーク部隊が焼肉屋と町中華の暖簾(のれん)をくぐり、吸い込まれていった。
「うめぇぇぇ!このタレ悪魔的だぁ!」
「ビール!冷えたビールを持てぇ!」
数分後、そこにはジョッキを片手に肩を組んで歌う陽気な酔っ払い集団が出来上がっていた。
***
一方、上空。
「地上の奴らは何をしている!ええい、我らが空から爆撃してやる!」
ハーピーの女王が金切り声を上げる。
彼女たちがリゾートの上空に差し掛かった時、ピンク色のネオンタワー**『歌恋のギャラクシー・ライブドーム』**から強烈な光線が放たれた。
「ギャッ!?攻撃か!?」
いや、違う。
それは色とりどりのレーザービームによる演出だった。
『みんな~っ!こんかれ~ん☆魔界のみんなに愛を届けに来たよ~っ!』
大音量のスピーカーから脳が溶けるような甘い声が響き渡る。
ドームの屋根が開き、巨大なホログラム映像としてアイドル衣装に身を包んだ星奈歌恋(ほしな かれん)が投影された。
「な、なんだあの輝く美少女は……!」
「眩しい……直視できない……!」
魔物たちは歌恋の圧倒的な「アイドルオーラ(魅了スキル)」に目を奪われた。
『一曲目は、新曲『デビル・キッス』!聞いてね♡』
ズンッ、ズンッ、ズンッ、ズンッ♪
重低音のビートが空気を震わせる。
歌恋がウィンクをし、投げキッスを放つとハート型の光弾が空中の魔物たちに直撃した。
「はうぅッ!?」
「か、可愛い……!」
「俺、あの子のファンになる!」
ワイバーンが空中で宙返りをし、ハーピーたちがサイリウム(発光魔法)を振り始める。
「L・O・V・E! カ・レ・ン・ちゃん!」
「オオオオオッ!!!」
空を覆っていた恐怖の航空部隊は一瞬にして統率の取れた親衛隊(ファンクラブ)へと変貌した。
ライブドームの上空では魔物たちが規則正しく旋回し、オタ芸のような編隊飛行を繰り広げている。
***
地上部隊の後方、武闘派のオーガやトロールたちは、肉や歌には目もくれず殺気を放っていた。
「軟弱者どもが!俺たちは戦いがしたいんだ!」
「血を見せろ!破壊させろ!」
彼らが殺到したのは闘技場のような外観を持つ**『アルティメット・バトルアリーナ』**だった。
「お待ちしてましたヨ、血の気の多いお客様たち!」
入り口で仁王立ちしていたのは、チャイナドレスのスリットから美脚を覗かせた王美鈴(ワン・メイリン)と、短距離ユニフォーム姿の日向莉央(ひなた りお)だ。
「ここは暴力禁止ネ。……でも、『eスポーツ』なら大歓迎ヨ!」
「いーすぽーつ……?」
「そう!このVRヘッドセットを被れば痛くないのに殴り合える!死なないのに殺し合える!最高のストレス発散だよ!」
莉央が巨大なトロールに無理やりゴーグルを装着させた。
『READY……FIGHT!』
仮想空間の中でトロールは思う存分暴れまわった。
「おおっ!殴れる!壊せる!なのに疲れない!」
「レベルアップ!新技習得!」
「た、楽しい……!リアルで殴り合うよりこっちの方が面白いぞ!」
現実の体は安全なポッドの中で横たわっているのに、精神は闘争本能を完全に満たされている。
「美鈴ちゃん、対戦しよ!」
「望むところネ!負けた方はジュース奢りヨ!」
気づけば凶悪な魔物たちがゲームセンターの常連のように熱中し、莉央や美鈴と熱いバトルを繰り広げていた。
***
リゾートの地下には怪しい紫色の照明が輝く**『大人の社交場・アンダーグラウンド』**が広がっていた。
ここはカジノとバー、そしてちょっとエッチな店が並ぶエリアだ。
「いらっしゃいませ~♡運試ししていかない?」
バニーガール姿の滝川(たきがわ )ののかと、牧野樹里(まきの じゅり)がゴブリンたちをカジノホールへ誘う。
「キラキラしてる……金貨がいっぱい……」
「スロット?ルーレット?よくわからんが、勝てば増えるのか!」
「そうだよ。……あ、お客様!その台、今『確変』入ってますよ!大当たりの予感(シグナル)ビンビンです!」
樹里の【探知】スキルは当たりの台を見抜くのにも使えた。
「ジャラジャラジャラ!777(ジャックポット)!」
「ギャアアアッ!当たったぁぁぁ!」
脳汁が出る音と光の洪水。
ゴブリンたちは完全にギャンブルの虜となり、持っていた武器を質に入れてまでコインを買い求めていた。
その奥のVIPルームでは、一ノ瀬清花(いちのせ さやか)と江藤(えとう)くるみが上級魔族たちをもてなしていた。
「あら、将軍様。……肩が凝っていらっしゃるわね」
清花が妖艶なドレス姿で魔族の将軍にオイルマッサージを施す。
「はうぅッ……そこ、そこだ……」
「くるみが新しいお洋服、選んであげる♡……うん、このタキシードすっごく似合うよ!」
くるみが魔糸で仕立てたオーダーメイドのスーツを着せると、醜悪だった魔族も見違えるような紳士になった。
「おぉ……私がこんなにダンディに……」
「今夜は朝まで帰しませんわよ?……極上のワインとふかふかのベッドが待っていますもの♡」
「ぐふふ……もう魔王城には戻れん……」
そして、最上階の**『ロイヤル・ヒーリング・スパ』**。
ここでは、相崎莉奈(あいざき りな)がアンデッド系の魔物たちを癒やしていた。
「ゾンビさんも、スケルトンさんも、みんな疲れてるんだね……」
彼女は聖水を混ぜたお湯をかけ流す。
「【浄化(リラックス)】……♡」
「あぁぁぁ……成仏しそう……」
「骨の髄まで温まるわぁ……」
本来なら聖水はアンデッドにとって劇薬だが、莉奈の「癒やし」に特化した調整により彼らは消滅することなく、ただただ「毒気」だけを抜かれていた。
恨みや憎しみが消えただの善良な死体へと浄化されていく。
***
「……報告します。魔王軍、壊滅率(リピーター率)98%を超えました」
メインタワーの最上階、オーナーズルーム。
眼下に広がる宴のような光景を見下ろしながら、僕、相田ミナトはワイングラスを傾けた。
「順調だね。……怪我人は?」
「ゼロです。……食べ過ぎで動けなくなったオークが数名いるくらいで」
秘書のようなスーツ姿に着替えた清花が苦笑しながら報告する。
「これ、戦争って言っていいのかしら?」
「いいんじゃないかな。……『文化』という最強の兵器による一方的な虐殺だ」
僕はモニターに映る楽しそうな魔物たちの顔を見た。
彼らはもう僕たちを敵とは思っていない。
「オーナー!肉おかわり!」
「歌恋ちゃん、アンコール!」
「おい、両替してくれ!」
そこにあるのは、敵意ではなく純粋な欲望と充足感だけだ。
「さて……」
僕はグラスを置き立ち上がった。
「雑魚(お客さん)の相手はヒロインたちに任せておけばいい。……問題はこの城の主だ」
モニターを切り替える。
隣の魔王城は今や完全にもぬけの殻。
静まり返っている。
だが、2つだけ強力な魔力反応が残っていた。
「宰相のじいさんと……魔王本人か」
「行くぞ。……最後の仕上げ(営業)だ」
僕はエレベーターへと向かった。
向かう先はこのリゾートで最も豪華で最も堕落できる場所。
『ロイヤル・スイート・カジノ』のVIPルーム。
そこに最後の抵抗勢力と、そしてまだ見ぬ魔王が潜んでいるはずだ。
「魔王様も……僕たちの『おもてなし』で満足させてあげないとね」
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