【R18】【拠点設営】で守る乙女達の尊厳 〜世界を救うのは聖剣じゃなくて、清潔なお風呂と愛し合う夜〜

のびすけ。

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後日譚 世界で一番幸せなマイホーム ~パパになった最強オーナー~

小さな命の予兆 ~最強の要塞に宿った、守るべき宝物~

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『ラス・ベガス・ドリーム』の朝は早い。 
いや、この不夜城に「朝」という概念は薄いのかもしれないが、運営側である僕たちにとっては太陽が昇る時間が一日の始まりだ。

「……よし、今月の収支報告は完璧だな」 

オーナーズルームの執務室。
僕、相田ミナトはデスクに積み上げられた書類(タブレット端末)を確認し満足げに頷いた。 
カジノの売り上げ、各テナントからの上納金、観光ツアーの利益。
どれも右肩上がりだ。 

「清花、ありがとう。君のまとめた資料すごく見やすいよ」 

僕は隣のデスクで作業をしている一ノ瀬清花(いちのせ さやか)に声をかけた。 
彼女はこのリゾートの実質的な支配人として膨大な業務を完璧にこなしてくれている。 
朝の「儀式」で全てを曝け出し、スッキリした彼女は今はキリッとした眼鏡姿の「デキる秘書」に戻っていた。

「ええ、どういたしまして。……最近、魔界の西方からの観光客が増えているからそっちの警備体制も見直しておいたわ」 

清花はキーボードを叩く手を止めずに答えた。 

「それと、真美ちゃんから食材の追加発注の申請が来てるわね。……『ドラゴン肉の消費量が予想以上です!』だって」 
「あはは、平和な悩みだね。許可しておいて」 
「了解。……んっ」 

ふと、清花の動きが止まった。 
彼女は眉間に皺を寄せこめかみを指で押さえた。 

「……清花?」 
「ごめんなさい、ちょっと……目眩が」 

彼女は椅子から立ち上がろうとして――ふらりと、その体が傾いた。

「清花ッ!?」 

僕は慌てて駆け寄り彼女の体を抱き留めた。 

「だ、大丈夫か!?顔色が悪いぞ」 
「平気よ……。ちょっと立ちくらみがしただけ……」 

彼女は気丈に笑おうとしたが、その唇には血の気がなく額には脂汗が滲んでいる。 

「平気なわけないだろ!体も少し熱い……」 
「ごめんなさい……。最近ちょっと忙しかったから……疲れが出ちゃったのかも」 

彼女は申し訳無さそうに僕の胸に寄りかかった。 
確かにここ数ヶ月の彼女の働きぶりは凄まじかった。 
僕のサポートに加え、個性豊かすぎるヒロインたちのまとめ役、魔王ルルのお守り、そして夜の相手まで。 
完璧超人の彼女に僕は甘えすぎていたのかもしれない。

「休もう。……いや、まずは検査だ」 

僕は決断した。 

「えっ?でも、仕事が……」
「仕事なんてどうでもいい!清花の体が一番大切だ!」 

僕は彼女を横抱き(お姫様抱っこ)にした。 

「きゃっ!あ、相田くん……恥ずかしいわ……」 
「恥ずかしがってる場合じゃない。……『医療タワー』へ行くぞ!」

***

『ラス・ベガス・ドリーム』の一角に聳え立つ白亜の巨塔。 
『ロイヤル・メディカル・タワー』
最新鋭の医療機器と、相崎莉奈(あいざき りな)の聖女魔法、そして薬学知識を融合させた世界最高峰の医療施設だ。 
その最上階にある特別診察室に緊張した空気が流れていた。

「……どうなんだ、莉奈、樹里」 

ベッドに横たわる清花を囲み、僕は固唾を飲んで見守っていた。 
白衣を身に纏った莉奈が真剣な表情で清花のお腹に手をかざしている。 
その横ではナース服姿の牧野樹里(まきの じゅり)がヘッドホンを当て、超感覚探知(ハイパー・センサー)で生体反応をモニタリングしていた。

「うーん……。魔力の乱れはないね」 
「毒や呪いの反応もゼロです」 
「過労……にしては、生命力の波形が独特だわ」 

心配して集まった他のヒロインたち――篠原真美(しのはら まみ)、王美鈴(ワン・メイリン)、江藤くるみ(えとう くるみ)たちも、不安そうに見守っている。 

「清花さん、大丈夫かな……」 
「変な病気じゃないといいけど……」

莉奈は無言で金色の光を放つ手を清花の腹部で動かし続けていた。 
その表情が次第に変化していく。 
困惑から、驚きへ。
 そして、信じられないものを見つけたような、震えるような感動へ。

「……莉奈ちゃん?」 

清花が不安そうに声をかける。 

「私……どこか悪いの?」 

莉奈は答えず、樹里と顔を見合わせた。 

「樹里ちゃん……聞こえる?」 
「……うん。聞こえるよ、莉奈ちゃん」 

樹里もまた、ヘッドホンを押さえたまま目を丸くして涙ぐんでいた。

 「間違いなく……『二つの音』が聞こえる」

「二つ……?」 

僕が首を傾げたその時だった。 
莉奈がゆっくりと振り返り、満面の笑みで――しかし、目から大粒の涙をこぼしながら告げた。

「おめでとう、相田くん。清花さん」 

彼女の声が静寂な診察室に響き渡った。 

「病気じゃないよ。……清花さんのお腹に赤ちゃんがいるの」

「…………え?」 

時が止まったようだった。 
清花がぽかんと口を開けたまま固まる。 
僕も言葉の意味を理解するのに数秒かかった。 

赤ちゃん。 
子供。 
新しい命。

「にん……しん……?」 

清花が震える手で自分のお腹に触れた。 
まだ平らで、何も変わっていないように見えるその場所に。 

「嘘……本当に?私のここに……?」 
「本当だよ!」 

樹里が泣きながらモニターを見せた。

「見て、この波形!相田くんの魔力と清花さんの魔力が混ざり合った、小さな小さな鼓動があるの!トクトクって、すごく元気に動いてる!」 
「嘘……嘘みたい……」 

清花の瞳から涙が溢れ出した。 
過労でも病気でもない。 
愛の結晶がそこに宿っていたのだ。

「清花……!」 

僕はたまらずベッドの上の彼女を抱きしめた。 

「よかった……!本当によかった……!」 
「相田くん……うぅ、私……ママになるのね……」 
「ああ。……僕たちの子供だ。君と僕の……!」 

喜びが爆発する。 
魔王を倒した時以上の、世界征服を成し遂げた時以上の、魂が震えるような感動。 
彼女の体温が今まで以上に愛おしく、尊く感じられた。

「おめでとうございますーっ!」 
「やったぁ!赤ちゃん!」 
「すごいネ!清花、でかしたアル!」 

ワッと歓声が上がり、ヒロインたちが駆け寄ってくる。 
真美が泣きながら清花の手を握り、美鈴が僕の背中をバンバン叩き、くるみがハンカチで目頭を押さえる。 

「清花さん、ずるいよぉ……一番乗りなんて」 
「でも、嬉しい……!家族が増えるんだね!」 

診察室は祝福と幸福な空気に包まれた。

ーーーーー

その夜。 
オーナーズルームで、ささやかながら盛大な「お祝いパーティー」が開かれた。 
主役はもちろん、妊婦となった清花だ。 
彼女はアルコールを控え、特製のフルーツジュースで乾杯した。 

「みんな、ありがとう。……なんだか、まだ夢みたい」 

清花は幸せそうに何度もお腹をさすっていた。 
その顔はいつものキリッとした「秘書」ではなく、慈愛に満ちた「聖母(ママ)」の顔になっていた。 
その変化は劇的で、そして美しかった。

「いいなぁ……」 

ポツリと誰かが呟いた。 
その言葉を皮切りにパーティーの空気が少し変わった。 
単なる祝福ムードから、ある種の「熱」を帯びたものへ。

「清花さん……すごく綺麗です」 

篠原真美がうっとりとした目で清花を見つめていた。 
彼女は料理担当であり、パーティの母性枠だ。 

「お腹に赤ちゃんがいるって……どんな感じなんでしょう。好きな人の遺伝子が自分の中で育っていくなんて……」 

彼女の手が無意識に自分のお腹へと伸びる。 

「……私も、欲しいです」

「余だって!」 

魔王ルルがソファから飛び降りた。 
彼女は僕の膝の上を独占していたが、今は清花の方を羨ましそうに見ている。 

「魔王の血筋を絶やすわけにはいかぬ!それに……余もパパとママごっこがしたいのじゃ!」
「ルルちゃん、ごっこ遊びじゃないよ?」
「わかっておる!……余とオーナーの子ならきっと世界最強の魔王になるはずじゃ!スロットも激強になるはずじゃ!」

「ウチも……」 

相崎莉奈が僕の袖を引いた。 

「ウチ、回復魔法が得意でしょ?妊娠中の体調管理も、出産の痛みも、全部魔法でサポートできるんだよ?」 

彼女は上目遣いで妖しく微笑んだ。 

「だから……ウチが一番、効率的に(・ ・ ・ ・)赤ちゃんを産めると思うんだ♡」

「なっ、抜け駆け禁止アルよ!」 

美鈴が立ち上がる。

「強い子を作るならワタシの遺伝子が必要ネ!相田くんとの子なら宇宙最強の格闘家になれるヨ!」 「スポーツ万能な子もいいよね!」

日向莉央(ひなた りお)も目を輝かせる。 

「一緒にサッカーして、キャッチボールして……うわぁ、想像しただけで最高!」

「私の歌声を受け継いだら……銀河のアイドルになれるわ」 

星奈歌恋(ほしな かれん)が自分の胸に手を当てる。 

「ねえ、ミナトさん。……私との愛の歌、形にしませんか?♡」

「私も!お裁縫なら任せて!ベビー服、もう100着くらいデザインできてるから!」 

くるみがスケッチブックを取り出す。 

「私が一番、相田くんの心を読んであげられるよ?育児に最適でしょ?」

樹里がアピールする。

「狙った獲物(排卵日)は外さないよ……♡」 

滝川(たきがわ) ののかがロックオンするような目で僕を見る。

場の空気が完全に変わった。 
清花の妊娠という奇跡がヒロインたちの本能に火をつけてしまったのだ。 
「一人の男」を愛するライバルから、「子供の父親」を求めるメスたちへ。 
その視線は、熱く、重く、そしてとろけるように甘かった。

「あ、あの……みんな?」 

僕がたじろぐと真美が一歩進み出た。 
彼女は豊満な胸の前で手を組み切実な瞳で訴えた。 

「相田さん。……清花さんだけじゃ不公平です」 
「えっ?」 
「私たちも……相田さんの家族です。……相田さんの赤ちゃん、産みたいです」 

彼女の言葉に全員が深く頷いた。 

「そうじゃ!オーナーの遺伝子は世界遺産級じゃ!残さねばならぬ!」
「相田くん……覚悟してね?♡」
「今夜から……『寝かせない』からネ♡」

9人の美女たちからの強烈な求愛(種付け)宣言。 
それは魔王城攻略よりも過酷で、そして幸せな戦いの始まりだった。

「ふふっ……相田くん、頑張ってね?」 

当の清花は余裕の笑みで僕にウィンクした。 

「大家族にするって約束……守ってもらうわよ?パパ♡」

僕は覚悟を決めた。 
ここまで来たら全員幸せにするしかない。 
いや、全員孕ませて世界一賑やかな家庭を作ってやる。

「わかった。……望むところだ!」 

僕が答えるとヒロインたちは歓声を上げ、狼のように僕に飛びかかってきた。 
リゾートの夜はこれからが本番だ。 
第1次ベビーブーム・キャンペーン、開幕のゴングが鳴り響いた。
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