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第13章 偽りの聖女と、王都に響く希望の歌
エピローグ 英雄の凱旋と、神の次なる一手
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事件の真相が明らかになるのに、時間はかからなかった。
疫病の原因が、聖女セレーネ(彼女は混乱の中、姿を消した)にあったことは、やがて明らかになった。
民衆は、自分たちの愚かさを恥じ、そして、それでもなお自分たちを守ってくれたプリズム・ナイツに、心からの感謝と、以前にも増して熱狂的な声援を送った。
王都では、僕たちの功績を称える、盛大な凱旋パレードが催されることになった。
王都のメインストリートは、僕たちの名を呼ぶ民衆で埋め尽くされている。
舞い散る色とりどりの紙吹雪は、まるで、僕たちの、血と涙と泥にまみれた戦いを、祝福するかのようだった。
「プリズム・ナイツ万歳!」
「ありがとう!俺たちを、信じ続けてくれて!」
「フレアちゃん!あんたの炎が、俺たちの心を照らしてくれたんだ!」
「ブリザード様!その気高い姿、一生忘れません!」
「エンジェル様!あなたの歌声が、我々を救ってくださった!」
「ストライダー殿!影の活躍、しかと見届けたぞ!」
「エレク・ハート様!その雷は、まさに天の裁きだ!」
歓声が、波のように、僕たちを包み込む。
オープンカーの上から、五人の少女たちは、少し照れくさそうに、しかし、誇らしげに、その声援に応えて手を振っていた。
僕たちの、砕け散ったはずの信頼は、より強く、美しい形で、取り戻されたのだ。
この悪の組織との戦いは、一旦、僕たちの完全勝利で幕を閉じた。
◇
その夜。
パレードの興奮も冷めやらぬ、僕の工房。
五人のヒロインたちは、それぞれの想いを胸に、僕の前に集まっていた。
僕は、一人一人の顔を、順番に、ゆっくりと見渡した。
そして、プロデューサーとしてではなく、ただの、アルト・フォン・レヴィナスとして、僕の、ありったけの想いを、言葉にした。
「…皆、本当に、ありがとう」
僕の、唐突な、そして、どこまでも真摯な言葉に、五人の少女たちは、きょとんとした顔で、僕を見つめていた。
「君たちが、諦めずに、最後まで戦い抜いてくれたから、僕たちは、今日、ここにいる。民衆に石を投げつけられても、強力な敵に追い詰められても、君たちの心は、決して折れなかった。その輝きは、僕が、この世界で見た、どんな奇跡よりも、美しかったよ」
それは、僕なりの、最大限の、デレた感謝の言葉だった。
その、あまりにも不意打ちの、あまりにもストレートな一言は、彼女たちの、乙女の心に、それぞれ、異なる、しかし、確かな衝撃を与えた。
最初に、僕の胸に飛び込んできたのは、やはり、太陽の塊だった。
「アルトの、ばか…!そんなこと、当たり前じゃない!私が、アルトを守るのは、アルトが、私を守ってくれるのは、もう、ずーっと昔から、決まってることなんだから!」
リゼットは、僕の胸に顔をうずめ、涙声で、しかし、嬉しそうに、そう言った。
彼女の、その、どこまでも真っ直ぐで、温かい想い。
それが、いつだって、僕の原動力だった。
「だから、これからも、ずーっと、一番近くで、アルトのこと、守ってあげるんだからね!これは、幼馴染としての、特権なんだから!」
彼女は、ぐいぐいと、僕の腕に、自分の身体を、押し付けてくる。
その、あまりにも大胆な行動に、氷の令嬢が、静かな、しかし、確かな怒りのオーラを放った。
「…待ちなさい、リゼットさん。プロデューサーに、あまり、なれなれしくしないでもらえますか。…ですが、まあ、その…」
クラウディアは、一度、咳払いをして、顔を真っ赤にしながら、そっぽを向いた。
「…あなたに、感謝されるのは、やぶさかではありませんわ。あなたの、その、非論理的で、突拍子もない作戦がなければ、私たちに、勝利はなかった。その、プロデューサーとしての手腕だけは、認めてあげます」
そして、彼女は、小さな声で、付け加えた。
「…だから、その…これからも、私のことを、最高のパートナーだと、思いなさいよね!それが、論理的に見て、最も、正しい選択なのだから…!」
彼女は、僕の、空いている方の腕を、さりげなく、しかし、力強く、掴んでいた。
「あらあら、うふふ。お二人とも、お幸せそうですね」
エミリアさんが、聖母のような微笑みで、僕たちの背後から、そっと、僕の頭を撫でてくれた。その、あまりにも優しい手つきに、僕の心は、温かく溶けていく。
「アルトさん。わたくしは、あなたが、わたくしの力を信じてくださったことが、何よりも、嬉しかったのです。あなたが、隣にいてくださるなら、わたくしは、どんな絶望をも、癒やすことができます。だから、これからも、あなたの、一番の癒やしで、いさせてくださいね」
彼女は、僕の肩に、そっと、その頭を、預けてきた。
「主殿!主殿の、そのお言葉、この犬神菖蒲、生涯、忘れませぬ!」
いつの間にか、僕の足元に、跪いていた菖蒲が、感涙にむせびながら、僕の足に、ぎゅっと、しがみついてきた。
「主殿の、その、類まれなる知略!そして、我らを信じ抜く、その魂!やはり、主殿こそが、拙者の、生涯を懸けてお仕えするに値する、唯一無二の君主!この菖蒲、これより先も、主殿の影となり、刃となり…そして、妻となりて、お側を離れませぬぞ!」
彼女の、もはや、揺るぐことのない、壮大な勘違い。
だが、その瞳に宿る、忠誠心だけは、本物だった。
そして、最後に。
ルージュが、やれやれと溜め息をつきながら、僕の目の前に、仁王立ちした。
「…まあ、あんたが、アタシたちのプロデューサーで、少しは、助かったっていうのは、認めてあげなくもないわ」
彼女は、そう言うと、僕の顎を、くいっと持ち上げ、その、妖艶な瞳で、僕の目を、じっと見つめてきた。
「でも、勘違いしないでよね。あんたが、アタシのモノになるっていう、その事実は、何も変わらないんだから。今日の勝利は、そのための、ほんの序章に過ぎないわ。覚悟、しておきなさいよね」
彼女の、深紅の唇が、僕の唇に、触れるか、触れないかの、ゼロ距離まで、近づいてきた。
その、あまりにも刺激的な光景に、他の四人が、一斉に、我に返った。
「「「「抜け駆けは許さない(でござる)!!」」」」
やれやれ。
いつもの、キャットファイトの始まりか。
僕は、幸せな喧騒に包まれながら、満足げに、夜空を見上げた。
◇
その光景を、歪んだ玉座で、カイザーは、楽しそうに眺めていた。
彼の目の前のホログラムスクリーンには、僕たちの、和気藹々とした、しかし、どこまでも甘ったるい日常が、リアルタイムで映し出されている。
「…なるほど。『信頼』パラメータが、カンストしたか。面白い。実に、面白いじゃないか」
彼は、にやりと笑うと、次のクエストの企画書を、指先一つで生成した。
そのウィンドウには、禍々しい文字が、躍っていた。
<NEXT MAIN QUEST>
『引き裂かれた愛の誓い~五人の花嫁と、唯一つの選択~』
「壊れにくいおもちゃは、全力で壊してこそ、楽しいというものだ。
次は、君たちの、その、甘ったるい『愛』とやらを、試させてもらうとしようか」。
彼は、満足げに、部下たちに告げた。
「今回は一旦退こう。だが、奴らのデータは、十分に取れた。イザベラ、レックス、ノクス。お前たちにも、次のイベントでは、特別出演させてやる。せいぜい、主役を食うくらいの、名演技を期待しているぞ」
そして、彼は、スクリーンの中の僕に向かって、まるで、古い友人に語りかけるかのように、静かに、しかし、はっきりと告げた。
「これからを楽しみにしていろ、アルト・フォン・レヴィナス。お前という、最高の『プレイヤー』との、本当のゲームは、まだ、始まったばかりなのだから」
彼の、悪辣なゲームは、まだ、終わらない。
僕たちの、本当の戦いは、今、静かに、幕を開けたのだ。
疫病の原因が、聖女セレーネ(彼女は混乱の中、姿を消した)にあったことは、やがて明らかになった。
民衆は、自分たちの愚かさを恥じ、そして、それでもなお自分たちを守ってくれたプリズム・ナイツに、心からの感謝と、以前にも増して熱狂的な声援を送った。
王都では、僕たちの功績を称える、盛大な凱旋パレードが催されることになった。
王都のメインストリートは、僕たちの名を呼ぶ民衆で埋め尽くされている。
舞い散る色とりどりの紙吹雪は、まるで、僕たちの、血と涙と泥にまみれた戦いを、祝福するかのようだった。
「プリズム・ナイツ万歳!」
「ありがとう!俺たちを、信じ続けてくれて!」
「フレアちゃん!あんたの炎が、俺たちの心を照らしてくれたんだ!」
「ブリザード様!その気高い姿、一生忘れません!」
「エンジェル様!あなたの歌声が、我々を救ってくださった!」
「ストライダー殿!影の活躍、しかと見届けたぞ!」
「エレク・ハート様!その雷は、まさに天の裁きだ!」
歓声が、波のように、僕たちを包み込む。
オープンカーの上から、五人の少女たちは、少し照れくさそうに、しかし、誇らしげに、その声援に応えて手を振っていた。
僕たちの、砕け散ったはずの信頼は、より強く、美しい形で、取り戻されたのだ。
この悪の組織との戦いは、一旦、僕たちの完全勝利で幕を閉じた。
◇
その夜。
パレードの興奮も冷めやらぬ、僕の工房。
五人のヒロインたちは、それぞれの想いを胸に、僕の前に集まっていた。
僕は、一人一人の顔を、順番に、ゆっくりと見渡した。
そして、プロデューサーとしてではなく、ただの、アルト・フォン・レヴィナスとして、僕の、ありったけの想いを、言葉にした。
「…皆、本当に、ありがとう」
僕の、唐突な、そして、どこまでも真摯な言葉に、五人の少女たちは、きょとんとした顔で、僕を見つめていた。
「君たちが、諦めずに、最後まで戦い抜いてくれたから、僕たちは、今日、ここにいる。民衆に石を投げつけられても、強力な敵に追い詰められても、君たちの心は、決して折れなかった。その輝きは、僕が、この世界で見た、どんな奇跡よりも、美しかったよ」
それは、僕なりの、最大限の、デレた感謝の言葉だった。
その、あまりにも不意打ちの、あまりにもストレートな一言は、彼女たちの、乙女の心に、それぞれ、異なる、しかし、確かな衝撃を与えた。
最初に、僕の胸に飛び込んできたのは、やはり、太陽の塊だった。
「アルトの、ばか…!そんなこと、当たり前じゃない!私が、アルトを守るのは、アルトが、私を守ってくれるのは、もう、ずーっと昔から、決まってることなんだから!」
リゼットは、僕の胸に顔をうずめ、涙声で、しかし、嬉しそうに、そう言った。
彼女の、その、どこまでも真っ直ぐで、温かい想い。
それが、いつだって、僕の原動力だった。
「だから、これからも、ずーっと、一番近くで、アルトのこと、守ってあげるんだからね!これは、幼馴染としての、特権なんだから!」
彼女は、ぐいぐいと、僕の腕に、自分の身体を、押し付けてくる。
その、あまりにも大胆な行動に、氷の令嬢が、静かな、しかし、確かな怒りのオーラを放った。
「…待ちなさい、リゼットさん。プロデューサーに、あまり、なれなれしくしないでもらえますか。…ですが、まあ、その…」
クラウディアは、一度、咳払いをして、顔を真っ赤にしながら、そっぽを向いた。
「…あなたに、感謝されるのは、やぶさかではありませんわ。あなたの、その、非論理的で、突拍子もない作戦がなければ、私たちに、勝利はなかった。その、プロデューサーとしての手腕だけは、認めてあげます」
そして、彼女は、小さな声で、付け加えた。
「…だから、その…これからも、私のことを、最高のパートナーだと、思いなさいよね!それが、論理的に見て、最も、正しい選択なのだから…!」
彼女は、僕の、空いている方の腕を、さりげなく、しかし、力強く、掴んでいた。
「あらあら、うふふ。お二人とも、お幸せそうですね」
エミリアさんが、聖母のような微笑みで、僕たちの背後から、そっと、僕の頭を撫でてくれた。その、あまりにも優しい手つきに、僕の心は、温かく溶けていく。
「アルトさん。わたくしは、あなたが、わたくしの力を信じてくださったことが、何よりも、嬉しかったのです。あなたが、隣にいてくださるなら、わたくしは、どんな絶望をも、癒やすことができます。だから、これからも、あなたの、一番の癒やしで、いさせてくださいね」
彼女は、僕の肩に、そっと、その頭を、預けてきた。
「主殿!主殿の、そのお言葉、この犬神菖蒲、生涯、忘れませぬ!」
いつの間にか、僕の足元に、跪いていた菖蒲が、感涙にむせびながら、僕の足に、ぎゅっと、しがみついてきた。
「主殿の、その、類まれなる知略!そして、我らを信じ抜く、その魂!やはり、主殿こそが、拙者の、生涯を懸けてお仕えするに値する、唯一無二の君主!この菖蒲、これより先も、主殿の影となり、刃となり…そして、妻となりて、お側を離れませぬぞ!」
彼女の、もはや、揺るぐことのない、壮大な勘違い。
だが、その瞳に宿る、忠誠心だけは、本物だった。
そして、最後に。
ルージュが、やれやれと溜め息をつきながら、僕の目の前に、仁王立ちした。
「…まあ、あんたが、アタシたちのプロデューサーで、少しは、助かったっていうのは、認めてあげなくもないわ」
彼女は、そう言うと、僕の顎を、くいっと持ち上げ、その、妖艶な瞳で、僕の目を、じっと見つめてきた。
「でも、勘違いしないでよね。あんたが、アタシのモノになるっていう、その事実は、何も変わらないんだから。今日の勝利は、そのための、ほんの序章に過ぎないわ。覚悟、しておきなさいよね」
彼女の、深紅の唇が、僕の唇に、触れるか、触れないかの、ゼロ距離まで、近づいてきた。
その、あまりにも刺激的な光景に、他の四人が、一斉に、我に返った。
「「「「抜け駆けは許さない(でござる)!!」」」」
やれやれ。
いつもの、キャットファイトの始まりか。
僕は、幸せな喧騒に包まれながら、満足げに、夜空を見上げた。
◇
その光景を、歪んだ玉座で、カイザーは、楽しそうに眺めていた。
彼の目の前のホログラムスクリーンには、僕たちの、和気藹々とした、しかし、どこまでも甘ったるい日常が、リアルタイムで映し出されている。
「…なるほど。『信頼』パラメータが、カンストしたか。面白い。実に、面白いじゃないか」
彼は、にやりと笑うと、次のクエストの企画書を、指先一つで生成した。
そのウィンドウには、禍々しい文字が、躍っていた。
<NEXT MAIN QUEST>
『引き裂かれた愛の誓い~五人の花嫁と、唯一つの選択~』
「壊れにくいおもちゃは、全力で壊してこそ、楽しいというものだ。
次は、君たちの、その、甘ったるい『愛』とやらを、試させてもらうとしようか」。
彼は、満足げに、部下たちに告げた。
「今回は一旦退こう。だが、奴らのデータは、十分に取れた。イザベラ、レックス、ノクス。お前たちにも、次のイベントでは、特別出演させてやる。せいぜい、主役を食うくらいの、名演技を期待しているぞ」
そして、彼は、スクリーンの中の僕に向かって、まるで、古い友人に語りかけるかのように、静かに、しかし、はっきりと告げた。
「これからを楽しみにしていろ、アルト・フォン・レヴィナス。お前という、最高の『プレイヤー』との、本当のゲームは、まだ、始まったばかりなのだから」
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