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第十七章 最後の神具と、神々の審判
エピローグ:揺り籠への扉、最後の旅路へ
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オリオンが消え、《創生の祭壇》には静寂が戻った。
目の前には、全ての始まりの場所へと続く、星屑を散りばめたかのような光の扉が、静かに佇んでいる。
俺たちの、そしてこの世界の運命を変えるための、最後の扉だ。
「……行ったのね」
ルーナが、ぽつりと呟いた。
その声には、強大な敵が去った安堵と、これから始まる最後の戦いへの緊張が入り混じっていた。
「ええ。そして、わたくしたちの“答え”は、神々の理にさえ“認められた”のですわ。……神々に、挑む者として」
クラリスの言葉には、もはや揺らぎはなかった。
王女としての誇りと、一人の仲間としての決意が、彼女の中で完全に一つになっていた。
そうだ。
俺たちは、神々の用意した絶望的な二者択一を拒絶し、俺たち自身の道を選ぶと宣言した。
その結果、神の理の象徴であった天秤は砕け散った。
もう、迷いはない。俺たちの進むべき道は、ただ一つ。
俺は、仲間たちに向き直り、そっと右手を差し伸べた。
「……最後にもう一度だけ、聞かせてくれ。この先にあるのは、世界の根源だ。千年の哀しみと、神々の罪、その全てが渦巻く場所だ。生半可な覚悟じゃ、魂ごと飲み込まれる。それでも……みんな、一緒に来てくれるか?」
それは、リーダーとしての問いかけではなかった。
共に死線を潜り抜けてきた、一人の仲間としての、問いかけだった。
最初に、俺の手の上に、力強く、そして温かい手が重ねられた。クラリスだった。
「当たり前ですわ。あなたのいない未来など、わたくしにはありえません。あなたが神々に挑むというのなら、わたくしは、あなたの隣に立つ、最初の剣となりましょう」
次に、しなやかな指が、俺の手にそっと触れた。ルーナだ。
「決まってるじゃない。こんな面白そうなクライマックス、見逃す手はないわ。それに……あんたが独りで格好つけるなんて、あたしが許さないんだから。最後まで、ちゃんとあたしを楽しませなさいよね」
「当然よ! あたしたちの『イッセイ&カンパニー』は、神々の理不尽な経営方針(システム)を覆して、世界一のハッピーエンドっていう利益(リターン)を出すの! その最終プレゼンに、社長(あんた)だけ行かせるわけないでしょ!」
リリィが、快活な笑顔で、ぐっと力強く手を重ねる。
一人、また一人と、その手が重ねられていく。
「イッセイ様。私の剣と、私の心臓は、最初からあなたのものです。あなたが赴く場所こそが、私のいるべき場所です」
セリアの不器用だが、絶対的な忠誠。
「イッセイ殿。拙者の剣は、貴殿と出会い、初めて守るべき未来を見つけた。その未来の果てを、この目で見届けるまで、退くことなどありえぬ」
サーシャの揺るぎない覚悟。
「精霊たちが、歌っています。あなたと共に、世界の哀しみを癒す時が来た、と。わたくしは、その声に応えます」
シャルロッテの清らかな祈り。
「ボクの歌は、もう迷わないウサ! 一番哀しい魂にこそ、一番優しい歌を届けるんだ! イッセイくん、連れてって!」
フィーナの太陽のような希望。
「……みんなが行くなら、ミュリルも行くにゃ。だって……家族は、ずっと一緒だにゃ」
ミュリルの無垢な信頼。
八人のヒロインと、俺。九つの手が、一つの塊となる。
その温もりこそが、神々の理を超えた、俺たちの答えであり、力だった。
俺は、重ねられた皆の手を、力強く握りしめた。
「……ありがとう、みんな。もう、何も言うことはないな」
俺は、光の扉へと向き直る。
「行くぞ、みんな」
俺たちは、共に誓った仲間たちと、光の扉へと足を踏み入れた。
世界の最も深い場所、魔王とリアナの魂が眠る、最後の聖域へ。
それは、破壊のための戦いではない。
千年の孤独に涙する、二つの魂を救い出すための、最後の旅路。
俺たちの、本当の戦いは、ここから始まる。
光の向こう側で、世界の始まりの君が、きっと俺たちを待っている。
目の前には、全ての始まりの場所へと続く、星屑を散りばめたかのような光の扉が、静かに佇んでいる。
俺たちの、そしてこの世界の運命を変えるための、最後の扉だ。
「……行ったのね」
ルーナが、ぽつりと呟いた。
その声には、強大な敵が去った安堵と、これから始まる最後の戦いへの緊張が入り混じっていた。
「ええ。そして、わたくしたちの“答え”は、神々の理にさえ“認められた”のですわ。……神々に、挑む者として」
クラリスの言葉には、もはや揺らぎはなかった。
王女としての誇りと、一人の仲間としての決意が、彼女の中で完全に一つになっていた。
そうだ。
俺たちは、神々の用意した絶望的な二者択一を拒絶し、俺たち自身の道を選ぶと宣言した。
その結果、神の理の象徴であった天秤は砕け散った。
もう、迷いはない。俺たちの進むべき道は、ただ一つ。
俺は、仲間たちに向き直り、そっと右手を差し伸べた。
「……最後にもう一度だけ、聞かせてくれ。この先にあるのは、世界の根源だ。千年の哀しみと、神々の罪、その全てが渦巻く場所だ。生半可な覚悟じゃ、魂ごと飲み込まれる。それでも……みんな、一緒に来てくれるか?」
それは、リーダーとしての問いかけではなかった。
共に死線を潜り抜けてきた、一人の仲間としての、問いかけだった。
最初に、俺の手の上に、力強く、そして温かい手が重ねられた。クラリスだった。
「当たり前ですわ。あなたのいない未来など、わたくしにはありえません。あなたが神々に挑むというのなら、わたくしは、あなたの隣に立つ、最初の剣となりましょう」
次に、しなやかな指が、俺の手にそっと触れた。ルーナだ。
「決まってるじゃない。こんな面白そうなクライマックス、見逃す手はないわ。それに……あんたが独りで格好つけるなんて、あたしが許さないんだから。最後まで、ちゃんとあたしを楽しませなさいよね」
「当然よ! あたしたちの『イッセイ&カンパニー』は、神々の理不尽な経営方針(システム)を覆して、世界一のハッピーエンドっていう利益(リターン)を出すの! その最終プレゼンに、社長(あんた)だけ行かせるわけないでしょ!」
リリィが、快活な笑顔で、ぐっと力強く手を重ねる。
一人、また一人と、その手が重ねられていく。
「イッセイ様。私の剣と、私の心臓は、最初からあなたのものです。あなたが赴く場所こそが、私のいるべき場所です」
セリアの不器用だが、絶対的な忠誠。
「イッセイ殿。拙者の剣は、貴殿と出会い、初めて守るべき未来を見つけた。その未来の果てを、この目で見届けるまで、退くことなどありえぬ」
サーシャの揺るぎない覚悟。
「精霊たちが、歌っています。あなたと共に、世界の哀しみを癒す時が来た、と。わたくしは、その声に応えます」
シャルロッテの清らかな祈り。
「ボクの歌は、もう迷わないウサ! 一番哀しい魂にこそ、一番優しい歌を届けるんだ! イッセイくん、連れてって!」
フィーナの太陽のような希望。
「……みんなが行くなら、ミュリルも行くにゃ。だって……家族は、ずっと一緒だにゃ」
ミュリルの無垢な信頼。
八人のヒロインと、俺。九つの手が、一つの塊となる。
その温もりこそが、神々の理を超えた、俺たちの答えであり、力だった。
俺は、重ねられた皆の手を、力強く握りしめた。
「……ありがとう、みんな。もう、何も言うことはないな」
俺は、光の扉へと向き直る。
「行くぞ、みんな」
俺たちは、共に誓った仲間たちと、光の扉へと足を踏み入れた。
世界の最も深い場所、魔王とリアナの魂が眠る、最後の聖域へ。
それは、破壊のための戦いではない。
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光の向こう側で、世界の始まりの君が、きっと俺たちを待っている。
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