侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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最終章 始まりの君へ、この永遠の祝福を

最終話 そして、終わらない旅路へ

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神々の罪が浄化され、世界に真の平和が訪れてから、半年が過ぎた。
俺たちは、あの後、王都に戻り、それぞれの日常を送りながらも、侯爵家の屋敷で一つ屋根の下、騒がしくも温かい“家族”としての日々を過ごしていた。

そして、今日という日を迎えたのだ。

俺たちの結婚式は、王都の壮麗な教会ではなかった。
場所は、俺たちが恋の戦場(?)を繰り広げた、あの思い出の秘湯《精霊の癒し湯》。

ひっそりと、だが、誰よりも大切な仲間たちだけで行う、誓いの儀式だ。
湖のように澄んだ《翠玉の湯》のほとりに作られた祭壇の前、俺は純白の礼服に身を包み、少しだけ緊張しながら、俺の愛すべき八人の花嫁たちを待っていた。

やがて、森の小道から、一人、また一人と、彼女たちが現れる。
それぞれが、自ら選んだ、個性に合わせた美しいウェディングドレスを身に纏い、その姿は、どんな女神よりも、どんな精霊よりも、眩しく輝いていた。

俺は、一人ひとりと向き合い、愛の誓いの言葉を交わし、口付けをする。

「クラリス」

気品あふれる純白のドレスに身を包んだ彼女は、王女の威厳と、一人の少女の恥じらいをその瞳に宿していた。

「俺は、お前の気高さを愛している。だが、それ以上に、民を想い、時に涙するお前の優しさを、生涯かけて守り抜くと誓う」

「……イッセイ様。わたくしも、あなたのその温かい心に、我が全てを捧げると誓いますわ。……わたくしだけの、王様」

俺たちは、そっと唇を重ねた。それは、気高く、そしてどこまでも優しい誓いのキスだった。

「ルーナ」

少し大胆な、マーメイドラインのドレスが彼女の美しい曲線を際立たせている。

「俺は、お前の自由な魂に救われた。だから、生涯、お前を縛ることはしない。だが、お前が羽を休めたくなった時、必ず俺の隣が、お前の止まり木であると誓う」

「ふふっ、嬉しいこと言ってくれるじゃない。じゃあ、あたしも誓うわ。あたしの冒険の終着点は、いつだってあなたの腕の中よ。……愛してるわ、イッセイくん」

彼女から送られたキスは、悪戯っぽく、そしてどこまでも情熱的だった。

「リリィ」

快活な彼女らしい、ミニ丈の軽やかなドレス。
その笑顔は太陽のようだ。

「俺は、お前の夢への情熱を尊敬している。だから誓う。お前が世界中を笑顔にするというなら、俺は、お前のその夢を支える、世界一のパートナーになる」

「……ばか。そんなこと言われたら、あたし、あんたのこと、あたしの人生っていう最高の商談から、一生解放してあげられなくなるじゃない……!」

涙ながらの彼女とのキスは、最高に甘くて、少しだけしょっぱい味がした。

「サーシャ」

白無垢を思わせる、凛とした和装のドレス。
彼女は、静かに、しかし燃えるような瞳で俺を見つめた。

「俺は、お前の剣に宿る、揺るぎない誇りを信じている。だから誓う。お前が守るもののために、俺は盾となろう。お前の剣が、曇ることのないように」

「……イッセイ殿。我が剣は、もはや貴殿を守るためにのみ存在します。この命、この魂、永遠に貴殿と共に。……我が、主君」

そのキスは、武士の誓いのように、どこまでも真摯で、重かった。

「セリア」

完璧なAラインのドレスを着こなすが、その動きはどこかぎこちない。

「俺は、お前の不器用な優しさを知っている。いつも俺のために完璧であろうとする、その健気さを、俺は生涯をかけて愛し抜くと誓う」

「……っ! わ、私は、あなたの護衛として、当然のことをしているまでです……! で、ですが……その誓い、謹んで、お受けいたします……我が、主様」

彼女とのキスは、初めて触れる宝物のように、震えていて、愛おしかった。

「シャルロッテ」

まるで森の妖精のように、花々で飾られたドレス。その姿は幻想的だ。

「俺は、お前が聞く、世界の声を、共に聞きたい。精霊と人の架け橋となるお前の、その清らかな魂を、何物からも守り抜くと誓う」

「……イッセイさん。わたくしの心は、いつもあなたのそばにあります。あなたの魂の囁きを、誰よりも近くで、聞き続けますわ」

精霊たちが祝福するように舞う中でのキスは、神聖な儀式のようだった。

「フィーナ」

フリルとリボンがたくさんついた、アイドル衣装のようなドレス。

「俺は、お前の歌声に、何度も救われた。だから誓う。お前が歌い続けられるように、俺がお前の、世界一のファンであり続ける」

「うさーっ! じゃあボクも誓うウサ! ボクの歌の全部、イッセイくんだけのものだウサ! 世界一の、愛の歌を、毎日歌ってあげる!」

そのキスは、弾けるような喜びと、綿菓子のような甘さに満ちていた。

「ミュリル」

猫の耳を模したヴェールをつけた、シンプルで愛らしいドレス。

「俺は、お前の温もりを知っている。お前が隣にいてくれるだけで、俺は安らげる。だから誓う。お前が安心して眠れる、世界一の陽だまりになる」

「……にゃん。……ミュリルも、誓うにゃ。イッセイくんが帰ってくる場所は、いつだって、あたしの隣だって。……大好きだにゃ、イッセイくん」

そのキスは、子猫のようにくすぐったくて、どこまでも優しかった。

ーーーーー

そして、その日の夜から、一人、一日ずつ。
俺たちの、甘く、そしてちょっぴり騒がしい初夜が始まった。

もちろん、八人同時に、というわけにはいかない。どうするかと話し合った結果、なぜかリリィが持ち出してきた「ぷるぷるスライムくじ」で順番を決めることになったのは、まあ、俺たちらしいと言えるだろう。

最初に来たのは、クラリスだった。
王女らしく、最高級のシルクのネグリジェに身を包んだ彼女は、恥じらいに頬を染めながらも、凛として俺の前に立った。

「……今宵、わたくしは王女ではありません。ただ、あなたを愛する、一人の女、クラリスです。……どうか、優しく、教えてくださいまし……」

その健気な姿に、俺の理性はあっけなく吹き飛んだ。

朝、目を覚ますと、隣で女神のように穏やかな寝顔を晒す彼女がいた。
「……ん……イッセイ様……」寝ぼけ眼で俺の胸にすり寄ってくるその姿は、もはや王女ではなく、ただの愛しい俺の妻だった。

次に現れたルーナは、対照的に、小悪魔のような笑みを浮かべていた。

「ふふっ、お待たせ、イッセイくん。ここからは、大人の時間……。あたしが、あんたの知らない“楽しいこと”、いーっぱい教えてあげる♡」

彼女の挑発的な囁きと、大胆な誘惑に、俺はなす術もなかった。

朝、俺が目を覚ますより先に起きていた彼女は、俺の顔をじっと見つめていた。
「……おはよう、あたしの旦那様。……うん、やっぱり寝顔も可愛いわね」そのキスは、昨夜よりもずっと、甘かった。

リリィは、なぜか帳簿を片手に現れた。

「えーっと、本日の契約内容は『生涯添い遂げること』! 違約金は……あたしの一生分の愛よ! さあ、契約の“調印”、しましょうか!」

そう言って、彼女は帳簿を放り投げ、元気いっぱいに俺の胸に飛び込んできた。

朝、俺の腕の中で満足げに眠る彼女の寝言は、「……売上……倍増……」だった。……こいつは、一生変わらないんだろうな。

サーシャは、静かに、しかし燃えるような瞳で俺を見つめた。

「……イッセイ殿。……武士としてではなく、ただのサーシャとして、今宵、我が身も心も、全てをあなたに捧げます。……どうか、お受け取りくだされ」

そのあまりにも真摯な言葉に、俺は彼女を強く抱きしめることしかできなかった。

朝、俺が目覚めると、彼女はすでに正座して、俺の寝顔を見守っていた。
「……おはようございます、我が主君。……その、昨夜の拙者は……忘れていただきたい……」顔を真っ赤にするその姿が、たまらなく愛おしかった。

セリアは、完璧にアイロンがけされたパジャマを手に、俺の前に直立不動で立った。

「い、イッセイ様……! こ、今夜の……任務内容のご確認を……!」

「……任務じゃない。セリア。俺の、妻として、そばにいてほしい」

俺がそう言うと、彼女は顔を真っ赤にして、小さな声で「……はい」とだけ答えた。

朝、目を覚ますと、俺の服が全て完璧に畳まれ、部屋の隅々まで塵一つなく磨き上げられていた。
……愛の形は、人それぞれらしい。

シャルロッテは、月の光が差し込む部屋で、祈るように俺の前に立った。

「……イッセイさん。今宵、私たちの魂が、一つになりますように……」

その神聖な雰囲気に、俺は彼女が壊れ物であるかのように、そっと触れることしかできなかった。

朝、部屋中に小さな光の精霊たちが舞い踊っていた。
「……おはようございます、イッセ-イさん。……世界が、昨日よりも、もっと輝いて見えますわ」その笑顔は、どんな精霊よりも美しかった。

フィーナは、元気いっぱいに、しかし少しだけ震える声で言った。

「う、うさーっ! き、来ちゃったウサ! えっと、えっと……歌、歌うウサ!?」

「……いや、今はいい。今は、お前の、本当の声を聞かせてほしい」

俺がそう言って抱きしめると、彼女は小さな声で「……好きだウサ」とだけ呟いた。

朝、俺の耳元で、彼女が即興のラブソングをハミングしていた。
それは、世界で一番、幸せな歌だった。

そして、ミュリルは、何も言わずに、子猫のように俺の布団にもぐり込んできた。

「……にゃん。……ここに、来たにゃ」

ただ、それだけ。だが、その温もりと、ゴロゴロと喉を鳴らすような寝息が、どんな言葉よりも、俺の心を愛で満たしていった。

朝、俺が目を覚ますと、彼女は俺のお腹の上で、完璧な香箱座りをして眠っていた。
「……ん……おはよう、だんなさま……にゃ」

……一人ひとりが、それぞれの形で、俺に愛を伝えてくれた。
その全てが、俺の心を、幸福で満たしていった。
八つの夜を経て、俺たちの絆はより深く、そして俺たちは、本当の意味で“家族”になることができたのだ。

ーーーーー

世界の危機は去った。だが、俺たちの冒険はまだ終わらない。
そんな穏やかな日々に、ある日、セリアが息を切らして新しい羊皮紙を手に飛び込んできた。

「イッセイ様! また、新たな古代地図が発見されたとの報告が!」

その言葉に、リビングで寛いでいた俺の妻たちが、一斉に色めき立った。

「なになにー!? 今度はどんなお宝が眠ってるのかしら!」

リリィが、目を輝かせて地図を覗き込む。

「見て、イッセイくん! まだ行ったことのない大陸だよ!」

ルーナが、俺の腕を引いて笑う。

「まあ! ということは、また新たな外交の始まりですわね!」

「うむ。新たな強敵との出会いもあるやもしれぬ。腕が鳴るな」

「衛生管理の行き届いていない土地かもしれません。準備をしなければ」

「精霊たちも、未知の風に心を躍らせていますわ!」

「新しい歌が生まれる予感がするウサ!」

「新しいお魚、いるかにゃ!?」

俺は、俺の“家族”になった、騒がしくて、愛おしい八人の妻たちに囲まれながら、空を見上げた。
そこには、どこまでも青い空が広がっている。

「……そうだな」

俺は、笑って答えた。

「俺たちの旅は、まだ始まったばかりだ」

新たな地図を手に、俺と“家族”になったヒロインたちは、これからも続く未来へと、笑顔で旅立っていくのだった。
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みんなの感想(2件)

アカツキ
2025.07.29 アカツキ

登場人物紹介でおかしいところが有ります。ダークエルフが居ません。名前は有ります。他にも有ります見直しお願いいたします。

2025.07.29 のびすけ。

ご指摘ありがとうございます!時間ができ次第、修正いたします!

解除
三代目本田屋

4話と5話がダブってます。

2025.07.27 のびすけ。

ご指摘、ありがとうございます!修正いたしました。

解除

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